eバイクで箱根の山登り区間賞記録を更新…ただし上りでは敗北

日本生まれの電動アシスト自転車だが、欧州ではe(イー)バイクと呼ばれて大流行している。世界屈指の自転車部品メーカー「シマノ」も独自開発のモーターをリリース。それを国内で初搭載したeバイクがミヤタサイクルから2月1日になるというので、試乗車を実走。箱根駅伝の第5区で記録計測したら、アシストパワーで区間賞記録をちょっとだけ上回った!

箱根駅伝5区をeバイクで走って今年の区間賞を更新!

ヤマハ発動機が世界初の電動アシスト自転車「PAS」を1993年に発売して以来、日本では坂道のある町に住む人が買い物時に使ったり、子どもを乗せて保育所などの送迎に使ったりするイメージだ。ところが欧州ではもっとアクティブに走れるスポーツアイテムとしてとらえられている。体力以上に走行距離を伸ばしたり、急坂や悪路をクリアするレジャーアイテムとして活用されている。

その市場ニーズに応えてシマノが電動ユニットを欧州向けに開発したのが2014年。さらに改良を重ね、日本向けに新開発されたものがいよいよ発売されるというわけだ。発売元のミヤタサイクルが試乗車貸し出しを開始したのが1月10日。その日のうちに保管場所まで取りに行き、箱根駅伝の往路第5区で実走チェックした。つまりこれは日本初のインプレッションとなった。

箱根駅伝5区のスタートは20年前も鈴廣。リベンジだ!

じつはヤマハPASが量産化された20年前。新製品情報誌「モノマガジン」の特集で、箱根の第5区を電動アシスト自転車で上ったことがある。小田原の鈴廣かまぼこ店前をスタートし、いい感じに電動パワーで上りをこなしていたのだが、宮ノ下の富士屋ホテルを通過して激坂に突入したところでバッテリー切れ。あとは重量30㌔の鉄の塊と化し、ゴールできなかった記憶がある。

今回はそのリベンジだ。最先端のeバイクを入手したこの日、あのときと同じように鈴廣前をスタート。電動出力レベルを最強の「ハイモード」にしてグイグイと箱根の山を登る。一定のペースでペダルを回していくとアシストの恩恵にあずかっていることを体感できないのだが、激坂になってペダルを踏み込む力が衰えてしまうと、「グイッ!」という推進力で前に進んでくれるのが分かる。呼吸もこれまでのどんな上り坂よりもラクだ。これはいい!

復路の6区をゴール。下りはほどんど電池を消耗しなかった

芦ノ湖のゴールに飛び込んでGPSウォッチのボタンを止めると1時間09分29秒。区間賞の青木涼真選手(法政大)の記録を更新した。バッテリー消耗は帰路となる第6区も起動してちょうど50%だった。20年前は宮ノ下で充電が切れたのに。機材の飛躍的進化を実感! さらに記録したGPSデータを解析してみると、スタート地点と最高地点までがタイムトライアルのコースとして設定されていて、これまで挑戦した1325人中の17位にランクされていたことが判明。

白状します。電動アシスト機能使いました。しかし冷静に考えてみると、最高点から芦ノ湖まで時速60kmでダウンヒルしてタイムを稼いでいるので、結局上り区間は箱根駅伝のランナーよりも遅い。いやはや、eバイクも楽チンだが彼らがスゴいってことも分かった。

eバイクはこうしてサイクリングの実走距離が伸ばせるので、これまで以上にフィールドが広がるアイテムだ。充電器もコンパクトに持ち運べるので、2日以上のツーリングもできる。体力の劣る人が駆使することで上級者と一緒に走れるなんてケースも。これから流行るかも。

サイクルコンピューターにパワー状況が表示される

シマノ製電動アシストコンポ「STEPS」を日本で初搭載したミヤタサイクルの電動アシストクロスバイク「クルーズ」。アルミフレームにモーターとバッテリーを搭載。ハンドル部分に液晶サイクルコンピューターがあって、電動パワーの強弱や電池残量を操作・把握できる。フル充電あたりエコモードで115km、ノーマル106km、ハイモード78kmのアシスト走行が可能。9段変速。油圧式ディスクブレーキなので箱根からの下りも軽いブレーキレバー操作で速度制御が容易だった。税込み29万520円。

ミヤタサイクルのクルーズ

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