ツール・ド・コリア開幕…上位進出を目指してキナンがスタート

キナンサイクリングが出場するツール・ド・コリアが5月30日に韓国で開幕し、第1ステージは群山から天安までの184.6kmで行われた。フィニッシュ付近が平坦基調のスプリンター向けステージで、チーム最高位は雨乞竜己の31位だった。塚本一樹はレース前半の落車により負傷した影響でリタイア。第2ステージからのキナンは4人で各ステージの表彰台や総合上位でのUCIポイント獲得を目指す。

ツール・ド・コリア第1ステージ ©︎KINAN Cycling Team / Naoi HIRASAWA

第1ステージはのどかな韓国西岸に位置する群山から北上し、大都市・天安にフィニッシュするコース。勾配の厳しい3級山岳をはじめとしたアップダウンが続くが、終盤は平坦基調。残り2kmからフィニッシュまでは一直線のスプリントステージだ。スタート地点からのパレード走行の段階で、中西は集団前方に顔を出し、アタックに対応できる位置につけた。0km地点で正式スタートが切られるとすぐにアタック合戦が始まり、数名が抜け出しては吸収され、という展開が続いた。中西はこのなかでいくつかのアタックに反応。数選手で集団から抜け出す場面もあったが、逃げが容認されるには至らなかった。

約30kmにわたる激しいアタック合戦のあと、2選手の逃げが成功。ウィリエールが集団のコントロールを開始し、ようやくレースに落ち着きがもたらされた。キナン勢5選手はメイン集団内でレースを展開。2017年大会で2度の10位台フィニッシュという成績を残している雨乞のスプリントに備えることとなった。

逃げが決まってからは、2分程度の差で集団が追いかけるシンプルな展開になったが、19歳の若手塚本にアクシデントが起きた。集団前方の選手が道を間違えた影響で方向転換を余儀なくされ、その際に周囲の選手ともつれるような形で落車。左脚などを負傷し、追いついては上りで離される苦しい展開が続き、大きく遅れてリタイアとなってしまった。

残り約60kmを過ぎ、タイム差が縮まったタイミングでメイン集団から単独でブリッジした選手が逃げに合流。さらに残り30kmほどで集団が活性化し逃げ集団をとらえにかかったが、残り約25kmで新たに4人の逃げが形成された。キナン勢は逃げには入らず、引き続き集団スプリントでチャンスをうかがった。残り10kmからはクロフォードが集団内での位置取りに尽力。椿と中西も雨乞の周囲を走り、残り2kmからは中西が雨乞を集団前方に引き上げ、フィニッシュに向けて順調にレースを進めていった。

しかし、メイン集団の追走は届かず先頭の4選手が逃げ切りで優勝争いを展開。5位争いとなった集団スプリントで、雨乞は好位置からスプリントに臨んだが、別のラインを進むトレインに先行されトップから9秒差の31位という結果に終わった。中西も集団内の57位でフィニッシュしている。雨乞をアシストして仕事を終えた椿は2分14秒遅れの104位。ポジショニングでチームを助けたクロフォードは、残り1kmで集団落車に巻き込まれた影響で108位でフィニッシュしたが、救済措置によりメイン集団と同じ9秒差となっている。怪我明けの復帰レースで思わぬ落車に見舞われたクロフォードだが、幸い軽傷で走りには影響がなさそうだという。

第2ステージは天安から東へ進み、栄州にフィニッシュする202.6kmの大会最長ステージ。山間部を走るステージで、序盤と中盤に2つの2級山岳が設定されている。とはいえフィニッシュまでの1kmはゆるやかな下り基調になるなど、第1ステージ同様にスプリンター向けのコースプロフィールとなっている。初日で連携に手ごたえをつかんだキナンには、さらなる好成績が期待できそうだ。(Text:平澤尚威)

ツール・ド・コリア第1ステージ結果(184.6km)
1 チョウ・ヒョンミン(韓国、グンサン・インサム チーム) 4時間19分2秒
2 ベン・ペリー(カナダ、イスラエル サイクリングアカデミー) +0秒
3 セルゲイ・トヴェトコフ(ルーマニア、ユナイテッドヘルスケア プロフェッショナルサイクリングチーム) +0秒
4 ステパン・アスタフィエフ(カザフスタン、ヴィノ・アスタナ モータース) +2秒
5 ヤクブ・マレチュコ(イタリア、ウィリエールトリエスティーナ・セッレイタリア) +9秒
6 ルーカス・セバスティアン・アエド(アルゼンチン、ユナイテッドヘルスケア プロフェッショナルサイクリングチーム) +9秒
31 雨乞竜己(KINAN Cycling Team) +9秒
57 中西健児(KINAN Cycling Team) +9秒
104 椿大志(KINAN Cycling Team) +2分14秒
108 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、KINAN Cycling Team) +9秒
DNF 塚本一樹(KINAN Cycling Team)

個人総合時間
1 チョウ・ヒョンミン(韓国、グンサン・インサム チーム) 4時間18分52秒
2 ベン・ペリー(カナダ、イスラエル サイクリングアカデミー) +1秒
3 セルゲイ・トヴェトコフ(ルーマニア、ユナイテッドヘルスケア プロフェッショナルサイクリングチーム) +6秒
4 ステパン・アスタフィエフ(カザフスタン、ヴィノ・アスタナ モータース) +12秒
5 キム・オクチョル(韓国、ソウル サイクリングチーム) +18秒
6 ヤクブ・マレチュコ(イタリア、ウィリエールトリエスティーナ・セッレイタリア) +19秒
32 雨乞竜己(KINAN Cycling Team) +19秒
57 中西健児(KINAN Cycling Team) +19秒
100 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、KINAN Cycling Team) +19秒
108 椿大志(KINAN Cycling Team) +2分24秒

ポイント賞
1 ベン・ペリー(カナダ、イスラエル サイクリングアカデミー) 19pts

山岳賞
1 アレクサンダー・カタフォード(カナダ、ユナイテッドヘルスケア プロフェッショナルサイクリングチーム)

チーム総合
1 イスラエル サイクリングアカデミー 12時間57分24秒
20 KINAN Cycling Team +9秒

雨乞竜己

雨乞竜己のコメント
基本的に後ろにいたり、要所要所で前に上がってゆっくり上りをクリアしたりという感じだった。スプリントはそこまでガチガチでやろうというわけではなくて、ボクがいるところにみんなが集まってくれる感じだった。10kmくらいからジャイさんに引いてもらって、その後は椿と健児が周りにいてくれた。当初のプラン通りにラスト2kmで健児に上げきってもらい、そこから自分でトレインに入って、いい場所からスプリントできた。切り離してもらうところまではうまくいったが、右にイスラエルサイクリングアカデミーのトレインができて、そこに割り込めなかった。前が逃げ切ったことがわかっていたので、集団ではそれほどバチバチやっているわけではなかったけれど。脚の調子は悪くないので、またどこかのステージでスプリントをねらいたい。

中西健児

中西健児のコメント
序盤は集団前方でアタックに参加していたが、それほど積極的にではなく、チャンスがあればと思っていた。30kmほどアタックが続いたが、ウィリエールトリエスティーナが逃げのメンバーをコントロールしていた。数名で抜け出した場面もあったが、あまり自分の力を使わず、周りのメンバー次第で行けたら行こうかなという感じだった。メイン集団に残ってからは、チームで近くにいて、上りはある程度集団前方で入って、雨乞さんやみんなの脚を残すようにしていた。終盤に向けてはジャイさんが位置取りをしてくれて、ラスト10kmを過ぎてからもみんなで連携できていたので、形としてはよかったと思う。

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