悔しさはあるが素晴らしいチームワーク…アジア大会で銀の別府史之

アジア競技大会は6日目の8月23日、自転車男子ロードレースで別府史之(トレック・セガフレード)が銀メダルを獲得。走行タイムは優勝したカザフスタンのアレクセイ・ルツェンコと同じ3時間25分25秒。中根英登(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ)は5位。男子ロードレースはスバンからカガクまでの145.5kmで開催され、最後は3選手によるゴールスプリントとなった。別府は24日に開催される個人タイムトライアルにも出場する。

アジア競技大会男子ロードレース、別府史之はわずかにルツェンコ(左)にかわされた ©2018 JCF

コースは前日の女子のコースに40kmの平坦区間を加えた145.5kmのコースで、女子と同じくラスト15kmからの登り区間が勝負どころとなる。多くの有力国が4名参加の中で、アジア大会は日本選手団の総数に限りがあり、自転車競技全体でより多くのメダルを獲得するためにロード男子の参加選手は2名となった。日本チームからは別府と新城幸也が出場する予定だったが、新城が大会直前のレースでの落車の怪我により参加を見合わせ、急きょ中根が参加することとなった。有力選手はカザフスタンのルツェンコとエフゲニー・ジディッチ、イランのミルサマド・プルセエディらで、特にルツェンコが登りもスプリントも強力であり、最終局面ではルツェンコとの勝負になることが予想された。

スタートして数kmでアタックがかかり、中国、韓国、ベトナムの3名の逃げが決まる。乗り損ねた他の数カ国も追走をかけるが成功はせず、集団はカザフスタンのアシスト選手が2分弱のタイム差でコントロールをする。日本チームは他国に比べ少人数のためこの展開はありがたく、追走のアタックに気をつけながら後半に備える。85km地点を超えて先頭3名とのタイム差が1分ほどに縮まったところでイランのアタックを皮切りに集団から追走アタックがかかり、6名ほどが抜け出したが、別府と中根はメンバーだけをチェックして動かず最後の勝負どころまでカザフスタンのコントロールに任せる。

アジア競技大会男子ロードレースに出場する中根英登(左)と別府史之 ©2018 JCF

最初のアタックの3名から唯一残って独走を続けていた韓国のヤンから2分差で集団はラスト15kmの登りに入る。最初の1km強の登り区間で20名弱まで絞られ、そこからカザフスタンはエースのルツェンコが先頭を牽き集団を小さくしていく。ラスト5kmあたりで別府、中根、カザフスタンのルツェンコ、タイの2名という5名の先頭集団となる。中根が強さを見せて別府を強力にサポートする。中根のサポートを得て別府がスプリント力もあるルツェンコを相手にいいタイミングでスプリントをしたが、ゴール直前でかわされて2位。銀メダルを獲得した。

アジア競技大会男子ロードレースを走る別府史之 ©2018 JCF

別府史之のコメント
ラスト5kmは平坦基調なのでスプリントでねらったほうがいいと考え、登り区間で中根選手にアシストしてもらい、最後は万全の体制でスプリントに挑んだが、あと少しの差で勝つことができなかった。金メダルをねらっていたので悔しさはあるが、銀メダルという結果を残すことがよかったと思う。ここまで戦えたのはナショナルチームのおかげ。素晴らしいチームワークがいい結果につながった。中根選手とも同部屋でずっとレースについて話していた。どういう展開になるかわからないのがレースだが、うまくコミニュケーションが取れ、いいチームワークを発揮できたと思う。

中根英登のコメント
ラスト15kmの登り区間では集団前方で危険なアタックをチェックし、ラスト5、6kmの急勾配区間で再びアタックがあったため、その動きに対応しながら、自分も登りきる前に様子見のアタックを仕掛けた。しかし、苦しそうにしながらも他の選手たちが付いてきたので、そこからは自分が集団を引ききって別府選手のスプリントで勝ちに行く作戦に切り替え、ラスト300mまで集団を引き、最後は別府選手にスプリントをまかせた。別府選手と一緒に走るのは初めてだったにもかかわらず、数的不利な状況、無線もないなかでたくさんコミュニケーションを取れたこともあり、初めて走ったとは思えないチームワークを発揮できた。お互いが自分の持ち味を発揮できる動きができ、その結果でメダルが取れたと思う。

アジア競技大会男子ロードレースに優勝したルツェンコ(中央)。左が2位の別府史之 ©2018 JCF

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