U23男子で日本勢の5選手は完走できず…世界選手権ロード

UCIロード世界選手権インスブルック・チロル大会は6日目となる9月28日(金)、男子U23カテゴリー(23歳未満)のロードレースが開催された。コースはクーフシュタインからスタートし、インスブルックの周回コースを4周回する179.5kmで合計獲得標高は2910m。52カ国から178名が出走した。

U23男子の日本代表チーム © 2018 JCF

ヨーロッパの強豪国にはすでにUCIプロチームで活躍する選手も多く含まれていて、非常にレベルの高いレースとなることが予想されていた。日本ナショナルチームは、U23アジアチャンピオンの山本大喜(キナンサイクリング)、U23全日本チャンピオンの石上優大(EQADS)、松田祥位(EQADS)、大前翔(慶應義塾大)、渡辺歩(GSCブラニャック)の5名でチームを編成し、好調な山本を軸に戦う作戦でスタートした。

世界選手権U23ロード © Innsbruck-Tirol 2018 / BettiniPhoto

90kmのライン区間を終えて、スイスの1選手が先行する展開で周回コースへと入ったが、60km地点のグナーデンバルトの登りで渡辺が遅れてしまう。周回コースに入っても集団は常にハイペースを刻み、2周回目に入ると、大前、松田、石上もメイン集団から脱落。山本も懸命に食らいついていったが、周回コース終盤の道幅の狭い登坂区間で遅れ、渡辺が1周回完了時、山本と松田は2周回完了時に足切りとなった。石上と大前が3周回目に入ったが、大前は登坂区間で大きく遅れたために頂上でリタイア、石上も3周回完了時に規定のタイムリミット(先頭から15分経過)に達していなかったものの足切りとなった。石上は8月のツール・ド・ラブニールで落車し鎖骨骨折した経緯があり、万全とは言えないコンディションでの今大会出場だった。

メイン集団は2周回目の下りからアタックの攻防が始まり、3周回目の登坂区間では完全に集団は崩壊。最終周回の登坂区間で3名の先頭集団が形成され、下りに入るとマルク・ヒルシ(スイス)がアタックを仕掛け、圧倒的な下りのスキルを活かして一気に後続を振り切り、独走で優勝した。完走者は90名だった。

スイスのマルク・ヒルシがU23の世界チャンピオンに © Innsbruck-Tirol 2018 / BettiniPhoto

浅田顕コーチのコメント
90㎞のライン区間と7㎞の峠を含むゴール周回を4周する非常に厳しい今回の山岳コースでは、山本を可能な限り最後までメイン集団に残すためにライン区間は渡辺と大前、登り区間では松田が山本の位置取りと牽引を受け持つことで30位以内を成績目標とした。8月の骨折以来の復帰戦となる石上は自力で動き、今できる最大の走りでゴールを目指した。
レースは全体的に速く純粋に登坂力がなければ残れない展開のなか、日本チームは早い段階で戦列から離れることになり、各周回での規定タイムオーバーにより全員が途中棄権となった。結果は本当に残念だが、これが山岳コースでの実力評価。真直ぐ受け止め来年の成長に繋げたい。レース自体は1年を戦ってきた各国ライバル同士のぶつかり合いで、U23世界一を決めるに相応しい実力勝負の素晴らしいレース展開であった。

石上優大のコメント
完走できると思っていたが甘かった。(鎖骨骨折のため)自転車乗り始めて2週間ちょっと。やれることはやってきたが全然足りなかった。結果的にはケガの影響はいなめない。テーピングと強い痛み止めを飲んで、なんとかごまかしたが、練習できなかったのが響いてしまった。アンダー23はあと1年。もう時間はないと思っている。限られた時間のなかで、やれることをやって結果を出していきたい。

山本大喜のコメント
調子もよく、自分のできることをやりきったが、完全に力の差で遅れてしまった。ライン区間の登りでは脚があったが、周回コースの登りで絶対に集団に付いていこうと全力で走り、頂上で遅れかけてもなんとか付いていったが、その後、下り切ると集団は伸びきり、そこでちぎれてしまった。このままでは世界のトップとの差がどんどん大きくなってしまうため、ここをきっかけにして違う取り組みをしていかないといけない。自転車競技をやるからには、世界をめざすという目標でやっている。その目標が変わってしまうときは、やめるべきだと思っている。エリートカテゴリーでもしっかりと世界を目標にして走っていきたい。

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