2019年緒戦ニュージーランドで中島康晴がステージ10位

KINAN Cycling Teamにとって2019年シーズン初戦となるニュージーランドサイクルクラシックが1月23日に開幕。第1ステージは132.5kmで争われ、中島康晴がチーム最上位の10位。2選手の逃げ切りを許したものの、連携面に収穫のあるレースとなり、次のステージに向けた手ごたえをつかんでいる。

ニュージーランドサイクルクラシック第1ステージ ©KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

今回で32回目を迎える同国唯一のUCI公認ステージレースは、例年スプリント向きの平坦コースが多く編成される。2019年も同様で、この第1ステージは北島中西部の街ケンブリッジをスタートして、67kmの周回コースをおおよそ2周。レミントンに設定されたフィニッシュを目指す。極端なアップダウンこそないものの、プロトンを分断する勢いの強風や、フィニッシュ手前400mで最終の左コーナーが待ち受けるテクニカルなレイアウトが選手たちを苦しめる可能性があると見られた。

このレースに臨むにあたり、チームは中島のほか、椿大志、大久保陣、山本大喜、トマ・ルバ、新城雄大の6選手を招集。まずこのステージでは、中島か大久保でスプリントにトライすることを見込みながら、レース展開や集団のムードなどを見ながら臨機応変に対応することを選手間で確認し合った。

そうして迎えたレースは、リアルスタートからはハイペース。予想通りの横風や道幅の狭い区間で地元チームを中心にスピードアップが繰り返され、たびたび集団内で中切れが発生。KINAN勢は集団でのポジションの上下はありつつも、冷静に速いペースに対応した。

しかし、22.5km地点に設定されたこの日1つ目の中間スプリントを前に発生した落車をきっかけに椿が足止め。一度は集団復帰を果たしたものの、特に風の強い区間で再びポジションを下げたこともあり、前方復帰が困難な状況となってしまう。2018年に負ったケガからの体調の回復途上であることも考慮し、ここで大事をとってリタイアすることとなった。

早い段階で1人失う形になったKINAN勢だが、集団に待機して次の展開へ備える。中間スプリントポイントを通過後に3人の逃げグループが形成され、さらに2人が追走する流れになったが、スプリントでのステージ争いを見据えてレースを進めていった。

2周目に入ると、ニュージーランド勢やオーストラリア勢が中心の集団コントロールにトマが加わり、チームとしてスプリントを狙っている意思を表示。残る4人も少しずつポジションアップ。1周目ほどの激しい出入りとはならなかったこともあり、強い風が吹く区間でも無理なく対処した。

スプリントを意識する集団の一方で、逃げの選手たちが快調に飛ばす。最大で約4分30秒だった集団とのタイム差は、残り20kmを切っても2分以上のリードをキープ。2人に絞られてからもペースを維持し、逃げ切りを濃厚にする。

結果的に逃げ切りが決まり、2選手のフィニッシュから1分以上開いてメイン集団がやってきた。KINAN勢はスプリントにトライした中島が最終コーナーを前方でクリア。上位争いに加わり、ステージ10位となった。

その他メンバーは、山本が32位、大久保が54位、トマが69位でいずれも集団内でフィニッシュ。レース後半に起きた集団落車を回避した新城は92位でレースを終えている。

日本とは季節が反対にあるニュージーランドは、いまがサイクルスポーツのハイシーズン。隣国のオーストラリア勢も含めて上々の仕上がりの選手・チームに対し、シーズン初戦のKINAN勢が挑んだレースとしてはまずまずの内容。選手たちは口々に最終局面での走り方に課題と収穫があったことを挙げていて、第2ステージ以降でそれらを試していく。

24日に行われる第2ステージは、ケンブリッジからレイク・カラピコまでの129km。スタート以降南東に針路をとり、80km地点付近から今度は北西へ。中盤と後半に3級山岳が控えるが、レース距離が短いこともありスピードレースになることが予想される。風次第ではレース展開に影響を及ぼすことも念頭に置いて走る必要がありそうだ。KINAN Cycling Teamは引き続き、スプリントでの上位進出を意識しつつ、レースを構築していくことになる。

中島康晴のコメント

中島康晴

「チームとして初めてのUCIオセアニアツアー参戦で、集団での走り方ひとつとってもアジアとは違うだろうと選手間で話し合っていた。だからこそ集団内での位置取りをしっかりして、スプリントを狙うという意思表示をしようと決めてレースに臨んだ。

横風が強く、シーズン初戦としてはハードなレースになったが、みんなで前方に位置取りをしてフィニッシュを目指した。トマが集団を引くなど、スプリントに向けた動きにチャレンジしたが、ハイシーズンのオセアニア勢に対峙するのは簡単ではなかった。

チームとしてスプリントでも勝負できることを示したいと思っていて、レース中に細かなアップダウンはあったが上手くクリアして最終局面へ向かうことができた。(大久保)陣とどちらでスプリント勝負に挑むかは、レース中に話し合って決めた。最終局面のレイアウトもあらかじめ研究して、しっかり連携して走ることができた。

シーズン初戦にしては冷静に走ることができたし、要所ではみんなで確認し合いながらレースを進められた。残りのステージにつながる1日になったと思う」