ママチャリで1万7900人が国際サーキットを走った!

1万7900人がママチャリで国際サーキットを走る! 第12回ママチャリ日本グランプリ・チーム対抗7時間耐久が1月12日、静岡県小山町の富士スピードウェイで開催された。冠協賛は全国自転車チェーン店の「あさひ」。一般用自転車を多く販売する同社は、「ママチャリは日本独自の文化」と胸を張る。

ママチャリ851台がスタートラインに集結。7時間耐久が始まった

「ママチャリ」とは、お母さんが買い物に行くときに使用するイメージを持つ一般用自転車の俗称だ。「チャリ」はさびて変色した「茶輪」に由来するという説がある。いずれにしても商品を軽視するようなニュアンスがあるので、自転車業界ではあまり使用しない言葉だが、それをあえて大会名に打ち出した。

「ママチャリは日本の文化的乗り物。だからこれを使って、みんなで楽しくレースしよう」というのがイベント主催者の主旨。遊び心ある試みだが、舞台は自動車レースで使用する本物の国際レーシングコースに設定した。すでに12回を数えるレースは新年恒例の自転車イベントとなった。

最大10名でチームを組み、1台のママチャリを交代でこぎながら7時間を走りぬく。本気モードのチームもいるが、着ぐるみあり、自転車への装飾ありとイベントを楽しむ人たちも多い。交替を待つ間はバーベキューをしたりして、7時間を目いっぱい楽しむ。

チームメートが見守るなか、ひたすらペダルをこぎ続ける

富士スピードウェイは高低差約40m、最大下り10.05%、最大上り8.88%の勾配があるテクニカルコース。コース初めの下り坂をさっそうと走ったあと、後半の上り坂ではほぼ全員が失速。ママチャリであること、マシンに施した装飾を深く後悔する人たちが続出した。

そもそもママチャリは街中で停車しやすいようにサドルが低め、リラックスして乗車できるようにハンドルが高め。そして荷物を入れられるカゴが装備されているものが多い。高速走行するには最も適していない車種で、これを使用しなければいけないのだから想像以上にキツいレースとなる。

効率のいい乗車姿勢に改造するのは厳格な大会規定で禁じられている。ハンドルの位置は地上から95cm以上、サドルは一番低い位置に。ギヤ、チェーン、ペダルなどは市販時の状態のままでレース機材への交換は不可。スポーツバイクのライディングフォームとはほど遠い乗車姿勢でレースするのだから筋トレのスクワットよりもキツい。

意外とトラブルが多く、専門スタッフが修理に追われる。日ごろから整備しておきたい
2019年に創業70周年を迎える「あさひ」が特製サクマ・ドロップスを用意

2019年の大会には851台、1万7900人が参加した。当日はあいにくの曇り空で、普段はサーキットを見下ろす雄大な富士山も姿を隠し、時おり雪やみぞれが降るという厳しい状況だったが、参加者の熱気はそれを吹き飛ばすようだった。

レース結果はコスプレチームでもある「キクミミモータースモキュ」が51周(約232.7km)を走破し、4年連続7回目の優勝を飾った。

ちなみに第13回大会は2020年1月11日に開催予定。参加費は1チーム2万円。参加資格は補助輪なしで自転車を安全に運転できる人、ルールやマナーを守ることができる人と規定されている。
●大会サイト

仲間とチームを組んで7時間を走りきるのが醍醐味
装飾部門も設定され、受賞チームにはスポーツバイクが提供された