世界チャンピオンのエベネプールがUAEツアーに参戦決定

世界チャンピオンのレムコ・エベネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が2月20日から26日まで開催されるUAEツアーに参戦することが決まった。同大会は中東で開催される唯一のUCIワールドツアーレース。

レムコ・エベネプール @woutbeel

UAEエミレーツに移籍した英国のアダム・イェーツも参戦。2016年には英国選手として初めてツール・ド・フランスで新人賞を獲得した。

アダム・イェーツ ©Photo Fizza

オーストラリアのカレブ・ユアンはUCIプロチームのロット・デスティニー(ベルギー)に所属。主催者推薦によりチームが出場できることになり、平坦ステージでの優勝を目指す。

カレブ・ユアン(右) ©Face Peeters

ボーラ・ハンスグローエのサム・ベネット(アイルランド)はスプリンター。2020ツール・ド・フランスではポイント賞を獲得している。

サム・ベネット

●UAEツアーのホームページ

UAEツアーは2月20〜26日開催…出場22チームが出揃う

UAEツアーが中東のアラブ首長国連邦で2月20日から26日まで開催され、UCIワールドツアーチーム16に加えて、主催者推薦枠としてUCIプロチームの4チームが加わった。

ポガチャルが2022UAEツアー第4ステージで優勝 ©LaPresse – Fabio Ferrari

2023 UCIワールドツアーチーム
AG2Rシトロエン(フランス)
アルペシン・ドゥクーニンク(ベルギー)
アスタナ・カザクスタン(カザフスタン)
バーレーンビクトリアス(バーレーン)
ボーラ・ハンスグローエ(ドイツ)
EFエデュケーション・イージーポスト(米国)
グルパマFDJ(フランス)
イネオスグレナディアーズ(英国)
アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ(ベルギー)
ユンボ・ビスマ(オランダ)
モビスター(スペイン)
スーダルクイックステップ(ベルギー)
DSM(オランダ)
ジェイコ・アルウラー(オーストラリア)
トレック・セガフレード(米国)
UAEエミレーツ(UAE)

UAEツアー第6ステージ ©LaPresse – Fabio Ferrari

UCIプロチーム(主催者推薦)
ロット・デスティニー(ベルギー)
イスラエル・プレミアテック(イスラエル)
グリーンプロジェクト・バルディアーニCSFファイザネ(イタリア)
チューダー(スイス)

2022UAEツアー第7ステージ、ポガチャルとそれを援護するアシスト陣 ©LaPresse – Fabio Ferrari

●UAEツアーのホームページ

JCL右京が想定外の存在感を示してサウジツアー5区間完走

サウジアラビアを走る5日間のステージレース、サウジツアーは最終日となる2月3日に第5ステージが行われ、片山右京が率いるJCL TEAM UKYO(チーム右京)のベンジャミ・プラディスが区間12位、岡篤志が13位に入った。

サウジツアー最終日のJCL右京 ©JCL

総合成績では6分7秒遅れの38位に山本

第5ステージ、ここまで総合でトップに立つのはモビスターのアルメイダ・ゲレイロ。この日はやや起伏が穏やかなコースではあるものの、総合時間でワールドツアーチームの2名が僅差に迫る状況に彼らの鋭い攻撃に対してシビアに反応をすることが予想された。

また今回はコースの後半に9kmの砂の浮いたダートセクションがあり、ペースアップなどでダ ートでのトラブルを回避したレースメイクをしてくる可能性もあった。JCL TEAM UKYOは、 トップチーム同士の駆け引きの隙間のタイミングを狙ってくる数名のエスケープに乗り、ゴー ルスプリントになる場合はレイモンド・クレダーや岡をエスコートしていく作戦で挑んだ。

サウジツアーを完走したJCL右京の6選手 ©JCL

レースはスタートしてから18km地点までは、アタックがなかなか決まらない展開で進行する。ここで抜け出しに成功したのはアクティブスプリント賞ジャージを着るウノXのマーカス・ハンセンを筆頭とした5名の選手。

ワールドツアーとプロツアーチームの選手たちで構成されたメンバーではあるが、ここに総合成績を揺るがす選手がいないことから、リーダーチームのモビスターは逃げを容認。マーカスはアクティブスプリントポイントを狙ってレースをリードし続けた。

サウジツアー第5ステージ ©JCL

一方、JCL TEAM UKYOはモビスターがコントロールするグループの中で次なる展開に備えるために、総合成績で39位につけている山本大喜を30番手で位置させて単騎でも動けるポジションをキープ。また、いざチームで動くときに入る場所も山本を前方に置くことで確保した。

時間が経過し、前方で逃げ続ける強力なエスケープグループはダート区間に入り30秒の差に迫らた。しかし、このセクター後に設けられたボーナスタイムの懸かったポイントを僅差の選手に取らせないためモビスターの絶妙なコントロールが続く。

サウジツアー第5ステージ ©JCL

ボーナスポイントを抜け、残り20kmになるといよいよレースはクライマックス。ラスト5kmを過ぎても続くエスケープに展開によっては逃げ切りも現実味を帯びた状況だったが、各チーム のスプリントトレインがゴールを目前に一挙に現れるとエスケープを吸収。ここで前方に位置する山本にプラデスと岡が合流すると他チームのトレインに乗りポジ ションアップを図った。

格上チームを相手に存在感を見せたJCL右京勢 ©JCL

しかし、最前列でのポジショニングに至らないため、プラデスと岡はワンテンポ早く400m近くから一気にスパートしゴール直前のポジションアップを狙った。ワールドクラスのスプリンターが最前列に並んだ大混戦を制したのはコフィディスのシモーネ・コンソーニ。そして、すぐ後ろで前方までポジションを伸ばしたプラデスと岡が12、13 位とゴールに飛び込んだ。

厳しい自然環境の中で行われた5ステージ、総距離830kmのサウジツアー。個人総合優勝を遂げたアルメイダ・ゲレイロから遅れること6分7秒でゴールした山本を筆頭に、ワールドクラスのチームを相手に連日アタックし、ハイレベルなレース戦ったJCL TEAM UKYO。走り終えた選手たちの表情は充実感と安堵の混ざった表情がこぼれた。ここで経験したスピ ードを力に変えて、オマーンを舞台に行われる2連戦にチームは向かう。

サウジツアーを完走した選手を握手で迎える清水裕輔監督 ©JCL

「同じアジアツアーでもボクらがリードできるレースもあれば、こうして世界の強豪相手にいかに戦うかというレースもある。今回チーム初戦にしてこの高いスピードを味わい、ボクらができる戦い方で対抗した。チームとしての決意も高まったし、これからもっと前に進んでいけると感じられた5日間だった」と清水裕輔監督。

サウジツアーは強豪が勝負に出る…山本大喜が食らいつく

サウジアラビアを走る5日間のステージレース、サウジツアーは2月2日に第4ステージが行われ、片山右京が率いるJCL TEAM UKYO(チーム右京)の山本大喜が最後の山岳でも食らいつき、総合成績を39位にアップさせた。

サウジツアー第4ステージ ©JCL

第4ステージ、天気が北風に変わったこの日は正午近くになっても肌寒さを感じる気候となる。いよいよ残るステージも2日、総合トップのジョナサン・ミラン(バーレーンビクトリアス)から20秒以内に21名のライダーが上位にひしめいているだけに、どのチームも重要なステ ージととらえているようだ。

サウジツアー第4ステージのスタート前にミーティング ©JCL

コースは特徴的で、60kmの大周回を約2周半し、レースのクライマックスはラスト10km付近から。上りのピークにスプリント賞を設置した残り2.8km、平均12%・最大17%の急勾配があり、そこからゴールまでは吹きさらしの風を受け続ける平地レイアウトだ。

サウジツアーの総合優勝を左右するコースプロファイル、JCL TEAM UKYOは総合上位の可能性がある山本がどこまで食らいつけるか、そしてクライム能力の高いベンジャミ・プラデスの活躍に期待してレースはスタートした。

JCL右京のロードバイクはファクター ©JCL

連日序盤からロングエスケープを打ち続けているJCL TEAM UKYO。この日もチャンスがあれば飛び出す作戦で機を狙った。しかし、序盤はワールドツアーチームがアタックを繰り返す緊張状態が続く展開。

岡篤志もチャンスを狙って飛び出したが、同調するワールドツアーの選手たちの強烈なスピードにプロトンにバックしてしまう。20km地点までアタックの応酬が続いたのち、この日のアタックを決めたのは総合成績で1分差につけているQ36.5のニコラス・ズコウスキーを含む4名。

サウジツアー第4ステージ ©JCL

高いスピードで逃げ続ける彼らを警戒して総合リーダーのジョナサン・ミランを擁するバーレーンビクトリアスがプロトンを牽引。2分の差をキープして先行を捉えつつ、他チームの攻撃を受けない距離を保った。この絶妙なコントロールにより、勝負の登りに入る直前にエスケープグループをキャッチ。登りに向け一気に各チームが先頭に押し寄せた。

サウジツアー第4ステージ ©JCL

岡は山本をうまくエスコートして不利なポジションから回避させ、上りの前にいいポジションに位置させる流れを作る。急勾配の山場へ各チームのアシスト勢が道を開くと、いよいよ本命の選手たちの勝負を賭けた戦いが始まった。

サウジツアー第4ステージ ©JCL

トップとの差は埋められない差ではない…山本大喜

一気に絞られたトップグループの後方にはプラデス、そして15mほど後ろには数名で山本も渾身の力で粘る。山頂へ向け、2022年のジロ・デ・イタリアで山岳賞を獲得しているモビスター のアルメイダ・ゲレイロが強烈なペースを作り出した。これに続いた選手はワールドツアーチームの3名のみ。そのまま後方とは20秒の差を保ちゴールへ突き進む。

サウジツアー第4ステージを走る岡篤志 ©JCL

山本は第4パックの5名で必死のペダリング、差を最小限に抑える。ゴールはゲレイロが先着し優勝。山本は2分20秒離されたが総合順位を上げる健闘をみせてゴール。

「前日の逃げで刺激が入り、今朝は、これはイケるかもしれないという前向きな体調でした」と山本。
「登りはチームメイトのプラデスが見える位置でクリアして持てる力を全てゴールへの向かい風に走りました。トップとの差はこの先力をつけていけば埋められない差ではない。自分の 目指すモノが確実に見えてきました」

サウジツアー第4ステージ ©JCL

「ワールドツアーチームが序盤から主導権を握る展開に苦しめられましたが、プラデスと山本が勝負どころの登りをいい位置でクリアできました」と清水裕輔監督。
「レース後に山本の前向きなコメントを聞いて、このレースで新たなモチベーションを得たことがチームとしてどれだけポジティブであるかと感じています」

サウジツアー第4ステージ ©JCL

公認サイクリングガイドに元五輪代表選手や現役コーチなど加入

一般社団法人日本サイクリングガイド協会(JCGA )が公認するサイクリングガイドに内間康平や飯島誠といった元五輪代表選手や、コーチや自転車専門誌インプレッションライダーで知られる小笠原崇裕らが加わった。

しまなみ海道模擬ツアー引率特別講習会。2022年6月

リアルなイベントやサイクリングツアーが実施できなかった2020年以降、サイクルツーリズム再興の原動力となるサイクリングガイドの育成と認定、および技術の維持向上を目指し、講習会や検定講習会を継続して実施してきた。

その過程で、サイクリングガイドを目指す一般サイクリストも参加できる「基礎検定講習会」を新設し、サイクリングガイドとしての能力や経験を段階的に評価する「JCGAサイクリングガイドクラス認定」も2022年4月1日付けで改定。より幅広い層に門戸を開き、各地で積極的に講習会を開催した結果、2021年度は40名、まだ期中ながら2022年度も34名の新会員(新規受講者)を迎えることができ、2023年1月末現在では、総勢167名がJCGA会員資格を保持している。

基礎検定講習会では一般愛好家と現役プロが混在することも

■クラスごとの人数
・JCGA公認サイクリングガイド JCA認定※  : 79名 ※JCA検定合格者
・JCGA公認サイクリングガイド ベーシック : 29名 ※JCGA基礎検定合格者
・JCGA登録サイクリングガイド アシスタント: 34名
・JCGA登録サイクリングガイド トレーニー : 25名

自転車業界の本流より発足したJCGAは、本物の自転車乗り不在のサイクルツーリズムに異を唱え、プロとして必要な引率技術を重視する理念を掲げたことで、多数の最上級サイクリストが加入し続けている。2021年度以降の新会員74名についても、うち8名が難関として知られる「JCGA公認サイクリングガイド(JCA認定)」を、高い技術と真摯なチャレンジ精神でクリアしている。

2022年12月に神奈川県の湘南エリアで行われた講習会

2021年度以降、JCA検定講習会は単独では開催しておらず、JCGA基礎検定講習会と混在させるかたちで実施。結果として、サイクリングや引率スキルが不足している一般の受講者にとっては目指すべき技術レベルがより明確に自覚でき、上級者にとってはJCGAが追求する技術の意義を自覚できる貴重な機会となった。今後の講習会についても、JCA検定と基礎検定の併催していく。

JCGAサイクリングガイド基礎検定講習会(2023春)実施概要

近日中に開催予定の基礎検定講習会について、参加枠が若干ある。この機会に参加し、サイクリングガイドの根幹となる「安全かつ快適な集団サイクリング引率」の技術と、サイクリングガイド としてのマインドを体得してみては。

●一般社団法人日本サイクリングガイド協会の詳細ページ

山本大喜が110kmエスケープ…サウジツアー第3ステージ

サウジアラビアを走る5日間のステージレース、サウジツアーは2月1日に第3ステージが行われ、片山右京が率いるJCL TEAM UKYO(チーム右京)の山本大喜が110kmに及ぶ逃げを見せて、その名を印象づけた。

サウジツアー第3ステージ ©JCL / Yosuke SUGA

山本大喜が一時はバーチャルリーダーに

第3ステージ、レースは前日の砂漠地帯から赤い岩肌の山々に囲ま れた丘陵地に舞台を変えて行われた。アップダウンが目立つ中でもやはりサウジアラビアの風の洗礼を受け続けながら走るレース。選手たちの疲労も日に日 に増してきている。

サウジツアー第3ステージ ©JCL / Yosuke SUGA

この第3ステージで、JCL TEAM UKYOは登坂力とスプリント力を兼ね備えた岡篤志でゴール順位を狙い、総合で上位に希望がある山本は総合成績を上げる走りを作戦とし、レースに挑んだ。

スタートして間もなく発生した4名のアタック、ここに単独で山本が追いつきエスケープが成立。利害関係が一致したメンバーは時間が10分過ぎるごとにプロトン(大集団)とのギャップを1分ずつ伸ばす力走が続き、1時間経過地点で6分半のアドバンテージを稼いだ。

第3ステージのスタート前に清水裕輔監督が作戦を伝える ©JCL / Yosuke SUGA

グループを形成しているのは過去実績のあるコラテックの選手2名、クライマーのエウスカディの選手1名と地元サウジアラビアの選手1名、そして総合成績はトップから1分55秒遅れで最も上位につけている山本。タイム差が安定しサポートカーから現時点でバーチャルリーダーであることを伝えると、より走りにも集中力が増していく。

サウジツアー第3ステージ ©JCL / Yosuke SUGA

このリードが56km地点で8分45秒差まで広がると、プロトンはモビスターとコフィディスを中心としてスピードアップする。アップダウンと横風の中でのハイペースにプロトンは細分化しながら先行とのギャップを埋めていく。一方の先行グループでは73km地点のスプリント賞に向け活性化。先手を切ってアタックしたのは山本だったが、メンバーを振り切れず4位で通過。

第1集団を走る山本大喜 ©JCL / Yosuke SUGA

そして、後半の20kmの登坂に入る頃にはプロトンとのギャップは3分半まで縮まる。山本は猛追してくるプロトンに捕まるタイミングに警戒し、エスケープグループが登りで分解してもあきらめずに粘る。山本を吸収したプロトンは山頂に設置された122.8km地点のボーナスポイントにむけ活性化するも前方からの向かい風が強く、落車も発生したことでペースダウン。

石橋学 ©JCL / Yosuke SUGA

結果、プロトンは崩れずにゴールまでラスト4kmの登りに差しかかった。そびえ立つ巨岩を急勾配で切り通したヒルクライムでの優勝争いに展開は激化。ジョン・デゲンコルプなど有力選手が次々と脱落しながら、トップグループはゴールに突き進んだ。

サウジツアー第3ステージ ©JCL / Yosuke SUGA

この激戦のレースを制したのは2022年の世界選手権U23TTの優勝者、ウノXのソレン・バレンショルト。軽量でスプリント力のある岡は力及ばず、35秒差の39位でゴールをした。このステ ージで2位に入ったジョナサン・ミランが総合トップとなりリーダーが入れ替わり、翌日の山岳ステージを迎えることになった。

JCL右京の石橋学 ©JCL / Yosuke SUGA

「逃げ出しから協調して大きくリードできました。スプリント賞を取りに行く動きを自分から仕掛けたものの、みんな強くて逆に奪われてしまいました」と山本。
「110km近く積極的に逃げて捕まりましたが、最終展開まで走りを繋げたのでコンディションに手ごたえも感じることができました」

最後の上り坂を走る石橋学 ©JCL / Yosuke SUGA