フルームが事故以来初めての本格レース…UAEツアー

イネオスのクリストファー・フルーム(英国)が2月23日から29日に中東で開催される第2回UAEツアーに出場する予定であることを1月22日に発表した。2019年6月12日に落車骨折して以来、集団スタートのロードレースは初めて。

被視認性の高いトレーニングキャンプ用ウエアで走るクリストファー・フルーム

ジロ・デ・イタリア1回、ツール・ド・フランス4回、ブエルタ・ア・エスパーニャ2回の総合優勝経験を持つフルームがいよいよ本格復帰する。2019年10月にツール・ド・フランスさいたまクリテリウムのタイムトライアルに参加したが、このときはリハビリ途中で脚を引きずっての来日。メインレースには参加しなかった。

「UAEツアーでレース復帰できるのは本当にエキサイティングな気持ちだ」とフルーム。

「カナリア諸島でトレーニングキャンプを積んでいて、復帰に向けてのステップを進めている。完全復調までももう少しだ」

フルームの優勝歴に新たな勝利が加わるかに注目が集まる一方、他の強豪選手もこの時期の温暖なエリアでのレースに集結する。

2018年の世界チャンピオン、モビスターのアレハンドロ・バルベルデ(スペイン)は2019年総合2位。2度のタイムトライアル世界チャンピオン、イネオスのローハン・デニス(オーストラリア)。UAEエミレーツの若きエース、タデイ・ポガチャル(スロベニア)は2019ブエルタ・ア・エスパーニャ総合3位、ツアー・オブ・カリフォルニア総合優勝。

ミッチェルトン・スコットのアダム・イェーツ(英国)、CCCのイルヌル・ザカリン(ロシア)、ユンボ・ビスマのディラン・フルーネウェーヘン(オランダ)、ロット・スーダルのカレブ・ユアン(オーストラリア)、UAEエミレーツのフェルナンド・ガビリア(コロンビア)とタデイ・ポガチャル(スロベニア)、バーレーン・マクラーレンのマーク・カベンディッシュ(英国)らが出場予定。

THE STAGES 
Stage 1: Marjan Island Stage (158km), Zabeel Park – Marjan Island
Stage 2: Dubai Municipality Stage (203km), The Pointe – Hatta Dam
Stage 3: Sharjah Stage (198km), Sharjah – Rafisah Dam 
Stage 4: Dubai Stage (171km), Dubai Design District – Dubai City Walk
Stage 5: Al Ain Stage (162km), Al Ain – Jebel Hafeet 
Stage 6: ADNOC Stage (158km), Al Ruwais – Al Mirfa
Stage 7: Abu Dhabi Stage (127km), Al Maryah Island – Abu Dhabi Breakwater

●UAEツアーのホームページ

ベルナルのツール・ド・フランス参戦にフルームは焦る?

2020年のツール・ド・フランスで大会最多タイの5勝目に挑むイネオスのクリストファー・フルーム(英国)が、順調ではないリハビリ効果を押し隠して、「1月7日にはスペイン・マジョルカ島でのトレーニングキャンプに参加する」とコメントした。

クリテリウム・デュ・ドーフィネを走るクリストファー・フルーム ©ASO/Alex Broadway

2013、2015〜2017年のツール・ド・フランスで総合優勝しているフルームも34歳。2019年はツール・ド・フランスの調整レース試走中に落車し、複数カ所の骨折を負った。手術とリハビリを経てトレーニングを再開したが、本人が予定していたよりもパフォーマンス回復には長い時間を要しているようだ。

2018年にはチームメートのゲラント・トーマス(英国)が総合優勝。2019年にも同じチームのエガン・ベルナル(コロンビア)が総合優勝した。3選手は今季もイネオスに所属し、役割分担をすることになる。

クリストファー・フルーム(左)とエガン・ベルナル ©A.S.O. Thomas Colpaert

オフシーズンにベルナルはジロ・デ・イタリアに出場する予定であることをコメントしていたが、年を明けて一転。ジロ・デ・イタリアを回避して、ツール・ド・フランスで連覇に挑むことを明かした。フルームにとってこの発言はおだやかではないはずだ。

「コンディションの向上具合はまずまずで、トレーニングキャンプでさらに磨きをかけたい」とフルームは楽観的にツイートしているが、周辺を取り巻く現状は厳しい。6月27日に開幕するツール・ド・フランスまでにフルームのパフォーマンスが100%戻るのかも焦点だが、ベルナルやトーマスとどんな立ち位置になるのかも不透明。

●イネオスのホームページ

箱根駅伝5区は自転車も通行規制…電車運休で混乱の可能性も

台風19号の影響により、箱根登山電車の箱根湯本駅~強羅駅間が運休しているなど、箱根エリアの輸送力が例年に比べ大幅に低下しているなかで、2020年1月2〜3日に箱根駅伝が開催される。一般車両集中などで想定外の混乱が生じる可能性があることを関係者は心配しているという。

箱根駅伝の勝負どころとして知られる第5区。小田原の早川口付近から箱根山間部を経て芦ノ湖フィニッシュ付近までの国道1号は、例年交通規制のない対向車線も見物渋滞が発生している。2020年は特に台風19号の影響により箱根登山鉄道の交通網が遮断されていて、コースや周辺道路で例年以上の混雑が予想されるという。

選手や関係車両に接触するなどの事故、選手の進路が渋滞車両に阻まれて立ち往生する事態も想定される。これを回避するため、箱根湯本の手前、山崎I.C.付近からフィニッシュ(芦ノ湖)までの駅伝コースとなる国道1号は、1月2日10時45分ごろから13時ごろまで大型自動車などの車両交通規制が行われる。規制される車両は大型自動車、特定中型自動車、大型特殊自動車、普通自転車(駅伝大会関係車両を除く)。

普通自転車とは道路交通法に出てくる言葉だが、スポーツバイクやeバイクを含めた一般的な自転車の総称。ロードバイクなどに乗るサイクリストもこの時間帯はコースを走行することはできなくなる。台風19号の影響によって箱根登山電車の箱根湯本~強羅間は長期運休を余儀なくされ、箱根登山電車代行バスが輸送にあたっているが、規制期間中はこれも10時30分ごろから13時ごろまで運休となる。箱根湯本駅を中心に大幅な遅延と混雑が予想されるという。

ツール・ド・フランスでも信じられないハプニング

2016年7月14日のツール・ド・フランス、短縮コースを走るリッチー・ポート(前)とクリストファー・フルームがこの直後観客と接触する ©ASO:A.Broadway

普段とは異なる状況下では予想外の混乱が起こる。同じ一般道路を使ったツール・ド・フランスでもたびたび見られることだ。2016年の第12ステージでは観客殺到で総合1位に位置していたクリストファー・フルーム(英国)が観客と接触。自転車のフレームが折れてしまい、ランニングでゴールを目指したというハプニングが起こっている。

このときはゴール地点としていたプロバンスの単独峰モンバントゥーを台風並みの強風が吹き荒れたため、急きょコースを6km短縮。観衆が短くなったコースに殺到したのが原因だった。

●箱根駅伝の公式サイト

ベルナルがジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランス参戦へ

イネオスのエガン・ベルナル(コロンビア)は2020年、ジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスに参戦する予定であることを明かした。チームメートには2019ジロ・デ・イタリア総合優勝者のリカルド・カラパス(エクアドル)がモビスターから加わり、ツール・ド・フランス5勝目を目指すクリストファー・フルーム(英国)、2018ツール・ド・フランス総合優勝のゲラント・トーマス(英国)がいる。

2019ツール・ド・フランス総合優勝のエガン・ベルナル ©Luca Bettini/BettiniPhoto©2019

2019年のベルナルはジロ・デ・イタリアでイネオスのエースになるはずだったが、直前の鎖骨でレースを走ることができなかった。その野心をツール・ド・フランスにスライドさせ、22歳で総合優勝している。

2019ツール・ド・フランス。最後の山岳ステージをフィニッシュしてベルナル(左)はトーマスから祝福される ©ASO Alex BROADWAY

「2020年はジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスに出場したい」とベルナルは作戦を明らかにした。
「ジロ・デ・イタリアは美しいレースで、ボクは2年間イタリアに住んでいたからそこにたくさんの友達がいる。二大大会への参加はちょっとナーバスになる可能性があるが、たとえそれがほとんど不可能に思えても、チームはなんとかうまく対応できると思う」

ベルナルはジロ・デ・イタリア(5月9〜31日)、ツール・ド・フランス(6月27日〜7月19日)、さらにはブエルタ・ア・エスパーニャ(8月14日〜9月14日)までを見すえているという。

2020年はイネオスで走るカラパス ©Fabio Ferrari / LaPresse

カラパスの獲得により、フルームとトーマスをかかえるイネオスは、2020年のグランツールすべてを手中にする可能性もある。1998年のマルコ・パンターニ(イタリア)以来、同じ年にジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスで優勝した選手はいない。

「もちろんチームメートの欲望を考慮に入れなければならない」と1月13日に23歳の誕生日を迎えるベルナルは続ける。
「すべての選手が気持ちよく、それぞれの役割に合った理想的な参戦プログラムを見つける必要がある。ボクたちはたくさん話すので、クリスやゲラントとの関係に問題が生じることはない」

2018ツール・ド・フランス。先頭からベルナル、マイヨジョーヌのトーマス、その後ろがフルーム

●イネオスのホームページ

2020東京、被災地への思い…ツール・ド・フランス最多優勝に挑むフルーム

2020年にツール・ド・フランス史上最多タイの5勝目に挑むクリストファー・フルーム(英国、イネオス)が2019年10月24日、さいたま市立大宮国際中等教育学校の中1生徒を前に胸のうちを語った。

フルーム先生(右)とASOのさいたま担当クレモン・ギャルジー氏

フルームは10月27日に開催されるツール・ド・フランスさいたまクリテリウムに出場するために来日。今回の学校訪問は、ツール・ド・フランスを語る夢授業「さいたまクリテリウムDREAM TEACHER」として教壇に立った。生徒たちのほとんどは自転車競技のみならずツール・ド・フランスにほとんど関心がなかったが、フルーム先生を講師に招くにあたって事前に周到に学習。

この日は世界最大の自転車レースと認識するツール・ド・フランスで4度の総合優勝を誇る選手を迎えるにあたり26人の生徒も先生も緊張気味。それでもおもてなし精神を発揮し、フルームをスーパースターとして迎えつつ、頭によぎった質問をぶつけるなど貴重な時間を過ごした。

優等生フルームも中学時代は勉強嫌い?

マイヨジョーヌの思いを語るフルーム先生

●ケニアのナイロビで生まれて、12、13歳で南アフリカへ。今日の生徒さんと同じ年の頃はどんな生徒だったのですか?

フルーム●ベストスチューデントじゃなかった。

勉強ができるほうじゃなかったかも知れないけど、学校はとても楽しかったです。スポーツが大好きで、とりわけ自転車には情熱を持っていましたね。

●これまで6回のさいたま参戦でさまざまな日本の伝統文化やスポーツに挑戦。最も印象に残ったことは?

中学生による和楽器演奏も楽しんだ

フルーム●最も印象に残ったのは(埼玉栄高を訪問した)相撲です。相撲というのがどんなものなのかまったく知らなかったんですが、彼らのトレーニングは大変なもので、伝統的なルーティーンに則ってしっかりと実力をつけていくという世界に感銘を受けました。

●もし日本に生まれて、今日のような授業を受けて育ったらどんな人生になったと思いますか?

フルーム●私が育ってきた環境とはあまりに異なるので、イメージするのはとても難しいけどですが、こんな素敵な教育環境にいたらボクも人生の中でまた異なる感銘を受けて、違う道を進んでいたかも知れませんよね。

●2020年はツール・ド・フランス終了後6日後に東京オリンピック男子ロード。参加を前提としてシーズンに臨みますか?

フルーム●その通りです。ベストコンディションでツール・ド・フランスを走って、そのままの勢いで東京五輪に挑みたい。幸いなことに今日本にいるので、明日の10月25日にロードレースのコースをチェックしに行こうと予定しています。

さいたま市立大宮国際中等教育学校の生徒たちがフルーム先生と記念写真

●日本は地震や台風など災害が多い国。一方フルーム選手は骨折などの困難を乗り越えてツール・ド・フランス5勝目を目指すなど頑張っている。日本の人に向けてのメッセージを。

フルーム●日本は幾多の自然災害があってとても大変だと心を痛めています。今回も台風によってボクが大好きな人たちが困難な状況にあることを知っています。大事なことがあるとすればそれはツール・ド・フランスとよく似ています。1人ひとり、お互いを助け合うという気持ちではないかと信じています。ひとつのチームとなれば不可能なことも可能になる。必ずいつか困難であると思っていたことも、それがいい思い出となって記憶されているはず。頑張って下さい。

生徒1人ひとりにサイン色紙を手渡す。先生ももらっていました!

フルーム先生が中学でツール・ド・フランスを熱く語る

●ツール・ド・フランスさいたまクリテリウムのホームページ

フルーム先生が中学でツール・ド・フランスを熱く語る

ツール・ド・フランスで4度の総合優勝を誇る英国のクリストファー・フルーム(イネオス)が、さいたま市立大宮国際中等教育学校で教壇に立った。2019年10月24日、日本の中学校生徒を前に、ツール・ド・フランスの歴史やロードレースについて熱心に語った。

さいたま市立大宮国際中等教育学校の生徒たちがフルーム先生と記念写真

フルームは10月27日に開催されるツール・ド・フランスさいたまクリテリウムに出場するために授業の数時間前に来日。今回の学校訪問は、さいたまクリテリウムに出場する海外選手との交流を通じて、生徒に海外の自転車文化に関心を持ってもらうことを目的として大会主催者が企画したもの。

ツール・ド・フランスを主催するA.S.O.(Amaury Sport Organisation)の代表者とともに、ツール・ド・フランスを語る夢授業「さいたまクリテリウムDREAM TEACHER」としてフルームは教壇に立った。

フルームが訪れた中学は2019年4月開校の新設校で、この日は1年生ばかり26人が授業に参加した。

生徒たちの人垣をぬって登場するフルーム先生

「ツール・ド・フランスはヨーロッパでも最も有名で注目されるスポーツ。テレビやラジオだけでなく沿道に立てば実際に目で見て、選手のエネルギーを感じることができる」

2016年のモンバントゥーのシーンが上映されたときは、「大観衆が押し寄せたことで転倒してしまい、自転車が壊れたので、走らなくちゃならなかった。あまりこういったシーンはないんだけど、とにかく走ってもレースを続けたかった」とちょっと照れ笑いを浮かべながらも状況を説明。

「ツール・ド・フランスは本当にタフなレースで、1日でも大変なのにそれが3週間も続く。朝起きたときに今日はもうダメかもしれないと思うときもあるけど、パリを目指して頑張るんだと自分を奮い立たせるんだ」と続けた。

マイヨジョーヌの思いを語るフルーム先生

好きなのはスペイン国境にあるピレネー山脈だという。とてもタフなステージの連続ではあるが、美しいので大好きだという。

「ツール・ド・フランスで勝負を決めるのは山岳ステージ。ひとつの峠をクリアするのに1時間はかかり、それが1日に3つも4つもある。そんな過酷な山岳を乗り切って過去4回勝っているけれど、マイヨジョーヌを着てその伝統としてパリにゴールするのは格別な思いがある。最終日はもう勝敗が決まっているのでもう戦わなくていい。スタートしてからチームメートやこれまで戦ってきた選手たちと少しだけシャンパンで乾杯するんです」

フルームは先生になっても優等生だった

切れ味鋭い生徒たちの質問

フルーム先生の授業後半は質疑応答。以下は生徒たちの質問とそれに応じたフルームのコメント。

●どんな言語を使っているのですか?

「ツール・ド・フランスは1チーム8人編成だからいろんな国の選手がいる。お互いの言語をできるだけ理解して、コミュニケーションを取るのが大事なんだ」

●ウエイトコントロールは?

「山岳を上るときは体重が軽いほうがいいので、目標としているレースに挑むときはダイエットすることもある。それでもレース中はかなりのエネルギーを使うので、しっかりと栄養を取ることも大事。レースを走った後はたった1日で4〜5kgも体重が落ちてしまう。そのためにもエネルギーは必要なんだ」

●困難にぶつかったときは

「ボクはプロのサイクリストなんだと自分を鼓舞する。たくさんのサイクリストがこの世界で走ることを夢を見て、プロになれなかった人もある。ボクはそんな世界にいるのだから、それは最高に幸せで、なにごともあきらめちゃいけないんだと言い聞かせる」

●あなたにとってのツール・ド・フランスとは?

「自分への感謝です。多くの人が関わっていて、言語や文化が異なる人たちがここでひとつになって結びつく。これほど素晴らしいことはないです。貴重なイベントだと心から思っています」

中学生による和楽器演奏も楽しんだ

自転車に関心のなかった生徒たちも

「背が高くてカッコよかったです。事前にツール・ド・フランスのことを調べていて、上りに強い人もいれば筋肉のガッシリとした人もいると知りました。実際にフルーム選手を見て、なんて細いんだろうとびっくりしました」

1年2組の稲村優来さん(13)。スポーツはこれまで新体操をしていたが、自転車レースはまったく関心がなく、市内で開催されていたツール・ド・フランスさいたまの存在も気づかなかったという。

「自転車レースは大変そうなのでやりたいとは思いませんが、沿道で観戦したい。ツール・ド・フランスさいたま大会当日は絶対に見にいこうと思います。フランスも美しい景色に憧れていて、本当のツール・ド・フランスを見にいけたら最高です」

ラプランシュ・デ・ベルフィーユにゴールした2017年の第5ステージでフルームがマイヨジョーヌ。その後一度はアルーに譲るが最終的に総合優勝する

2020年はツール・ド・フランス最多優勝記録となる5回目の総合優勝に挑みたいというフルーム。 プロ1年目の2007年にツアー・オブ・ジャパンに参戦し、伊豆ステージでプロ初勝利を挙げた。ツール・ド・フランスさいたまは7回目の開催となるが、フルームは2年ぶり6回目の参戦。 親日家として知られるフルームだけに、中学生による和楽器演奏も楽しみ、より一層日本の文化に接する機会を喜んでいた。

2007ツアー・オブ・ジャパンでプロ初勝利を挙げたクリストファー・フルーム

2020東京、被災地への思い…ツール・ド・フランス最多優勝に挑むフルーム

●ツール・ド・フランスさいたまクリテリウムのホームページ