ビンゲゴーが11月6日開催のツール・ド・フランスさいたまに参戦

2022ツール・ド・フランス総合優勝者のヨナス・ビンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ビスマ)が11月6日にさいたま新都心で開催されるツール・ド・フランスさいたまクリテリウムに参戦する。

2022ツール・ド・フランス総合優勝のヨナス・ビンゲゴー ©A.S.O. Charly Lopez

「日本のみなさんはじめまして! 私自身初めてのツール・ド・フランスさいたまクリテリウムの出場となります。マイヨジョーヌを着て日本の、そしてさいたまの熱狂的な自転車ファンの前で走ることを楽しみにしています」とビンゲゴー。

同大会は7月24日にパリ・シャンゼリゼで行われた第21ステージの次章とも言われることから、「ツール・ド・フランス第22ステージのさいたまで優勝したいです! 11月6日にさいたまでお会いしましょう!」とビンゲゴーは意欲を語っている。

●ツール・ド・フランスさいたまのホームページ

ナイロ・キンタナが2022ツール・ド・フランスで二度の薬物使用

アルケア・サムシックのナイロ・キンタナ(コロンビア)が2022ツール・ド・フランスの期間中に行われたアンチドーピングコントロールで2度の陽性となり、総合6位の記録を剥奪される可能性が高くなった。8月17日に発表された。

2022ツール・ド・フランスのナイロ・キンタナ ©A.S.O. Pauline Ballet

キンタナの検体から二度にわたって検出されたのは、2019年から国際自転車競技連合が使用を禁止している強力な鎮痛剤であるトラマドール。

キンタナは、第7ステージのラ・シュペールプランシュ・デ・ベルフィーユと、区間2位になった第11ステージのグラノン峠のゴール後の検査で不正薬物使用の痕跡があった発表された。

チームは8月17日にホームページで事実だけを伝え、この件に関しての追加情報はないとしている。前日にキンタナとの契約延長を発表したばかりだった。キンタナはCAS(スポーツ仲裁機構)に上訴する権利を10日間持っている。訴えが認められないとツール・ド・フランスは失格となる。

また、今後の出場禁止処分は科されず、8月19日に開幕するブエルタ・ア・エスパーニャには出場できる。

●ナイロ・キンタナ関連ニュースまとめ
●アルケア・サムシックのホームページ

ビンゲゴーが総合優勝…開幕地となったデンマーク勢は26年ぶり

ユンボ・ビスマのヨナス・ビンゲゴー(25)が第109回ツール・ド・フランスで初の総合優勝を達成した。大会は史上初めて北欧のデンマークで開幕し、7月1日から24日まで行われた。同国選手として1996年のビャルネ・リース以来の2人目の勝者となった。

ユンボ・ビスマは最終ステージで、リタイアしたチームメート3選手のナンバーカードを掲げて圧巻の優勝を報告 ©A.S.O. Pauline Ballet

チームメートのワウト・ファンアールト(ベルギー)が連日にわたって積極的な走りを見せ、ビンゲゴーの勝利に貢献するとともに、区間3勝、ポイント賞、総合敢闘賞を集中にした。した。3連覇を狙ったUAEエミレーツのタデイ・ポガチャル(スロベニア)は総合2位。

デンマークの3日間は大盛りあがり ©A.S.O. Pauline Ballet

3連覇を狙ったポガチャルから離れず、タイムトライアルで突き放す

2021年にポガチャルに続いて総合2位となったビンゲゴー。第11ステージで首位に立つと、最終日前日の個人タイムトライアルで総合優勝を確実にした。その日の勝利者会見で「昨年からツール・ド・フランスに勝てると信じていた」と明かす。

初日はランパールトが優勝。たった1日だがマイヨジョーヌを着用した ©A.S.O. Pauline Ballet

一見か弱く見える選手だ。母国である開幕地で大声援を送られて思わず目頭が熱くなるほどの素朴な性格。ポガチャルのように若い頃から注目されることはなく、魚河岸でアルバイトをしながら練習し、プロになった努力家だ。しかしマイヨジョーヌを着用し続けていくうちに王者の風格が感じられるようになり、記者会見も堂々としたところを見せた。

マイヨジョーヌのファンアールトがまさかのアタック ©A.S.O. Pauline Ballet

2年前、チームは最終日前日にどん底に叩き込まれた。マイヨジョーヌを守ってきたプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)が個人タイムトライアルでポガチャルにまさかの逆転負けを喫したのだ。

「そんなことの再来は望んでいなかったから、いい走りができて首位を守ることができてようやく安堵した」と今回のビンゲゴー。

大会中盤はタデイ・ポガチャルが実力を見せつけて首位に。第7ステージのスタート地点 ©A.S.O. Charly Lopez

3連覇を狙ったポガチャルから、アルプスでマイヨジョーヌを奪うと、その後は息を呑むような戦いを展開する。どちらも守りに入らず、毎日全力でライバルを引き離しにかかった。攻撃の手を緩めないポガチャルに、ビンゲゴーは食らいつき、そして最終日前日の個人タイムトライアルで突き放した。

「お世話になったチームとデンマークにいい報告ができる。デンマークでの報道をまだ知らないけど、みんな興奮していることは推測できる」

2022ツール・ド・フランス第11ステージ ©A.S.O. Aurélien Vialatte

変幻自在の動きを見せたファンアールトが敢闘賞

ビンゲゴーの初優勝に大きく貢献したのがベルギーのワウト・ファンアールトだ。ステージ3勝と、スプリント王の称号であるポイント賞を獲得。序盤の4日間はマイヨジョーヌを着用したが、「チームエースはビンゲゴー」と割り切り、集団から遅れた同選手を引き上げたりした。

ファンアールトが先頭に立ってマイヨジョーヌのビンゲゴーを牽引 ©A.S.O. Pauline Ballet

最終日前日はそんなファンアールトにとっても感慨深い結果になった。2年前にログリッチが逆転負けしたときのチームメートだったからだ。自身がトップタイムで優勝するとともに、ビンゲゴーがマイヨジョーヌを死守してゴールすると感極まって頬に涙が伝わった。

「チームから総合優勝者が出ることは特別なことだ。ビンゲゴーは強くもあるが、人間としても素晴らしい。そんな彼をチーム全員が栄冠に導いたのだから、本当にうれしい」

マイヨジョーヌを獲得してからビンゲゴーはポガチャルを徹底マークした ©A.S.O. Pauline Ballet

コロナ禍での3年目のツール・ド・フランス

2002年は大会が2カ月遅れの秋に延期され、スタートとゴールに観客を入れない運営で開催。2021年は感染状況も落ち着いたことからいつもの夏開催へ。そして2022年はフランスに第7波が到来。4度の総合優勝を誇るクリストファー・フルームなど複数の選手が大会中に罹患しリタイアした。主催者は大会中盤から選手への接触を禁止。チームバスが駐車するエリアに立ち入るスタッフにマスク着用を義務づけた。

2022年のツール・ド・フランスは初日以外は快晴で、おりからの熱波もあって暑かった ©A.S.O. Pauline Ballet

感染者は多いもののフランスではコロナ以前の生活が戻った。海外からの観光客数は激減しているが、2024年のパリ五輪に向けて観光大国としての復権に努める。

ファンフルーテンが第1回ツール・ド・フランスファムで初代女王に


モビスターのアネミエク・ファンフルーテン(オランダ)が7月24日から7月30日まで開催された8日間の女子ステージレース、第1回ツール・ド・フランスファムで総合優勝した。2020東京五輪で金・銀メダルを獲得した39歳は、山岳が舞台となる最後の2ステージで連勝。最終日前日に獲得したマイヨジョーヌを最後まで守った。

第1回ツール・ド・フランスファムの総合優勝はファンフルーテン ©A.S.O. Thomas Maheux

ツール・ド・フランスファムはツール・ド・フランスの女子部門として33年ぶりに開催されたステージレース。今回は男子とは別日程、独自コースで開催され、女子選手の華やかさと近年レベルアップを続ける力強い走りで盛り上がりを見せた。

マイヨジョーヌのファンフルーテン、山岳賞のデミ・ボレリングらが集団をリード ©A.S.O. Thomas Maheux

「最終日のゴール、ラ。シュペールプランシュ・デ・ベルフィーユで黄色のジャージを着ることは、大会前に偵察を行ったときから私が望んでいたこと。私が考えることができた最高のもの結果になった」とファンフルーテン。

最終ステージはKMゼロ前のニュートラル区間で1回、さらに途中で2回メカトラで自転車を交換したファンフルーテン ©A.S.O. Thomas Maheux

「すべての観客が応援してくれた。大会2日目と3日目に体調を崩した後、このジャージを着てここにいるなんて信じられないほど大変だった」

モビスターのアネミエク・ファンフルーテン ©A.S.O. Fabien Boukla

スプリントのある平坦ステージを含めバランスが取れた大会だったと評価した。大会中盤には起伏があるコースが控え、最後の2日間は山岳が舞台。通常の他のステージレースよりもはるかに困難だったという。

ツール・ド・フランスファム ©A.S.O. Fabien Boukla
最後の激坂、ラ・シュペールプランシュ・デ・ベルフィーユを上るファンフルーテン ©A.S.O. Fabien Boukla
独走するファンフルーテンを追うカタリナ・ニーウィアドナら ©A.S.O. Fabien Boukla

「ツール・ド・フランスというものを感じた。第1回大会として最適な方法だったと思う。今後数年間はこの興奮が継続していくはず」(ファンフルーテン)

マイヨジョーヌのファンフルーテン ©A.S.O. Fabien Boukla
総合優勝のファンフルーテンを中央に、左が2位デミ・ボレリング、右が3位カタリナ・ニーウィアドナ ©A.S.O. Thomas Maheux

ファンフルーテンがツール・ド・フランスファムで逆転王手

女子版ツール・ド・フランスの第1回ツール・ド・フランスファムは7月30日に第7ステージが行われ、モビスターのアネミエク・ファンフルーテン(オランダ)が後続選手に3分26秒差をつけて独走。1分28秒遅れの総合8位から一気に首位に出て、マイヨジョーヌを獲得。

第7ステージでモビスターのアネミエク・ファンフルーテンがマイヨジョーヌを獲得 ©A.S.O. Thomas Maheux

全8ステージで開催される大会は7月31日が最終日。ファンフルーテンが得意とする山岳ステージが残されていて、初優勝に王手をかけた。

キャニオン・スラムのニーウィアドナ、FDJスエズのルドビクが上りを攻める ©A.S.O. Thomas Maheux

ファンフルーテンは2020東京五輪で個人タイムトライアルの金メダリスト。個人ロードではスタート直後から逃げていた選手の存在を把握できず、2位集団の先頭でゴールした際に金メダルを確信してガッツポーズ。結果は銀メダルだった。

39歳というベテランながら上りでは他の女子選手の追随を許さぬほどの実力があり、2022年の女子版ジロ・デ・イタリアでも総合優勝している。

ツール・ド・フランスファムはレースも熱いが、気候も暑い。スタート前に冷却ベストを着用する  ©A.S.O. Fabien Boukla

「平坦なオランダの出身であることを考えると、これは私のキャリアの中で最大の勝利の1つ」とマイヨジョーヌを獲得したファンフルーテン。

じつは開幕直後に病気となり、大会2日目にはリタイアを考えたという。

「自宅に帰る荷造りをしているとき、スーツケースの中にマイヨジョーヌが入っていないことに気づいた。その黄色いジャージを獲得できるなんて奇跡に近かった」

キャニオン・スラムのエース、カタリナ・ニーウィアドナ(ポーランド) ©A.S.O. Thomas Maheux

39歳のファンフルーテンだが、毎年フィットネスレベルを向上させてきた。この日は実力者のデミ・ボレリングと2人で集団を抜け出したが、途中で単独に。

「彼女が先頭交代をしてこなかったし、最後の登りの前に25kmの谷があったのでそこで勝負しようとも思った。でも優勝はソロでゴールに飛び込むほうがいい」とアタック。そのまま逃げ切った。

「この大会は私の期待を超えている。すべての村で歓迎され、大会が生き生きとしているのを感じることができている」

世界チャンピオンのエリーザ・バルサモらが出走サインステージから出撃 ©A.S.O. Fabien Boukla 

ツール・ド・フランスファム…男子とは全く異なる魅力的で熱き戦い

女子版ツール・ド・フランスの第1回ツール・ド・フランスファムが2022年7月24日にフランスの首都パリで開幕。首位選手にマイヨジョーヌが与えられるステージレースとしてはじつに33年ぶりの開催。31日まで全8ステージで争われる。

FDJスエズ・フチュロスコープのセシリーウトラップ・ルドビクが第3ステージで初優勝 ©A.S.O. Fabien Boukla 

大会名のFemmesは「女性」という意味のフランス語。1984年から1989年まで女子部門として「ツール・ド・フランスフェミナン」が男子集団に先行して走っていた時代がある。男子よりも短い日程、短い距離ながら同じコースを使って3時間ほど前を走った。

女子レースは男子のツール・ド・フランス最終日、7月24日に同じパリで開幕 ©A.S.O. Fabien Boukla
ウルスカ・ジガートのボーイフレンド、男子のトップ選手タデイ・ポガチャルが応援にやってきた ©A.S.O. Fabien Boukla 

ツール・ド・フランスファムは、開幕日こそ男子レースの最終日としてゴールするパリだが、全8ステージのレースコースは独自のものだ。

第2ステージで優勝し総合成績でマイヨジョーヌを獲得したマリアンヌ・フォス(ユンボ・ビスマ) ©A.S.O. Fabien Boukla 
世界チャンピオンのエリーザ・バルサモらが出走サインステージから出撃 ©A.S.O. Fabien Boukla 

パリのエッフェル塔前をスタートし、シャンゼリゼの周回コースで行われた第1ステージでは、スプリンターのロレーナ・ウィーブス(オランダ、DSM)が優勝。続く第2ステージでは平坦区間に強いユンボ・ビスマのマリアンヌ・フォス(オランダ)がゴール勝負を制してマイヨジョーヌを奪取。

ツール・ド・フランスファムはレースも熱いが、気候も暑い。スタート前に冷却ベストを着用する  ©A.S.O. Fabien Boukla

大ベテランのフォスは第6ステージまで首位をキープしているが、最後の2ステージはドイツ国境にも近いボージュ山脈へ。山岳スペシャリストの出番となり、総合成績は大きく変わるはずだ。 最終日は逆転優勝の可能性があるラ・シュペールプランシュ・デ・ベルフィーユにゴールする。近年の大会でも総合優勝に大きく関わってきたラ・プランシュデベルフィーユが「スーパー=シュペール」の形容詞をつけた新コースで登場する。

キャニオン・スラムのエース、カタリナ・ニーウィアドナ(ポーランド) ©A.S.O. Thomas Maheux