トヨタがジロ・デ・イタリアと契約延長…2023年から2025年まで

自動車メーカーのトヨタが自転車レースのジロ・デ・イタリア、そのeバイク部門のジロEと2023年から2025年までのパートナーシップ契約延長を発表した。

ジロ・デ・イタリアとパートナー契約を延長したトヨタ ©Fabrizio Corradetti/LaPresse

トヨタは、5月6日から28日まで行われる第106回ジロ・デ・イタリアに協賛。大会の投入するのは全電動化シリーズで、50台の新しいトヨタbZ4X、トヨタbZの初期モデルを含む50台以上の車両がレースに帯同する。

トヨタbZ4Xs ©Fabrizio Corradetti/LaPresse

ジロ・デ・イタリアを主催するRCSは2019年から開催レースでトヨタを使用している。

トヨタRAV4 ©Fabrizio Corradetti/LaPresse

●ジロ・デ・イタリアのホームページ

電動レースを本気で導入したジロ・デ・イタリアの思惑

E(エレクトロニック)を導入したスポーツが開催される時代になった。自転車ロードレース、ジロ・デ・イタリアでもeバイクを使った「ジロE」が併催されている。イタリアの大手電力会社エネルの子会社で、バッテリーや再生エネルギー発電などを手がけるエネルエックスが冠協賛。一方、人気のeバイク市場が思わぬ問題点を誘発。

出場選手はジロ・デ・イタリアと同じ舞台を体験できる ©LaPresse

eレースはエース以外は日替わり参戦もできるのが魅力

5月6日にハンガリーで開幕したジロ・デ・イタリアは、ロードレース界の一流プロが参加するレース。同国で3区間を行い、イタリアに移動してさらに18区間を走る。これに対して、eバイクを使ったジロEは、往年の名選手や一般愛好家が参加できるイベントで、主催者は同じ。ハンガリーの3区間を日程から外し、イタリア入りした第4ステージからジロEの競技を開始した。

電動パワーでジロ・デ・イタリアのコースに挑むジロEの参加者。下側チューブが太めだが、それ以外は電動アシスト自転車とは見抜くことができない ©LaPresse/Alessandro Garofalo

全18区間で、最終日はジロ・デ・イタリアと同じ29日だ。プロレースは1日200km前後を走るが、ジロEは各区間の最大距離が105kmと制限されている。それでもコースはジロ・デ・イタリアとほぼ同じ。プロ選手に先行して走り、表彰式で与えられるリーダージャージーのデザインも同じだ。

出場はチーム単位で、6人編成で各区間を走る。総合成績を争うキャプテン1人が決められ、残りの5選手は日替わりで交代してもいい。第2カテゴリーまでのプロチームに所属している選手は出場できないが、かつての世界チャンピオンやジロ・デ・イタリア歴代優勝者などが名を連ねる。それ以外は自転車愛好家で、電動パワーを借りながら憧れのイタリア一周レースに参加できるというのが魅力だ。

ジロEに使用されるのは、スポーツ仕様の電動アシスト自転車で、近年はeバイクと呼ばれる。ドロップハンドルをつけたロードタイプで、太めの下部チューブにモーターとバッテリーが内蔵されているので、見た目はあまり変わらない。ただし日本では道路交通法に定められた規格から逸脱するので輸入されてない。具体的には、日本規格では走行速度が24kmに達すると電動アシスト力がゼロになるが、欧州規格は時速25kmを超えてようやく次第にアシスト比率が落ちていく仕組み。

5月10日に開幕したジロE。右は元世界ランキング1位のダミアノ・クネゴ、右は乳がんを克服したトライアスロン選手のアレッサンドラ・フィオール ©LaPresse

eバイクのいいところは自分の体力以上に走れること。憧れのジロ・デ・イタリアに出場するのはこれまで世界のトッププロしかできなかったが、電動パワーによって夢が実現できる時代になった。日替わりでチーム編成を変えていいというルールも、全日程は休めない庶民が参加しやすくなるという配慮だ。

1区間の走行距離は半分ほどだが、勝負どころの上り坂はしっかりと設定されている。だから電動アシストはあるけれど、それなりの運動能力がなければゴールにたどり着けないだろう。

ステージレースでのチームプレーも演じることができる ©LaPresse

欧州のeバイク人気で世界的に供給滞り

欧州ではガソリンが1リットルあたり300円超。日常生活での移動や買い物の際、自動車をやめてeバイクに乗り換えている市民が多い。そのためeバイクが爆発的に売れ、世界随一の自転車生産地域である台湾は日本市場などに供給していた一般車の製造ラインを欧州向けeバイクに変更している。eバイクのほうが利益率が高いからだ。

ピナレロのeバイクで走るモスコンとeカーで追走するフィジケラ

需要はあるが、経営者は増産のための設備投資には消極的。中国政府からの将来的な圧力を懸念してのことだ。アルミ原産国2位ロシアの情勢もあって、原材料も不足。軽合金を多用する自転車パーツが製造できない苦境に陥っている。高騰する輸送コストも製品価格にはね返り、パーツメーカーのシマノや海外完成車ブランドの自転車も相次いで値上げ。日本では東日本震災以来、「ちょっと高くてもいい自転車に乗りたい」という自転車ブームが続くが、店舗にほしい商品が並ばない。欧州eバイク人気が日本の自転車市場に思わぬ影響を与えている。

トヨタの注目バッテリーEV、bZ4Xがジロ・デ・イタリアで先行デビュー

トヨタが第105回ジロ・デ・イタリアとそのeスポーツレース、ジロEのオフィシャルカーを引き続き務める。注目の新型バッテリーEV(電気自動車)bZ4Xが3月30日、2022年夏に欧州で発売されることが明らかになったが、それに先立つ5月6日開幕のジロ・デ・イタリアでデビューする。

ミラノにあるRCSメディアグループ本社にジロ・デ・イタリアで走るトヨタ車が集結 ©LaPresse

トヨタは、RCSスポルトが主催するジロ・デ・イタリアとジロEに50台以上の全電動化車両を提供することになった。

ゼロエミッションバッテリー電気自動車(BEV)の新型トヨタbZの最初のモデルである新型トヨタbZ4Xは、5月6日から29日まで行われる202ジロ・デ・イタリアで欧州デビューし、21ステージにわたって選手たちに随行する。

2022ティレーノ~アドリアティコでレースをサポートするトヨタ車 ©Fabio Ferrari – LaPresse

2代目トヨタ・ミライも、トヨタグループのビヨンド・ゼロ・ビジョンを体現するモデル。水蒸気のみを排出し、フィルターによって空気をきれいにすることさえできる水素燃料電池を搭載した電気自動車だ。

トヨタイタリアCEOのルイジ・クサエリ・ルカ(左) ©LaPresse

レース帯同する車両は、フルハイブリッドとプラグインハイブリッドのバージョンとRAV4、およびカローラハイブリッドツーリングスポーツ、高いエネルギー効率と非常に低い気候変動と汚染排出量と組み合わせることができる車が選択された。

2021年大会では、レースに同行したRAV4ハイブリッドとカローラハイブリッドツーリングスポーツが最高レベルのパフォーマンスを記録し、全ステージの50%以上となる時間をゼロエミッションモードで走行し、トヨタの電動化技術が環境保護と持続可能なモビリティに大きく貢献できることを実証した。

RCSメディアグループのウルバノ・カイロ社長 ©LaPresse

フィニッシュラインで選手を待っているのは新型トヨタアイゴXとなる。革新的なアーバンクロスオーバー車で、シティカーとしてユニークな提案と豊富な技術を併せ持つトヨタ車だ。

eバイクでジロ・デ・イタリアのコースを走るジロE

電動アシストロードバイクでジロ・デ・イタリアのコースを走るジロEの全容が発表された。大会は5月12日から31日まで。本当のジロ・デ・イタリアは5月9日にハンガリーのブダペストで開幕するが、ハンガリーで行われる3日間をのぞくイタリア国内区間で開催される。

©LaPresse/Jennifer Lorenzini

●2020ジロ・デ・イタリアのコースはこちら

ジロE

ジロEはジロ・デ・イタリアを主催するRCSスポルトが企画して2018年に始まった。2020年で3年目の開催となる。ピナレロ社製の電動アシストロードバイクを使用してレースをする。コースはジロ・デ・イタリアの各区間を短縮したスタイルで、基本的には同じゴール地点を目指す。

元世界チャンピオン、ジャンニ・ブーニョ
2019ジロEを視察したマリオ・チポッリーニ(左)とマッシミリアーノ・レッリ ©LaPresse/Jennifer Lorenzini

全18ステージ、うちタイムトライアル2回
総距離1431km
1区間の平均距離は79.5km
獲得標高は2万3900m
1区間の平均獲得標高は1328m

冠スポンサーはイタリアの電力会社エネルで、総合成績のリーダージャージはマルアビオーラ(紫色)。オフィシャルカーはトヨタ。男性用下着のインティミッシミウオモがマルアブル(青色)のスポンサー。公式旅行会社はナビガーレ。ネームドスポーツが栄養補助食品協賛。

2020年ジロEのコース図

●ジロEのfacebook

ジロ・デ・イタリアのeバイクレースがほぼ同日程で開催

eバイクと呼ばれる電動自転車を使ったジロ・デ・イタリアの「ジロE」が5月12日から6月1日まで開催される。2018年に続く2度目の開催だが、出場チームは5から10チーム超へ、4つのリーダージャージも設定されて本格化する。

2019年もジロ・デ・イタリアのeバイクレースが開催される ©LaPresse

ジロ・デ・イタリアは5月11日から6月2日まで全21ステージで開催されるが、ジロEは18ステージ。各ステージはゴールが同じで、競技距離は3分の2ほどで争われる。2026年冬季五輪誘致を目指すミラノ・コルチナもチームを結成し、五輪メダリストが出場する予定だ。

メインスポンサーはイタリアの電力会社「エネルX」。オフィシャルカーはトヨタ。栄養補助食品のネームドスポーツが協賛する。

ジロ・デ・イタリアのeバイクレース ©LaPresse

eバイクを使ったジロ・デ・イタリアが8日開幕…全18ステージで争う

eバイクと呼ばれる電動自転車を使ったジロ・デ・イタリアの「ジロE」が5月8日の第4ステージから開幕する。出場5チーム、1チームは2人編成で、全選手がピナレロのeバイク「ニトロ」を使用。ジロ・デ・イタリアで使用されるルートとほぼコースを走ってゴールを目指す。イタリアナショナルチームのダビデ・カッサーニ監督が開幕のプレゼンターを務める。

イタリアナショナルチームのダビデ・カッサーニ監督がジロEのコースをチェック © Marco Alpozzi – LaPresse

27日のジロ・デ・イタリア最終日まで全18ステージにわたって行われる「ジロE」。主催はもちろんジロ・デ・イタリアと同じRCS。各ステージの関係者ビレッジがオープンする午前8時にスタートするという興行レースで、本物のジロ・デ・イタリアの数時間前を走行する。イタリアの元体操選手のユリ・ケキなど五輪金メダリストが2人参加するなどで話題を集めている。

「ジロE」だけに、ジロ・デ・イタリアの公式パートナーを務める電力会社のエネルがメインスポンサー。ピナレロ、タグホイヤーなども本大会と合わせて協賛する。

ピナレロのeバイクで走るモスコンとeカーで追走するフィジケラ

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