萩原麻由子がスペインの新UCIチーム「エネイクエ」と契約

スペインのカスティーリャイレオン州を拠点として2019年に誕生するUCI公認の女子プロチーム「Eneicue(エネイクエ) Cycling Team」と萩原麻由子が1年間の選手契約を締結した。

萩原麻由子は新天地での復活にかける

2017、2018シーズンはコンディションの低下に苦しみ、思うような結果を出せない厳しいシーズンを送ってきたが、「絶対にあきらめない」という強い気持ちのもとでチャンスをつかみ、引き続きヨーロッパを拠点に活動することになった。

エネイクエは現在、萩原を含む10選手と契約済み。チーム詳細の公式発表が待たれるが、地元メディアでは大きな期待をもって報道されている。ツアー・オブ・ジャパン総合2連覇など日本で活躍したオスカル・プジョルの妹であるアンナ・プジョルも在籍する。

イタリアでの練習中に交通事故に遭って負傷した萩原は現在、春ごろの競技復帰に向けて、JISS(国立スポーツ科学センター)でリハビリを行っている。

萩原麻由子のコメント
こんにちは、萩原です。
大変長らくぶりですが、近況と来季の報告をさせてください。

この度スペインの新UCIチーム『Eneicue Cycling Team』と、1年契約を結ぶに至りました。過去2シーズン不調に苦しみ、低迷したリザルトと年齢でチーム探しは難航を極めました。それでも根気強くチームを探していたところ、追い討ちをかけるかのごとく、9月上旬にイタリアで練習中、交通事故に遭い、腰椎と手首を骨折、一時は全てをあきらめそうになりました。

しかしイタリアの現地家族(ステイ先のブロンジーニご一家)や友人たちの多大な協力のもとで、順調に入院、回復の日々を過していたところ、ありがたくもこのスペイン新チームのGMから彗星のごとくオファーをいただきました。

新天地での新チームとあり、未知のことだらけではありますが、欧州プロ初年に入団した『Wiggle Honda』も当時は新チームでしたし、私自身新しい環境に飛び込むことに不安はありません。一時は競技続行すら危ぶまれたことを考えると、この状況も理解した上で、自分を信じて契約を結んでくれたチームには心から感謝すると同時に、早く復帰して結果で示したいと思う毎日です。

お世話になったブロンジーニ家やイタリアの友人たちの助けなくしては困難を乗り越えられなかったという

今シーズンを過ごした『Alé Cipollini』では、言われた結果が出せず悔しい年となりましたが、イタリアンスタイルの選手やスタッフ、チームと一年間過ごし、一生の思い出がたくさんできました。また帰りたいと思える場所、家族が増えたイタリアの地にも感謝しています。改めて、1人ではなにごともなし得なかったと痛感するこのごろです。

現在は赤羽の国立スポーツ科学センターを中心に、地元群馬でもリハビリに専念する日々です。必ずまた強くなって帰って来るとここに約束します。今後もご声援をいただけましたら幸いと思います。

萩原麻由子
1986年10月16日生まれ、群馬県前橋市出身

■経歴
2005年 群馬県立伊勢崎女子高校卒業(自転車競技部所属)
2009年 鹿屋体育大学体育学部卒業(自転車競技部所属)
   株式会社あさひ入社(2012年退社)
2012年 ロンドン五輪 女子ロードレース 日本代表
2013年 Wiggle Honda Pro Teamと選手契約(〜2017年)
2018年 Alé Cipollini Teamと選手契約

■おもな戦歴
2006年 アジア競技大会 女子エリート 個人ロードレース優勝(日本人初)
2008〜2012、2014年 全日本選手権ロードタイムトライアル優勝
2010〜2012、2014、2015年 全日本選手権ロードレース優勝
2015年 Giro Rosa(イタリア)第6ステージ区間優勝(日本人初)
Tour de Bretagne(フランス)第3ステージ区間優勝
2016年 アジア選手権ロードタイムトライアル優勝

萩原麻由子が2018シーズン緒戦に…チームメートのクロエが優勝

アレ・チポッリーニに所属する萩原麻由子は1月27日、オーストラリアのジーロング近郊で開催された113kmのロードレース「カデルエバンス・グレートオーシャンロードレース」で2018シーズンの緒戦を迎えた。チームメートであるクロエ・ホースキング(オーストラリア)が優勝。サントス・ウィメンズ・ツアーダウンアンダーでの区間優勝に続く2勝目をマークした。萩原はトップから3分14秒差の50位でフィニッシュした。

2018シーズン初戦のカデルエバンス。集団内で走行する萩原麻由子 ©Kei TSUJI

前哨戦といえる25日のクリテリウムに引き続いて開催された本大会。萩原にとってはUCI(国際自転車競技連合)公認のレースとしては今季初戦となった。自身のパフォーマンスはまだ向上中だというが、チームメートの自国での大きな勝利、そして再び世界のトップレースでスタートを切れたことに大きな喜びを感じる1日となった。

チームメートと勝利の喜びを分かち合う萩原麻由子 ©Kei TSUJI

「今日はチームメイトが優勝し、素晴らしい日になったと同時に、チームメイトが序盤に落車し鎖骨骨折してしまうなど、いいことと悪いことが同時に起きた日でした」と萩原。
「レースは終始大きな動きもなく進みましたが、終盤にレースが動いたときに自分の脚がビッタリと止まり、そのまま遅れてしまいました。 練習で調子を上げてきましたが、レースで現実を見ることができました。現状をしっかりと見つめ、しかしレースに戻れたこと、無事に初戦を終えれたことをステップととらえ、着実に進んでいきたいと思っています」

今後のレーススケジュール予定は、1月30〜31日ウィメンズ・ヘラルドサンツアー(オーストラリア)、2月22〜25日セッティマーナ・チクリスタ・バレンシアーナ(スペイン)。

スタート前にステージで行われたチームプレゼンテーション ©Kei TSUJI

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萩原麻由子が1月11日にオーストラリアで開幕する4日間のステージレース、サントス・ウィメンズ・ツアーダウンアンダーに出場する。萩原は今季よりイタリアのアレ・チポッリーニに移籍したため新チームでのデビュー戦となる。

スペインでのチームキャンプに参加した萩原麻由子 (C) Alé Cipollini

2017年4月以降、伝染性単核球症による体調不良によりレースから遠ざかっていた萩原だが、レースに出場できるまでに回復。スペインでのチームキャンプや沖縄での自主キャンプを経て、1月9日に現地入り。チームと合流して開幕戦への準備を進めている。

サントス・ウィメンズ・ツアーダウンアンダーは第2ステージに山頂ゴール、第4ステージにクリテリウムが組み込まれるなど、4日間のレースはステージごとにタイプの異なるコース設定されている。真夏のオーストラリアは現在、連日40度を超す厳しい暑さに見舞われているが、地元オーストラリア出身のスプリンターで、再びチームメートとなったクロエ・ホースキングらとともに勝利をめざして戦っていく。

Alé Cipolliniのサントス・ウィメンズ・ツアーダウンアンダー出場メンバー (C) Alé Cipollini

「日本で調整を終え、9日にオーストラリア入りしてチームと合流しています。いよいよシーズン初戦の開幕ですが、リラックスした雰囲気の蛍光黄色ハイビスカス集団は終始穏やかに(?)過ごしています」と萩原。
「自身としては2017年4月ぶりとなるレース“復帰”ですが、改めてレースへ戻ってこられたことに感謝し、いつもどおりスタートを切ってきます。いいシーズンにできるよう初めの一歩、心して行ってきます!」


萩原麻由子 プロフィール
1986年10月16日生まれ、群馬県前橋市出身

■経歴
2005年 群馬県立伊勢崎女子高校卒業(自転車競技部所属)
2009年 鹿屋体育大学体育学部卒業(自転車競技部所属)
   株式会社あさひ入社(2012年退社)
2012年 ロンドン五輪 女子ロードレース 日本代表
2013年 Wiggle Honda Pro Teamと選手契約(〜2017年8月末日)
2018年 Alé Cipollini Teamと選手契約

■ おもな戦歴
2006年 アジア競技大会 女子エリート 個人ロードレース優勝(日本人初)
2008〜2012、2014年 全日本選手権ロードタイムトライアル優勝
2010〜2012、2014、2015年 全日本選手権ロードレース優勝
2015年 Giro Rosa(イタリア)第6ステージ区間優勝(日本人初)
Tour de Bretagne(フランス)第3ステージ区間優勝
2016年 アジア選手権ロードタイムトライアル優勝