パリ五輪全競技の観戦チケット先着販売…日本時間11月30日18時から

パリ五輪・パラリンピック全競技の観戦チケット40万枚が11月30日に発売される。これまでは抽選だったが、今回は先着順。販売サイトのオープンは同日の欧州中央時間午前10時で、日本時間は同日午後6時。

1904年から1966年までツール・ド・フランスの最終ゴール地点だったパルクデプランス自転車競技場はサッカースタジアムとなり、五輪でもサッカー競技が行われる ©Paris 2024

パリ2024公式サイトで販売される。今回の販売数は総数で40万枚。事前にアカウントを取得し、各競技の座席位置とその料金をチェックしておく。オープン時間から先着順に販売される。公式サイトはフランス語と英語のみだが、使用するブラウザの日本語翻訳などを使うと便利。

サンドニにあるスタッドフランスが開閉会式、陸上競技、ラグビー会場となる ©Paris 2024
マラソン、競歩、トライアスロン、マラソンスイミング、自転車ロードレースの会場となるイエナ橋 ©Paris 2024
アンバリッド旧廃兵院はアーチェリー会場 ©Paris 2024

パリ五輪の開会式はスタジアムではなくセーヌ川で

2024年の五輪開会式は大会の歴史に残るものとなるはずだ。史上初めて、もはや一つのスタジアム内に集まるものでなく、首都のど真ん中で行われる。選手たちは壮大な船団に乗りセーヌ河岸を通り、セーヌ河の象徴的な橋の下をくぐり抜けていく。

各国選手団が船に乗って行進する ©Paris 2024 / Florian Hulleu
2024パリ五輪の開会式マップ ©Paris 2024 / Florian Hulleu

そのためエリアごとに架設された観覧席のチケットが販売される。セーヌ川沿いに行けば無料で開会式の一部を見ることができるが、混雑状況は定かではない。

ベルサイユ宮殿では馬術と近代五種の馬術種目が行われる ©Paris 2024

●2024パリの公式チケット販売サイト

パリ五輪はワイドオープン、ボクも参加します…松岡修造

「東京五輪・パラリンピックは無観客で悔しかった。だから今度のパリに託します。ワイドオープンを掲げる五輪なので、もちろんボクも参加します」と、元テニスプレイヤーで国内アスリートの応援団長的な存在、松岡修造が意気込みを見せた。

「ワイドオープンを掲げる五輪なのでボクも参加します」と松岡修造

五輪開幕まで290日となった2023年10月11日、東京都のフランス大使公邸でParis2024の国内キックオフともなる記者発表会が行われ、ゲストとして登場した松岡が熱いコメントを語った。

「ゲームスワイドオープン」とはパリ2024オリンピック・パラリンピック大会組織委員会のトニー・エスタンゲ会長が今大会のキーワードとして掲げる言葉。

パリ五輪に向けて意欲を見せる、左から角田夏実、車椅子ラグビーの若山英史、松岡修造

「大会は二酸化炭素排出量を従来大会の半分に削減する、大会の仮設資材は100%リサイクルするなどを掲げ、その達成に向けて進んでいるが、「なるべく多くの人を巻き込むこと」というこれまでにない路線も打ち出す。エチエンヌ・トボワ大会組織委員会事務局長がコメントした。

エチエンヌ・トボワ大会組織委員会事務局長 ©Paris2024

レガシーとしてフランス国内の学校のみならず、会社で働く人たちにもスポーツを実践して健康的なライフスタイルを確立する幾多のプロジェクトを推進している。その言葉を敏感に察知した松岡が、冒頭の参加宣言につながった。

大会はさらに歴史的遺産とのコラボレーションもするフランス的なアイデアが満載している。廃兵院(アンバリッド)はアーチェリー会場に、グランパレはフェンシングとテコンドーが行われ、文化とスポーツの融合に成功した。

「空前のメディア露出を利用してフランスの新たなイメージを創出したい」とフランス観光開発機構のフレデリック・マゼンク駐日代表

「空前のメディア露出を利用してフランスの新たなイメージを創出したい。五輪期間中でも歴史遺産や美術館、美食やワイン、スポーツに代表される快適アクティビティなど魅力あふれる観光アイテムを強化します」とフランス観光開発機構のフレデリック・マゼンク駐日代表。

観光大国としてのアピールも忘れてはいない。

パリ五輪のマスコット、フリージュと柔道日本代表の角田夏実

アウェイでも負けずに金を…パリ五輪初陣を飾る柔道角田夏実が意欲

「国際大会の準決勝や決勝は常にフランス勢。地元の応援でいつもより強さを見せるのが怖い。長いようで短い期間しか残っていないけど、できる限りのことをして金メダルを取りたい」 。柔道48kg級で世界選手権3連覇中、アジア競技大会2連覇中、パリ五輪代表の角田夏実が決意を語った。

パリ五輪のマスコット、フリージュと柔道日本代表の角田夏実

日本の金メダル第1号となる可能性も高い

五輪開幕まで290日となった2023年10月11日、東京都のフランス大使公邸でParis2024の国内キックオフともなる記者発表会が行われ、すでに五輪代表に内定している柔道女子48kg級の角田がゲストとして招かれた。

パリ五輪に向けて意欲を見せる、左から角田夏実、車椅子ラグビーの若山英史、松岡修造

パリ五輪の開会式は2024年7月26日、競技日程はサッカーなど開会式前から行われるラグビーとサッカーを除いて27日から8月11日まで。開会式は史上初めてスタジアムではなく、パリ市内を流れるセーヌ川で開催される。

「最軽量のクラスは開会式の翌日、競技初日に試合がありますので軽量や最後の調整などで残念ながら開会式には出場できません」と角田。

フィリップ・セトン駐日フランス大使

ただし柔道競技は1日1階級の長い日程で行われるので、8月3日に最後の種目となる団体混成まで角田は選手村や競技会場に残ることになる。国際大会では3日ほどの強行スケジュールで戦いを余儀なくされるだけに、今回は初日に好成績を修めればパリの魅力を味わう心のゆとりも生じるかもしれない。

フランス大使公邸で2024パリ五輪のキックオフ

目指すは金メダル。そしてこれまでの国際大会での実績からもその最有力候補である。競技初日にメダルが確定する競技はいくつかあり、日中に行われるアウトドア競技などは早い時間に決まるだろうが、シャン・ド・マルスアリーナで同日午前10時から柔道女子48kg級が始まり、午後7時にはメダルが確定する。角田が日本の金メダル第1号になる可能性は高い。

パリ五輪のマスコット、フリージュ

「パリは五輪史上初の男女の格差をなくした大会。100%男女同数。選手だけでなく運営スタッフやボランティア、そしてマラソン一般参加枠も同様です。女子選手の活躍が際立つ五輪になるはずだ」とフィリップ・セトン駐日フランス大使も、この日顔を合わせた角田にエールを送った。

新城幸也がアジア選手権3位で日本男子ロードにパリ五輪1枠

第42回アジア選手権ロードレースがタイ・ラヨーンで開催され、6月13日のエリート男子で日本の新城幸也が3位になった。

優勝のブルセンスキー(中央)、左が2位ギディッチ、右が3位新城幸也 ©Miwa IIJIMA

156kmのほぼ平坦コ ースで争われたエリート男子ロード。レースは序盤からアタックと吸収が繰り返され、最終局面ではエフゲニー・ギディッチとグレブ・ブルセンスキー(ともにカザフスタン)と日本の新城幸也の三つ巴となった。

2対1と不利な状況に追い込まれた新城は、そのまま3位でフィニッシュ。追走集団から飛び出た小石祐馬が単独で4位フィニッシュした。山本大喜が14位、岡篤志が24位、留目夕陽が29位。

同大会では上位2カ国にパリオリンピック出場枠が与えられるが、カザフスタンに続いて日本の新城が入ったことで、2024年のパリオリンピック出場枠を日本が確保した。

2024パリ五輪の開会式や各競技チケットは4月20日までに登録

パリ五輪のオフィシャルチケットを購入するための事前登録が2023年4月20日に締め切られる。2024年7月26日に行われる開会式や各競技のチケットを購入したい人はまず登録する必要があって、当選者がチケットを購入できるようになる。

五輪選手団がセーヌ川を船に乗ってエッフェル塔を目指す ©Paris 2024 / Florian Hulleu

パリ五輪の開会式はスタジアムではなくセーヌ川で

2024年の開会式は大会の歴史に残るものとなるはずだ。史上初めて、もはや一つのスタジアム内に集まるものでなく、首都のど真ん中で行われる。選手たちは壮大な船団に乗りセーヌ河岸を通り、セーヌ河の象徴的な橋の下をくぐり抜けていく。

そのためエリアごとに架設された観覧席のチケットが販売される。セーヌ川沿いに行けば無料で開会式の一部を見ることができるが、混雑状況は定かではない。

各国選手団が船に乗って行進する ©Paris 2024 / Florian Hulleu

当選したら30枚まで購入できる

パリ五輪のチケットは第1弾として2022年末から2023年1月まで、複数の競技を組み合わせた観戦パッケージが販売されたが、今回の第2弾で当選した人はシングルチケットを最大30枚まで購入できる。

パリ五輪のチケットを購入するための4つのステップ

1 抽選に登録する

2 購入価格をチェックする

3 当選メールを受領したら48時間以内にアクセス

4 チケットを購入する

2024パリ五輪の開会式マップ ©Paris 2024 / Florian Hulleu

自転車ロード観覧席は24ユーロ(約3400円)

パリ2024の観戦チケットは、24ユーロから用意されている。男子陸上100m決勝など、一部競技の決勝のチケット料金は以下の通りとなっている。

  • ブレイキン、スケートボード、BMXフリースタイル決勝(会場:コンコルド広場)50〜160ユーロ
  • 陸上競技決勝(8月4日 男子100m、女子走高跳、男子ハンマー投げ/会場:スタッド・ド・フランス)125〜980ユーロ
  • アーチェリー決勝(会場:アンヴァリッド)50〜190ユーロ
  • ビーチバレー(8月9日、10日/会場:エッフェル塔スタジアム)100〜420ユーロ
  • 馬術競技決勝(会場:ヴェルサイユ宮殿)50〜420ユーロ
  • ハンドボール決勝(8月9日、10日/会場:スタッド・ピエール・モーロワ) 90〜320ユーロ
  • バスケットボール(8月10日、11日/会場:ベルシー・アリーナ)95〜980ユーロ
  • フェンシング決勝(会場:グラン・パレ) 90〜290ユーロ
  • 競泳決勝(会場:ラ・デファンス・アリーナ) 125〜980ユーロ
  • 柔道混合団体決勝(8月3日/会場:シャン・ド・マルス・アリーナ) 100〜380ユーロ
  • 開会式(7月26日)セーヌ河岸上部は無料、下部は90〜2,700ユーロ
  • 閉会式(8月11日)45〜1,600ユーロ

自転車競技の観覧席料金

種目期日料金(ユーロ)
ロード・個人タイムトライアル7月27日24(一部立ち席)
MTBクロスカントリー女子7月28日24(立ち席)
MTBクロスカントリー男子7月29日24(立ち席)
BMXフリースタイル予選7月30日120,90,50,24
BMXフリースタイル決勝7月31日160,120,80,50
BMXレース予選8月1日120,90,50,24
BMXレース決勝8月2日180,135,85,50
ロード男子8月3日24(立ち席)
ロード女子8月4日24(立ち席)
トラック1日目(決勝)8月5日380,275,195,100
トラック2日目(決勝)8月6日380,275,195,100
トラック3日目前半(予選)8月7日180,125,65,24
トラック3日目後半(決勝)8月7日380,275,195,100
トラック4日目(決勝)8月8日380,275,195,100
トラック5日目前半(予選)8月9日180,125,65,24
トラック5日目後半(決勝)8月9日380,275,195,100
トラック6日目(決勝)8月10日380,275,195,100
トラック7日目(決勝)8月11日380,275,195,100
1ユーロは145円。個人タイムトライアルはスタート地点が立ち席、ゴール地点が椅子席

自転車ロード競技は、個人タイムトライアルがアンバリッド(廃兵院)とフィニッシュとなるセーヌ川にかかるアレクサンドル三世橋に設置される観覧席で観覧できる。個人ロードレースでは、ゴールとなるセーヌ川にかかるイエナ橋・トロカデロに観覧席が設置される。どちらも24ユーロ(約3400円)と安価だが、アリーナで行われる競技と異なり、一部始終が目撃できるわけではない。

マラソン、競歩、トライアスロン、マラソンスイミング、自転車ロードレースの会場となるイエナ橋 ©Paris 2024

●パリ五輪のチケット登録ページ

2024ツール・ド・フランスはニースでフィナーレ。パリに最終ゴールしないわけは…

2024年に開催される第111回ツール・ド・フランスが大会史上初めてパリあるいはその近郊に最終ゴールせず、地中海沿岸のニースに到着することが2022年12月1日に発表された。しかも35年ぶりに最終ステージがタイムトライアルとなり、最終日の逆転劇もありうる設定となった。

パリ〜ニース最終日のプロムナード・デザングレ ©A.S.O. Fabien Boukla

ツール・ド・フランスのファイナルデスティネーションは常にパリだった

ツール・ド・フランスのフィナーレといえば首都パリのシャンゼリゼ大通り。ここを完全封鎖してサーキットとする一大スペクタクルなシーンだ。世界で最も美しいと言われるシャンゼリゼにツール・ド・フランスの選手たちが凱旋するようになったのは最近のことで、じつは1975年からだ。

2023ツール・ド・フランスの最終ゴールはニース ©Philippe_Viglietti

1903年の第1回大会はこのイベントに対する評価がまだ得られなかったことがあり、パリには入城できなかった。ポルトと呼ばれる城門の外に位置するビルダブレーにゴールするのが精いっぱいだったようだ。

最終日はニースのプロムナード・デザングレで個人タイムトライアルが行われる ©Atout France/Jean François Tripelon−Jarry

その翌年から1966年まではパリ16区のパルク・デ・プランスに。当初は自転車競技場だった施設だが、現在はサッカープロチームのPSGが拠点とするサッカースタジアムとなっている。そして1967年から1974年までは、ブローニュの森とはパリ中心地をはさんで反対にあるバンセンヌの森にゴールした。

1975年からようやくシャンゼリゼがゴールとなり、2013年の100回記念大会からは、それまでエトワール凱旋門前で折り返していたコースを変更し、凱旋門を大回りするコースに変更された。

2019年には、その年の4月に火災で大きな被害を受けたノートルダム大聖堂があるセーヌ川の中洲、シテ島を走った。パリの象徴であり、火災によって多くの市民が涙を流して悲しんだ大聖堂をツール・ド・フランスが見舞ったのである。

2019年に片側の尖塔が火災で崩壊したパリのノートルダム大聖堂も修復が進んだ

あの因縁の最終日大逆転ドラマから35年ぶりに封印が解かれる

2024年のツール・ド・フランスのコースはまだ発表されていないが、後述する理由で通常よりも1週間早い6月29日に開幕すると想定されている。一方、今回の発表で、最終日は7月21日となることが明らかになり、史上初めてニースにゴールする。最終日前日はニース近郊の山々を走る山岳ステージで、最終日がニースの目抜き通り、パリならシャンゼリゼに相当する「プロムナード・デザングレ」で個人タイムトライアルが行われる。

ニース凱旋の記者発表会が12月1日に行われ、ニースのクリスティアン・エストロージ市長らが登壇 ©Philippe Viglietti

ツール・ド・フランスが個人タイムトライアルを最終日に行うのは1989年以来35年ぶり。フランス革命200周年を祝う大会はまさかの最終日、50秒遅れの総合2位につけていた米国のグレッグ・レモンが当時はトライアスリートしか使用していなかったDHバーを駆使して激走。首位に立っていたフランスのローラン・フィニョンを総合成績で大逆転。史上最僅差となる8秒で総合優勝を遂げた。

その時のフランス人のショックははかり知れず、以来ツール・ド・フランスが最終日に個人タイムトライアルを設定することはなく、パリ・シャンゼリゼは総合優勝者の凱旋パレードという位置づけでフィナーレを迎え続けていた。

2024パリ五輪はほとんどの競技が市内で開催される ©Philippe Millereau / KMSP / DPPI

5日後にパリ五輪が開幕するのがニースになった原因

ツール・ド・フランスは常にパリに凱旋する。110年も続いたこの伝統を2024年に打ち消すのには明確なわけが存在する。ツール・ド・フランスが終了して5日後の7月26日金曜日にパリ五輪が開幕するからである。

パリ五輪開幕のわずか数日前となれば、すでにシャンゼリゼ通りを封鎖する物流上の問題があり、五輪組織委員会から要請によって運営面で条件付けられた。その解決策としてツール・ド・フランス主催者A.S.O.は話題性醸成とともにニース凱旋を英断したのである。

五輪の慣例で自転車男子ロードレースは競技初日の7月27日に開催予定。セーヌ川にかかるエッフェル塔横のエトナ橋が発着となり、シャンゼリゼもコースの一部になる。このあたりの注目度の重複も回避した。

一方のニースの思わく。紺碧に輝くコートダジュールの観光地は2020ツール・ド・フランスの開幕地として世界中にその魅力を発信するはずだった。しかし新型コロナウイルス感染拡大により異例の大会順延・秋開催。そしてスタートやゴールに観客を入れないという感染防止対策を余儀なくされた。今回は再び観光大国フランスの重要なリゾート拠点であることをアピールする狙いがある。

●ツール・ド・フランスの詳細ページ