東京五輪重複回避の2021ツール・ド・フランスはブルターニュ開幕

2021ツール・ド・フランスはフランスのブルターニュ半島にあるブレストで6月26日に開幕する。ツール・ド・フランス主催者のASOがレンヌのブルターニュ地域評議会で8月10日に記者発表した。

2021ツール・ド・フランスはブルターニュで開幕

2021年の開幕地は当初、デンマークのコペンハーゲンで計画されていたが、同市がこれを返上して、ツール・ド・フランス開幕ホストシティとしての座は2022年に延期された。

これまでの経緯を簡単に整理すると…

ツール・ド・フランスは2021年7月2日に大会史上初めてコペンハーゲンで開幕すると2019年2月に早々と発表していた。ところが新型コロナウイルス感染拡大により東京五輪が2021年に延期。五輪競技初日に開催される男子ロードとツール・ド・フランスの日程が重複するという問題が生じた。

2020年はツール・ド・フランス側が配慮して日程を例年よりも1週間前倒ししたが、2021年の開幕地コペンハーゲンは、同地で開催を予定していたサッカー欧州選手権が1年延期となり、ツール・ド・フランスが1週間前倒しとなると国際大会が重複するという問題が発生。2021年のツール・ド・フランス開催を返上せざるを得なくなった。

2018ツール・ド・フランスも前半戦でフィニステール県を訪問。ブルターニュだけに英国の影響を受けている地域だ

これを受けてASOが大会日程と開幕地を再考。2021年も東京五輪のために日程を1週間前倒しし、開幕地をフランス国内のブレストとした。

ブレストは「地の果て」という意味が込められるフィニステール県にある。同県をツール・ド・フランスが出発するのは1952年、1974年、2008年に続いて4回目。ブルターニュ地方での開幕は1964年のレンヌ、1985年のプリュムレックを加えて6回目。

開幕から4ステージがブルターニュ地方で行われるが、半島特有の丘陵地が多く、序盤から総合優勝争いに影響を与える難所が設定される。

ブルターニュ地方出身のベルナール・イノー

🇫🇷ツール・ド・フランス2020特集サイト
🇫🇷ツール・ド・フランス公式サイト

ファンアーベルマートとシェアーがAG2Rシトロエンに移籍

CCCのグレッグ・ファンアーベルマート(ベルギー)とミヒャエル・シェアー(スイス)が2021年はフランスのAG2Rラモンディアル(2021シーズンはAG2Rシトロエン)に移籍することが発表された。ともに3年契約。

グレッグ・ファンアーベルマート(中央)がAG2Rラモンディアルに移籍する ©Getty Images, Vincent Curutchet

リオ五輪の金メダリストであるファンアーベルマートは35歳、シェアーは33歳。AG2Rラモンディアルは2021年にこれまでのエース格だったロマン・バルデ(フランス)を失うことから、実力選手の獲得が求められていた。

チームが変わっても目標はぶれることはない

2018ツール・ド・フランス、BMCのグレッグ・ファンアーベルマート(ベルギー)が首位に立った © ASO

「新しい冒険を始めるのがうれしく、やる気がある。ジム・オショビッチ監督とともに10年を過ごし、新しい挑戦の機会をうかがっていた。移籍先のバンサン・ラブニュ監督が評価してくれたことがうれしい。素晴らしい結果を出すために全力を尽くしたい」とファンアーベルマート。

「クラシックを勝ち取るという目標を持って、オリバー・ナーセンと一緒に働きたい。考えただけでもエキサイティングだ。チームが変わろうとボクの目標は常に同じ。ツール・デ・フランドルとパリ・ルーベで勝つこと。そしてツール・ド・フランスのステージ勝利と、できるだけ長くマイヨジョーヌを着ることだ」

ミヒャエル・シェアー

●AG2Rラモンディアルのホームページ

ロマン・バルデがサンウェブ移籍…2021年から2年契約

驚異的なクライマーであるフランスのロマン・バルデが2021シーズンは、プロデビューから所属してきたフランスのAG2Rラモンディアルを離れ、ドイツのサンウェブに移籍することが発表された。2年契約。

2021年からサンウェブに移籍することが発表されたロマン・バルデ(左)

ツール・ド・フランスではステージ3勝、総合2位と3位、そして山岳王にもなったフランス期待の選手。さらにワンデーレースでの実績があり、2018世界選手権で銀メダルを獲得し、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュで3位、ストラーデビアンケで2位になっている。

さまざまな地形で戦う汎用性があるバルデ。2012年からAG2Rラモンディアルでプロになり、多くの経験を積んできた。29歳と円熟のときを迎え、初めて海外チームで走ることになった。

キャリアの中で移籍のタイミングとしては最適

「サンウェブとサインできてとてもうれしい。現在のチーム以外のオプションを検討する場合、機材やチーム運営に最新技術を取り入れて、機能しているチームを見つけることが非常に重要だと思った。スポーツについて明確なビジョンを持ち、MPCC(信頼ある自転車競技のための運動団体)のメンバーであることも必要だった」とバルデ。

ロマン・バルデ

「サンウェブでは、特定の目標や特定のレースをターゲットにせずにスタートするチャンスだ。まず基本に焦点を当て、アスリートとしてあらゆる分野を改善するために一生懸命に努力したい。その後に、レースのスケジュールと目標を見つけていく」

今回の移籍の機会はバルデのキャリアとして適切なタイミングだという。そして最後に、「AG2Rラモンディアルには本当に感謝しかない」と語った。

AG2Rラモンディアルは2021シーズンにAG2Rシトロエンと名称を変更させる予定だが、ずっとエースとして起用してきたバルデの穴を埋めるため、CCCからリオ五輪金メダルのグレッグ・ファンアーベルマート(ベルギー)とミヒャエル・シェアー(スイス)を3年契約で迎え入れることになった。

●サンウェブのホームページ

キナンのトマ・ルバが宇都宮ロードで独走勝利

日本国内最高峰のロードレースシリーズ戦「Jプロツアー」の宇都宮2連戦として、8月9日に宇都宮ロードレースが行われ、キナントマ・ルバが残り2kmからのアタックを成功させ独走勝利した。

宇都宮ロードを制したトマ・ルバ ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

前日の8日から宇都宮市内で行われてきたレース開催。先に行われた「宇都宮クリテリウム」では、山本大喜が逃げで魅せ、あわや逃げ切りかという快走。優勝は逃したが、スプリント賞を獲得し、大きな成果を残した。

続いて迎えた宇都宮ロードレースは、世界的にも有名なジャパンカップサイクルロードレースの主会場である宇都宮市森林公園を基点に、6.7kmのコースを11周回。計73.7kmで争われる。コースは周回前半と後半に長い上りがあり、その後は下りと平坦基調となるが、変化の多いコースとあって総合力が試される。登坂力はもとより、要所でのアタックや終盤にかけてのスピードなど、勝つために必要な要素は数多い。また、このところの暑さも選手たちにとっては大敵に。サバイバル化が予想され、生き残った中から勝負強さを発揮した選手に勝機がめぐってくる。

そんなタフなレースへKINAN Cycling Teamは、クリテリウム同様6選手を送り込む。トマに加え、Jプロツアー個人ランキング6位と好調の山本元喜を軸としながら、山本大、椿大志、中島康晴、新城雄大とあらゆる展開に対応できるメンバーをそろえた。

レース距離が短いこともあり、スタート直後からハイスピードで進むプロトン。周回を経るたびに力のある選手たちだけが集団に残るような状況が作り出されていく。この間、2周目完了時に設けられた1回目のスプリントポイントを山本大が1位通過。連日のスプリント賞に手をかけた。

速い展開によって変化が起きたのは4周目。約15人が先行する形になり、ここにKINAN勢は山本元、椿、トマが入る。しかし、ここは集団からもすかさずチェックがあり、完全に抜け出すまでには至らない。その後もプロトン全体が活発で、KINAN勢もたびたび前方をうかがう姿勢を見せる。

レース半ばになりメイン集団は35人程度にまで絞られる。そこから、この日2回目となる大きな動きがあったのは7周目。山本元、山本大、トマを含んだ16人の先頭グループが形成されると、有力チームの多くが選手を送り込んだこともあり勢いを増していく。後続との差はみるみる間に開いていった。

この先頭グループの中でも駆け引きがあり、たびたび数人単位のパックに割れる場面が見られたが、8周目の終盤に仕掛けたトマのアタックによって状況は一変。ここに石原悠希(Hincapie LEOMO Bellmare Racing Team)、小石祐馬(チームUKYO)が加わり、3人がそのまま逃げの態勢を固める。KINAN勢は山本元と山本大が第2グループに待機し、追撃態勢に備える。

ただ、終盤になるにつれてトマら3人の勢いが明白に。しばらくは30秒前後のタイム差だったのが、最終周回を迎える段階で約1分20秒に拡大。この日の勝者は3人の中から出ることが濃厚になった。

快調に先頭交代のローテーションを繰り返したトマら3人だったが、決定打は残り2kmでやってきた。上りを利用してトマがアタック。一緒に逃げ続けた2人を完全に置き去りにし、独走に持ち込む。こうなると、あとはフィニッシュへと急ぐだけ。最後は後ろに25秒差をつけて優勝を決めた。

トマの勝利から1分29秒。第2グループで待機となった山本大と山本元も上位争いのスプリントに加わってそれぞれ7位と8位。この結果、トマの優勝、山本大のポイント賞に加えて、今節限定で設けられたチームポイント賞も獲得。トップ10に3人を送り込み、個人・チームそれぞれでタイトルを獲得した。

宇都宮で連日チーム力を発揮し、最高の結果につなげたKINAN Cycling Team。7月からのレースシーズン再開以降、好調な戦いぶりを続けており、今後も勢いのまま進んでいく。次の公式戦は、8月22・23日の群馬ロードレース8月大会。下部カテゴリーのE1クラス(Jプロツアー直下のエリート最上位クラス)との交流戦も兼ねており、アマチュア実力者たちの挑戦を受けつつ、プロチームとしての意地を見せる絶好の機会となる。

宇都宮ロードレース(73.7km)結果
1 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 1時間49分9秒
2 石原悠希(Hincapie LEOMO Bellmare Racing Team) +25秒
3 小石祐馬(チームUKYO) +26秒
4 西村大輝(宇都宮ブリッツェン) +1分26秒
5 横塚浩平(チームUKYO) +1分29秒
6 伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム) 
7 山本大喜(KINAN Cycling Team) 
8 山本元喜(KINAN Cycling Team) 
20 中島康晴(KINAN Cycling Team) +3分13秒
30 新城雄大(KINAN Cycling Team) +3分17秒
32 椿大志(KINAN Cycling Team) +3分20秒

中間スプリント賞(第2周回)
山本大喜(KINAN Cycling Team)

チームポイント賞
KINAN Cycling Team

トマ・ルバ

トマ・ルバのコメント
「残り2kmでのアタックは正直“イチかバチか”だった。残っていた力をすべて注ぎ込むつもりで、独走になってからも全力で踏み続けた。このレースで勝つための実質唯一のチャンスだったと思う。
レースがない日々が続いて、もちろん勝つことに飢えていたよ(笑)。国際UCIレースが開催できない状況で、いまはJプロツアーに集中しないといけない。開幕以降たびたび上位争いに加わることができたが、今日は優勝する絶好のチャンスだった。それを生かすことができて本当にうれしい」

●キナンのホームページ

ファンアールトがアラフィリップ撃破…ミラノ〜サンレモ

第111回ミラノ〜サンレモが8月8日にイタリアで開催され、ユンボ・ビズマのワウト・ファンアールト(ベルギー)がドゥークニンク・クイックステップのジュリアン・アラフィリップ(フランス)を制して、モニュメントと呼ばれる伝統レースで初優勝した。

ワウト・ファンアールト(右)がジュリアン・アラフィリップを制した ©Gian Mattia D’Alberto – LaPress

「春を告げるレース」として親しまれる大会は新型コロナウイルス感染拡大により延期されていた。距離305kmで争われた戦いはゴール手前にあるポッジオの丘陵で抜け出したアラフィリップをファンアールトが追いかけ、最後のゴールスプリントでバンアールトが勝った。

大集団は2秒遅れでゴールし、サンウェブのマイケル・マシューズ(オーストラリア)が先頭で3位になった。

ベルギー勢の優勝は21回目。1999年のアンドレイ・チミル以来となり、21世紀になって初めて。

いつもの春ではなく8月に開催されたミラノ〜サンレモ ©LaPresse – Fabio Ferrari

「ポッジオの上りで前を追ったときは本当に大変だった。でも後ろからだれもついてきていなかったし、ゴール前の平たん路になる前の下りでアラフィリップに追いつけたのが勝因だったと思う」とファンアールト。

第111回ミラノ〜サンレモ ©LaPresse – Fabio Ferrari
下り坂を飛ばすジュリアン・アラフィリップ ©LaPresse – Fabio Ferrari
ワウト・ファンアールトが逃げるアラフィリップを追う ©LaPresse – Fabio Ferrari
ワウト・ファンアールト(左)とジュリアン・アラフィリップの一騎打ち ©Getty Images/LaPresse

「アラフィリップも限界なんだと信じて最後のスプリントに挑んだ。ボクはベルギー人なのでツール・デ・フランドルやパリ〜ルーベに勝つことが最大の目標だけど、初めてのモニュメント勝利はキャリアの中で忘れられない記憶になる」

優勝のワウト・ファンアールト(右)と2位ジュリアン・アラフィリップ ©Gian Mattia D’Alberto – LaPresse
距離305kmを走るミラノ〜サンレモ ©LaPresse – Fabio Ferrari

●ミラノ〜サンレモのホームページ

汗だくで出社して嫌われない…自転車通勤役立ちアイテム

国土交通省が「自転車通勤推進企業」を認定するプロジェクトを開始するなど、自転車を通勤に使うことが推奨されている。ただし夏場に汗だくで出社したら間違いなく嫌われる。そこで快適な通勤ライドをサポートしてくれるクールな商品を紹介。パーツやアクセサリーなどを通販するワールドサイクルの岩田康裕さんが選んでくれた。

国土交通省も自転車通勤を全面的に推奨

企業活動における自転車通勤や業務利用を拡大するため、「自転車通勤推進企業」宣言プロジェクトを国土交通省が創設した。自転車通勤を積極的に推進する会社の取り組みを広く発信することが目的のひとつで、「密」にならない通勤手段としても注目されている。

このプロジェクトは自転車通勤を導入する企業・団体を自転車活用推進本部長(国土交通大臣)が認定し、自転車通勤のメリットを多くの人に知ってもらおうという取り組み。ひとつの会社だけでなく、事業所単位でも申請可能だ。内容は、認定要件を満たす企業・団体を「宣言企業」として発表し、その中でも特に優れた企業・団体を「優良企業」として認定する。

当初は5月に初回の「宣言企業」認定を行い、企業名を自転車活用推進官民連携協議会ホームページで紹介する計画だったが、新型コロナウイルス感染症の拡大により認定時期を延期。今年度末には初回の「優良企業」を認定し、本部長による表彰を行いたいという。宣言企業は随時募集、優良企業は毎年1回認定していく計画のようだ。

ポイントは汗対策とストレスフリーなアイテム

休日サイクリングとは異なり、仕事をしに行くために自転車をこぐのだから、会社到着後に汗だくになったり疲れてしまうのは意味がない。そのため吸汗速乾性のある下着、お尻の痛くならないパッド付きパンツなどが便利。氷を入れて冷やした水を飲むとリフレッシュするので、注意力が散漫にならず安全走行をサポートしてくれる。


バックパックパッド

R250のバックパックパッド。愛用しているリュックに装着すると背中のムレを軽減してくれる。1711円。以下価格はすべて税込み、ワールドサイクルで扱われている通販商品。

パッド付きインナーパンツ

カペルミュールのメッシュインナーパンツ・レギュラーパッド付き。通勤ズボンやスカートの中に着用。吸汗速乾のメッシュ素材を採用し、ムレを軽減。写真の女性用は6270円、男性用は5280円。

保冷ボトル

サーモスの真空断熱ケータイマグ(保冷・保温=3762円)と真空断熱ストローボトル(保冷のみ=2772円)。氷を入れた冷たい水を途中で飲むと気分が落ち着く。

フルフィンガーグローブ

レリックのアルカイド・フルフィンガーグローブ。指先だけが日焼けするのを防ぐUVカット素材。タッチパネル対応。5390円。

室内スタンド

ミノウラのウッドスタンド。車輪差し込みタイプのオシャレなスタンド。オフィスに自転車を持ち込んでも迷惑をかけない配慮として。5643円。

冷感インナー

フリーズテック。生地裏の特殊な冷感プリントが汗を吸収すると、その吸熱特性により繊維の温度が下がり涼しさを感じることができる。写真の長袖シャツ(8580円)のほか半袖(5720円)やアームカバー(4180円)も。

ペダル兼用ロック

エクスペドのペダル。ペダル自体がカギとなっているため、カギを忘れても安心。8228円。

マスク代わりのネックゲイター

阪神タイガースのネックゲイター(2530円)。コンビニに立ち寄るときはマスク代わりになる。人気キャラ「柴田さん」柄も同価格。

●ワールドサイクルのホームページ