雨でも快適にサイクリングするにはポイントが3つある

通勤電車の「密」を回避できる自転車通勤が注目されているが、さすがに梅雨時は厳しい。ところが専用レインウエアを用意すれば、快適なだけでなく安全性も高まる。週末サイクリングやトレーニングも同様で、雨さえ楽しく感じてしまうほどだ。今回は自転車通勤やトレーニングで使える最新レインウエアをチェック。

パールイズミのビジョンウィンドブレーカーフィット。1万7600円(税込み)

外からははねつけたいが、内側のムレは放出したい

外からの雨ははねつけたいが、ペダルを踏むことで身体からにじみ出る汗はさっさと排出したい。自転車乗りってワガママなものだ。だから各社は知恵を絞って自転車用レインウエアを開発する。一番重要なのは使用する素材の機能性だ。

雨水を防ぐ防水性は耐水圧という数値でその性能が判断できる。数字が大きいほど防水性が高く、耐水圧2万mmなら嵐の中でも大丈夫。通勤やサイクリングは途中で夕立に遭うこともあるので、高い数値の耐水圧を備えた素材を選びたい。

一方、雨粒の浸入を防ぐと同時に、汗や熱を外に逃がしてムレにくくする機能が透湿性。透湿度は生地1平方mあたり24時間でどれだけの水分を逃がすことができたかが単位。2万g以上の生地が自転車にはいいとされる。

ペダルを踏むという運動がともなうサイクリングは、この耐水圧と透水性を高いレベルで両立する素材がいい。代表的な生地がゴアテックスだ。これを使った商品なら間違いないが、価格はそれなりに高い。だから他社素材でも、耐水圧と透水性をチェックして同等の性能を備えた商品を見つけ出すのも面白い。

また、レインウエアは不意の雨のために常に携行するタイプのものなので、軽さも重要。さらに後輪が巻き上げる路面の泥水を防御するために、ジャージーのお尻部分が長いデザインも必要。ムレを排出させる細部の仕様や、ペダルがこぎやすい伸縮素材を使ったモデルなどが快適だ。

一般のレインウエアは風圧でカサカサする素材があって耳ざわり。自転車専用ならこの難点が少ないので、快適さは高まる。雨が降ったら自転車は乗らないという人は不意の雨対策として軽量のウインドブレーカーを携行するのもいい。

パールイズミのレインオーバーパンツ。1万4080円(税込み)

雨中走行を快適に走る3つのポイント

「雨の走行は、しっかり装備が整っていて、気温が低くなければ意外と楽しめますよね」と、自転車ウエアの国内大手「パールイズミ」のマーケティング担当で、元トライアスリートの大西勇輝さん。大西さんによると雨中走行時のポイントは3つあるという。

夏場のレインウエア着用は熱がこもってしまうこともあるので、体幹部などはしっかり防水しながらも、雨水が当たらない背中の通気性を確保したり、濡れてもあまり気にならない脚まで完全に覆ってしまわないようにする。これが熱中症対策のひけつだ。

また、レインウエアを着用して走った後はしっかり水気を処理して風通しのいい場所で完全に乾かすこと。水滴がついたまま畳んでしまったりするのは劣化やカビの原因になるからだ。

そして最後は安全面への配慮。できるだけ平たんな道を選び、いつもより余裕のあるペースと運動負荷で走ること。


多少の雨なら携帯性のいいウインドブレーカーで

パールイズミのビジョンウィンドブレーカーフィット。細身のシルエットが特徴。レインウエアではないが、ポケットに携行しておけば多少の雨なら対応できる。

パンツの上にはくレインパンツ

パールイズミのレインオーバーパンツ。通常のサイクリングパンツの上に着用する。水と風をシャットアウトし、ムレも少ない。ポケットに携行できるアイテム。
●パールイズミのホームページ


新規参入のアステリズモにも注目

アステリズモのレインコミューターパンツ。2万2000円(税込み)

アステリズモのレインコミューターパンツ。STEM DESIGNぺダリングパンツのパターンを継承した、ペダリングを重視した立体パターンで雨天時のライドを快適にする。走行時にヒザが曲がり、腿が上がっても窮屈にならずにペダルを踏むことができる。
●アステリズモのホームページ


やっぱりモンベルのゴアテックスが安心

モンベルのサイクルドライシェル(上=2万7500円)とサイクルレインパンツ(下=2万900円=どちらも税込み)

ゴアテックスを使用したモンベルのサイクルドライシェルとサイクルレインパンツ。悪天候時のサイクリングも快適になる。
●モンベルのホームページ


ワークマンのレインウエアでサイクリングはどこまで快適になる?

ワークマンの透湿レインスーツストレッチ。一般用だが、背中の生地が長く車輪の水ハネをガードする。上下で4900円

新型コロナウイルス感染拡大により多くのアパレルブランドが苦境に立たされている中でひとり勝ちなのが作業服を取り扱っているワークマン。中国にある縫製会社の工場が閑散期となるタイミングで大量発注することで低価格を実現した商品で定評になった。そしてそのデザインも機能性も悪くない。

なかでも、ファッショナブルなデザインで作業服のワクを越えたFieldCoreがスポーツにも使えると話題になっている。高機能・高品質・カラフルなデザインを取り入れ、アウトドアブランドの定価の3分の1を目指して開発された。

ワークマンの数あるレインウエアの中からFieldCoreシリーズの「透湿レインスーツストレッチ」を選んでみた。防水性・透湿性・伸縮性を兼ね備えた全天候型アウトドアウエアだ。じつはワークマン、サイクリングウエアも販売しているのだが、このレインウエアもサイクリング時の使用を考慮して、一般用だが背中の生地が長く車輪の水ハネをガードするデザインにしている。

今回はこれを雨中サイクリングに使ってみた。

着心地はまずまずだ。ストレッチ素材を使用し、体にフィットする仕様になっているので、 他の製品より若干小さく感じることがあるが、男女兼用ながら5サイズが用意されるので試着してみれば解決する。FIT STYLE(細身シルエット)となっているので、時速20km以上の走行時でも風でバタつきにくく、そのためスピード低下も回避できる。パンツの裾はボタンで調整可能。チェーンに裾が巻き込まれにくくなっている。

カジュアルなデザインなので普段着のような感覚で着られるし、雨の日のアウトドアやスポーツ観戦など1枚持っているだけでとても便利。裏地がないタイプなので半袖や短パンだと肌にまとわりつくが、アンダーウエアを併用することで不快な要因は排除できる。雨は確実にシャットアウトできるので、頭部、グローブとシューズの雨対策を取れば、雨も快適に感じることは確かだ。

●透湿レインスーツストレッチ
素材/ポリエステル100%(TPUラミネート)
耐水圧/1万mm
透湿度/5000g/m2/24h
収納袋/縦25cm×直径13cm

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