ジロ・デ・イタリア美化計画…2017年はゴミ8万4000トン回収・リサイクル9割

「ジロ・デ・イタリア ライドグリーン」プロジェクトが2018年の第101回大会も継続的に行われる。巨大なスポーツイベントから排出されるゴミを回収し、リサイクルするという取り組みだ。2017年大会では8万4877トンのゴミを回収して、その89%をリサイクルした実績がある。

© LaPresse – Fabio Ferrari

ジロ・デ・イタリアはスポーツイベントであるだけでなく、大会が持つバリューを世界中に発信するコミュニケーションの重要な手段でもある。主催者のRCSスポルトは過去2年の「ライドグリーン」プロジェクトを継続し、社会の基盤づくりに貢献していきたいと表明した。

世界最大の自転車レース、ツール・ド・フランスをはじめとしたレースの沿道では大会関係者や観客が排出するゴミの処理が大問題となる。もともと日本人のように「ゴミはゴミ箱に捨てたり、家に持ち帰る」という意識が希薄で、テレビ中継では映し出されないがレースが終わった沿道は投げ捨てられたゴミが散乱している。

地球環境に優しいクリーンな乗り物を使ったスポーツで、この状況は改善すべき問題であると、近年になってようやく議論され、大会主催者も対策を講じ始めた。選手が補給食の包み紙を捨てていいところを指定したり、リーダージャージのスソにゴミを入れる小さなポケットをつけたりしている。

ジロ・デ・イタリア主催者も2年前から環境保護を目的として「ライドグリーン」を提唱。イメージアップを図ってプロジェクトを推進するようになった。

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キナン勢は後半勝負に賭けるも終盤の上りで遅れ…ツール・ド・とちぎ第2ステージ

ツール・ド・とちぎ第2ステージが3月25日、栃木県南部の小山市から観光地として有名な日光市まで距離105kmのロードレースとして行われ、キナンサイクリングの5選手が参加した。コース前半は平坦区間が続き、後半は3級山岳を含むアップダウンがある。

ツール・ド・とちぎ第2ステージを走るキナン勢 ©︎ KINAN Cycling Team / Satoru KATO

初日のタイムトライアルの差を挽回すべく、リアルスタート直後から各チームがアタック合戦を繰り広げる。しかしどれも決定的な動きにならないまま、ハイスピードでレースは進行する。後半に入り、コースにアップダウンが出始めてくると、シマノレーシングの湊諒、マトリックスパワータグの安原大貴、日本大の小嶋健太の3人の逃げが容認される。ここから集団はリーダージャージのマイケル・ポッターを擁するオーストライランサイクリングアカデミー・ライド・サンシャインコーストがコントロールを開始し、逃げ集団との差を1分に維持する。

86km地点の3級山岳への登り、逃げる3人との差は一気に詰まり、下りで全てを吸収。この動きで個人総合上位2人を含む9人が先行して逃げ切り、最後はスプリントを制したポッター選手が第1ステージに続き優勝した。キナンチームは、後半勝負にかけてメイン集団の中でレースを進めるも、3級山岳で先行した先頭集団に誰も送り込めず、41秒遅れの第2集団でゴールした中島康晴の21位が最高位に終わった。

最終日は栃木県北部の那須町をスタートし、中部の真岡市にゴールする147kmのロードレース。険しい山岳はないものの、アップダウンが繰り返されるコースで、途中2カ所の3級山岳が含まれるコースだ。チームとしての最終日にかける士気は高く、緊張感を保って第3ステージに挑むこととなる。

ツール・ド・とちぎ第2ステージ結果(105km)
1 マイケル・ポッター(オーストラリア、オーストラリアンサイクリングアカデミー・ライド・サンシャインコースト) 2時間21分27秒
2 レイモンド・クレダー(チームUKYO) +0秒
3 鈴木譲(宇都宮ブリッツェン) 
21 中島康晴(KINAN Cycling Team) +41秒
46 新城雄大(KINAN Cycling Team) +2分14秒
48 雨乞竜己(KINAN Cycling Team)
55 塚本一樹(KINAN Cycling Team) +2分54秒
81 椿大志(KINAN Cycling Team) +4分47秒

個人総合順位
1 マイケル・ポッター(オーストラリア、オーストラリアンサイクリングアカデミー・ライド・サンシャインコースト) 2時間30分10秒
2 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) +22秒
3 レイモンド・クレダー(チームUKYO) +24秒
22 中島康晴(KINAN Cycling Team) +1分38秒
49 新城雄大(KINAN Cycling Team) +3分21秒
50 雨乞竜己(KINAN Cycling Team) +3分29秒
71 塚本一樹(KINAN Cycling Team) +4分39秒
77 椿大志(KINAN Cycling Team) +5分55秒

椿大志

椿大志
序盤1時間半くらいのアタック合戦は雄大と連携しながら、読みづらい展開をうまく立ち回れたと思う。肝心のKOMで雨乞をサポートできる位置で登らなければと粘ったが、厳しかった。最低でも集団復帰できるところでクリアしなければならなかった。ただ、入口まではみんなでまとまれたのはよかった。明日の最終日はトップコンディションとはいかないまでも、今の最善を尽くしてチームに貢献したい。

塚本一樹

塚本一樹
平坦の区間では、中盤から集団内を移動する感覚をつかめた気がするので、明日のステージではチームの勝利のために積極的に動きたい。今日も学ぶことが多く、良い経験になった。とても楽しむことができたステージだったが、チームのために動けなかったことが悔しい。いろいろあるが、明日もがんばっていきたい。

雨乞竜己

雨乞竜己
KOMでの下からのペースアップには耐えることができたが、その後の細い下り区間で雄大と一緒に中切れにあって、その後は挽回できずにゴールを迎えてしまって悔しい。もうあと5番手前を走っていれば、中切れで遅れずに済んだだけに状況判断ミスが悔やまれるが、上りきった時にあのポジションにならないためにも、あらためてもう1ランク上のベースアップを目指さなければならない。明日は今日のようなミスをなくして集団に残って必ずスプリントしたい。

中島康晴

中島康晴
最初からアタック合戦がガンガン激しく始まり、それを椿と雄大が要所要所で反応してくれて、しっかりチェックしてくれたのでチームとしてとてもありがたかった。チームオーダーで決めていた上り前の位置取りも成功して15番手で上り始めたが、宇都宮ブリッツェンのペースアップになす術がなかった。個人としてもチームとしても不完全燃焼のままで終わりたくないし、悪いイメージを払しょくするためにも、明日はチームみんなで雨乞のステージ優勝をねらう。

新城雄大

新城雄大
前日のミーティングでアタックが激しくなるのは予想していて、実際その通りになった。序盤のピリピリとした集団の動きの中、決まってしまいそうなメンバーが行った逃げにチェックすることに専念して、チームオーダーをこなすことができた。集団が落ち着いてからは雨乞さんの近くにいてサポートしながらKOMに向けて前で固まっていけたが、上りでポジションを下げてしまったことが悔やまれる。昨日、今日の悪い流れを断ち切って、チームとしても個人としても明日こそ見せ場を作りたい。

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ルバが一時バーチャルリーダーとなる攻めの走り…ツール・ド・ランカウイ第7ステージ

マレーシアで開催されているアジア最高峰のステージレース、ツール・ド・ランカウイは3月24日、第7ステージが行われた。今大会最長の222.4kmのレースでキナンサイクリングが攻めのレースを展開。トマ・ルバが一時バーチャルリーダーとなったほか、サルバドール・グアルディオラもレース中盤から先頭集団に入ってルバをサポート。他選手の逃げ切りが決まってしまい、ルバの個人総合は9位に下がったが、アグレッシブな走りがレース全体を活性化させるきっかけとなった。

©︎ KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

名峰キャメロンハイランドを上った第5ステージ、今大会最短の108.5kmで争われた第6ステージに続くは、この大会で最も長い200km超えのロングステージ。それにふさわしく、序盤から細かなアップダウンが連続し、サバイバルが予想されるコースレイアウトが用意された。カテゴリー山岳は4級のみながら、中盤までに7カ所を上る。その後は、フィニッシュまで約110kmの平坦基調を走るが、マレーシア特有の暑さやここまで6ステージをこなしてきた消耗度合いによっては、展開に大きな変化があったも不思議ではない。

キナンチームは、ここまでルバが個人総合6位につけ、マルコス・ガルシアが同12位と続く。前日の第6ステージは出走5人全員が次々と逃げ狙いのアタックを繰り出したが、厳しいチェックもあり先行するまでには至らず。それでも、残る2日間も引き続き攻撃的な姿勢を緩めず、チャンスをたぐり寄せるべくスタートラインに並ぶ。

レースはまず山本元喜と中西健児の2人が積極的に前方をうかがう。繰り返し訪れる山岳での攻撃ではグアルディオラも加わり、大人数での逃げグループ形成を狙う。プロトン全体での思惑が交錯し、しばらくは出入りの激しい状況が続いた。

均衡が破られたのはスタートから80km過ぎ。グアルディオラを含む大人数の逃げが形作られると、ここに次、また次と力のある選手たちが加わり、最大で36人もの先頭グループとなる。やがて人数が絞られていくなか、100km地点を過ぎたところで今度はルバがメイン集団からアタック。先頭グループへの合流に成功したことで、前方で待つ格好となったグアルディオラとの数的有利な形勢とした。

先を急ぐルバとグアルディオラたちのグループに対し、個人総合上位陣は後方の集団に位置。2分以上のリードを得たことで、総合トップから1分8秒でスタートしたルバがバーチャル総合リーダーに立った。

だが、残り100kmを切ったところから総合上位陣が含まれる追走グループが生まれると、徐々に先頭とのタイム差を縮めていく。追う側と逃げる側双方の気迫がぶつかる争いは、残り約30kmを迎えたところで、追い上げた総合上位陣の合流によってふりだしに戻った。

この直後に10人がアタックし抜け出すと、ルバとグアルディオラは他の総合上位陣とともに追いかける形に。しかし、タイム差は広がる一方。結局、この10人の逃げ切りが決まり、ルバとグアルディオラはトップから1分28秒差のメイン集団内でフィニッシュを迎えた。

逃げ切ったメンバーの中に、総合上位に肉薄していた選手が数人含まれていたことから、このステージを終えてルバの個人総合は9位に下がった。また、同12位でスタートしたガルシアが胃腸のトラブルで途中リタイア。3位につけていたチーム総合も9位となり、総合各賞の観点からは厳しい1日となった。

かたや、繰り返しやってくるアップダウンや気温40度近い暑さの中でのレースにあって、キナン勢の動きがサバイバルな展開につながった部分も見逃すことはできない。世界の名だたるチームが出場するハイレベルな大会で、攻撃的姿勢を見せることができた点では大きな収穫ともいえそうだ。

アジアが世界に誇るステージレースは翌25日、いよいよ2018年大会の最終日を迎える。最後を飾るべく、マレーシアの首都クアラルンプールを目指して走る。距離は141.1kmで、スプリントポイントと4級山岳がそれぞれ3カ所ずつ控える。クアラルンプール市内に入ってからは、一度フィニッシュラインエリアを通過したのち、市街地を一周回したのちフィナーレ。この周回コースは山岳ポイントこそつかないものの、最大勾配14.2%を筆頭に10%前後の登坂が繰り返し登場。さらには、距離こそ短いものの驚異の勾配39.3%の下りも選手を待ち受ける。ステージ、総合ともに最後の最後まで勝負の行方は分からない、ドラマを生み出すルートが整えられた。

キナンはルバ、グアルディオラのほか、山本と中西も最終の第8ステージに駒を進めている。この大会を通じて続く強気のスタンスを最後まで貫く構えだ。

ツール・ド・ランカウイ第7ステージ結果(222.4km)
1 マヌエル・ベレッティ(イタリア、アンドローニジョカットリ・シデルメク) 5時間8分23秒
2 ユーゲルト・ジューパ(アルバニア、ウィリエールトリエスティーナ・セッレイタリア) +0秒
3 ルスラン・トルウバイエフ(カザフスタン、アスタナプロチーム)
4 ディラン・ペイジ(スイス、チームサプラサイクリング)
5 ジェイコ・フェンター(南アフリカ、ディメンションデータ)
6 パオロ・シミョン(イタリア、バルディアーニ・CSF)
22 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +1分28秒
38 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team)
51 山本元喜(KINAN Cycling Team) +14分50秒
104 中西健児(KINAN Cycling Team) +20分12秒
DNF マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team)

個人総合時間
1 アルテム・オヴェチキン(ロシア、トレンガヌサイクリングチーム) 28時間56分20秒
2 ルカシュ・オウシャン(ポーランド、CCCスプランディ・ポルコヴィチェ) +28秒
3 ベンジャミン・ディボール(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) +32秒
4 ジュゼッペ・フォンツィ(イタリア、ウィリエールトリエスティーナ・セッレイタリア) +57秒
5 ハリソン・スウィーニー(オーストラリア、ミッチェルトン・バイクエクスチェンジ) +59秒
6 アマヌエル・ゲブレイグザブハイアー(エリトリア、ディメンションデータ) +1分0秒
9 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +1分8秒
26 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) +2分30秒
103 山本元喜(KINAN Cycling Team) +58分7秒
104 中西健児(KINAN Cycling Team) +1時間4分34秒

ベストアジアンライダー
1 イェフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、アスタナプロチーム) 28時間57分22秒
44 山本元喜(KINAN Cycling Team) +57分5秒
45 中西健児(KINAN Cycling Team) +1時間3分32秒

スプリント賞
1 リッカルド・ミナーリ(イタリア、アスタナプロチーム) 55pts
18 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 11pts

山岳賞
1 アルテム・オヴェチキン(ロシア、トレンガヌサイクリングチーム) 40pts
11 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 10pts

チーム総合
1 ウィリエールトリエスティーナ・セッレイタリア 86時間52分23秒
9 KINAN Cycling Team +15分9秒

トマ・ルバ

トマ・ルバのコメント
最後の2日間でどれだけトライできるかを考えている。今日はそれが成功するまであと少しだった。長距離と暑さの中でのステージで、サルバドールとできる限りのことをやった。まあ、これがサイクリングというものだね。もちろんここまでの走りはポジティブにとらえている。挑戦を続けることが大事だし、それをせずに終えるわけにはいかない。しっかり体を休めて最後の1日に臨む。

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