室屋義秀はオーバーGで失格…レッドブル・エアレース千葉大会

レッドブル・エアレースの第3戦千葉大会が5月27日、千葉県の幕張海浜公園で決勝レースが開催され、前年のワールドシリーズチャンピオンで千葉大会の3年連続優勝をねらった室屋義秀(ファルケン)がオーバーGで失格するという波乱があった。

室屋義秀がレッドブル・エアレース千葉大会を飛ぶ © Joerg Mitter / Red Bull Content Pool

27日の決勝は午後2時から出場14選手が1対1でタイムを競うラウンドオブ14が行われた。予選を3位通過した室屋の対戦相手は最下位から3番目のマット・ホール(オーストラリア)。じつは第2戦のフランス・カンヌ大会優勝者で、現在ワールドランキング2位という優勝候補だが、予選結果が思わしくなく、室屋と対戦することになった。

対戦では先にフライトしたホールが好タイムでフィニッシュ。この記録が室屋にプレッシャーを与え、レース序盤に上空に旋回する場面でオーバーGという失格。まさかの決勝初戦敗退となり、会場に詰めかけた室屋ファンはガッカリ。

優勝はホール。2位は米国のマイケル・グーリアン。3位はチェコのマーティン・ションカ。

レッドブル・エアレース千葉大会を制したマット・ホール © Mihai Stetcu/Red Bull Content Pool

優勝のマット・ホールを中央に左が2位グーリアン、右が3位ションカ © Gardi/Red Bull Content Pool

●関連ニュース

室屋義秀は予選3位。緒戦で今季総合2位の強豪と対決…レッドブル・エアレース千葉

●最新ニュースへ

マルコス・ガルシアがツアー・オブ・ジャパンで初の総合優勝

2015年の初出場から4度目の挑戦で、キナンサイクリングが初の個人総合優勝者を輩出。チームにとってシーズン最大目標の1つであるツアー・オブ・ジャパンで、マルコス・ガルシアが初めて総合優勝を挙げた。リーダージャージを守り抜き、最高の栄誉を勝ち取ってチーム総合でも1位を堅守。個人・チームともに頂点に立ち、力をもって今大会の主役であることを証明した。

ツアー・オブ・ジャパン東京ステージでグリーンジャージのガルシアを援護してゴールを目指すキナンサイクリング ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

大会をとおしてキナンは各選手がそれぞれに役割をまっとうし、個人・チームともに存在感を発揮してきた。大阪・堺で5月20日に開幕して以来、同日の堺国際クリテリウムで中島康晴が3位に入ったのを皮切りに、南信州での第5ステージでトマ・ルバが、富士山ヒルクライムの第6ステージでガルシアがステージ優勝。ルバの勝利以降、チームにグリーンのリーダージャージがもたらされ、翌日にはガルシアへと引き継がれた。加えて、第5ステージ以降チーム総合でも首位に立ち、選手層の厚さも示した。

前日の26日に伊豆で行われた第7ステージは獲得標高が約4000mと山岳ステージに匹敵する難コースで行われたが、アシスト陣の好走もあり終始レースをコントロール。終盤はガルシアが自らライバルの攻撃を封じ、個人総合優勝に王手をかけた。このステージを終えた時点での総合成績では、トップのガルシアだけでなくルバが個人総合3位に続いている。

ファイナルを飾る第8ステージは日比谷シティ前をスタートし1.2kmのニュートラル走行を含むワンウェイルートを経て、大井埠頭のサーキットコースへと入っていく。1周7kmを14周回。レース全体では112.7kmで争われる。コースはオールフラットで、スピード感あふれるダイナミックなレースが展開される。勝負はスプリントに限らず、逃げ切りが決まるケースもあり、あらゆる展開を想定して臨むことが求められる。

キナンはガルシアのリーダージャージをフィニッシュまで運ぶことが絶対的なミッション。残りの5選手がライバルチームの動きを見ながら、ガルシアの個人総合優勝、同時に首位に立つチーム総合での1位に向かって進んでいくことになる。

緊張感の中でスタートが切られたレースは、序盤からキナンにとってねらい通りの展開となる。サーキットコースに入るとともに3選手がアタック。いずれも総合成績に関与していない選手とあり、この動きを容認。キナン勢がメイン集団の統率を図り、それ以上の飛び出しは許さない。序盤はサルバドール・グアルディオラを中心にペーシングを図り、タイム差は約3分とする。

こうして淡々と進行していくが、レース中盤を前にスプリントフィニッシュをねらう数チームがアシストを出し合い、逃げグループとのタイム差を少しずつ埋めていく。キナン勢としては、他チームにコントロールを任せられる好状況へと変化。集団前方で隊列を組みながら、ライバルチームの動きのチェックに終始する。この状況は後半に入っても続いた。約1分30秒差と逃げを射程圏内にとらえつつも、一気にペースアップする流れではなかったこともキナン勢にとっては幸い。総合成績にかかわるような動きは見られず、ガルシアを安全に走らせることに集中しながら、フィニッシュまでの残り距離を減らしていった。

結局、逃げは最終周回に入る直前で吸収。代わってカウンターアタックを仕掛ける選手が出たものの、これも労せず捕まえ、レースは定石通りスプリントにゆだねられることに。キナン勢はガルシアの危険回避を図りながら、メンバーが近くに固まってフィニッシュを目指した。

そして、ついに歓喜のときがやってきた。スプリント勝負が繰り広げられた後方で、キナンメンバーがガルシアの個人総合優勝を喜び合いながらフィニッシュラインを通過。ガルシアも近くにいたメンバーと手を取りながら、王座確定の瞬間を迎えた。

チーム創設4年目、これまで手が届きそうで届かなかった国内最大級のツアータイトルをようやく獲得。終わってみれば、ステージ2勝に、個人・チームともに1位を獲得。個人総合においてはガルシアの優勝に続き、ルバも3位の座を守った。ガルシアにとってステージレースの個人総合優勝は、2017年9月のツール・ド・北海道以来2回目となる。また、チーム総合の表彰ではメインスポンサー「キナン」角口賀敏会長もゲスト登壇。活躍した選手たちとともに会場に集まったファンから大きな祝福を受けた。

今大会のキナンは順位的には目立たなかったステージも含め、予定していたとおりにレースが運び、ねらっていたステージできっちりと結果を残したことが、最高の成果につながったといえる。また、難コースに多くの選手が苦しめられた中、キナンは6人全員が完走。チーム加入1年目の山本大喜と新城雄大も十二分に機能し、ライバルチームに対して数的優位な状況を作り出したことも、勝因の1つとして挙げられそうだ。

チーム登録における上位カテゴリーの、UCIワールドチーム、同プロコンチネンタルチームから強豪も参戦し、いつになくハイレベルな戦いだった2018年のツアー・オブ・ジャパン。キナンにとっては目標達成にとどまらず、今後のビッグレースでの戦い方やチーム力の指標となる価値あるシリーズとなった。力のある選手がそろうチームにあって、今回の結果が出走メンバーだけでなく、メンバー外となった選手たちも含めた全体の底上げにもつながることだろう。

5月に入り、上旬のスリランカTカップに続くUCI公認国際レースでの立て続けの勝利。この波に乗って、たちまちやってくる次の戦いに挑むことになる。5月31日からはツール・ド・熊野が開幕。チーム本拠地である熊野地域での年間最大のチームイベント。2018年は第20回記念大会。ねらうはもちろん個人総合優勝だ。なお、この大会に臨むロースター(出場選手)は一両日中に発表する予定となっている。

ツアー・オブ・ジャパンを制したガルシア(中央)とチーム優勝のキナンサイクリング ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

ツアー・オブ・ジャパン第8ステージ結果(112.7km)
1 マルティン・ラース(エストニア、チームイルミネイト) 2時間23分12秒
2 アンソニー・ジャコッポ(オーストラリア、ベネロング・スイスウェルネスサイクリングチーム) +0秒
3 アイラン・フェルナンデス(スペイン、マトリックスパワータグ)
4 黒枝士揮(愛三工業レーシングチーム)
5 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ)
6 岡本隼(愛三工業レーシングチーム)
28 中島康晴(KINAN Cycling Team)
29 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team)
31 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team)
34 新城雄大(KINAN Cycling Team)
35 山本大喜(KINAN Cycling Team)
37 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team)

ツアー・オブ・ジャパン個人総合時間
1 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) 19時間57分25秒
2 ヘルマン・ペルシュタイナー(オーストリア、バーレーン・メリダ) +35秒
3 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +53秒
4 クリス・ハーパー(オーストラリア、ベネロング・スイスウェルネスサイクリングチーム) +1分27秒
5 グレガ・ボーレ(スロベニア、バーレーン・メリダ) +1分40秒
6 サム・クローム(オーストラリア、ベネロング・スイスウェルネスサイクリングチーム) +1分55秒
17 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) +5分0秒
54 山本大喜(KINAN Cycling Team) +48分11秒
57 中島康晴(KINAN Cycling Team) +52分21秒
65 新城雄大(KINAN Cycling Team) +1時間5分28秒

ポイント賞
1 グレガ・ボーレ(スロベニア、バーレーン・メリダ) 110pts
4 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 41pts
19 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) 18pts
26 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) 13pts
46 新城雄大(KINAN Cycling Team) 6pts

山岳賞
1 鈴木譲(宇都宮ブリッツェン) 24pts
4 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) 15pts
17 新城雄大(KINAN Cycling Team) 3pts

チーム総合
1 KINAN Cycling Team 59時間58分13秒

マルコス・ガルシア

マルコス・ガルシアのコメント
最終ステージについては、チームとしてよいプロトンコントロールができたと思う。逃げの3人をよいタイミングで行かせることができ、ねらっていたとおりのレース展開にすることができた。そしてなにより、個人総合優勝を果たせたことがとてもうれしい。(第5ステージでの)トマのステージ優勝に始まり、翌日の富士山では自分が勝つことができた。チームとしてはこれ以上ない出来になった。この勝利はチーム全員の働きがあったからなしえたもの。ライバルチームの動きをしっかりと読んで動いてくれたことにありがとうと言いたい。クイーンステージと考えていた伊豆(第7ステージ)でのみんなの働きは本当に素晴らしく、心から感謝している。

●関連ニュース

マルコス・ガルシアがツアー・オブ・ジャパン伊豆で首位死守…総合Vに前進

●最新ニュースへ

フルームがジロ・デ・イタリアで英国勢初制覇…三大大会連勝は史上3人目

第101回ジロ・デ・イタリアは最終日となる5月27日、イタリアの首都ローマで距離115kmの第21ステージが行われ、スカイのクリストファー・フルームが英国勢として初の総合優勝を達成した。グランツールを3連勝したのはベルギーのエディ・メルクス(1972年のジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランス、1973年のブエルタ・ア・エスパーニャとジロ・デ・イタリア)、フランスのベルナール・イノー(1982年のジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランス、1983年のブエルタ・ア・エスパーニャ)に続く3人目。

第101回ジロ・デ・イタリアの覇者フルーム © Fabio Ferrari – LaPresse

ローマのコロセアム前を通過する © Fabio Ferrari – LaPresse

メルクスやイノーの時代、ブエルタ・ア・エスパーニャは春に開催されていた。またブエルタ・ア・エスパーニャが開催されなかった1953年にはイタリアのファウスト・コッピが1952年のジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランス、1953年のジロ・デ・イタリアと3連覇した記録がある。

グランツールすべてで総合優勝したのは7人目。ジャック・アンクティル(フランス)、フェリーチェ・ジモンディ(イタリア)、メルクス、イノー、アルベルト・コンタドール(スペイン)、ビンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)に続いた。

総合2位は46秒遅れで前年の覇者トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)。同3位は4分57秒遅れでミゲールアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)。コロンビア勢は2016年にエステバン・チャベスが2位、2017年にナイロ・キンタナが2位になっていて、3年連続の表彰台。

左からアルベルト・コンタドール、ローマ市長、フルーム、大会ディレクター © LaPresse – D’Alberto / Ferrari / Paolone / Alpozzi
乾杯のグラスもピンク色 © Fabio Ferrari – LaPresse

ローマで開催された第21ステージはボーラ・ハンスグローエのサム・ベネット(アイルランド)が第7、12ステージに続く3勝目を挙げた。ポイント賞のマリアチクラミーノは区間2位に入ったエリア・ビビアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)が獲得した。

山岳賞のマリアアッズーラはフルームが獲得。総合優勝者が山岳賞を同時受賞するのは1998年のマルコ・パンターニ以来20年振り。

新人賞のマリアビアンカはロペスが獲得した。

ジロ・デ・イタリア第21ステージは首都ローマへ © Fabio Ferrari – LaPresse
サム・ベネットが第21ステージを制した © Gian Mattia D’Alberto – LaPresse
チーム全員で一緒にゴールするスカイ © Massimo Paolone – LaPresse

「ローマの周回コースが危険すぎることから多くの選手がボクのところにやって来て、どうやって危険回避するかを話し合った。」というフルーム。コミッセールと協議して、10周回のうち3周を終えた段階で所要時間の計測はニュートラルにすること、集まった観客の期待を無視しないように最後のスプリント勝負だけを行うことで合意した。そのため3周回を終えるとフルームら総合成績の上位選手は安全走行に切り替えてゴールを目指した。

「1週間前、マリアローザをこのローマで着る姿は想像できなかった。これまでに総合成績のビハインドとして3分差を逆転したことはあるが、それはとても非現実的だった。だからこうしてマリアローザを着ていることが夢のような気分だ。この勝利は妻と、そして8月に生まれてくるはずの娘に捧げたい」とフルーム。

第101回ジロ・デ・イタリアを制したクリストファー・フルーム © Marco Alpozzi – LaPresse

●ダイジェスト動画

クリストファー・フルーム © Gian Mattia D’Alberto – LaPresse

●4賞ジャージ
マリアローザ(個人総合成績)クリストファー・フルーム(英国、スカイ)
マリアチクラミーノ(ポイント賞)エリア・ビビアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)
マリアアッズーラ(山岳賞)クリストファー・フルーム(英国、スカイ)
□マリアビアンカ(新人賞)ミゲールアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)

●ジロ・デ・イタリア特集ページへ
●第101回ジロ・デ・イタリアの関連ニュース
●第101回ジロ・デ・イタリア出場176選手リスト

ローマで永遠のトロフィーを手にするクリストファー・フルーム © Marco Alpozzi – LaPresse

マルコス・ガルシアがツアー・オブ・ジャパン伊豆で首位死守…総合Vに前進

日本各地をめぐり熱戦を繰り広げているツアー・オブ・ジャパン。大会は終盤戦へと突入し、5月26日は静岡県伊豆市で第7ステージが行われた。日本サイクルスポーツセンターを主会場とする120.8kmのレースは、今大会の総合争いの行方を決定づけるのにふさわしいレースが展開された。マルコス・ガルシアを個人総合のトップに送り出しているキナンサイクリングは、終始リーダーチームとしてのプロトン(メイン集団)での役割を果たし、ガルシアのリーダージャージを堅守。アシスト陣の好走もあり、鉄壁のレースコントロールを見せた。

ツアー・オブ・ジャパン伊豆ステージで首位を守ったマルコス・ガルシア ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

前日、富士山須走口五合目を目指したヒルクライムの第6ステージで、キナンはガルシアが3度目の挑戦で悲願のステージ優勝。残り約7kmで飛び出し、後続を寄せ付けない圧倒的な登坂力を見せつけた。その走りで個人総合でも首位に浮上。第5ステージの逃げ切り勝利でグリーンのリーダージャージに袖を通したトマ・ルバから、その座を引き継いだ。ルバは個人総合3位、両者のケアをしながらも自身のリザルトも安定しているサルバドール・グアルディオラが同6位につけ、チーム総合でも他チームに5分以上の差をつけてトップに立っている。

また、富士山ステージでは序盤に中島康晴、山本大喜、新城雄大の3選手が絶妙なペーシングを見せ、本格的な上りまでに逃げていた選手たちを吸収。クライマーたちによる力勝負に持ち込むお膳立てを演じた。

続く第7ステージは、日本サイクルスポーツセンター内のサーキットコースがメインとなる通称「伊豆ステージ」。2018年から修善寺駅前を出発してのパレード走行が行われ、その後ワンウェイルートを経て、1周12.2kmのサーキットへと入る。周回数は9回。テクニカルなコーナーやアップダウンが連続する難コースは、山岳ステージに匹敵するレベル。総合争いにおける最終決戦の舞台となり、有力チームが捨て身の攻撃に出ることが通例。2018年もサバイバルレースが予想される。キナンとしては、何よりもガルシアのリーダージャージを守り抜くことが最大のミッションとなる。

正式スタートと同時に激しいアタック合戦となったレース序盤。ときに10人以上が数秒先行する場面もあったが、早々にレースのコントロールを担ったキナン勢がしっかりと対処。個人総合で上位をゆく選手や、大人数の逃げは許さず、アタックする選手の動きを見定める。その間、個人総合で35秒差の2位につけるヘルマン・ペルシュタイナー(オーストリア、バーレーン・メリダ)のアタックがあるも、これはガルシア自らがチェック。ライバルの動きは決して許さない姿勢をチーム全体で示す。

プロトンを統率するキナン勢が逃げを容認したのが2周目の終盤。6人がレースをリードすることとなるが、その中で個人総合で上位につける選手はガルシアから2分53秒差。キナン勢は逃げグループを先行させて、有力選手がひしめくメイン集団の動きを落ち着かせることに努める。

逃げグループとメイン集団との構図が決まってからは、ルバやグアルディオラに加えて、中島、新城、山本らもペーシングを行い、前とのタイム差を約3分で推移させる。レース後半に入り、その差を少しずつ縮めて調整していくが、無理に追い上げることはせず、ライバルの動きを見ながら進んでいく。

7周目に入って逃げグループが崩れて、先頭をいくのは3人となる。一時メイン集団とのタイム差が再び3分となるが、ここは慌てずキナン勢のコントロールで安全圏へと戻していく。距離を追うごとにアシストを減らしていくが、終盤からは満を持してグアルディオラとルバが集団牽引を本格化。ライバルにとってはそう簡単には攻撃ができない状況を作り出していった。

そしてレースはいよいよ最終周回へと突入。逃げる3人とメイン集団との差は1分45秒。先頭の3選手はガルシアとの総合タイム差に開きがあることから、キナン勢としては逃げ切りを容認する構え。それ以上に、わずかな可能性に懸けて攻撃を繰り返すペルシュタイナーへのチェックが最優先となる。ここからはガルシアが自ら反応し、アタックを阻止していく。

逃げの3人はそのままステージ優勝争いへ。それから1分18秒後、メイン集団が最後の直線へとやってきた。わずかな上り基調の最終局面は、ガルシアにとっては問題なし。ペルシュタイナーら総合上位陣と同集団でフィニッシュラインを通過。リーダージャージのキープが確定。総合タイム差を縮められることなく、難関ステージを乗り切った。

ガルシアらのグループからわずかに遅れたルバだったが、こちらも個人総合3位をは変わらず。総合表彰台に2人が王手をかけることとなった。加えてチーム総合でも首位を保っている。

そのほか、キナン勢はグアルディオラ、山本、新城、中島の順でフィニッシュへ。グアルディオラは総合順位を落とすこととなったが、自身の成績を犠牲にしても大切なリーダージャージへの執念を見せて、チームに貢献。前日に続き、キナンの角口賀敏会長夫妻、角口友紀・同社長夫人家族が駆け付けた中でパーフェクトなレースを選手たちが演じた。

20日に始まった大会は、華やかなレースを続けながら東へと進んできた。そして28日、ついに最終目的地の東京へと到達する。最後となる第8ステージは、日比谷シティ前をスタートし1.2kmのニュートラル走行を含むワンウェイルートを経て、大井埠頭のサーキットコースへと入っていく。1周7kmを14周回。レース全体では112.7kmで争われる。コースはオールフラットで、スピード感あふれるダイナミックなレースが展開される。セオリーではスプリント勝負だが、これまで何度か逃げ切りが決まったケースもあり、選手たちの思惑が行き交うステージとなりそう。

キナンとしては、ガルシアのリーダージャージをフィニッシュラインまで運ぶことが最大のミッション。レース中のトラブルやアクシデントを避け、いかにセーフティーに走り切るかがポイントになる。悲願のツアー・オブ・ジャパン制覇に向けて、より集中してレースへと臨む。

ツアー・オブ・ジャパン第7ステージ結果(120.8km)
1 グレガ・ボレ(スロベニア、バーレーン・メリダ) 3時間29分53秒
2 クリス・ハーパー(オーストラリア、ベネロング・スイスウェルネスサイクリングチーム) +0秒
3 フェリックス・アレハンドロ・バロン(コロンビア、チームイルミネイト)
4 ベンジャミン・ベリー(カナダ、イスラエルサイクリングアカデミー) +1分18秒
5 ベンジャミ・プラデス(スペイン、チームUKYO)
6 中根英登(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ)
11 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team)
18 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +1分25秒
23 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) +4分11秒
47 山本大喜(KINAN Cycling Team) +15分37秒
63 新城雄大(KINAN Cycling Team) +22分22秒
64 中島康晴(KINAN Cycling Team)

個人総合時間
1 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) 17時間34分13秒
2 ヘルマン・ペルシュタイナー(オーストリア、バーレーン・メリダ) +35秒
3 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +53秒
4 クリス・ハーパー(オーストラリア、ベネロング・スイスウェルネスサイクリングチーム) +1分27秒
5 グレガ・ボーレ(スロベニア、バーレーン・メリダ) +1分40秒
6 サム・クローム(オーストラリア、ベネロング・スイスウェルネスサイクリングチーム) +1分55秒
17 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) +5分0秒
54 山本大喜(KINAN Cycling Team) +48分11秒
58 中島康晴(KINAN Cycling Team) +52分21秒
66 新城雄大(KINAN Cycling Team) +1時間5分28秒

ポイント賞
1 グレガ・ボレ(スロベニア、バーレーン・メリダ) 107pts
4 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 41pts
17 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) 18pts
22 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) 13pts
37 新城雄大(KINAN Cycling Team) 6pts

山岳賞
1 鈴木譲(宇都宮ブリッツェン) 24pts
4 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) 15pts
17 新城雄大(KINAN Cycling Team) 3pts

チーム総合
1 KINAN Cycling Team 52時間48分37秒

マルコス・ガルシア

マルコス・ガルシアのコメント
序盤からハイペースのレースになったが、途中からチームとして集団を落ち着かせて逃げとのタイム差を調整していった。3選手の逃げ切りはまったく問題がなく、チームのプラン通りにレースを進められたことがより重要だと考えている。昨年ステージ優勝を挙げた伊豆だけれど、今年はまったく違った状況でこの日を迎えたから、ステージ優勝は特に考えず、リーダージャージのキープを最優先に臨んだ。チーム、そして私を信じてくれているキナンの角口賀敏会長には心から感謝を伝えたい。今日はチームメートが最初から最後まで働いてくれて、私としては楽にレースを終えることができたと感じている。

●関連ニュース

マルコス・ガルシアがツアー・オブ・ジャパン富士山を制して総合1位に

●最新ニュースへ

【速報】スカイのフルームがジロ・デ・イタリア総合優勝に王手

第101回ジロ・デ・イタリアは5月26日、スーザ〜チェルビニア間の214kmで第20ステージが行われ、総合1位のクリストファー・フルーム(英国、スカイ)が40秒差の総合2位トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)らを封じ込め、首位のマリアローザを守った。大会は27日にローマに凱旋し、フルームが初の総合優勝を獲得することが確実になった。

フルームがジロ・デ・イタリア第20ステージでマリアローザを守った © LaPresse – D’Alberto / Ferrari / Paolone / Alpozzi

前日まで総合3位にいたグルパマFDJのティボー・ピノ(フランス)は最後から2つ目の山岳で脱落。この日だけで45分以上遅れ、総合成績のトップテンから姿を消した。

最後の山岳区間で行われた第20ステージは、前日までサイモン・イェーツのアシスト役だったミッチェルトン・スコットのミケル・ニエベ(スペイン)。2011年、2016年に続いて3度目の区間勝利をおさめたニエベは、この日が34回目の誕生日だった。2016年のジロ・デ・イタリア山岳王。2014年から2017年まではスカイに所属。ツール・ド・フランスでは2016年を除いてフルームのアシスト役として大きく貢献した。2017年のブエルタ・ア・エスパーニャでフルームの総合優勝をアシストしたのもニエベだった。
「昨日のステージで起こったことをふまえて、チームがここでステージ優勝することはとても重要だった」とニエベ。

ミッチェルトン・スコットはイェーツが第19ステージで首位から陥落し、最大の栄冠は取り逃がしたものの、イェーツが3勝、エステバン・チャベス(コロンビア)が1勝。そしてこの日ニエベが1勝した。
「このジロ・デ・イタリアで5勝は価値あるものだ。これ以上いい誕生日は思い当たらないよ」

ジロ・デ・イタリア第20ステージを制したミケル・ニエベ © LaPresse – D’Alberto / Ferrari / Paolone / Alpozzi

最後の山岳ステージを終えてマリアローザを守ったフルーム。
「デュムランがアタックしたとき、ボクはそれほど戸惑いは感じなかった。すべてをコントロールする状況に置いておけばよかった。今年のジロ・デ・イタリアはとても非常だ。今日のピノを見ればそれが分かるだろう。マリアローザと同様に、ボクは山岳賞のマリアアッズーラを確実にするために、最後のゴールではスプリントをしたんだ」

●ダイジェスト動画

●関連ニュース

フルームが大逆転で首位に…ジロ・デ・イタリア第19ステージで80kmの独走勝利

●4賞ジャージ
マリアローザ(個人総合成績)クリストファー・フルーム(英国、スカイ)
マリアチクラミーノ(ポイント賞)エリア・ビビアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)
マリアアッズーラ(山岳賞)クリストファー・フルーム(英国、スカイ)
□マリアビアンカ(新人賞)ミゲールアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)

●ジロ・デ・イタリア特集ページへ
●第101回ジロ・デ・イタリアの関連ニュース
●第101回ジロ・デ・イタリア出場176選手リスト

●最新ニュースへ

室屋義秀は予選3位。緒戦で今季総合2位の強豪と対決…レッドブル・エアレース千葉

レッドブル・エアレース第3戦千葉大会は5月26日、千葉市美浜区の千葉県立幕張海浜公園で予選が行われ、千葉大会3連覇をねらう室屋義秀が3位で、翌日のラウンドオブ14に進んだ。

幕張海浜公園の上空を飛ぶ室屋義秀 © Red Bull Content Pool

27日(日)の決勝は午後2時から出場14選手が1対1でタイムを競うラウンドオブ14が行われる。勝ち残った選手が午後4時からラウンドオブ8を行い、トップ4選手が午後4時35分からのファイナル4に進出。最速タイムを出した選手が優勝となる。

予選トップは米国のマイケル・グーリアン。第1戦優勝、第2戦3位で現在ランキングトップと好調。ラウンドオブ14の組み合わせは予選1位と14位、2位と13位と上位と下位が組み合わされるが、予選3位室屋の対戦相手は12位のマット・ホール(オーストラリア)。第2戦優勝でランキング2位の強豪だが、予選結果が思わしくなく、室屋と対戦することになった。

レッドブル・エアレース第3戦千葉大会の予選結果
レッドブル・エアレース第3戦千葉大会「ラウンドオブ14」の組み合わせ
レッドブル・エアレース第3戦千葉大会の予選を飛ぶ室屋義秀 © Joerg Mitter / Red Bull Content Pool

●関連ニュース

レッドブル・エアレース千葉はNHKとDAZNが生中継

●最新ニュースへ