初開催のJBCF広島クリテリウムで中島康晴2位… 波状攻撃で主導権を握る

国内最高峰のロードレースシリーズ「J PROTOUR」は7月1日が広島シリーズ2日目。初開催となるJBCF広島クリテリウムでキナンサイクリングは中島康晴を2位に送り込んだ。レーススタート直後から果敢に攻撃を仕掛け、レースの主導権をつかんだうえでの上位進出だった。

JBCF広島クリテリウムは窪木一茂が優勝。中島康晴が2位 ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

広島市西区の商工センター内に設けられた1.7kmの周回コースで実施された、広島市内では初めてとなる市街地クリテリウム。3カ所のヘアピンカーブと長い直線が特徴とあり、カーブをクリアする番手や最終局面での位置取りが勝負における大きな要素となると予想された。

キナンは前日のJBCF西日本ロードクラシック広島大会で中西健児が5位、山本元喜が6位と2選手がトップ10入り。雨脚の強い中でも選手たちはまずまずの走りを見せた。その流れを受けて臨む今回のクリテリウムには、山本元のほかに山本大喜、雨乞竜己、中島康晴、新城雄大が出場。スプリントはもちろん逃げや少人数での勝負となることも想定し、あらゆるレース展開に対応できる選手たちをそろえた。

前日とはうって変わり、ときおり強い日差しが照りつける中で始まったレースは、スタート直後からキナン勢が攻勢に出る。山本元、山本大、中島、新城とかわるがわるアタックを仕掛け、逃げのチャンスをうかがう。一時的に4~5人が数秒のリードを奪う場面があるものの、序盤は出入りが激しいまま進行。1周目を終えようかというタイミングでクラッシュが発生し、雨乞が間一髪で落車を免れたが、この影響によりバイクを交換。トラブル発生時と同集団でのレース復帰が許されるニュートラル措置により、集団へと戻っている。

均衡が破られたのはレース中盤。山本大ら3選手のアタックが決まり、そのまま逃げグループとなる。この動きを容認したメイン集団とのタイム差は10~15秒で推移。キナン勢は、山本大が先行したことで集団コントロールを他チームに任せ、次なる展開へと備える。前日の落車と序盤のアクシデントが重なった雨乞がリタイアとなるが、残る4人で勝負どころを探っていった。

レースが後半になると、逃げグループ内でも脚の差が明白となる。やがて山本大ら2選手に絞られ、後方ではメイン集団も徐々にペースアップ。10秒を切るタイム差まで縮まる。残り7周回となったところで、メイン集団でアタックが発生。これには山本元が対応するが、追走とはならず集団へと戻っている。以後も先頭2人と集団との構図が続いたが、残り4周回に入ったところで先頭から山本大がアタック。さらにスピードアップし独走へと持ち込む。

キナンしばらくトップを走り続けた山本大だったが、残り2周回でメイン集団によって吸収された。かわって仕掛けたのは山本元。このカウンターアタックによってメイン集団は活性化。山本元は集団へと戻ったが、集団は34人となって最後の周回を迎えた。

スプリントに向けた激しいポジション争いが展開された中、先頭で最後の直線へと現れたのは新城。そして残り約200mで中島を発射。最後は混戦のスプリント勝負となり、これに絡んだ中島は2位でフィニッシュラインを通過した。

スタート直後からの波状攻撃で流れをつかみ、最後も好連携を見せたキナン勢。あと一歩で優勝は逃したものの、きっちりと表彰台の一角を確保。前日の上位フィニッシュに続き、広島での2連戦で一定の成果を修めた。それでもレース後には選手間でミーティングを行い、課題と収穫を確認。結果に一喜一憂せず、より内容の濃いレースとしていくための意識を高めた。

チームは5月以降、出場するレースで次々と好成績を修め、これまでにない充実した時期を過ごした。ビッグレースが続いた第1ピリオド(前半戦)を終え、チームは次の段階へとステップアップするときを迎えている。選手個々のレベルがアップし、レース出場をかけた競争も激しさを増すなか、今後は全体の底上げが進んでいることをチーム力をもって証明していくことになる。

第1回JBCF広島クリテリウム(51.0km)結果
1 窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング) 1時間22分26秒
2 中島康晴(KINAN Cycling Team) +0秒
3 黒枝咲哉(シマノレーシング)
4 大久保陣(チームブリヂストンサイクリング)
5 横山航太(シマノレーシング)
6 織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)
24 新城雄大(KINAN Cycling Team) +3秒
28 山本大喜(KINAN Cycling Team) +29秒
37 山本元喜(KINAN Cycling Team) +1分11秒
DNF 雨乞竜己(KINAN Cycling Team)

山本大喜

山本大喜のコメント
一緒に逃げていた雨澤さん(宇都宮ブリッツェン)は脚があるので、一緒に逃げ続けられればと思っていたが、メイン集団の勢いが上がってきた時点で1人で行けるところまで行こうと決めた。独走になってからは苦しくて、集団が迫っていることも感じていたが、少しでも長い時間逃げ続けてチームメートを楽にできればと思って走っていた。チームとして連携ができて、中島さんの2位につなげられた。春先はチームとして結果が残せず、力不足を感じることもあったが、全日本選手権に向けたトレーニングが結果的に個々のレベルアップをもたらしたと思う。みんな自信をもって走れているし、それが積極的な姿勢にも表れている。

中島康晴

中島康晴のコメント
チームとしてスタートから攻めていくという姿勢を心がけた。よいタイミングで(山本)大喜が逃げに入ってくれたので、ほかのメンバーは集団内の好位置をキープしながら走ることができた。力のあるスプリンター相手に真っ向勝負となると分が悪いので、残り2周になったところで(山本)元喜にアタックしてもらって、集団内がより活性化することをねらった。ラスト1kmからは(新城)雄大に引っ張ってもらって、スプリント勝負につなげた。
窪木選手に勝ちたかったが、途中ではアタックに反応しつつ、最後はスプリントで勝つあたりに強さを感じている。チームとしては雨乞での勝負とはならなかったが、その分をみんなでカバーし合って表彰台を確保できたことがうれしい。チーム全体として全日本選手権からの勢いを持続できている。メンバーがプロトン内で一目置かれていることを実感しているし、それがかえってレースを進めやすくしている側面もある。このまま勝利を重ねていきたいし、みんなでどん欲に勝つことにこだわっていきたい。

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