山本元喜が日本チャンピオン…鮮やかな連携で新城雄大も3位に

サイクルロードレースにおける2018年シーズンの日本一を決める全日本自転車競技大会ロードレースの最終種目、男子エリートでキナンサイクリングの山本元喜が最終周回でのアタックを成功させ、独走で優勝。エリートカテゴリーでは初となる日本チャンピオンとなった。序盤からチームメートの新城雄大とともに先頭グループに入り、終盤は2人の連携で数的優位な状況を作りだした。その新城も3位となった。

12周目に山本元喜(左)と小石祐馬(チーム UKYO)が抜け出した ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

6月22日の開幕から各カテゴリーで熱戦が展開されてきた今大会。大会2日目、23日に行われた男子アンダー23では弟の山本大喜が9位。キナンとしては、優勝者に与えられる日本チャンピオンジャージの獲得を最終日の男子エリートにかけることとなった。

その男子エリートは14.2kmのサーキットコースを15周回する213kmで争われた。周回前半は最大勾配8%の上りが続き、後半からは下り基調。大会を通じ、ここまで独走か数人に絞られた中での優勝争いが続いてきた。実力がより拮抗する男子エリートでは、どんなレース展開となるかも大きな見どころ。獲得標高はおおよそ4000mにものぼり、暑さも相まってサバイバル化することが予想された。

そんなタフなレースに、キナンから山本元と新城のほか、中西健児、雨乞竜己、中島康晴の5選手が出場。各選手好調でこのレースを迎えた。チームによって出走人数にばらつきがあり、5人出走は決して多いとは言えないが、コース適性の高いメンバーをそろえ、いかにレースの流れや勝負どころを見定めるかが上位進出のカギとなった。

午前9時の号砲とともにスタートが切られると、1周回目から有力チーム・選手が乗じる逃げグループが形成された。キナン勢ではまず山本元が合流。2周目に入って新城も加わり、最大で32人もの先頭グループにふくらむ。優勝候補選手の一部が残る形となったメイン集団には、キナン勢では中西、雨乞、中島が待機する。

最終周回、佐野淳哉(マトリックスパワータグ)と新城雄大、山本元喜の3人に ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

その形勢のまましばらくは大きなアクションはなく、7周目の途中でタイム差がこの日最大となる9分以上となる。これを機に少しずつタイム差は縮まっていくが、メイン集団が先頭グループを射程圏にとらえるまでには至らない。11周目に入って先頭グループからアタックする選手が現れたこともあり、ここからいよいよ活性化。先頭の人数が絞られていくが、キナン勢2人は問題なく対応した。

大きな局面を迎えたのは続く12周目。長い上りを利用してアタックが発生すると、山本が反応。追随する選手を振り切って、先に飛び出していた小石祐馬(チームUKYO)と逃げの態勢を整える。さらにその後方で生まれた4人の追走グループには新城が加わる。新城は前方に山本元が逃げていることもあり、追走グループのローテーションには意図的に加わらない。

山本元らの2人逃げのまま周回数を重ねたが、追走グループも徐々にタイム差を縮め、14周目に先頭へ合流。追走もこのころには佐野淳哉(マトリックスパワータグ)と新城の2人に絞られ、そのまま4選手による優勝争いのムードになっていく。その直後、急坂区間で佐野がアタック。これに即座に反応したのが山本元。下り基調の周回後半には新城が小石を振り切って、山本元が走る位置まで再合流をねらう。そして最終周回を目前に新城が追いつき、3人で残り1周回の鐘を聞いた。

決定的な瞬間は、この日たびたび動きが発生していた長い上りだった。山本元が渾身のアタックを繰り出し、単独先頭に立つ。佐野が約10秒差で続くが、山本元の乱れのないペースに、少しずつその差が開き始める。一時は40秒差にまで広がり、そのまま勝負あり。

独走に持ち込んだ山本元。残り300mからフィニッシュまでの最後の直線は、さながらウイニングライド。残り100mで優勝を確信すると、最後は両拳を掲げてフィニッシュへ。勝利を信じて待ち続けた仲間のもとへと飛び込んだ。

チームメートとスタッフが新チャンピオンを迎える ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

山本元にとって、ロードの日本タイトルは通算3回目。過去2回はいずれもアンダー23でのもので、最上位のエリートでは初の頂点となる。この大会に向けて約1週間、開催地近くに滞在し、調整やコース研究に時間を割いた。ピーキングの成功はもとより、入念な準備も勝因といえそうだ。表彰式では晴れの日本チャンピオンジャージに袖を通し、今後1年間にわたって着用してレースに出場していくことになる。

そして、山本元とともに序盤から前方でレースを進め、終盤にかけて最高のコンビネーションで貢献した新城も3位でフィニッシュ。山本元やチームスタッフが待ち構える中、こちらもガッツポーズでレースを終えた。パーフェクトなレース展開でワン・スリーフィニッシュを達成した。

このほかキナン勢は、終盤に上位ねらいの動きに切り替えた中島がポジションを上げていき、最終的には7位。中西も23位で完走している。トップ10に3選手を送り込むことに成功し、国内選手権上位者に付与されるUCIポイントを3選手分合計で180点を獲得した。

チームにとってテーマの1つでもある、日本人選手でのレース構築を実践する場でもあった今大会。日本チャンピオンジャージの獲得という最高の形で、選手たちはその成果を示してみせた。確たる力を持ったチームは次戦、Jプロツアーの広島シリーズへの参戦を予定する。6月30日はJBCF西日本ロードクラシック広島大会、7月1日は初開催となるJBCF広島クリテリウムと、2連戦のスタートラインにつくこととなる。

日本のナショナルチャンピオンジャージを着用した山本元喜とチームメート ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

全日本選手権自転車競技大会ロードレース・男子エリート(213km)結果
1 山本元喜(KINAN Cycling Team) 5時間46分53秒
2 佐野淳哉(マトリックスパワータグ) +32秒
3 新城雄大(KINAN Cycling Team) +2分43秒
4 入部正太朗(シマノレーシング) +4分26秒
5 平塚吉光(チームUKYO) +4分32秒
6 小石祐馬(チームUKYO) +4分39秒
7 中島康晴(KINAN Cycling Team) +4分44秒
23 中西健児(KINAN Cycling Team) +10分37秒
DNF 雨乞竜己(KINAN Cycling Team)

山本元喜

山本元喜のコメント
本当に信じられない気分。アシストしてくれたみんなや支えてくれたチームスタッフにも感謝している。今回は動きすぎないよう、我慢しながらレースすることを心掛けた。その甲斐あって終盤まで脚を残すことができ、最終周回でのアタックにつながった。約1週間、開催地で過ごしてコースの特徴を頭に叩き込んでいた。どこでどう動くべきかも想定していたので、他選手のアタックに対しての対応の仕方や、自分がどこからペースを上げていくべきかもイメージできていた。このコースに合わせたトレーニングを積むことができたこともよかった。いつかこのタイトルを獲りたいと思っていたが、これはあくまでも通過点。ここで勝つことだけで満足せず、今後に控える大きなレースで結果を残せるよう取り組んでいきたい。

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山本元喜が2018年の全日本チャンピオンに…終盤に単独で抜け出して独走

第87回全日本自転車競技選手権大会ロードレースは6月24日、島根県益田市で大会最終日の男子エリートが行われ、山本元喜(キナンサイクリング)が独走で初優勝。2018年の日本チャンピオンになった。弟で同チームの山本大喜は個人タイムトライアルの全日本チャンピオンで、種目は異なるが兄弟で国内タイトルを獲得した。

山本元喜が2018年の全日本チャンピオンに © 2018 JCF

1周14.2kmのコースを15周213kmで行われた男子エリート。梅雨時とは思えない青空の下でスタートしたレースは、4周目までに35人の先頭集団が形成され、後続との差が一気に3分まで開いた。その後レース中盤までに後続との差は7分まで開く。10周目に入ると、先頭集団の動きが活性化。アタックが繰り返され、人数が減っていく。12周目、山本元喜と小石祐馬(チーム右京)の2人が先行。30秒ほどの差で佐野淳哉(マトリックスパワータグ)、新城雄大(キナンサイクリング)、石橋学(ブリヂストンサイクリング)、小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)の4人が追走。残り2周となる14周目に入ったところで、佐野と新城の2人が先行する山本と小石に合流する。

独走する山本元喜 © 2018 JCF

7km地点の登りで佐野がアタック。山本が追従し、さらに新城が続いて3人が先行して最終周回に入る。その直後の上りで山本がアタック。佐野が追うものの引き離され、山本が独走態勢に入る。およそ1周を逃げ切った山本は、2位佐野に約30秒の差をつけてフィニッシュ。2018年のロードレース全日本チャンピオンジャージに袖を通した。

全日本選手権エリート男子ロード優勝の山本元喜(中央)。左は2位佐野淳哉、右は3位新城雄大 © 2018 JCF

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山本大喜が全日本選手権ロードレースU23で9位…2冠達成できず

ロードレースの日本一を決める全日本選手権自転車競技大会ロードレースは6月23日に大会2日目の競技を実施。キナンサイクリングは156kmで争われた男子アンダー23の2選手が出走。山本大喜がライバルからの厳しいチェックに遭いながらも上位争いを繰り広げ、最終的に9位でフィニッシュした。

全日本選手権ロードU23の3位争いのゴール勝負 ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

21日に開幕し、カテゴリーごとの日本チャンピオンが続々と決定している今大会。大会2日目に入り、満を持してキナン勢がレースへと臨んだ。この日の正午スタートの男子アンダー23に山本大と塚本一樹の2選手が参戦。前週の個人タイムトライアルを制した山本大にとっては、国内選手権2冠を懸けたレースとなる。2月にはアジア選手権のこの種目を制しているが、その時に獲得したチャンピオンジャージを今回初披露。シーズン3枚目のスペシャルジャージ奪取をねらってスタートラインに並んだ。

今大会の舞台となっている島根県益田市の14.2kmのサーキットコースは、前半が長い上り、折り返す格好となってからの後半は下り基調。上りの最大勾配は8%で、その後の下りではテクニカルな区間が数カ所待ち受け、レース全体を通してはアップダウンに富んだコースレイアウトとなっている。キナン勢としては、多くの選手がエントリーした大学チームに比べ数的不利は否めないうえ、プロチームに所属する2選手へのマークが厳しくなることが予想されるが、将来を有望視される選手たちの中での戦いを確実にものにすることが求められた。

123選手が出走したレースは、2周目に山本大が自ら集団の活性化をねらって動く。周回前半の上りでアタックすると、数人が追随し先行を開始。ところが、数分遅れでスタートしたアンダー17+アンダー15のレースにトラブルが発生した関係から、コース上での混乱を避けるために一時的にニュートラルの措置がとられる。これにより山本大らはメイン集団へと戻ることを余儀なくされ、レースはふりだしへと戻った。

逃げが決まったのはこの周回の後半。8人がリードし、山本大と塚本はメイン集団に待機。集団前方が見える位置を確保しながら、次なる展開を待つ。しばしこの形勢のまま進行するが、4周目に集団から追走ねらいの選手が飛び出すと、塚本も同調。すぐに集団へと戻ることとなったが、積極的な姿勢を見せる。

しかし、その塚本にアクシデントが発生。周回のほぼ中間にあたる区間の下りでコースアウト。激しい落車となり、この時点でレース続行は不可能となってしまった。

一方で、順調にレースを進行させる山本大。5周目から集団のペースが上がりはじめ、やがて逃げグループを射程圏内にとらえる。勢いは集団が逃げグループをはるかに上回り、7周目には先行していた選手たちがすべて集団に吸収された。さらに、この直後から有力選手たちによる攻撃が本格化。数人が前をうかがうと、山本大も前後を走る選手たちの様子を見ながら先頭へ合流。8周回を終えるころには優勝争いは約20人に絞られる。

そんなレースが大きな局面を迎えたのは、9周目の前半。2選手のアタックが決まると、これを見送ったメンバーが追走グループへと転じる。山本大も追う側となり、前を走る2人になんとか引き離されまいと粘り強く走る。しかし、ライバルのチェックが一層厳しくなったこともあり、山本大が追走グループの牽引を任される時間帯が多くなる。そうしている間にも先頭の2人とのタイム差は広がっていき、最終周回の鐘を聞くころには2分近い差になった。

最終的に、9周目にアタックを決めた2選手がそのままワンツー。山本大らのグループは最終局面までに徐々に人数を減らしながら、3位ねらいに切り替えて表彰台の一角を争う格好に。残り500mのコーナーを抜けて、グループの先頭でやってきたのは山本大。前方からスプリントを開始したが、続く選手たちの勢いが勝り、山本大は9位でのフィニッシュだった。

優勝候補に挙げられ、山本大としても自信をもって臨んだレースだったが、最後の最後までチェックをかいくぐることはできず、終戦となった。悔しさをにじませた一方で、戦う姿勢をフィニッシュの瞬間まで崩さなかったことや、勝つためにレースをどのように展開すべきかなど、厳しい勝負だからこそ得られた課題と収穫に充実した表情も見せた。この年代における日本を代表する選手として、残るシーズンも大舞台を目指していくことになる。

レース途中に落車した塚本は大事には至らず、病院で診察後、擦過傷の手当てを受けてチームへと戻っている。

大会最終日、全体最後の競技として行われる男子エリートには、キナンから山本元喜、中西健児、雨乞竜己、中島康晴、新城雄大の5選手が出場。15周回・213kmのレースに臨む。レース距離もさることながら、獲得標高が約4000mにものぼるタフさは、サバイバルな戦いとなること必至。アンダー23の戦いを終えた2選手からのバトンを引き継ぎ、真の実力が問われる勝負に、キナン勢が日本王座をかけて挑むことになる。レースは24日午前9時にスタートする。

全日本選手権自転車競技大会–ロードレース・アンダー23(156km)結果
1 石上優大(AVC AIX EN PROVENCE) 4時間10分6秒
2 松田祥位(EQADS) +56秒
3 大前翔(慶應義塾大学) +3分27秒
4 草場啓吾(日本大学)
5 大町健斗(Team Eurasia – IRC TIRE)
6 孫崎大樹(早稲田大学)
9 山本大喜(KINAN Cycling Team)
DNF 塚本一樹(KINAN Cycling Team)

山本大喜

山本大喜のコメント
有力メンバーに絞られたレースにあって、アタックの打ち合いになれば勝負できる自信はあった。ただ、みんなにマークされている感覚がかなりあって、勝負どころでの力も今日は足りていなかった。早い段階で実力のあるメンバーに絞ろうと思って自分からアタックを仕掛けたが、直後にニュートラルがかかってしまったりと、うまく展開ができなかった。上位に入った選手たちはみんな強い選手ばかり。今日の結果は素直に受け入れたい。悔しいけれど、シーズン後半に向けて切り替えて、チームで臨む大きなレースや、代表入りを目指すことになるロード世界選手権などに向けて、もう一段階レベルアップしたい。

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全日本選手権ロードに向けて順調な調整…キナンサイクリングがタイトル獲得に挑む

2018年ロードレースの日本チャンピオンを決める全日本選手権自転車競技大会ロードレースが6月22日に開幕。島根県益田市を舞台に全7カテゴリーで王座を競う。キナンサイクリングからは2カテゴリーに計7選手が出場。レース本番に向けて準備を着々と進めている。選手・スタッフは大会開幕前日の21日に開催地入り。到着後すぐにコース試走を兼ねたトレーニングを実施。各選手がコースの雰囲気や体調の確認に時間を費やした。続く22日も一部選手がレースコースで最終調整。

益田市の全日本選手権ロードコースでトレーニングするキナンチーム ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

コースは1周14.2kmのサーキット。北東に針路をとる前半が長い上り、折り返して南西へと戻る後半は下り基調。選手の多くがポイントに掲げる周回前半の登坂は、最大勾配8%。それを経ての下りでもテクニカルな区間があり、最初から最後まで気の抜けないレースとなることは間違いない。

キナンは23日からの競技参戦。23日正午にスタートを切る男子アンダー23に塚本一樹と山本大喜が出場。前週の個人タイムトライアルを快勝した山本大にとっては、日本タイトル2冠をかけてスタートラインにつく。また、2018年2月のアジア選手権でもこの種目を制していて、アジア・日本通じて今シーズン3つ目のビッグタイトルを目指す。レース距離は11周回・156km。

大会最終日の24日午前9時からは男子エリートが15周回・213kmで行われ、山本元喜、中西健児、雨乞竜己、中島康晴、新城雄大の5人が出走。レース全体での獲得標高が約4000mにのぼり、タフな戦いが予想される中でいかにチーム力を発揮できるかが勝敗のカギを握る。

チームにとってはシーズン最大目標として挑んだ5月のツアー・オブ・ジャパン、6月のツール・ド・熊野に続く大きなイベントととして重要視するこの大会。2018年の日本一、そして日の丸があしらわれる日本チャンピオンジャージの獲得にかけて、レースに挑む。

全日本選手権自転車競技大会ロードレース
●6月23日 12:00スタート 男子アンダー23 156km(14.2km×11周回)
302 山本大喜
306 塚本一樹

●6月24日 9:00スタート 男子エリート 213km(14.2km×15周回)
39 中島康晴
41 山本元喜
42 雨乞竜己
43 中西健児
44 新城雄大
※選手名の前の番号はレース時のナンバーカード

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全日本選手権ロードにキナン勢はエリート5選手、U23に2選手が参戦

2018年のロードレース日本チャンピオンを決める全日本選手権ロードレースが島根県益田市で6月22日から24日までの日程で開催され、キナンサイクリングは7選手が参戦する。

全日本選手権ロードに出場するキナンチームのメンバー

23日に行われる男子アンダー23には、前週のタイムトライアルを制した山本元喜が塚本一樹とともに出場。ロードレースではアジアチャンピオンの山本大だが、さらなるタイトル獲得を目指し、タイムトライアルに続く2枚目の日本チャンピオンジャージ獲得をねらう。

大会最終種目として行われる24日の男子エリートには山本元喜、中西健児、雨乞竜己、中島康晴、新城雄大の5選手が出走。前週にタイムトライアルを走った山本元以外の4人は、6月16日にKINAN AACA CUPを走り、それぞれに順調な調整ぶりをアピール。しっかりとコンディションを整え、サバイバル必至のレースへと挑む。

大会は1周14.2kmのサーキットコースを舞台とし、カテゴリーごとに周回数・距離を変動させ、それぞれで日本の頂点をかけて競う。サーキットコースは前半を北東へ、後半を南西へと行き来し、周回前半には長い上りが登場。最大で6%近い勾配が選手たちの脚を試す。さらに周回の中間地点を目前に、「牛の壁」と呼ばれる勾配3.1%の登坂区間が待ち受ける。距離は500mと短いものの、レース本番ではポイントとなることが考えられる。周回後半は下りからの平坦基調。フィニッシュが設けられるコントロールライン手前は緩やかに上っているものの、難易度はそれほど高くないものと見られる。

レース距離は男子エリートが15周回・213.0km、男子アンダー23が11周回・156.0kmに設定されている。

全日本選手権自転車競技大会ロードレース
6月23日 12:00~ 男子アンダー23 14.2km×11周回 156.0km
6月24日 9:00~ 男子エリート 14.2km×15周回 213.0km

大会情報(日本自転車競技連盟公式ウェブサイト内)

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山本大喜がU23タイムトライアル制覇…チーム発足4年目で初の日本チャンピオン

2018年の個人タイムトライアル日本チャンピオンを決める全日本選手権自転車競技ロードタイムトライアルが6月17日、石川県志賀町で行われた。2選手が出場したキナンサイクリングは、男子アンダー23に出場した山本大喜がトップタイムをマークして優勝。チームに初めての日本チャンピオンジャージをもたらした。

山本大喜が全日本選手権個人タイムトライアルU23制覇 ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

数分おきに選手が個別に出走し、フィニッシュタイムを競う個人タイムトライアル。各々の走力がダイレクトに反映され、それぞれの持つパワー、そしてペース配分が勝敗を分ける種目である。2018年は能登半島のほぼ中央部に位置する志賀町に設けられた1周13.1kmのサーキットコースが舞台となった。

そのコースは、おおよそ南北を往復するルート設計。周回中盤に連続するアップダウンが待ち受け、部分的に急勾配となる区間も存在する。またテクニカルな下りもあり、コース取りやバイクコントロールの技術も必要となる。この日の天候は晴れで、コースコンディションは上々。ひと踏ん張りが必要となる復路で向かい風が吹く。そんな中で行われた、ナショナルチャンピオンを決める年1回の大一番、男女計7カテゴリーで争われ、それぞれの勝者には日の丸があしらわれたナショナルチャンピオンジャージを1年間着用する権利が与えられる。

この大会にはキナンから男子エリートに山本元喜、男子アンダー23に山本大喜が出場。ともにシーズン当初から目標に設定していて、チャンピオンジャージ獲得に向けて準備を進めてきた。男子エリートは3周回・39.3km、男子アンダー23は2周回・26.2kmで争われた。

午前9時40分に競技が開始となった男子アンダー23。2周回・26.2kmに18人が出走した。そのうち山本大は14番目でレーススタート。有力選手がひしめく第2ウェーブに振り分けられ、各選手が2分おきでコースへと繰り出した。落ち着いた入りとなった序盤。1周目の中間計測こそ3番手のタイムだったが、そこからペースに乗せていき、繰り返し訪れるアップダウンも難なくクリア。1周目を終えた時点では、トップと約5秒差の2番手につける。

真価を発揮したのは最終の2周目だった。ライバルが軒並みペースの維持に苦しむ中、山本大はさらに攻めの姿勢を見せる。1周目同様にアップダウンを危なげなく抜けると、フィニッシュへ向けてラストスパート。記録は34分14秒23。1周目のラップタイム17分9秒に対し、2周目は17分4秒と、このカテゴリーの出場選手では唯一ラップタイムを上げてみせた。

この結果、2位に13秒差をつけての優勝。男子アンダー23カテゴリーの頂点に立った。そしてキナンにとっても悲願だった日本チャンピオンジャージの獲得。将来を嘱望される大学生との勝負となった山本大だったが、プロ選手としての責任をしっかりと果たす快勝となった。

●男子エリートの山本元喜は11位

大会の最終種目、男子エリートには山本元喜が出場。3周回・39.3kmで争われた日本頂上決戦に挑んだ。競技は午後0時40分に第1走者がスタート。出走29人中22番目、第2ウェーブの最後に登場した山本元は、前走者から1分後にスタート。中間計測では、通過時点で5番手前後のタイムで走行。2周回目はペースを落ち着かせて、終盤勝負に備える。

そして上位進出をかけた最終の3周目。順位のジャンプアップを目指した山本元だったが、暫定5位でのフィニッシュ。タイムは53分10秒63。スピードの落ち込みをとどめ、ほぼイーブンペースで走り切った。その後に出走した第3ウェーブの選手たちが次々と山本元のタイムを上回ったこともあり、最終順位は11位。優勝をねらって準備を進めてきたが、悔しい結果となった。

順位だけ見れば明暗分かれる格好となった両選手だが、それぞれに可能性と課題を認識するレースでもあった。次戦となる、翌週の同大会ロードレースに向けて調整と修正を図っていくこととなる。山本大にとってはロードタイムトライアルの2冠、山本元にとってはタイムトライアルの雪辱を期してロードに挑む。全日本選手権自転車競技大会ロードレースは22日から24日までの日程で、島根県益田市で開催される。キナンのロースター(出場選手)については近日中に発表を予定している。

全日本選手権自転車競技大会ロードタイムトライアル結果
●男子アンダー23(26.2km)
1 山本大喜(KINAN Cycling Team) 34分14秒23
2 石原悠希(順天堂大学) +13秒12
3 中川拳(早稲田大学) +39秒09
4 松田祥位(EQADS) +52秒14
5 大町健斗(Team Eurasia – IRC TIRE) +55秒50
6 小山貴大(シマノレーシング) +1分20秒03

●男子エリート(39.3km)
1 窪木一茂(TEAM BRIDGESTONE Cycling) 50分23秒92
2 近谷涼(TEAM BRIDGESTONE Cycling) +1分2秒68
3 小石祐馬(チームUKYO) +1分30秒09
4 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン) +1分36秒43
5 渡邊翔太郎(愛三工業レーシングチーム) +1分39秒11
6 佐野淳哉(マトリックスパワータグ) +1分42秒81
11 山本元喜(KINAN Cycling Team) +2分46秒71

山本大喜

山本大喜のコメント
今回は自分との戦いだと思い、一定ペースで走ることを心掛けた。レーススケジュールの関係もあり、タイムトライアルに特化したトレーニングは少なめだったが、その中でもできる限りの準備をして本番を迎えられた。調整もうまくいったので、レースではペース配分に注意して、実力を発揮できれば勝てると自信をもって走った。タイムトライアルで勝つことができたが、それ以上に重要視しているのがロード。次のターゲットはアンダー23カテゴリーでのロード日本チャンピオン。しっかりと集中して臨みたい。

山本元喜

山本元喜のコメント
パワーを見ながら走ってはいたものの、中盤から後半にかけて失速してしまったことと、イメージしていた出力に達していなかったことが敗因。思っていたレースとはいかなかった。コースに対応することはできていたと思うが、なによりパワーが足りていなかった。ペース配分も含めて、走り方を見直さないといけない。翌週のロードに向けては、コースを念入りにチェックしながらコンディションと集中力を高めていくことになる。調子は悪くないので、あとはいかに本番にピークを持っていけるかにかかっている。

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