ゲリラ豪雨、猛暑…異常気象に備えてサイクリング

「異常気象が増えています。これからの季節はこれまで以上にお天気の変化に備えて走る必要があります」。ゲリラ豪雨や酷暑。さらにはなにかの問題で日没を迎えてしまったとき。いざという時に備えてどうしたらいいか。埼玉県所沢市の自転車ショップ「バイクプラス所沢店」の宮﨑早香店長が紫外線対策記事に続いて登場。自身の体験をふまえてアドバイスを送ってくれた。

雨でも笑顔で自転車通勤する宮﨑店長

雨中ライドは危険がいっぱい

サイクリングは快晴に限るが、レースやツーリングなど雨でも走らなくてはいけない状況がある。レインウエアを着込んで雨のなかでペダルをこぐ。フードやヘルメットに当たる雨音しか聞こえなくなり、ひたすら前方を見すえながら走る。ちょっと自虐的な世界になるが、最近のレインウエアは耐水圧が高く、透湿性もいいので雨もそれほど悪いものではなく感じるだろう。

ゲリラ豪雨が想定される日はレインウエアを携行するのが基本的な対策だ。メッシュつきのインナー装備なら、悪条件ながら比較的快適に走れるという。貴重品は止水ファスナーつきのジップロックなどに入れる。携行するバッグそのものに防水機能があるとなおいい。また取り外しができるフェンダー(ドロヨケ)を装着して走ることで、路面にたまった水のはね上げをわずかに防いでくれる。前方の視野をできるだけ確保するためにヘルメットのなかにツバつきのキャップを着用。

クルマの接近音も聞き取りにくい状況となるので、晴れのときよりも安全に留意して走るのは当然だ。ブレーキも聞きにくくなるので、スピードも抑えて走る。

「クルマのドライバーから視認されないほどのゲリラ豪雨に遭ったら、素直に止まって雨宿りするのが賢明です。土砂降りになると路面がほとんど見えなくなるので、パンク原因となるものを踏みやすく、豪雨予報があったらその日は乗らないという選択肢も」

雨が降りそうなとき、簡単に装着できるフェンダーもある

また宮﨑店長は、水泳選手などが愛用する吸水性の優れたタオルを携行するのもいいという。コンビニに入店する前に水分をぬぐい取るのもエチケットだ。

帰宅後に愛車の水分をふき取って、注油することも重要だ。

「海岸線で大雨に遭ったとき、帰宅後になにもしなければ確実にチェーンは翌日茶色になっています。ショップスタッフのなかには自転車と一緒にお風呂に入る人もいるんですよ」

防水仕様のサドルバッグ

日が長くても思わぬ展開に備えてライト

この時期は1年で最も日が長いので、心にゆとりをもってサイクリングができる。ただし道を間違えたりパンクなどによって予定よりも帰路が遅くなり、日没を迎えることも想定しておかなければならない。だからライトは必携。そして走行のたびにフル充電が必須。

豪雨に遭うとライト内部に浸水して故障することもあるので、充電池を入れるフタなどをテープでマスキングして対策を施す。走り終わってそのままにしておくとUSBコネクト部などがさびてしまい充電できなくなるので、水分をふき取り乾燥させておく。

また高価なスポーツバイクは盗難に遭うケースもある。目が届かないところに置きっ放しにしないのが原則だが、なにかの事情で自転車と離れる可能性もあるのでキーは必携。

帰路が思いがけず遅くなったときのためにライトは必携

水だけでなく糖質も同時に摂りたい

猛暑時のアウトドアスポーツは水分を摂ることが重要だと言われているが、「コロナ禍でのマスク着用でボトルの水をこまめに口にするのが難しくなりました」と宮﨑店長。信号待ちのときに一気に飲む人が多いが、それではカラダに吸収されにくい。

「休憩で止まって脱水症状に気づいたときには、すでに頭が痛くなっているなどポテンシャルが下降しています。そうならないようにこまめな水分補給が重要です」

ラムネなどのブドウ糖を同時に口にすると吸収が促進されるので、脱水症状を回避しやすいという。

長距離走行のときはボトルを2本携行する。トレイルと呼ばれる山中に入るときは少なくとも2ℓ必要。2本のうち1本は真水を入れておき、手や傷口を洗い流すときに使用する。

バイクプラス所沢店
米国の人気自転車「トレック」を扱うスポーツ自転車専門店。埼玉県の大宮・三郷・戸田・所沢、東京都の多摩、神奈川県横浜市の港北に6店舗を構える。今回は所沢店におじゃました。
埼玉県所沢市北中1-190-4
営業時間:平日13~20時、土日祝12〜19時
定休日:水・木(祝日の場合は営業)
●バイクプラスのホームページ

バイクプラス所沢店

サイクリスト女子は日焼けしたくない…夏ライドはダブル対策

サイクリスト女子にとってこれからの季節の宿敵は強烈な紫外線。UVカット機能を持つサイクリングウエアや日焼け止めクリームを総動員して、大切なお肌をガードしなくちゃ。「夏場は太陽の向きを考えて走るコースさえ変えます」というのは、埼玉県所沢市の自転車ショップ「バイクプラス所沢店」の宮﨑早香店長。紫外線は極度の疲労も誘発するので、その徹底ガード作戦は男性にも役立つはずだ。

腕は焼けやすい部分なのでUVカット機能のある夏用アームカバーでガード

露出減だけでなくダブル対策で

最近の日差しは強烈で、長時間の屋外活動となるサイクリングはその対策が必要になる。とりわけ女性にとっては大事なお肌の大敵で、シミやソバカスの原因になる。「疲労の原因にもなります。急にガクッと体力が落ちて、帰り道は大丈夫かなと不安になることも。翌日の仕事に悪影響を与えないためにも、なるべく露出は少なく、そして日焼け止めクリームを塗るというダブルチェックで行きましょう」と宮﨑店長。

トレックのロードバイクで真夏も元気に走り回る宮﨑店長

肌をできるだけ露出しないウエアを着用することが基本。アイウエアは大きめのレンズのもの。フェイスカバーは耳まで覆うタイプのものを愛用している。いかにムレないかも課題なので、通気性と透湿性を機能追求した自転車専門メーカーのものがおすすめだ。

日焼けしたところとそうでないところの境目ができるのを避けたいという。アイウエアとフェイスカバーでは守れない頬の部分などだ。そのため、汗をかいても落ちにくいスポーツ用で、SPF50+++といった最高レベルのUVカット機能を備えたクリームをまんべんなく使用する。

耳を焼きたくないという宮﨑店長はパールイズミのフェイスカバーを愛用。4180円
夏ライド仕様。さらに日焼け止めクリームもしっかり塗る

「UVカット素材が採用されている夏用ウエアといっても、白いジャージーは紫外線が透過しやすいので、肩から背中にかけて焼けやすいです。ウエアの首部分から手を入れて、できるだけクリームを塗ります」

UVケアクリームは化粧ファンデーションの代わりに下地としてなじませ、「その日の気分で(化粧を)のせます。1人で走るときはのせない(笑)」と告白。

男性用のフェイスカバーもいろいろなタイプが販売されるようになった

宮﨑店長は半袖に夏用アームカバーの組み合わせ。「休憩時にカバーを脱いだときの爽快感がスキ」と言うが、上腕が細い女性は走行中にカバーがズリ落ちてしまい、露出した部分が日焼けしてしまいがち。最近は野球選手のように、ジャージーのなかに着用するUVカット機能つき長袖アンダーウエアがあるので、これで問題解決する。

パンツはヒザ上までのショーツタイプが夏の定番だが、確実に太もも部分がクッキリと日焼けする。こうなると短めのスカートは二度とはけない。そのため宮﨑店長は、足首までガードするUVカット素材の夏用タイツを愛用。「ある年齢になったら脚は見せないのが私のポリシーです」。脚はタイツのUVカット機能にお任せで、クリームは塗らない。

グローブは女性向けのフルフィンガータイプが販売されるが、「指先は意外と焼けないので、暑さを感じない指切りタイプを使っています」(宮﨑店長)。

アフターケアは専用クレンジングで

日焼け止めクリームはポケットに入るものを携行し、休憩のたびに塗り直す。くちびるも日焼けしたくない部分で、リップクリームを頻繁に塗り直す。走り終わったら専用のクレンジングオイルを使ってしっかりと落とすことも女性として重要だ。

潤滑油の和光ケミカルがサイクリスト向けに開発した日焼け止め、アグレッシブデザインが人気

ところで宮﨑店長。クッキリと日焼けしたサイクリスト男子は好きですか?

「うーん、きれいな日焼け跡を見せたがる男性もいますよね。嫌いじゃないけど、白い肌がちょっと痛々しく見えちゃうかな」。世の男性陣、気をつけましょう。

バイクプラス所沢店
米国の人気自転車「トレック」を扱うスポーツ自転車専門店。埼玉県の大宮・三郷・戸田・所沢、東京都の多摩、神奈川県横浜市の港北に6店舗を構える。今回は所沢店におじゃました。埼玉県所沢市北中1-190-4
営業時間:平日13~20時、土日祝12〜19時
定休日:水・木(祝日の場合は営業)
●バイクプラスのホームページ

バイクプラス所沢店

日本サイクリングガイド協会が湘南で基礎講習会を実施

一般社団法人日本サイクリングガイド協会(JCGA )が、ガイド業務に必要な基礎技術をひととおり学ぶことができる体験会的な講習会を2021年度よりレギュラー開催する。ツアー実務経験のない一般上級サイクリストやサイクリング経験に乏しいツアー事業者などを対象に、交通法規、走行技術、公道での引率技術、自転車メンテナンスなどを教える。

一般観光客対象のサイクルツーリズムには専門知識と技術を有するプロフェッショナルなサイクリングガイドが不可欠という同協会は「JCA公認サイクリング検定(JCA検定)」を基軸にその育成と組織化を行っている。一方、JCA検定はツアー実務レベルの技術と経験が求められるため、必然的に未経験者にとってはかなりの難関。そこで基礎講習会を実施することになった。

初回は6月に神奈川県藤沢市で行われる。社会情勢をかんがみ、業務研修参加を主として平日開催となった。

1. 実施概要
(1)開催日程
基礎講習会 A日程:2021年6月 8日(火)〜 9日(水)
基礎講習会 B日程:2021年6月22日(火)〜23日(水)
(2)講習会場    神奈川県藤沢市内 ※会場は参加者のみに開示。
(3)講習主催  一般社団法人日本サイクリングガイド協会(JCGA)
(4)運営協力    リンケージサイクリング株式会社
(5)講習会費用(※A日程・B日程共通)5万5000円
① 講習受講料   4万4000円
② 教材費    5500円 ※「JCGAガイド養成テキスト」を事前に自宅等に郵送
③ 賛助会員年会費   5500円 ※令和3年度分(講習受講確定日〜2022年3月31日
(6)受講定員  各8名  ※申し込み先着順ではなく、受講要件を満たすことが確認できた申し込みを優先。
(7)申し込み期日 A日程=5月31日(月)、B日程=6月14日(月) ※必要書類と費用の完納をもって受付とする。
(8)申し込み    規定の受講申し込み書類一式を以下のJCGA代表アドレス宛にメール添付で送信すること。jcga@cycling-guide.or.jp
※受講要件が確認できた申し込みには、費用入金等の諸手続きを順次案内する。

2. 受講資格/要件:以下をおおむね満たすこと
年齢:2021年4月1日時点で満20歳以上。
JCGA会員規約に同意の上、受講申込をもってJCGA賛助会員となり、講習会以降もJCGA登録サイクリングガイドとして活動する意思がある。
申込時に指定された運転免許証の写しや肖像写真などの個人情報の提供に同意し、登録・申込書式の記載事項には虚偽が一切ない。
誓約書への本人署名をもって、記載事項すべてに同意し、契約上の責任を負う。
普通自動車運転免許保有者であり、日常的な運転により常識的な道路交通感覚を身につけている。
サイクリングの技術と経験 ※公道実習時に自ら引率するのは以下を満たす受講者に限定します。
・一般公道で100km以上の距離を、1日で単独走行できる技術と経験、体力を備えている。
・5人以上での集団サイクリングの経験が複数回ある。
・自転車のタイヤチューブ交換と輪行等の組みばらし作業の経験がある。
適切に整備されたスポーツサイクル:ロードバイクまたはクロスバイク等のオンロード向けバイクが望ましい。E-BIKEは原則的に不可。前照灯/反射板/ベルなどの法定装備は必須。
ヘルメット、グローブ、サイクルウェア、アイウェア(クリアレンズ推奨)、飲料ボトル等、装備一式。
パンク修理や応急整備に対応できる工具一式。
・リンケージサイクリングのレンタルでも参加可能(有料・要事前予約)
健康状態と講習意欲:以下をすべて満たすこと
・サイクリングで他者の安全管理を遂行するに相応しい身体状態
※視聴覚障がい者は眼鏡や補聴器等の補助で他者とのコミュニケーションを円滑に行えること
・2日間連続で延べ24時間におよぶ長時間の講習に無理なく対応できる身体能力および健康状態
・サイクリングガイドを目指す者としてふさしい、積極的かつ真摯な受講態度

3. 講習内容およびスケジュール
講習1日目:6月8日(火) / 6月22日(火)  日の入り19:00
07:45-08:00  受付 ※実走準備を整えて集合
08:00-08:15 オリエンテーリング
08:15-10:15 座学:交通法規の理解と応用、サイクリンクグガイドの技術
10:30-12:00  実技:サイクリングツアー体験(講師引率)ショートコース
12:00-13:00 休憩:昼食(手配弁当 ※実費)
13:00-15:00 実技:技術講習(合図/ハンドサイン、直進、加速・減速、片手走行、振り返り)
15:00-18:00 実技:交通法規引率走行の走行管理(講師引率)ショートコース+Aコース
18:00-18:15  休憩
18:15-18:45 実技:走行前の自転車点検
18:45-20:00 実技:メンテナンス タイヤチューブ交換
20:00-20:15 総括、諸連絡

講習2日目:6月9日(水) / 6月23日(水)  日の入り19:00
07:45-08:00  受付 ※実走準備を整えて集合
08:00-09:00 実技:走行前の自転車点検/ブリーフィング(受講者実演)
09:00-12:00 実技:サイクリングガイド走行(受講者が交代で引率)Aコース
12:00-13:00 休憩:昼食(手配弁当 ※実費)
13:00-14:00 実技:サイクリングガイド走行(講師引率)Bコース
14:00-18:30 実技:サイクリングガイド走行(受講者が交代で引率)Bコース
18:30-18:45 休憩
18:45-20:00 実技:メンテナンス タイヤチューブ交換 
20:00-20:15 総括、諸連絡
※ トイレや補食は、各自で適宜とることができます。
※ 原則的に雨天決行のためレインウェアや防寒対策など各自で適切に準備してください。不安のある方は事前にメール等でご相談ください。
※ 気象状況により講習内容やスケジュールを変更する場合があります。

4. 講習満了後
(1)受講者が引き続きサイクリングガイド技術向上を目指すことを前提に、当協会ホームページ内に「JCGA公認サイクリングガイドTrainee(1または3)」として氏名と居住地を掲載します。
(2)技術や受講態度などから、上位のフレッシュマン/JCA認定を目指す検定講習会にステップアップ可能と講師が現認した受講者については、講師から口頭または事務局からメールで通達します。

●日本サイクリングガイド協会のホームページ

マリオットホテルがサイクリングと宿泊をパッケージ化

軽井沢マリオットホテル、琵琶湖マリオットホテル、コートヤード・バイ・マリオット白馬が「Slow Travel by Cycling」として、家族で気軽に楽しめるレンタサイクル付きの宿泊プランを設定した。豊かな自然に誘われてサイクリングしながら、静かな森の小径を走ったり、おいしいカフェにてひと休みしてみたり。心のおもむくままに、すがすがしい風を感じながら自然の中のサイクリングを堪能できる。

Slow Travel by Cycling

期間 :
2021年5月1日(土)~11月23日(火)
琵琶湖マリオットホテルは2021年4月1日(土)~2022年3月31日(木)※火曜日を除く
内容 :
・レンタルサイクル(1日)
・選べる客室での宿泊
・レストランの夕食、朝食
・マリオットオリジナルサイクルミット(一人1つ)
・スマートフォン固定器レンタル(一組につき1つ)
料金 :
軽井沢 大人1人3万122円~、子供1万9500円~
琵琶湖マリオットホテル 大人1人2万7415円~、子供2万1315円~
コートヤード・バイ・マリオット 白馬 大人1人3万105円~、子供2万25円~
※前日~3日前までの事前予約制。(ホテルにより異なる)
※上記料金は1室2名様利用時のサービス料・消費税込みの料金。 別途入湯税
※上記料金にはレンタサイクル代、 保険料が含まる
※料金は利用日、利用人数により異なる。詳しくはホテルまで

予約・問い合わせ先
軽井沢マリオットホテル
TEL:0267-46-6611 URL: https://www.karuizawa-marriott.com 
琵琶湖マリオットホテル ※子供連れの場合は電話で問い合わせ 
TEL:077-585-6100 URL: https://www.biwako-marriott.com 
コートヤード・バイ・マリオット 白馬
TEL:0261-72-3511 URL: https://www.cyhakuba.com 

中島康晴が地元愛を露呈した細かすぎる福井サイクリング情報

まだ一度も訪れたことのない土地をサイクリングするときは期待と不安でいっぱい。今回は福井県を自転車で走ることに決め、情報収集を開始。自転車で走るのだからその道の達人に聞くのがいいと、福井県勢として国体ロードを連覇したプロロード選手、キナンサイクリング中島康晴キャプテンにおすすめコースを教えてもらった。

キナンサイクリングの中島康晴キャプテンが福井サイクリングスポットを教えてくれた ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

情報収集はその道を知り尽くした達人から

「山と海がコンパクトな福井県の中に凝縮されているんです」

福井平野の南端部にある越前市で生まれ育った中島選手。三方が山に囲まれ、平坦や登坂などさまざまなコース設定が可能なこの町に、今でも住んで練習している。よく走っているのは日本海に面した越前海岸だ。

福井県と言ったらカニ。三国港駅すぐのところに料理旅館望洋楼が直営する食事どころ「越前 蟹の坊」がある

じつは中島選手に教えてもらうまで、福井県は北と南で文化が異なることさえ知らなかった。「ちょっと自転車で走れば景色も食もいろいろな楽しみ方がある」という。

「北は荒々しい日本海が魅力。越中・越後へと続く北陸の玄関口が越前。カニやそばがおすすめ。南は穏やかな若狭湾。京都に近い文化圏で、サバや梅ですね」

通用門というから勝手口のようなものをイメージしていたが、ここが一般観覧者が境内に入るところ。おとな500円、小中学生200円

ツイッターを使って、一般サイクリストからの情報も収集した。
「九頭竜川河口沿いを走り、サンセットビーチを越えて坂を上がると素晴らしい夕日スポットがあります」と@ebizakaさん。「ヒルクライムは六呂師がオススメ。高原からの下りが絶景」とオススメしてくれた人も。普通の観光サイトには掲載されていない、サイクリスト目線の情報が手に入った。

杉の古木に囲まれた大本山永平寺。奥に進むと通用門があるが、自転車は右に向かって進むと渓流脇に駐輪場がある

「もうすぐ北陸新幹線が延伸するので、乗り換えなしでアクセスできる福井にぜひ遊びに来てください。風光明媚な海岸線は平坦でも崖のようにそびえ立つ。山に向かえば上りのコースを組むことができます」と中島選手。

オススメされたポイントは鉄道マニアの中島選手だけに、ちょっと鉄分の多さが気になったが、「嶺北地方」と「嶺南地方」の2回に分けて早春の福井サイクリングをレポートしたい。

けんぞう蕎麦は人気店。ノートに名前を記して呼ばれるのを待つ

中島康晴…福井県代表として国体ロード連覇

2009熊本国際ロードで優勝した中島康晴

▼中島康晴(なかじま・やすはる)
1984(昭和59)年12月27日生まれ。福井県出身。越前市ふるさと大使。2009、2010年と国体ロード2連覇。福井県の道徳の副読本に「夢を持つって楽しいよ」というページに登場している。キナンサイクリングに所属し、2021シーズンはキャプテンを務める。
●twitter
●キナンサイクリングの公式ホームページ

福井入りは新幹線の特大荷物スペースを賢く使う

2020年5月から東海道・山陽・九州新幹線に特大荷物スペースが設定され、指定席とセットで無料予約できるようになった。特大荷物とは3辺合計が160cmを超えるもの。輪行袋に入れた自転車はそれをオーバーしてもスポーツ用具として除外されるが、通路やデッキなどに置くと通行の妨げとなるので、このスペースを確保するといい。

東北・上越・北陸新幹線やJR在来線の特急はこのシステムがないので、各車両最後尾の座席を予約して背もたれの後ろの空間を利用する。今回の福井サイクリングでは北陸新幹線とそれに接続する特急で現地入り。北陸新幹線にはスキー客などが利用する荷物置き場がある。帰路は米原駅から東海道新幹線を使ったので、特大荷物スペース初体験。

福井県がサイクルツーリズムの新聖地を目指す

福井県には「自転車の駅」が整備され、サイクリング途中のトイレや修理をサポートしてくれる。県内のコースもダウンロードできるので印刷して実走時に活用した。

三国サンセットビーチから日本海に没する夕日は格別
あわら温泉の老舗旅館灰屋。離れの部屋には専用露天風呂がある

おすすめの観光ポイントは湖のほとりにある博物館

7万年が深さ45mの堆積層となって凝縮された。要所にQRコードが掲示されているのでスマホで読み取って解説文を確認するとその価値がわかる

サイクリング途中に寄ってはいけない観光スポットの代表が博物館だというポリシーがある。自転車を離れて施設内に入場しなければならないこと(しかもたいていバイクラックはない)、レーパンやレーシングシューズでの拝観がまことにふさわしくないからだ。

三方五湖のひとつ、三方湖のほとりに福井県年縞(ねんこう)博物館は、これまでのポリシーを覆すほど必見の値打ちがある。その意味は第3部「嶺南編」でご紹介。

【福井県サイクリング三部作】
①福井県の走り方(このページ)
②福井サイクリング嶺北編
③福井サイクリング嶺南編

●福井県によるサイクリング情報ページ

黒潮の隠れ家八丈島でヒーリングサイクリングする

八丈スローツーリズム推進協議会が離島における独自性の一つである「癒し効果」を活用し、 太平洋に浮かぶ八丈島を舞台に、コロナ禍に疲れた心と体を整える上質な体験型観光プログラムを構築。サイクリングも積極的に展開していくという。

この体験型観光プログラムはサイクリングなどのウェルネスなアクティビティをベースに、地域の独自性のある歴史、文化、離島の食をテーマに組み込んで提供するもの。ネット上で即座に予約が可能な体制を取り、今後の地域経済効果拡大に大きく資するものとして育成していく予定。

スローツーリズム推進協議会が軸となり、地域が一丸となってさまざまな関連するサービスを巻き込むとともに、サイクリングのインストラクターを地域に養成することにより地域が自走できる体制を目指していく。

今回はモニタツアーを実施し、コロナ禍に疲れた心と体を整える上質な体験型観光プログラムを参加者に体感してもらったという。 

八丈島のサイクリングプログラムは2タイプ

「プロのサイクリングガイドが案内するサイクリングプログラム」と「リーフレットの地図を見ながらセルフガイドで楽しむプログラム」がある。

スピードや距離を競うレース的なアスリート系ではなく、あくまでも八丈島の亜熱帯の空気感を自転車を活用することで五感を使ってより濃厚に感じることが目的。プロのサイクリングガイドが案内するサイクリングとセルフガイドで楽しむプログラムの2種類での検証を実施した。

参加者のコメント
「ステイホームで運動不足だったので、とてもいい気分になれた」
「森のセラピーがこんなに癒されるものとは知らなかった」
「溶岩海岸のアーシング(裸足で大地のエネルギーを感じる)の凄さに気づけた」
「eバイクのサイクリングがとても楽しかった。eバイクがとても欲しくなった」
「新しいサイクリングスタイルスタイル(競争ではない観光を楽しむスタイル)がとても気に入った」
「サイクリングで出かける花の農園、オーガニック農家、レモン農園、ジャージー牧場、ピザ屋さん、蕎麦屋さん、巣箱、サンダルのワークショップへの立ち寄りがとても楽しい」

●八丈スローツーリズム推進協議会のホームページ