初山翔が砂ぼこり舞う未舗装路レース、ストラーデビアンケに初挑戦

NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニの初山翔がイタリア・トスカーナ地方を舞台にしたストラーデビアンケに挑戦する。砂ぼこりが舞う未舗装路レースで、チームにとってのUCIワールドツアー初戦となる。

ストラーデビアンケに参戦するNIPPOチーム

3月に入ってイタリアは本格的なレースシーズンを迎えた。3つのUCIワールドツアーレースが連続して開催されるが、その初戦となるのはトスカーナ地方の美しい街、シエナ近郊で開催されるストラーデビアンケだ。イタリア語で “白い道” を意味するレース名のとおり、たくさんの未舗装路がコースに組み込まれ、選手やチームカーの隊列が真っ白い砂ぼこりを立てて走り抜ける。イタリアの昔ながらのレーススタイルを復元したもので、春のクラシックレースの代名詞、石畳を走るパリ〜ルーベやツール・ド・フランドル同様に、世界中のレースファンに愛されている。

2018年は全11カ所、合計63kmの未舗装路区間(セクター)がコースに組み込まれた。スタート後11km地点に最初のセクターが登場し、砂利道が2.1km続く。もっとも長いセクター5は11.9kmにも及ぶ。丘陵地帯で開催されるためコースにアップダウンがあるのも特徴で、セクター2は平均勾配10%の登坂区間が含まれていて、ここが最初の勝負どころ。

ストラーデビアンケはシエナを発着とする
ストラーデビアンケの高低表。グレーの部分が未舗装路だ

フィニッシュラインはシエナの観光名所 “世界でもっとも美しい広場” と言われるカンポ広場に設定されるが、残り1kmを切ってから広場へ向かうまでに最大勾配16%の壁のような石畳区間も登場し、最後まで見るものを飽きさせない世界屈指の過酷さだ。

現在イタリアは大寒波に見舞われていて、トスカーナ地方も積雪が残っている状態。週末にかけて気温は上昇する予報だが、雨の予報もあって、コースだけでなく天候も厳しいコンディションとなる可能性がある。

初山翔

NIPPO・ヴィーニファティーニ・ヨーロッパオヴィーニはワールドツアーでの経験豊富なシモーネ・ポンツィと、2月よりチームに加入したファンホセ・ロバトの二人を軸に、シクロクロスの現ルーマニアチャンピオンのエドアルド・グロス、タフなレースに強いマルコ・ティッツァの活躍が期待されている。日本人選手は初山翔がメンバー入り。初めて出場するUCIワールドツアーレースで、しかも未舗装路が組み込まれたコースに挑むのも初めて。

チャレンジ精神を胸に未知なるレースに挑む初山は、「レースのレベルもタイプも未知の世界だが、貴重な経験を無駄にしないように全力を尽くして走りたい」とコメント。

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ストラーデビアンケ…イタリアの「白い道」を走破する美しきレース

世界にはいろいろなロングライド(長距離サイクリング)イベントがある。3月3日と4日にイタリア中部で開催されるのは「ストラーデビアンケ」だ。イタリア語で「白い道」という意味で、未舗装路を含む丘陵コースを走破するのが特徴。白っぽい砂利道なので路面から白い埃が舞い上がる。それがレース名の由来だ。

2017ストラーデビアンケ。©LaPresse/Fabio Ferrari

3日にはこのルートで世界最高カテゴリーのプロレースがあり、翌日には5000人の参加者が白い道に挑む。プロと自分の実力を同じ物差しで測ることができるのが魅力。

イタリア中央部にあるローマよりもちょっと北。州都フィレンツェとともにトスカーナ州の代表的な古都であるシエナ。その周辺にはオリーブ畑の広がる美しい丘陵地があり、サイクリングするには絶好の環境だ。農作業などのために使用される道は、踏み固められているものの未舗装路。そんな道をつなぎ合わせるようにして舞台設定した自転車レースが、ストラーデビアンケだ。

イタリア・トスカーナ地方の未舗装路を走る。©LaPresse/Fabio Ferrari

プロロードレースとしてのストラーデビアンケは2017年からUCI(国際自転車競技連合)ワールドツアーという最高カテゴリーに昇格。主要大会の多くが100年以上の歴史を有するのに比べ、ストラーデビアンケは2018年で12回目の開催となる。男子レースは総距離184kmで、そのうち未舗装路は11カ所、合計63kmになる。レースはシエナからスタートし、周辺の丘陵地を走ってシエナに戻り、最後は激坂を上って町の中心となるカンポ広場にゴールする。

長距離サイクリング大会はイタリアでは「グランフォンド」と呼ばれる。一般参加のストラーデビアンケはジロ・デ・イタリアを主催するRCSスポルト社が運営する人気イベントで、引退したプロ選手らも参加した。要所に補給地点が設けられ、着順を争うトップ選手以外はマイペースでゴールを目指す。

一般の人も参加できるストラーデビアンケ・グランフォンド。©LaPresse/ Gian Mattia D’Alberto

2017年も5000人の参加者が砂利道に挑戦したのだが、この日は雨模様で参加者は泥まみれ。しかしゴール後は地元食材を使ったパスタがふるまわれ、参加者にも笑顔が戻った。こうしたロングライドイベントは、プロレースの激闘で使われるコースをゴールしたという達成感とともに、食や交流といった旅情も味わえるのが魅力。

ツール・ド・フランスの主催社ASOもプロレースとまったく同じコースを使った一般参加イベント「エタップ・デュ・ツール」を毎年開催している。日本からも参戦ツアーが催行するなどで足慣らしに挑戦する愛好者もいる。「自分が苦しんだコースをプロはとんでもないスピードで疾走していく。彼らのスゴさとともにツール・ド・フランスの過酷さを肌で感じることができる」と参加者。

2017ストラーデビアンケの女子レースはエリーザ・ロンゴボルギーニが優勝。©LaPresse/ Gian Mattia D’Alberto

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