アデュー、ボワチュールジョーヌ…マヴィックがシマノにエール

2021ツール・ド・フランスから、チームの分け隔てなく公平な立場でメカニックサポートをこなすニュートラルアシスタントが日本のシマノになる。これまでツール・ド・フランスの象徴的な役割を担ってきたフランスのマヴィック社は、さみしさをわずかににじませながらもシマノにエールを送った。

2019パリ〜ツール ©A.S.O. / Bruno BADE

1973年のパリ〜ニースで、自転車の車輪を主に製造していたマヴィック社は初めてその象徴的な黄色いニュートラルアシスタンスカー、ボワチュールジョーヌを走らせた。チームや所属選手の国籍、順位や成績に関係なく、集団を中立的にサポートしていく。その役割は世界中のサイクリングイベントの礎となった。

ツール・ド・フランスの沿道で黄色い車がやってくれば、それはマヴィックだとだれもが分かった。フランス国民のみならず、世界中の自転車ファンから愛され続けてきたボワチュールジョーヌ。2021年からツール・ド・フランスをはじめとするASO主催イベントでは大阪府堺市の自転車パーツメーカー、シマノに変わる。ニュートラルカーは黄色から青色に変わることになる。

ボワチュールジョーヌに同乗取材

ツール・ド・フランスで選手たちの後ろを伴走する車両隊列の中で、一番目立つのが黄色いボワチュールジョーヌだ。これまでも何度かステージのスタートからゴールまで同乗させてもらったことがあるが、直近では2014年の最終日、パリ・シャンゼリゼで乗車する機会を得て、彼らの仕事ぶりをチェックすることができた。

2019フレーシュワロンヌ女子レース ©A.S.O. / Thomas MAHEUX

2020年までのツール・ド・フランスでは、出場22チームは2台のサポートカーが選手団の近い位置で追従することが許されていて、パンクなどの機材故障に対応している。こうしたチーム所属のサポートカーとは別に、黄色いボディのサポートカーを帯同させるのは国際規定で定められている。これがチームの分け隔てなく公平に機材故障に対応するという任務を持ったニュートラルアシスタンスカーだ。

フランスのマヴィック社はシマノのようにあらゆるパーツを開発・販売する規模ではなく、かつては変速機やクランク周辺部など、現在も車輪やアパレルなどに特化して製造する。企業規模としては小さいが、ASOとともに大会を育んできた実績と貢献度は計り知れない。これまでツール・ド・フランスにとってマヴィックは協賛企業ではなく、協力企業という特別の立ち位置でもあった。

フランス語で「黄色いクルマ」という意味の「ボワチュールジョーヌ」はいつの間にか沿道の人気者に。オートバイ型の「モトジョーヌ」もマヴィックが走らせているもので、その役割と人気ぶりは同じだ。

2018ツール・ド・フランスで崖下に転落したフィリップ・ジルベールを救助 ©A.S.O. /Pauline Ballet

ボワチュールジョーヌは運転手のほかに後部座席に敏腕メカニックが乗車し、いつでもトラブルに対応できるように待ち構えている。クルマの屋根には交換用の車輪と自転車がズラリと搭載されているのだが、チームによって使用するパーツメーカーが異なるので、全チームの使用機材の互換性を頭の中にたたき込んで、瞬時に対応できるようにしている。いわばプロ中のプロである。

コンコルド広場に停車したボワチュールジョーヌ

その出番はいつも突然やってくる

彼らの出番はラジオツールと呼ばれる車載無線で指示される。

「ボワチュールジョーヌ、先頭集団で○○チームの選手がパンク!」

指示が入るや、「あのチームの後輪はカンパニョーロの11段変速だ」などと判断し、現場に急行するや適合する車輪を選択して交換する。

車輪の交換はひんぱんにあるが、ボワチュールジョーヌが自転車を交換することはほとんどない。使用するペダルの形状がチームによってバラバラで、これに選手の体格によってフレームサイズの違いが加わるからだ。1秒を惜しんで前を走る集団に追いつきたい選手を前にして、ペダルを交換しているなんてヒマはない。こういった場合はチームカーの到着を待つのがほとんど。

大観衆が沿道を埋め尽くしたシャンゼリゼ通りを先頭で走る

助手席にはステージごとにスポンサーなどのVIPが乗る。世界各国の営業面でのキーパーソンやメディアなどの名前が予約リストに掲載されている。競技のうえでなくてはならない存在なのかもしれないが、同時進行で社交が展開されている。このあたりが伝統に裏打ちされた文化であることがうかがえる。

ニュートラルカーとチームカーの役割

自転車レースでは選手がアタックして先頭集団とメイン集団に分かれた場合、一定のタイム差が開くと審判がサポートカーに無線で先頭集団の後ろに位置するように指示を送る。先頭集団が所属するチームのサポートカーが後ろに着くことを認められるのはタイム差が2〜3分になってから。2分以内は各チームのサポートカーではなくマヴィックのニュートラルアシスタンスカーがつなぎ役として先頭集団の後ろに着く。タイム差が1分を切ると、2つの集団が合流する可能性が高くなったと判断して、すべてのサポートカーが元の位置に戻される。

また選手後方で隊列を組む関係車両の中でも目印となっている。隊列はディレクターカー、医療車に続いて、出場22チームの第1サポートカーが前日の成績順に並び、ボワチュールジョーヌをはさんで第1サポートカーが同様に並ぶ。レース途中はメカトラブルや選手へのボトル渡し、アタックした選手への追従が認められるなどで混とんとした状態となるが、一段落し手元の位置に戻る場合はこのボワチュールジョーヌが目印になるのだ。

ボワチュールジョーヌの助手席より

ボワチュールジョーヌに乗ってシャンゼリゼの特設サーキットを体験した。世界で最も華やかだと言われるこの大通りだが、細身のタイヤをはいたロードバイクで走ることをまず想定していないと思った。鏡面のようなアスファルトではなく、石畳なのだ。しかもエトワール凱旋門に向かってゆるやかに上っている。選手たちはここを時速50kmで突っ走るのだから信じられない。

選手と同じ景色を体感

ゴールはフランス革命で断頭台が置かれたコンコルド広場からシャンゼリゼの直線路に突入する。このときのスピードは時速70kmにもなるはずだが、コーナーがかなりタイトで視覚的に針の穴に突入するような感じだ。最速の走行ラインは1本しかない。それを手に入れるためにアシスト陣を使って高速列車を走らせる。華やかさだけではない、大変なフィナーレだ。

選手たちがゴールしたら、真夏のフランスを駆け抜けた23日間の夏祭りも終わり。黄色うウエアに身を包んだマヴィックのメカニックたちがコンコルド広場の片隅で仕事を終えた充実感に満ちた面持ちでたたずんでいたのが心に残った。

ボワチュールジョーヌのフロントガラス越しに。シャンゼリゼに凱旋した選手のタイミングをはかってフランス空軍が戦隊飛行でフィナーレを演出

最後のコメントは「ボンシャンス、シマノ」

マヴィックが48年にもおよぶツール・ド・フランスでのメカニックサポートを終えた。ASOとの契約は途絶えたものの、スポーツとサービスへの情熱、そして勝利を求めて考えは変わらないという。マヴィックはすべてのサイクリストのためにこれからもこの世界の真ん中で存在していくとコメント。

そして最後に「ボンシャンス=幸運を! シマノ」と結んでいる。

●マヴィックのホームページ

2021ツール・ド・フランス出場チームは1増の23チームに

2021年6月26日から7月18日まで開催される第108回ツール・ド・フランスの出場チームが発表された。ジロ・デ・イタリアとブエルタ・ア・エスパーニャを含むグランツール3大会は、新型コロナウイルスの状況下でチームの出場機会が減少しているることから、国際自転車競技連合が1チーム増の23チーム、出場184選手とした。

2020ツール・ド・フランス第10ステージはフランス西海岸を走った ©A.S.O. Pauline Ballet

ツール・ド・フランス出場チームはUCIワールドツアーチームの19と、前年のプロチームランキング1位が自動的に出場権を得ていたが、今回の規定変更にともない、ワイルドカード(主催者推薦)枠が2チームから3チームに。フランスチームのB&BホテルズKTM、アルケア・サムシック、トタル・ディレクトエネルジーが選出された。

●2021ワールドツアー19チーム
AG2Rシトロエン(フランス)
アスタナ・プレミアテック(カザフスタン)
バーレーンビクトリアス(バーレーン)
ボーラ・ハンスグローエ(ドイツ)
コフィディス(フランス)
ドゥークニンク・クイックステップ(ベルギー)
EFエデュケーションNIPPO(米国)
グリーンエッジ(オーストラリア)
グルパマFDJ(フランス)
イネオス・グレナディアス(英国)
アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ(ベルギー)
イスラエルスタートアップネーション(イスラエル)
ユンボ・ビスマ(オランダ)
ロットスーダル(ベルギー)
モビスター(スペイン)
DSM(ドイツ)
ケベカアソス(南アフリカ)
トレック・セガフレード(米国)
UAEエミレーツ(UAE)

●2020プロチームランキング1位
アルペシン・フェニックス(ベルギー)

●ワイルドカード
B&BホテルズKTM(フランス)
アルケア・サムシック(フランス)
トタル・ディレクトエネルジー(フランス)

●ツール・ド・フランスのホームページ
●ツール・ド・フランス特集サイト

シマノがツール・ド・フランスのニュートラルアシスタンスに

2021年3月に創業100周年を迎える大阪府堺市の自転車パーツメーカー、シマノツール・ド・フランスのニュートラルメカニックを担当することになった。これまでフランスのマビック社がこれを務めていたが、2021年からニュートラルカーは黄色から水色に変わる。

シマノはすでにブエルタ・ア・エスパーニャでのニュートラルアシスタンスを務めているが、今回のシマノとASOの合意によりツール・ド・フランスはもとより、パリ〜ルーベ、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ、フレッシュワロンヌ、パリ〜ツールなどの有名なクラシック、さらには一般参加イベントのエタップ・デュ・ツールなどASOが運営するすべての自転車レースやイベントをシマノがサポートすることになった。    

シマノは1921年、堺の町工場として自転車のギヤ製造を始めた。1970年代から欧州ロードに打って出て、日本人メカニックをロードレースの本場に派遣。カンパニョーロ社などの伝統メーカーに苦戦しながらも、得意とする機能路線で世界最強の自転車メーカーに成長していく。

今回のパートナーシップでシマノは、20年にわたるニュートラルサポート経験とノウハウを活用して、出場選手が使用するパーツブランドに関係なく、ASOが運営するレースのすべての選手を公平にサポートし、バイクのトラブルに対応していく。

シマノの象徴的なイメージカラーは水色(ブルー)で、すべてのASOワールドツアー、コンチネンタル大会、ウィメンズレースでニュートラルサポートカーのボディを飾り、クラッシュやメカニカルトラブルが発生した場合に、選手ができるだけ早くレース復帰できるように支援するのが任務となった。 

●ツール・ド・フランスのホームページ

J SPORTSが2021年もツール・ド・フランスなど放送へ

国内最大4チャンネルのスポーツテレビ局、ジェイ・スポーツがサイクルロードレース2021シーズン海外主要レースの放送ラインアップを発表した。J SPORTSオンデマンドでも配信される。J SPORTSの2021年サイクルロードレース中継初日となる2月2日のサウジツアー 第1ステージはスカパー!で無料放送、J SPORTSオンデマンドでも会員無料配信される。

J SPORTSは新型コロナウイルスの影響により中止が決定したツアーダウンアンダーに代わり、初放送となるサウジツアーから2021シーズンのサイクルロードレース中継を開始する。6月26日に開幕する世界最高峰ロードレースのツール・ド・フランスをはじめ、世界トップレベルのUCIワールドツアーを中心に、2020シーズンよりも多くのレースの中継を予定している。

3月からは栗村修氏、サッシャ氏の“我らファミリー”が登場するサイクルロードレース情報番組「我らワールドのサイクルロードレース観戦塾」やワールドツアーを中心にレースのプレビュー、レビューを行う「月チャリ~#jspocycle NEWS~」も引き続き放送、配信していく。

さらに1月から3月にはレース中継、情報番組に加え、選手やチームについてより深く知ることのできるドキュメンタリー番組4本の放送、配信も予定している。

ドキュメンタリー番組の予定

J SPORTS では1月から3月にかけて4本のドキュメンタリー番組の放送、配信を予定。最初に放送するのはベルギーの英雄、トム・ボーネン氏のファンを追ったドキュメンタリー「”ボク”の大好きなトム・ボーネン」。現役最後のレースとなった2017年のパリ~ルーベに出場するボーネン氏の雄姿を見届けるべく石畳に繰り出す2人のファンに密着する。

続いて2020年に大好評だった「ユンボ・ヴィスマ特集」の続編2本。2019年のツール・ド・フランスで負った怪我を乗り越えて、2020シーズン、常にレースシーンの中心にいたワウト・ファンアールトの復活の軌跡を描いた物語と、ツール・ド・フランスで惜しくもマイヨジョーヌを逃したチームのエース、プリモシュ・ログリッチが異例のシーズンを締めくくるブエルタ・ア・エスパーニャで栄冠を掴むまでのチームの裏側に迫った物語を放送。

3月にはドゥクーニンク・クイックステップに密着したドキュメンタリーも放送、配信予定。レース中継では見られない選手、チーム、そしてサイクルロードレースの魅力に迫った番組が楽しめる。

●J SPORTSの番組詳細サイト

2021シーズンのレース放送予定

2021年1月8日時点で放送が決定している大会のみを掲載。追加・変更は随時J SPORTSサイクルロードレース特集サイトで発表。

●J SPORTSの番組詳細サイト

エタップ・デュ・ツールは試練にくじけない! 2021年はリベンジニース

ツール・ド・フランスの1区間を走る人気イベント「エタップ・デュ・ツール・ド・フランス」は、2021年で30回目の開催となるが、新型コロナウイルス感染拡大により開催できなかった2020年のニース発着のコースで行うことを発表した。

2020ツール・ド・フランス第2ステージと同じコースが2021エタップ・デュ・ツールの舞台となる ©A.S.O. Alex Broadway

2020年にエントリーしたものの大会中止によって参加できなかった選手は無料で出場できる措置が取られた。新たにエントリーする選手も受け付ける。

ツール・ド・フランスの1区間を一般サイクリストが走る人気イベント、エタップ・デュ・ツール・ド・フランスは30回目の開催となる2020年、7月5日にニースを発着とする177kmで開催される予定だった。1万6000人の参加枠はエントリー開始後すぐに満員になった。

しかしコロナ禍によって、まずエタップ・デュ・ツールが開催中止に。さらにツール・ド・フランスそのものも2カ月延期となった。エタップ・デュ・ツールが行われるはずだったニース発着のツール・ド・フランス第2ステージは8月30日に開催を実現。

ドゥークニンク・クイックステップのジュリアン・アラフィリップ(フランス)がマルク・ヒルシ(スイス、サンウェブ)、アダム・イエーツ(英国、ミッチェルトン・スコット)とのゴール勝負を制して優勝した。アラフィリップはこの日、総合成績でも首位に立ち、マイヨジョーヌを獲得している。

コロナ禍だけでなく大自然の猛威も追い打ちをかけた

アラフィリップがアタック。ヒルシがマークする ©A.S.O. Alex Broadway

そして2021年へ。ツール・ド・フランスのコースはコロナ禍で大どんでん返しとなった日程と開幕地を11月1日夜(日本時間は2日早朝)に発表した。公式サイト上で同日に2021エタップ・デュ・ツールのコースも明らかにされた。30回の大会の中で初めて、その年のツール・ド・フランスのルートを採用せず、2020年に実現できなかったニース発着の第2ステージを改めてエタップ・デュ・ツールのコースとしたのである。

主催者ASOがこれまでのエタップ・デュ・ツールの醍醐味を修正してまで、1年前のコースにこだわったのにはワケがある。

2019エタップ・デュ・ツール ©A.S.O. Aurélien Valatte

2020年の第2ステージのコースとなった山岳エリアのベスビー渓谷は、10月にこの地域を襲った大嵐「アレックス」によって壊滅的な被害を受けた。エタップ・デュ・ツールのコース発表時も道路はまだ復旧されていなかったという。ベスビー渓谷にある村々は、この災害の傷跡が何年もの間消えることはないと予測されるほど被害は甚大なものだった。

「しかし、人生を少しずつ再建するために、私たちはニース市とともにエタップ・デュ・ツールを当初計画のとおりに実現できるように努力するべきだ」と主催者ASO。

エタップ・デュ・ツール・ド・フランスのコース高低表

2020年にエントリーした参加者は、引き続き登録が優先される。出場を断念する場合は、払い込んだ参加費が返金される。新たに参加を希望する選手は、事前登録することが必要。フランスは2020年11月末現在、ようやく新型コロナウイルスの第二波のピークを越えたものの、依然予断を許さぬ状況にある。大会の正式開催決定を待つことになる。

●エタップ・デュ・ツールのホームページ

コロナ禍にほんろうされる2021ツール・ド・フランス分析

2021年に開催される第108回ツール・ド・フランスのコースが発表された。東京五輪が1年延期された影響で、当初計画していたデンマーク開幕を断念。6月26日にブルターニュ半島最西端のブレストを出発し、前半にアルプス、後半にピレネーを越える。全23日間、総距離3383km。悪魔が棲む山モンバントゥーを2回上るのが見どころ。

ここが地の果てブレスト © LE MEN Nicolas

コロナ禍で大どんでん返しとなった日程と開幕地

フランスで「地の果て」と呼ばれるブレストで開幕するのは2008年以来。奇抜なコース設計をせず、右回りにフランスを一周する。プロバンス地方が舞台となる第11ステージは「悪魔の棲む山」として恐れられるモンバントゥーを2度上る。個人タイムトライアルは第5ステージと、最終日前日にある第20ステージ。山岳スペシャリストが得意とする頂上ゴールは、第9ステージのティーニュ(アルプス)、第17ステージのサンラリースランと第18ステージのリュザルディダン(ともにピレネー)。7月18日にパリにゴールする。

2021ツール・ド・フランスのコース

当初はデンマークのコペンハーゲンで開幕するはずだったが、東京五輪とサッカー欧州選手権が1年延期となったことで状況が一変。コペンハーゲンは欧州選手権3試合の会場で、同時期に2つの国際大会を運営・警備することが困難と判断。ツール・ド・フランス開幕地を返上した。これを受けてブルターニュ地方が開幕地を名乗り出た。コペンハーゲンは2022年にツール・ド・フランス開幕地となる。

総合1位のタデイ・ポガチャル ©A.S.O. Alex Broadway

「3つの頂上ゴールがあるけど、もっとあってもいい」と2020年の総合優勝者タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)は、コロナ禍のためにセンセーショナルなコース設計を避けた大会を分析する。

「勝負となるのは後半のピレネー。2019年のブエルタ・ア・エスパーニャで1勝したところで、総合3位にもなれた。しっかりと準備をしたい」

モンバントゥー
2021ツール・ド・フランス第11ステージ(クリックすると拡大します)

第二波で直前に発表会中止のハプニング

コース発表は当初、10月29日午前11時30分にパリ国際会議場に多くの選手や自治体首長を集めて行われ、インターネットを駆使して全世界にライブ配信されるはずだった。ところが前日午後8時にマクロン大統領がテレビ出演し、新型コロナウイルス感染拡大の防止策として二度目のロックダウンを通告。発表会は中止となり、11月1日夜(日本時間は2日早朝)に大会最高権威のクリスティアン・プリュドムがフランステレビジョンに出演して発表した。

直後に東京五輪があることを忘れてはならない

2021年はコロナ禍によって1年延期となった東京五輪が開催される。五輪の慣例として自転車男子ロードは大会初日に行われることから、ツール・ド・フランスは7月23日に開幕する東京五輪との日程重複を避けるため、通常よりも開催を1週間前倒した。2020年に引き続いて2021年も同様に五輪に配慮した。

パリにゴールしてから中6日で東京五輪が行われることになるが、日本代表に内定している新城幸也(バーレーン・マクラーレン)は次のようにコメント。

「来年の最大の目標は東京五輪だが、チームから打診されればツール・ド・フランスも走る。今年も1週間後に開催された世界選手権でジュリアン・アラフィリップが優勝しているのだから、不利にはならないと思う」

ブルターニュ地方は文化も気候も英国的

●2021ツール・ド・フランスのコース
6月26日 第1ステージ ブレスト〜ランデルノー 187km★
6月27日 第2ステージ ペロギレック〜ミュールドブルターニュ 182km★
6月28日 第3ステージ ロリアン〜ポンタビー 182km
6月29日 第4ステージ ルドン〜フジェール 152km
6月30日 第5ステージ シャンジェ〜ラバル・エスパスメイエンヌ 27km(個人タイムトライアル)★
7月1日 第6ステージ ツール〜シャトールー 144km
7月2日 第7ステージ ベルゾン〜ル・クルーゾ 248km★★
7月3日 第8ステージ オヨナ〜ル・グランボルナン 151km★★★
7月4日 第9ステージ クルーズ〜ティーニュ 145km★★★
7月5日 休日
7月6日 第10ステージ アルベールビル〜バランス 186km
7月7日 第11ステージ ソルグ〜マロセーヌ 199km★★★
7月8日 第12ステージ サンポールトロワシャトー〜ニーム 161km
7月9日 第13ステージ ニーム〜カルカッソンヌ 220km
7月10日 第14ステージ カルカッソンヌ〜キラン 184km★★
7月11日 第15ステージ セレ〜アンドラ・ラビエイユ 192km★★★
7月12日 休日
7月13日 第16ステージ パスデラカセ〜サンゴーダン 169km★★
7月14日 第17ステージ ミュレ〜サンラリースラン 178km★★★
7月15日 第18ステージ ポー〜リュザルディダン 130km★★★
7月16日 第19ステージ ムラン〜リブルヌ 203km
7月17日 第20ステージ リブルヌ〜サンテミリオン 31km(個人タイムトライアル)★
7月18日 第21ステージ シャトゥ〜パリ・シャンゼリゼ 112km
★は難易度

🇫🇷ツール・ド・フランス特集サイト
🇫🇷ツール・ド・フランス公式サイト