【ツール・ド・フランス現場雑感】アルプス滞在最後の夜くらいは

ポガチャル、最悪のバッドデー…ビンゲゴーに総合で7分35秒差

第110回ツール・ド・フランスは7月19日、サンジェルベ・モンブラン〜クーシュベル間の166mで第17ステージが行われ、AG2Rシトロエンのフェリックス・ガル(オーストリア)が独走し、初出場で金星をつかんだ。

ポガチャル、プロ生活で最悪の1日 ©A.S.O. Pauline Ballet

総合成績では首位ヨナス・ビンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ビスマ)が、総合2位タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)に5分45秒の大差をつけてゴール。総合成績では7分35秒差となり、大会2連覇に大きく前進した。

アルプスでのし烈な戦い ©A.S.O. Pauline Ballet
ユンボ・ビスマがマイヨジョーヌ集団をコントロール ©A.S.O. Pauline Ballet
ポガチャルがビンゲゴーについていけたのはここまでだった ©A.S.O. Pauline Ballet
山岳賞ジャージを着るチッコーネ ©A.S.O. Pauline Ballet
フェリックス・ガルが初出場で初優勝 ©A.S.O. Pauline Ballet

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)ヨナス・ビンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ビスマ)
マイヨベール(ポイント賞)ヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック)
□マイヨブラン(新人賞)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)

マイヨジョーヌを確実に守ったビンゲゴー ©A.S.O. Pauline Ballet

ホテルは値段相応…そして早めに予約するのが正解

街道筋のエアコンもない古びたホテルで一泊。明け方になってクルマの通行が増えてきたころには窓も閉めようと思えるほど外気も冷えてきました。さすがに連日の高地ラン練習で身体が消耗しているため、この日は散歩。街道ではない方向に歩いていくと、オートバイのダートコースがあり、その横の川沿いに気持ちよさそうなサイクリングコースが通っていました。

これまでで最もプレスセンターらしくないプレスセンター

こんなところを自転車で走れたらいいですよね。おそらくアルベールビルからシャンベリーまで、反対側に行けばアヌシー湖まで走っていけるはずです。周囲は林間部なので夏でも太陽光がさえぎられ、熱中症にもならないと思います。

街道筋の、かつては栄えていたかもしれないホテル

すでにこの日のコースの半分まで来ているので、いったんアルベールビルまで戻り、そこからもう何度もクルマで走ったことのあるN90号線を南下。つまりアルプスの奥、ムーティエへ。ここからコースとなりますが、このコース沿いにこの日のホテルがあるので、予約確認のためにいったんフロントに顔を出しておきました。

2023ツール・ド・フランス第17ステージ ©A.S.O. Charly Lopez

フランス入りするまで日程終盤のホテルを取っていなかったので、すでに手ごろなホテルは満室。この日は宿泊費1万7000円ですが、遠いところまで行くのも大変だろうとお金で解決しました。外見は古びていますが、水回りはきれいに改装されいるのが金額の高いホテルの特徴。とりわけシャワースペースがカーテンではなく、ガラスで覆われているのがありがたいです。カーテンって肌にまとわりつくので気持ちいいものではないですからね。

コース途中にこの日のホテルがあったので、念のため顔を出して予約確認

プレスセンターはスキーのジャンプ競技場。ノルディックではないですが、クーシュべルは2023年2月にアルペンスキーの世界選手権を開催したところです。レースも中盤のまったりしているころ、ジャンプ会場の人工芝にスプリンクラーで水が撒かれ、女子選手が練習を始めたので、取材陣も興味津々。まさにスキーリゾートでの夏場の戦いです。

今年はアルプスでの滞在が長く、かれこれ6日目。酷暑の日本のみなさんには申し訳ないですが、昨日をのぞいてほぼ快適に過ごしています。

練習が始まったんですけど…

ホテルにはプールがあって、その横のテラス席がレストラン。これまでスペイン、ポツンと一軒宿の夕食、ムール貝のレオン・ド・ブリュッセル、来来軒、、ベトナム料理の外食でしたが、アルプス最後にようやくフランス料理。

フランス料理の定義は、食後に「チーズは?」と聞かれればフランス料理です。

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【ツール・ド・フランス現場雑感】アルプスで至福の時を過ごす

ビンゲゴーが驚異的トップタイムでポガチャルとの差を1分48秒に

第110回ツール・ド・フランスは7月18日、パシ〜コンブルー間の22.4kmで第16ステージとして個人タイムトライアルが行われ、首位のヨナス・ビンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ビスマ)がトップタイム。10秒遅れの総合2位タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)は1分38秒遅れの区間2位だった。この結果、ビンゲゴーはライバルとの差を一気に1分48秒に広げ、連覇に一歩前進した。

マイヨジョーヌのビンゲゴーがトップタイム ©A.S.O. Charly Lopez
タデイ・ポガチャルがゴール後に落胆の表情を見せる ©A.S.O. Pauline Ballet
区間3位のワウト・ファンアールト ©A.S.O. Pauline Ballet
ローラン・ピション ©A.S.O. Charly Lopez
クインテン・ヘルマンス ©A.S.O. Charly Lopez
バランタン・フェロン ©A.S.O. Charly Lopez
タデイ・ポガチャル ©A.S.O. Pauline Ballet

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)ヨナス・ビンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ビスマ)
マイヨベール(ポイント賞)ヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック)
□マイヨブラン(新人賞)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)

マイヨジョーヌのヨナス・ビンゲゴー ©A.S.O. Pauline Ballet

大自然の中にたたずんでいるとすべてが報われる気がした

23日間の大会に国際規定として義務づけられた2回の休息日。最初のクレルモンフェランもそうでしたが、2回目のここサンジェルベ・モンブランも4日間のお祭りとなりました。どちらも日曜日に当地にゴール。翌日が休息日。火曜が近隣でレース。そして水曜にその町をスタートしていきます。主催者が今回初めて取り入れた興行施策ですね。

ホテルの部屋着は作務衣。現在午後10時

今回はモンブラン直下の山小屋に2連泊したのですが、よく考えてみるともう1泊してもよかったですね。序盤に宿泊した「ポツンと一軒宿」と同様にオーナーは英国人。チェックイン時に、「それでは明日の朝ごはんで」と突き放され、そうはいってもわが家のようにキッチンの冷蔵庫を使ったり、芝生の真ん中にある板張りのテラスでチェアに座って山々をながめていたり。

朝のラン練習で見つけた景観

朝食は午前8時くらいにボクが先陣を切ってダイニングに座り、フレークを含めた朝ごはんが始まるといったスタイルでした。卵料理は必ず目玉焼きで、それでもおいしかったです。

3日連続のプレスセンターとなったサンジェルベ・レバンからの景観

前日の夕方はチェアに座って、乾いた風を感じながらアルプスをながめるだけ。これまでの苦労をつくづく思い返していました。大変なこともありましたが、こうして気持ちいい空気に包まれながら大自然の中にたたずんでいるとすべてが報われる気がしました。

標高は高いが直射日光は厳しく、大型テント内は暑い

さて第16ステージのホテルは一転して、36年前の苦労が蘇るようなところ。まず、案内された部屋がクリーニングされていなくて、あわてて別の部屋をあてがわれました。小さなシングルからダブルベッドに昇格したのはいいんですが、テレビが壊れている。ブラインドが壊れている。そしてエアコンが無いので扇風機。コンセントが1カ所だけなので扇風機をつけているときは充電できず。

アルベールビルからアヌシーまで走りに行けるのだ

まあ、シャワーのお湯も出るし、36年前にモンテリマールの街道筋にあるさびれた宿に泊まったときよりもマシでした。とにかく今は大抵のホテルはWiFiがしっかり接続できるので、SNSで日本のみなさんの励ましも読むことができるのです。

アルベールビルに走りやすそうなサイクリングルートがあった
マチュー・ビュルゴドー ©A.S.O. Charly Lopez

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【ツール・ド・フランス現場雑感】山小屋の部屋からモンブランが見える!?

アシスト役を務め続けたプールスが35歳で夢を叶えた

第110回ツール・ド・フランスは7月16日、レジェ・レ・ポルトデュソレイユ〜サンジェルベ・モンブラン間の179kmで第15ステージが行われ、バーレーンビクトリアスのワウト・プールス(オランダ)が初優勝。

スカイでアシスト役を務めたプールスが自分の勝利のために走る ©A.S.O. Pauline Ballet

総合成績では首位ヨナス・ビンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ビスマ)が10秒遅れの総合2位タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)のアタックを封じ込め、リーダージャージのマイヨジョーヌを守った。

激闘を続けるポガチャル(左)とビンゲゴー ©A.S.O. Pauline Ballet
アレクセイ・ルツェンコが先行する ©A.S.O. Pauline Ballet
ワウト・プールス(中央)がソレルとファンアールトとともにトップに ©A.S.O. Pauline Ballet
プールスが第15ステージで独走 ©A.S.O. Pauline Ballet

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)ヨナス・ビンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ビスマ)
マイヨベール(ポイント賞)ヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック)
□マイヨブラン(新人賞)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)

2023ツール・ド・フランス第15ステージ ©A.S.O. Pauline Ballet

冷蔵庫で冷やしたビールを飲むなんてめったにない

世界有数のリゾート地、アルプス。1年に2、3日ほどボクもこの心地いい場所に滞在することができます。おりしもフランスは7月14日の革命記念日から本格的なバカンス時期に。クルマがひしめきますが、なんとなく養われた嗅覚でツール・ド・フランスのコースから離脱する一般車両を回避するルートを選択。ゴールから大回りとはなりましたが、渋滞することなくアンヌマスの隣町にある連泊ホテルに生還しました。

部屋の窓から右上にモンブランが見える

アルプス初日を無事にクリアしたのですから、夕食はお金を出してもしっかりしたところへ。歩いていけるところに見つけた来々軒のイメージしかありませんでした。ところが行ってみたら、体育館ほどの広大な店舗は午後9時近かったこともあってほぼいっぱい。それを見た瞬間に5000円を出すことに戸惑いが生じ、隣りにあるマクドナルドに変更。

2023ツール・ド・フランス第15ステージ ©A.S.O. Pauline Ballet

部屋にはまだいただいたワインや食前酒などがいっぱいあるので、それを消化しないといけませんからね。

翌日は川沿いのダートを8kmランニングし、いつものようにシャワーを浴びてさっぱりしてから朝食に。この日はスタートに行かず、そしてゴールも高速道路を使えば1時間ほどなので、あまり早く出ても時間を持て余すなとお部屋でちょっとのんびりしてから出発。

サンジェルべのクラフトビール

まずはサンジェルべ・モンブランへ。さらにホテルのあるシャモニー方面へ。宿泊先の山小屋はオーナー夫婦もいる部屋貸しです。トイレとシャワーが共同で、それでも2泊で150ユーロなので結構な金額。ただし部屋の窓を開け放つと草原があって、そこに洗濯物のシーツが干してあるんですが、その向こうにはモンブランが。

2023ツール・ド・フランス第15ステージはアルプスへ ©A.S.O. Pauline Ballet

なかなか雲が切れないのでいい写真が撮れなかったのですが、このエリアに別荘や山小屋が多いのは、他の山に隠れることなくモンブランが見えることなんですね。 周囲に飲食店やスーパーはありません。キッチンは滞在者なら無料で使えるので、まずはいつもなら洗面所で水を流して冷やすだけのビールを冷蔵庫で冷やし、お湯を作って非常食のご飯にかければまずまずの夕食になることでしょう。

サイクリストが絶景を背景に記念写真を撮っていた

この日のサンジェルべは2016年に来たときもクラフトビールを飲ませてくれましたが、今回も瓶ビールを持たせてくれました。フランスに来て、冷蔵庫で冷やしたビールを飲むことは稀なんです。

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【ツール・ド・フランス現場雑感】ポルトデュソレイユは冬も夏もリゾート

ロドリゲスがスペイン勢最年少の22歳で優勝…総合でも3位に

第110回ツール・ド・フランスは7月15日、アンヌマス〜モルジンヌ・レ・ポルトデュソレイユ間の152kmで第14ステージが行われ、イネオスグレナディアーズのカルロス・ロドリゲス(スペイン)が最後の峠からの下り坂で抜け出して初優勝。22歳のステージ優勝はスペイン勢としては最年少となる。

ステージ初優勝のロドリゲス ©A.S.O. Charly Lopez

首位ヨナス・ビンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ビスマ)と9秒遅れの総合2位タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)の戦いは、最後の峠でポガチャルが攻撃を仕掛けたが、冷静に追ったビンゲゴーが追いついて逃さなかった。その差はボーナスタイムを差し引いて10秒になった。

最後の峠でポガチャルが攻撃を仕掛けたが、ビンゲゴーに追いつかれた ©A.S.O. Charly Lopez
2023ツール・ド・フランス第14ステージ ©A.S.O. Pauline Ballet
セップ・クスがビンゲゴーをアシストする ©A.S.O. Charly Lopez

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)ヨナス・ビンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ビスマ)
マイヨベール(ポイント賞)ヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ヨナス・ビンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ビスマ)
□マイヨブラン(新人賞)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)

2023ツール・ド・フランス第14ステージはオートアルプスでの戦い ©A.S.O. Charly Lopez

レ・ポルトデュソレイユはスキーとバイクのリゾート

ツール・ド・フランスはいよいよアルプスへ。かの有名なラルプデュエズがあるサボワ地方よりも北にあるオートサボワ地方に突入しました。オートというのは「位置が高い」という意味ですが、「地図上の高い位置」ということにもなり「北部」という意味を持つんだと思います。

年代物のシトロエン2CVもアルプス越えに挑む

2022年もありましたが、アルプスでのスタートやゴールの町の後ろに「レ・ポルトデュソレイユ」という表記がつくことに気がつきませんか。邦訳すると「太陽の門」となりますが、フランスとスイスにかかるこのあたりの12のスキー場を総称したブランド名です。ツール・ド・フランスを駆使して売り出し中なんです。

レ・ポルトデュソレイユ

ところで、大会中盤は暑さを感じることもありました。そんなときちょっと気になったのが、IDストラップの着用方法。みんな首から下げていると思っていましたが、席の前の人たちを見ると結構たすきがけが多いんですよね。ヨーロッパのトレンドなんでしょうか?

ツイートでそんなことを書き込んだら、フォロワーさんから「日本でも以前から病院や学校の職員は斜め掛けが多いですよ。首にかけるだけだとぶらぶら動いて邪魔だし引っかかって危険なのでそうなったんだと思います。カードの重さで首こり、肩こりになる方も斜めにしていますね。山口さんもたすきがけでいきましょう」とのこと。

さっそく試してみましたが、これが実にいいんです。暑さを感じないし、着用しているわずらわしさもない。実は席に着くとIDカードを外していたんです。そのまま外に出ると、プレスセンターに入れなくなったこともあって。どうしてもっと早く教えてくれなかったかなあ。

オートサボワのワインはチーズや生ハムなどと相性がいい

宿泊ホテルはスイスのジュネーブにも近いゲヤールで2連泊。第15ステージのスタート地点アンヌマスの隣です。

チェックイン後はGoogleマップで周辺の飲食店をチェック。連泊ホテルから歩いていけるところに来々軒を発見しました。フランスの郊外型中華料理店はほぼすべて料金固定の食べ放題で、寿司もあります。ボクたち日本人取材陣は来々軒と呼んでいます。初日は気分ではなかったのでパスしましたが、どうしよう。土曜日は2ユーロ高い5000円。モルジンヌから無事に生還したら考えます。

第15ステージのスタートはホテルからも歩いて行けるところですが、あまりにも近すぎる場合、クルマでいったん高速に乗って町を離れ、折り返して向かう必要があることもあります。朝のランでそのあたりの動きがどうなるか下見てきましたが、大丈夫そうです。今のところは。

朝ランは灰色ににごった水が流れる川沿いの未舗装路をメインにルーティーンの8km。ここ1週間ほど心拍数が上がらなかったんですが、この日は150くらいで推移して安心しました。もしかして電池残量が少なくなるとヘモグロビンの流れを把握するのが悪くなる? 心拍計付きGPSデバイスもそろそろ買い替えどきかもしれません。

オートサボワ地方のワインもおいしい

ゴールへは迂回路を利用して、スイス国境ギリギリのところを走ってモルジンヌへ。このゴールにはもう十何回来たんでしょうか? 渓流沿いにプレスセンターがあり、ゴールに行く場合はエレベーターで崖の上にある街に行きます。渓流に架かる吊り橋もあって、自転車に乗ってきた観客もここを通ってアクセスします。

ありがとう、モルジンヌ。また来られるかな。峠越えの退出路を使ってレマン湖まわりで連泊ホテルに戻ります。

上品な味わいのオートサボワ産白ワイン

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【ツール・ド・フランス現場雑感】なかなか美食にありつけない実情

クフィアトコフスキが3年ぶり勝利…ポガチャルがさらに詰め寄る

第110回ツール・ド・フランスは7月14日、シャティヨン・シュル・シャラロンヌ〜グランコロンビエール間の138kmで第13ステージが行われ、イネオスグレナディアーズのミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド)が最後の上りで単独となり、2020年に続く2勝目を挙げた。

ミハウ・クフィアトコフスキが第13ステージ優勝 ©A.S.O. Pauline Ballet

「孤独ではなかった。沿道のファンが声援を送ってくれたからね」とクフィアトコフスキ。

7月14日はフランス革命記念日。フランス人のトニー・ガロパンが国旗を振る ©A.S.O. Charly Lopez

ポガチャルがビンゲゴーとの差をさらに詰める

17秒遅れの総合2位タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)もアタックし、首位ヨナス・ビンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ビスマ)を4秒振り切って区間3位でゴール。ボーナスタイム4秒も獲得したポガチャルは総合差を9秒にした。

「不安はない。ベストを尽くした結果だ」とライバルにじわじわと迫られるビンゲゴー。

2023ツール・ド・フランス第13ステージ ©A.S.O. Pauline Ballet
チームメートに援護されるマイヨジョーヌのビンゲゴー ©A.S.O. Pauline Ballet
新人賞ジャージを着るポガチャル ©A.S.O. Pauline Ballet

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)ヨナス・ビンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ビスマ)
マイヨベール(ポイント賞)ヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ニールソン・ポーレス(米国、EFエデュケーション・イージーポスト)
□マイヨブラン(新人賞)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)

ワウト・ファンアールトとポイント賞のヤスパー・フィリプセンのベルギー勢 ©A.S.O. Pauline Ballet

華やかさが過ぎ去るとものさみしさがつのるのがツール・ド・フランス

ツール・ド・フランスは美食のブルゴーニュ地方へ。いいなあと思われがちですが、今年はほとんどレストランで食事していません。フランス国内の物価高、そして円安のダブルパンチで外食して飲めば1万円。しかたなくスーパーで調理しなくてもいいものを買い込むんですが、それでも2000円くらいになります。

スタートの町が心からツール・ド・フランスを歓迎している

第12ステージのゴールはいわゆるボジョレー。この町は世界的に知れ渡っていますが、町そのものはとても小さく、ホテルが駅前だったこともあってその周囲を散策しましたが、人影も少なかったです。ゴールもホテルからすぐで、夕方に散歩に行きましたが、わずかな酔客がケバブ屋などで騒いでいるだけで、ゴールして数時間であの熱狂は消え去っていました。

2023ツール・ド・フランス第13ステージ ©A.S.O. Charly Lopez

大会直前に予約したにしては、とても立地条件のいいホテル。でもホテルとしてはもう終わっている感があり、鍵のかかった玄関に、「着いたら電話して」の手書きが。ボジョレーなのだから周囲においしいレストランがあるのかなというイメージでしたが、あっという間に消え去りました。

子ども消防団も出動

それでも駅前なのに、駐車場がある中庭があって、その前にそれぞれの部屋があるので、荷物を部屋に入れるのがとてもラク。クルマのトランクの荷物整理もはかどります。

4賞カラーで町が彩られる

もう一つ、苦情を言えばまったくスマホ電波がキャッチできないので、ホテルにチェックインしてから、クルマで5分ほどのプレスセンターまで戻り、そこで写真などをダウンロードして送信。ついでに隣町のスーパーまでクルマを走らせて買い込み。ブルゴーニュなのにレストランに繰り出すことなく、お部屋でディナーとなりました。

アクセル、ブレーキ、クラッチでシューズがボロボロに
ベルビル駅。ホテルは駅前で、ゴールも近かったが、喧騒が過ぎ去ると閑散としていた

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【ツール・ド・フランス現場雑感】スポーツイベントだけどガストロノミー

イサギレが31kmを独走して7年ぶりのステージ優勝

第110回ツール・ド・フランスは7月13日、ロアンヌ〜ベルビル・アン・ボジョレー間の169kmで第12ステージが行われ、コフィディスのヨン・イサギレ(スペイン)が残り31kmの峠から独走し、2016年以来2度目の優勝。

シモン・ゲシュケに祝福されるイサギレ(右) ©A.S.O. Pauline Ballet

総合成績ではユンボ・ビスマのヨナス・ビンゲゴー(デンマーク)が首位を守った。

2023ツール・ド・フランス第12ステージ ©A.S.O. Pauline Ballet

強さには自信があったが、うまく決めるのは難しい(イサギレ)

チームメートともに第1集団に加わったイサギレ。そのイサギレが独走を決めると僚友が抑え役となり、逃げ切りに貢献した。

「自分の強さには自信があるが、これまで逃げがうまく決まらなかった。それだけに信じられない」とイサギレ。開幕地バスク地方の出身選手としては第10ステージのビルバオに続く優勝。どちらも軽量で、上りの強さを見せつけた。

ポガチャル、なに思う? ©A.S.O. Pauline Ballet

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)ヨナス・ビンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ビスマ)
マイヨベール(ポイント賞)ヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)ニールソン・ポーレス(米国、EFエデュケーション・イージーポスト)
□マイヨブラン(新人賞)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)

ボジョレーのぶどう畑を行く ©A.S.O. Charly Lopez
2023ツール・ド・フランス第12ステージ ©A.S.O. Charly Lopez

美食のブルゴーニュ地方。そしてゴールはあのボジョレー

昨日のホテルはキリヤード。といえばルーブルホテルグループで上の方のクラスのホテルでした。ところがちょっとおかしいんです。まずキリヤードの次にディレクトという文字があることにひっかかりました。Google Mapで場所を調べると確実にそのホテルがある場所なんですが、Hotel F1と表示されています。

「ボジョレーって知ってる?」。よく知っていますよ

F1はライバルホテルチェーンのアコーグループの最もグレードの低いところです。トイレとシャワーが共同で、床がベチャベチャなのであまり心地いいものではありません。ツール・ド・フランス取材仲間はF1しかホテルが確保できなかったときは、これも修行と我慢して宿泊したものでした。

で、結局この日のホテルはF1を居抜きして改装したキリヤードを名乗る安価なホテルでした。それでもトイレとシャワーは各部屋にあって、狭いけれど清潔なので熟睡できました。街道筋で、歩いてレストランに行くのは多少危ないでの、ボルドーでもらった2019年の赤ワインをベースに、スーパーで買い込んだスモークサーモンなど温めなくていいもので部屋飲みでした。

2023ツール・ド・フランス第12ステージ ©A.S.O. Charly Lopez

翌日はA79高速の最新システムに挑戦。料金所がないのでカルト・テレペアージュ(日本で言うとETC)搭載車か、それがなければ事前にホームページにアクセスして、登録国と車両ナンバーを入力しておけば利用できるというもの。

現状では、乗る区間を申告して、表示された金額をクレジットカードで支払います。料金は2.9ユーロとガクッとするほど安価。それというのも実際に乗ってみたら、料金ゲートというものがなく、途中に設置されたカメラによってナンバーを読み取るというシステムのようです。

トリコロールを飾るとおいしそうに見える

A79高速が昨年から試用期間を設けて実験し、今年になって施行されたとのこと。今後はこういったタイプの運用が多くなっていくはずで、ETCがいらなくなるかもしれませんね。

ホテルはゴール地点のすぐ近くで、午後2時を過ぎてから歩いてチェックインに行き、キーを確保したのでもう大丈夫です。ボジョレーワインもプレスセンターでもらったので2夜連続で部屋飲みを楽しもうかな。

ブルゴーニュ地方でランチ

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