観客なし、最終日打ち切り…パリ〜ニース異例の終幕

3月8日から15日まで全8ステージで開催される予定だったフランスのステージレース、パリ〜ニースは新型コロナウイルス懸念で最終日のレースを中止。14日に最後のステージが開催され、ボーラ・ハンスグローエマキシミリアン・シャフマンが総合優勝した。

パリ〜ニース第5ステージ ©A.S.O. Fabien Boukla

シャフマンがチームの強力なコントロールのおかげで初日に獲得したマイヨジョーヌと、新人賞のマイヨブランを最後まで守りきった。レースが8区間から7区間に短縮されたとはいえ、2004年のイエルク・ヤクシェ以来となる全ステージの首位死守。ドイツ勢の優勝は2011年のトニー・マーティンに続く4回目。

最後ステージは山岳区間で行われ、アルケア・サムシックのナイロ・キンタナ(コロンビア)が優勝。シャフマンが第1ステージから首位争いを演じてきたサンウェブのティシュ・ベノート(ベルギー)を制して逃げ切った。

ジュリアン・アラフィリップ(右) ©A.S.O. Fabien Boukla

大会は新型コロナウイルスの余波で大きく揺れ動いた。開幕前はすでに隣国イタリアで大流行していたことから、参加は5チーム減の17チーム。急きょ第2カテゴリーのチームも招へいされた。さらにフランスでも感染が広がり、閣議決定で1000人以上の集会が禁止に。大会2日目からスタートとゴールに観客を入れないという異例の措置でレースを続行。

ゴール地点に観客がいない第2ステージ、NTTのジャコモ・ニッツォーロが優勝 ©A.S.O. Fabien Boukla
第4ステージの個人タイムトライアルを走るペテル・サガン。ここにも観客の姿はない ©A.S.O. Fabien Boukla

そして地中海に面した大都市ニースを舞台とした最終日の第8ステージを中止にして、14日の第7ステージでもってレースを打ち切った。

最後のステージとなった第7ステージはニースの目抜き通りを出発 ©A.S.O. Fabien Boukla
パリ〜ニース最終ステージを制したナイロ・キンタナ ©Nico Vereecken/PN/BettiniPhoto

それでも春のビッグレースを初制覇したシャフマンは手放しで快挙を喜んだ。

「最終日はとても大変だった。チームメイトがレースをコントロールする素晴らしい仕事をしてくれた。最後の3kmは地獄で、もうそこからは自分で耐えるしかなかったが、終わった今は楽園だ。勝利は痛みを消すからね」とシャフマン。

「4年間の選手生活で最大の勝利だ。多くの人は私が総合優勝できるタイプなのかを疑っていた。それは私の夢なんだ。私は1週間のステージレースで勝てる実力を示すことができた」

マキシミリアン・シャフマンがパリ〜ニース総合優勝 ©A.S.O. Fabien Boukla

●パリ〜ニースのホームページ

パリ〜ニースが最終区間を中止…コロナウイルス禍で

第78回パリ〜ニースが、最終日となる3月15日にニース近郊で開催予定だった第8ステージを開催しないことを発表した。新型コロナウイルスの拡散に直面して、主催者が決断した。レースは8日間の日程から7日間となり、14日にコルミャーヌの頂上でフィニッシュする。

フランスでは3月12日にエマニュエル・マクロン大統領が全国学校の休校を指示。サッカーのリーグアンとリーグドゥーを無期限停止。自転車レースも4月4日までの開催中止を余儀なくされていた。

●パリ〜ニースのホームページ

AG2Rは出場、CCCは回避…パリ〜ニース3月8日開幕

フランスのAG2Rラモンディアールが、3月8日から15日まで開催されるパリ〜ニース出場メンバーを発表。ロマン・バルデ、ピエール・ラトゥールら主力選手が参戦する。一方でCCCは新型コロナウイルス懸念で出場を回避した。

AG2Rラモンディアールのパリ〜ニース出場メンバー

AG2Rラモンディアールは3月にイタリアで開催予定だった2レースを健康懸念で回避した。

「イタリアでの2レースに参加したいと思っていた。どちらもとても楽しみだった」とコメントしたバルデは、「パリ〜ニースに出場できるのはうれしい。私のキャリアの中で6回目の出場で、2019年に総合5位に入ったことは、実績をなかなか挙げられなかった私にとってはありがたいことだった」と言う。

「息子が誕生して2週間ほどあわただしかったので、昨年のようなパフォーマンスではない。でもここでいい走りをすることで残りのシーズンに効果が発揮できると思う。総合力のある選手が多いので、しっかりと走りたい」とバルデ。

CCCはストラーデビアンケが新型コロナウイルスによる中止を受けて、ティレーノ〜アドリアティコとパリ〜ニースも選手やスタッフの健康を守るために欠場することを発表した。

「自転車競技はステージレースとして日常的に町から町へ移動し、毎晩異なるホテルに滞在し、ほとんど規制されていない環境で一般の人々と接触するというユニークなスポーツ。選手、スタッフ、一般市民の健康が優先事項であり、ステージレースでどのような対策ができるかについて多くの未知数があり、撤退は正しい決定であると考えている」とチームの専属医師。

●パリ〜ニースの公式サイト

パリ〜ルーベやリエージュ〜バストーニュ〜リエージュなどでASOが一般レース開催

ツール・ド・フランスを主催するASOがシクロスポルティーブと呼ばれる一般参加イベントの日程を発表。2020年3月14日にパリ〜ニースチャレンジ、4月11日にパリ〜ルーベチャレンジ、同25日にリエージュ〜バストーニュ〜リエージュチャレンジが開催される。現在参加者募集中。

2019エタップ・デュ・ツール ©A.S.O. Aurélien Valatte

ステージレースのパリ〜ニースはニースにゴールする最終ステージだけの走行だが、3レースともに世界のトッププロが走るコースがスタートからゴールまでまったく同じ。プロと同じ過酷さが体験できるのでとても人気があるイベントとして定着している。

パリ〜ルーベは「北の地獄」と呼ばれるアランベールの石畳がコースとなり、有名な「アルブルの交差点」も走行する。リエージュ〜バストーニュ〜リエージュも激坂で知られるラ・ルドゥトの丘を上る。

さらに魅力的なのはアマチュア選手が走った翌日にホンモノのプロレースが開催されること。パリ〜ニースは2020年3月8日から15日の開催で、最終ステージの前日に一般レースが行われる。パリ〜ルーベは4月12日で、一般レースはその前日。リエージュ〜バストーニュ〜リエージュのみ4月18日開催なので一般レースは1週間後の開催となる。

●パリ〜ニースチャレンジの参加者募集サイト

●パリ〜ルーベチャレンジの参加者募集サイト

●リエージュ〜バストーニュ〜リエージュチャレンジの参加者募集サイト

エタップ・デュ・ツールは30年記念で初ニース

こういったASOの一般参加イベントの象徴であるエタップ・デュ・ツールは2020年で30回目の開催。1万6000人の参加者が7月5日にツール・ド・フランス第2ステージとまったく同じコースに挑む。エントリーは数時間で満員になったが、各国の公式エージェントに割り振られた出場枠が残っている。
●日本の公式エージェントは国際興業

またフランス以外でも「エタップ・バイ・ル・ツール・ド・フランス」と題した一般参加レースが開催される。2020年はフランスを含めて12カ国、タイ、中国、メキシコ、フィンランド、モロッコ、オーストラリア、米国、コロンビア、ブラジル、英国、インドネシアで行われる。

パリ〜ニース第4ステージはコルトニールセン…首位はクウィアトコウスキー

パリ〜ニース第4ステージが3月13日に行われ、アスタナのマグナス・コルトニールセン(デンマーク)が独走で優勝した。首位のディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)は大きく遅れ、ポーランドのミカル・クウィアトコフスキー(ポーランド、スカイ)が首位に立った。

パリ〜ニース第4ステージで優勝したアスタナのマグナス・コルトニールセン ©Justin Setterfield/Getty Images

バルギルが第2頚椎骨折で復帰未詳の重傷…パリ〜ニース第2ステージ

アルケア・サムシックのワレン・バルギル(フランス)は3月11日に開催されたパリ〜ニース第2ステージで落車。第2頚椎の2カ所を骨折する重傷を負った。

パリ〜ニース第2ステージで落車骨折したワレン・バルギル © Team Arkéa – Samsic 2019

レースの医療班によってただちにドゥルダンの病院に搬送されたが、精密検査を受ける必要があり、その夜のうちにビセートル総合病院に転送。

チームのジャンジャック・ムニェ医師は「深刻な負傷なのでバルギルが再び自転車に乗れる時期は今のところ分からない」とコメント。

チームのイボン・ルダノワ監督は、「なにが暗転するか分からない。今朝のバルギルはとてもモチベーションが高かった。コンディションも問題なかった。落車してバルギルのところに駆け寄ったときは、彼を勇気づけるためにほほを軽く叩き、レースを追うためにその場所を離れた。いまは彼のことがとても心配だ」と語っている。