ツール・ド・フランスは2カ月延期でも開催できるのか?

フランス政府は新型コロナウィルス感染症対策として、6月2日より制限解除第2段階に移行する。レストラン・カフェが営業再開し、美術館も再開する。ツール・ド・フランスは当初予定から2カ月遅れ、8月29日(土)から9月20日(日)までに大会日程を変更したが、果たして無事に開催されるのか?

厳しい外出制限令によってフランスの感染者数は確実に減少している

エドアール・フィリップ首相は5月28日の会見で、6月2日から始まる新型コロナウィルス感染症対策の制限解除第2段階について発表。さらに6月22日以降を第3段階とする。

フランスの衛生状態は大きく改善したものとし、会見内で公表された衛生状態を示す地図では、ほぼ全域が状況が良好の「緑」ゾーンに分類された。パリを含むイル・ド・フランス地方、海外領土のマイヨット、ギアナは注意を要する「オレンジ」ゾーンとし、他の地域より慎重に解除が進められる。

5月上旬はフランス北東部全域に蔓延していたが、5月末には海外領土のマイヨットとパリの北にあるバルドワーズ県をのぞき収束に向かっている

移動制限の解除

居住地より100kmを超える移動の制限は6月2日をもって廃止する。これまで必要だった例外的な移動理由を示す証明書なしでフランス全土(海外領土を含む)を移動できるようになる。フランス本土と海外領土の間の移動については2週間の隔離措置が続けられる。

国境封鎖の解除

首相は、EU域内、シェンゲン協定域内および英国とのフランス国境について、衛生状態が良好であれば隔離措置なしで6月15日以降に封鎖解除することに賛成の意を表した。隔離措置、または国境封鎖を継続する国があれば、フランスはその国に対し同様の措置をとる用意があるという。

医療現場のひっ迫した状況も現在は脱している

EU外への国境封鎖の解除はEU加盟国との協議を経てから決定する。少なくとも6月15日までは封鎖が続けられる。

レストラン、カフェ、バーの営業再開

「緑」ゾーンでは、バー、カフェ、レストランの営業再開が、衛生上の配慮を満たすという条件付きで6月2日からの営業再開が可能になる。テーブルの間隔を1m以上開ける、テーブルあたりの着席人数を10人までとする、従業員も客も移動の際にマスクを着用するなどの配慮が求められる。「オレンジ」ゾーンではテラス席でのみ営業が許可される。

文化施設、モニュメント、レジャー施設など

緩和の第1段階では小規模な美術館・博物館とモニュメントの営業再開が認められていたが、6月2日以降はすべての美術館・博物館とモニュメントの再開がフランス全土で可能になる。

レジャーパークや自然公園の再オープンは5000人を超えない範囲で「緑」ゾーンで6月2日から、「オレンジ」ゾーンで6月22日から可能。劇場やスペクタクル会場の再オープンも上に同じ条件で「緑」ゾーンは6月2日から、「オレンジ」ゾーンは6月22日から可能。映画館はフランス全土で6月22日から営業再開が可能。ディスコとカジノは少なくとも6月21日までは営業禁止。

キャンプ場、バカンス村、集団宿舎については、宿泊者の受け入れに必要な措置を講じた上で、「緑」ゾーンでは6月2日から、「オレンジ」ゾーンで6月22日から再オープンが可能。ホテルについては今後新しい衛生規定が設けられ、宿泊客が安心できる受け入れ条件を提供する。

公園と庭園はフランス全土で5月30日から開けられる。6月2日以降はビーチ、湖、水上スポーツエリアがフランス全土で再開する。

フランス本土ではパリのあるイルドフランスがオレンジゾーンだ

その他続けられる制限、行動様式

人の集まりは10人までとする規則は少なくとも6月21日まで続けられる。スポーツイベントは少なくとも6月21日までは禁止される。5000人を超えるフェスティバルや見本市は新たな令が出るまで禁止される。

リモートワークの推奨が続けられる。

アプリ導入

感染者とその恐れがある人を追跡するアプリ「STOP Covid」が導入される。アプリは無料で提供され、登録は自由意志に任せられる。

2020ツール・ド・フランスに関するこれまでの流れ

ツール・ド・フランスは無観客を想定して日程通りの開催か(2020年3月26日)
東京五輪の1年延期でツール・ド・フランスと日程重複する問題が(2020年4月2日)
ツール・ド・フランスは1カ月遅れのプランB開催が有力に(2020年4月8日)
ツール・ド・フランスは8月29日〜9月20日開催案が浮上か(2020年4月15日)
2020ツール・ド・フランスが大会延期。8月29日開幕(2020年4月15日)
「今年最大のスポーツイベントに」ツール・ド・フランス延期開催に期待(2020年4月16日)

ツール・ド・フランス開催可否は第3段階の内容により方向性が決まる?

第2段階で多くの制限が解除され、マスク着用やソーシャルディスタンスの励行を条件としながらも多くの市民が日常生活を取り戻しつつある。ただし5000人を超えるイベントは開催不可。少なくとも6月21日までスポーツイベントは禁止される。

現在は母国でトレーニングする選手たちが、果たしてフランス入りできるかという問題もある。フランス側は第2段階で、衛生状態が良好であれば隔離措置なしで6月15日以降に国境の封鎖も解除するという。ただし、フランスとの出入国禁止や14日間などの隔離措置を行う国に対しては、フランスも同様の措置を断行するという。

フランス政府は措置緩和の第3段階に移行する6月22日より前に、次のフェーズにおける措置を判断するというので、その直前の感染状況がツール・ド・フランス開催に大きく関わってくることは間違いない。


制限解除第2段階の発表を受け、フランス観光開発機構カロリーヌ・ルブシェ総裁は次のようにコメントした。
「フランスの観光業は6月15日のEU域内における国境封鎖の解除を心待ちにしています。観光従事者は政府とともに衛生対策を進め、最善の方法をもって旅行者と従業員双方の安全を守る努力を重ねております。ビーチ、内陸、山岳など散策やアウトドアスポーツに適したエリアや、レジャーパーク、文化施設や史跡、レストラン、宿泊施設は皆、日本からのお客様の来訪をお待ちしています。皆様がフランス流ライフスタイルに触れられる日が一日も早く戻りますように。カフェのテラスでコーヒーやクロワッサンの朝食をとったり、ご友人やご家族とフランス料理を囲みながら再会を喜び、美味なる食事とワインを心ゆくまで楽しまれることを願っております」

●フランス観光開発機構のホームページ

「あつ森」でここまでできる!アンジェ自然科学博物館バーチャルツアー

Nintendo Switchのゲームソフト『あつまれ どうぶつの森』は、メトロポリタン美術館が所蔵作品をゲームの世界の中で飾れるよう提供したり、マーク・ジェイコブス、ヴァレンティノなど世界的なファッションブランドが自社デザインを提供したりするなど、幅広いコラボレーションが話題となっている。

©Muséum d’Angers / Nintendo

フランスの観光業でもこのゲームを利用したユニークなガイドツアーが行われた。 西フランス、ロワール渓谷にある古都アンジェの自然科学博物館だ。

博物館のガイドがゲーム内に作られた架空の島内で、島を訪問したゲストに博物館の館内で行うような解説をしてくれるというもの。 1801年に開館したこの博物館は自然史を扱い、 化石、昆虫、貝類、鳥類、植物標本など53万点を所蔵している。

博物館が感染症対策のため一時休館となったことから、ガイドのレオ・テシエLéo Tessierがゲーム内での特別ガイドを始めたところ、フランス国内メディアで取り上げられ話題になった。

©Office du Tourisme d’Angers

1時間の見学の中で、ガイドから生物の多様性について説明を受けたり、昆虫、化石、魚について質問を投げかけることができる。ガイドと参加者の会話はゲームと同時にSkypeをつなぐことで可能になっている。

ゲーム上ではひとつの島に同時に8人までしか接続できないため、ツアー参加者の上限は学芸員を除いた7人とされた(画面の向こうに複数の人がいるのはOK)。

4月8日に始められたツアーは5月27日の回をもってひとまず終了となる。これまで実施された16回のツアーには、親と一緒に参加した子供、大学生、一般の大人と、幅広い層の参加があった。フランスはもとよりベルギーやスイスからの参加もあり、ガイドを務めたレオ・テシエは「ツアーを通してさまざまな環境の人に博物館を知ってもらえて大きな手ごたえを感じた」と語っている。

©Muséum d’Angers / Nintendo

5月の実施回
5/18(月) 17時~
5/21(木) 14時~
5/24(日) 17時~
5/27(水) 17時~ (最終回)

参加に必要なもの:
* あつまれどうぶつの森(ニンテンドーSwitch)
* Nintendo Switch Onlineへの加入
* Skypeへの接続(音声のみ使用)

●Jeuxvideos.com による4月24日のバーチャルツアー実況

©Office du Tourisme d’Angers

アンジェとは
ロワール渓谷最大の要塞形の城であるアンジェ城を有する都市。アンジェ城で展示される14世紀の「黙示録のタペストリー」は必見。周囲はフランス第3のワイン産地であるロワールワインのブドウ畑が広がり、ワイナリー巡りも楽しい。オレンジのリキュール、コアントローの生産地で蒸留場の見学が可能。地元の銘菓は紫色のチョコレート、ケルノン・ダルドワーズ

アンジェのケルノン・ダルドワーズ ©Les Conteurs Destination Angers

アンジェ自然科学博物館(仏語)
アンジェ観光局(英語、仏語)

フランスに行ったら食べたい! ローカルなスウィーツ

美食の国フランスはお菓子もおいしいものばかり。今回はパリを離れて地方都市へ。その産地のおいしいものを使ったスウィーツを紹介。

Aix-en-ProvenceのCalisson d’Aix

エクス・アン・プロヴァンスのカリソン ©Calisson du Roy Rene

カリソンは、メロンの砂糖漬けと細かく砕いたアーモンドを混ぜてペースト状にしたものに、粉砂糖と卵白を混ぜた糖衣をかけた繊細なお菓子。舟形のこの菓子は15世紀から続くエクス・アン・プロヴァンスの伝統菓子です。ルネ・ダンジュー(善王ルネ)が二度目の結婚でジャンヌ・ド・ラヴァルと結婚式を挙げた時、愛想のないジャンヌを喜ばせるため王が特別に作らせたお菓子だったそう。
●レ・カリソンのホームページ

エクス・アン・プロヴァンスのカリソン ©Calisson du Roy Rene

AngersのQUERNON D’ARDOISE

アンジェのケルノン・ダルドワーズ ©Les Conteurs Destination Angers

アンジェに来てケルノン・ダルドワーズを味わわずして帰るのはじつにもったいないこと。四角形のアーモンドが入った薄い砂糖菓子の外に青色のチョコがコーティングされています。アルドワーズとは地元の屋根瓦に使われるスレート石(粘板岩)のことで、その形状を模したお菓子なのです。
●ケルノン・ダルドワーズのホームページ


Avignon

アヴィニョンのチョコレート

このチョコレート菓子は1960年にヴォークリューズ県の菓子職人らが生み出したものでアヴィニョン銘菓になっています。菓子の名前に「パパ」とあるように、14世紀のアヴィニョン教皇庁時代を思い起こさせるものです。赤色のアザミの形状をしたお菓子は二種のチョコレートがけがされ、ヴァントゥー山の斜面で採れる約60の薬草を漬けたリキュール「オリガン・デュ・コンタ」が浸み込ませてあります。


BordeauxのCanelé

ボルドーのカヌレ ©Pierre Planchenault

日本でも目にする機会が増えた「カヌレ」はボルドーのお菓子。波型の形状はボルドーの街の優雅さそのもの。ラムとバニラの風味が漂うカラメル状の小さなお菓子は、どんな時にも簡単につまめるので、旅先のお菓子屋さんで見つけたらいろいろ食べ比べたい。
●ボルドーの関連ホームページ

ボルドーのカヌレ ©David Remazeilles

Grenoble

グルノーブルのクルミタルト ©Céline Mennetrier

グルノーブルは、イゼール県ドーフィノワ地区で獲れる「グルノーブル・クルミ」が1938年より原産地保護呼称AOPに指定されるほど有名なクルミの産地。銘菓はもちろん、それをふんだんに使ったタルト。サブレ生地の中にクルミ、生クリーム、バター、砂糖と蜂蜜を混ぜた中身がぎっしり詰まっています。じつは地元のブルー・デュ・ヴェルコール、サン・マルセランなどのチーズと一緒に焼いた食事用バージョンのクルミタルトもあり。
●グルノーブルの関連ホームページ


La RochelleのGalette charentaise

ラ・ロシェルのガレット・シャランテーズ ©Cécile COLLOT

ラ・ロシェルの銘菓は小麦粉、卵、バター、アンゼリカの砂糖漬けから作られる「ガレット・シャランテーズ」は1848年から続く伝統菓子。柔らかい口当たりのサブレは世代を越えて愛され、今や様々なフルーツや塩キャラメル味なども出回っています。
●ラ・ロシェルの関連ホームページ


LilleのGaufres

リールにあるメールが作るゴーフル

フランスで最も古い菓子店(創業1761年)のメールが作るゴーフルは、ドゴール将軍、ウィンストン・チャーチル、ジャッキー・ケネディ、歌手のアラン・スッション、作家のアメリ―・ノートンまで幅広い人を魅了してきました。定番は平たい形でマダガスカル産バニラクリームが挟まれていますが、今やそのバリエーションは多く、スペキュロス、ピスタチオ、ラムレーズン、ライスパフのプラリネ味などがあります。
●リールの関連ホームページ


Navette de Marseille

マルセイユのビスケット

マルセイユの伝統菓子は、200年前から伝わる船の形をした硬いビスケット。オレンジフワラーがほのかに香り、長持ちします。2月2日の聖マリアお潔めの祝日に食べるお菓子ですが、好きな人は年中食べてもよいのです。

マルセイユのビスケット

フランスで屋外ロードトレーニングが5月11日から解禁の見込み

フランスの自転車プロ選手が5月11日から屋外でトレーニングを再開することができる見込みになった。ただし当面は単独走行が義務づけられる。

フランスのアルケア・サムシックに所属するナイロ・キンタナはコロンビアの自宅でトレーニングしている

エマニュエル・マクロン大統領が通達した新型コロナウイルス感染拡大の防止策として、フランスのプロ選手は55日間の外出禁止を余儀なくされていたが、依然感染者数は多いもののピークを過ぎたという見方からようやく屋外で練習できる見込みとなった。閣僚筋が4月26日にコメントした。

屋外トレーニングは個別に行う必要があり、複数での走行やチームトレーニングは禁止される。同じ条件でアマチュア選手も認められる可能性があるという。

3月17日以来、フランスの自転車選手は屋外の道路でトレーニングすることを禁止され、自宅内でのホームトレーナーなどでコンディションを維持するしかなかった。

フランス国内の自転車レースカレンダーは7月15日まで中断され、ツール・ド・フランスは8月29日から9月20日まで延期されている。

今後は経済再建に向けて17項目の優先プロジェクトを進めていき、具体的には4月28日に発表される。スポーツ、ガストロノミー、文化、観光など活動が停止されていた分野の景気回復を図っていく。

これまでのフランス新型コロナウイルス関連ニュース

「今年最大のスポーツイベントに」ツール・ド・フランス延期開催に期待(2020年4月16日)
2020ツール・ド・フランスが大会延期。8月29日開幕(2020年4月15日)
ツール・ド・フランスは8月29日〜9月20日開催案が浮上か(2020年4月15日)
ツール・ド・フランスは1カ月遅れのプランB開催が有力に(2020年4月8日)
東京五輪の1年延期でツール・ド・フランスと日程重複する問題が(2020年4月2日)
ツール・ド・フランスは無観客を想定して日程通りの開催か(2020年3月26日)

●ツール・ド・フランスのホームページ

ジュリアン・アラフィリップがフランス選手スポーツ大賞

ドゥークニンク・クイックステップのジュリアン・アラフィリップ(フランス)がフランスのスポーツ新聞「レキップ」の選出する「シャンピオン・デ・シャンピオン」の2019フランス国内部門で最優秀選手となった。

第3ステージで優勝し、マイヨジョーヌも獲得したアラフィリップ ©ASO Olivier-CHABE

サッカー選手のキリアン・エンバペを抑えての初受賞。フレッシュワロンヌやミラノ〜サンレモでの勝利のほか、ツール・ド・フランスで14日間にわたりマイヨジョーヌを着用したことが評価された。

自転車選手の受賞は2015年にMTBとシクロクロスで3つの世界タイトルを獲得したポーリン・フェランプレボ以来。女子は柔道のクラリス・アグベーニュヌが2年連続で受賞した。最優秀選手賞の国際部門では男子がテニスのラファエル・ナダル(スペイン)、女子が体操のシモーネ・バイルス(米国)。

マイヨジョーヌのアラフィリップ。2019ツール・ド・フランス第17ステージ ©ASO Alex BROADWAY

●自転車選手のシャンピオン・デ・シャンピオン【フランス】
1953 ルイゾン・ボベ(ツール・ド・フランス総合優勝)
1954 ルイゾン・ボベ(ツール・ド・フランス総合優勝、世界選手権優勝)
1957 ロジェ・リビエール(パシュート世界チャンピオン、アワーレコード達成)
1963 ジャック・アンクティル(ツール・ド・フランス&ブエルタ・ア・エスパーニャ総合優勝)
1971 レジ・オビオン(ツール・ド・ラブニール総合優勝、アマ世界選手権優勝)
1972 ダニエル・モレオン(ミュンヘン五輪スプリント優勝)
1974 レイモン・プリドール(ツール・ド・フランス総合2位、世界選手権優勝)
1975 ベルナール・テブネ(ツール・ド・フランス総合優勝)
1978 ベルナール・イノー(ツール・ド・フランス総合優勝、世界選手権優勝)
1979 ベルナール・イノー(ツール・ド・フランス総合優勝)
1980 ベルナール・イノー(ジロ・デ・イタリア総合優勝、世界選手権優勝)
1981 ベルナール・イノー(ツール・ド・フランス総合優勝、パリ〜ルーベ優勝)
1987 ジャニー・ロンゴ(ツール・ド・フランス女子総合優勝、世界選手権優勝)
1994 リュック・ルブラン(世界選手権優勝)
2014 ポーリン・フェランプレボ(世界選手権ロード優勝、MTB世界選手権優勝)
2015 ポーリン・フェランプレボ(MTB世界選手権=個人&チーム優勝、シクロクロス世界選手権優勝)
2019 ジュリアン・アラフィリップ(フレッシュワロンヌ優勝、ミラノ〜サンレモ優勝)
2012年からは男女の最優秀選手を選手。それまでは男女合わせて1人

マイヨジョーヌのアラフィリップ ©ASO Pauline-BALLET

●ツール・ド・フランスのホームページ

シャンパーニュ輸出は日本が3位…これからはワイン旅行も促進

フランス北東部に位置するグランテスト地方は地方観光局とシャンパーニュ委員会が同地の銘酒″シャンパーニュ“をワインツーリズムを通してさまざまに体験できる観光要素を集めたブランド「シャンパーニュ、極上のライフスタイル(La Champagne, Refined art de vivre)」を打ち出した。

ブランド立ち上げの発端となったのは、2015年7月4日に『シャンパーニュの丘陵、メゾンとカーヴ』がユネスコ世界遺産に登録されたこと。登録以降、シャンパーニュ地方では新たなイニシアティブと革新により、通常のワインカーヴ訪問にとどまらないオリジナリティあふれるシャンパーニュ産地の観光素材が多く生まれている。

シャンパーニュ大通りをサイクリング © Fred Laures

このような背景があって、シャンパーニュをワインツーリズムの面でのプロモーションを強化しようと、観光推進に関わる公的機関のグランテスト地方観光局が、シャンパーニュ地方ワイン生産同業委員会(シャンパーニュ委員会)と手を組み、旅行関連事業者の協力を得て、ワインツーリズムの共有ブランド「シャンパーニュ、極上のライフスタイル」を2016年に立ち上げた。

ぶどう畑を行く ©Alexandre Couvreux

ブランドの基準を満たした観光素材の提供者はアンバサダーとして登録され、現在約100の事業者が7つのカテゴリー(シャンパーニュメゾン/協同組合/シャンパーニュのブドウ栽培・醸造家、宿泊施設/レストラン、シャンブルドット、インバウンド旅行社、ワインツーリズム事業、レストラン、イベント)に登録されている。

オーヴィレーのブドウ畑 ©Fred Laures
©Osmany Tavares

アンバサダーの選定基準には、観光素材がシャンパーニュと直接つながりがあること、シャンパーニュAOC圏内またはシャンパーニュの5つのAOC県(エーヌ県、オーブ県、オートマルヌ県、マルヌ県、セーヌエマルヌ県)に位置すること、クライアントがシャンパーニュの真の洗練された体験を得ることができる、などの項目が定められている。

●アンバサダーについての情報はブランド公式サイトで(英・仏)

シャンパーニュ・デュ・レダントゥール ©Alexandre Couvreux

ジャン・ロットネール グランテスト地方圏議会議長
「世界遺産登録以降、シャンパーニュ産地を訪問するオリジナリティafu

れる観光素材が増え、旅行者には多くの体験が可能になっている。世界遺産の称号とプレミアムなワインツーリズムの双方を備えたいま、もっと多くの日本人旅行者に、より長くシャンパーニュ地域に滞在してほしい」

マクシム・トゥバール シャンパーニュ地方ワイン生産同業委員会(C.I.V.C.)共同会長兼ぶどう栽培・醸造業者組合長
「日本はシャンパーニュの輸出先として米国、英国に次いで第3位。ワインツーリズムでも重要市場としてとらえている」

ブドウ畑の中をシトロエンでドライブ ©Fred Laures