エヴェネプールがいきなりマリアローザ…ジロ・デ・イタリア開幕

第106回ジロ・デ・イタリアが5月6日にコスタデイトラボッキで開幕。初日の第1ステージは 距離19.6kmの個人タイムトライアルで、スーダル・クイックステップのレムコ・エヴェネプール(ベルギー)がトップタイムを叩き出し、首位のマリアローザを獲得した。

レムコ・エヴェネプールがジロ・デ・イタリア第1ステージの個人タイムトライアルでトップタイム ©Fabio Ferrari / LaPresse

エヴェネプールは、ジロ・デ・イタリアのステージで優勝した50人目のベルギー選手。ベルギー選手の最多勝利はエディ・メルクスの25勝。

マリアローザを着用した最後のベルギー選手は2001年。アブルッツォ地方のモンテジルヴァーノからペスカーラまでの第1ステージでも優勝したリック・フェルブルッヘ。その前は、1978年に総合優勝したヨハン・デミュインク。

ロードレースでマリアローザを制した最後の世界チャンピオンは、2010年5月9日にユトレヒトで開催されたジロ・デ・イタリアでのカデル・エバンス(オーストラリア)。それ以前は1996年にパッソポルドイでのアブラアム・オラーノ(スペイン)。

イタリアTTチャンピオンのフィリッポ・ガンナは22秒遅れの2位 ©Fabio Ferrari / LaPresse

優勝を争うログリッチに初日だけで43秒差をつけたエヴェネプール

ジロ・デ・イタリア初挑戦のエヴェネプールは、タイムトライアルのベルギーチャンピオンジャージ姿でオープニングステージを勝ち取った。時速55.2kmという驚異的なペースで走り、イタリアチャンピオンのフィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ)を含む他のスペシャリストを、ルートの平坦な部分やオルトナへの上り坂を含めたあらゆる地形で上回った。

アルメイダが29秒遅れで3位に ©Fabio Ferrari / LaPresse

総合優勝を争うライバルであるプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)は、19.6kmのコースで43秒遅れ。エヴェネプールはキャリアの中で初めてマリアローザを獲得した。

優勝候補のエヴェネプールがジロ・デ・イタリア初日でいきなり首位 ©Gian Mattia D’Alberto / LaPresse

アルカンシエルを常に着たいがマリアローザも心地よい

「2022ブエルタ・ア・エスパーニャ以来、すべてのタイムトライアルでフロント60のギヤを使用している。取り扱うのは簡単ではないが、そのセッティングに満足していて、大きな自信を与えてくれる」とエヴェネプール。

「レース前は、ライバルの優勝候補に対して15秒を獲得できれば、素晴らしいスタートになると思っていた。多ければ多いほどよく、グランツールを有利に戦っていくことができる。ログリッチとの43秒はブエルタ・ア・エスパーニャと同じだが、距離はそのときよりも短い。今日勝てて少しびっくりしたが、このコースは長いストレートと短い上り坂があってフィニッシュするので自分によく合っていた。常にアルカンシエルを着ていたいが、マリアローザは素晴らしい変化。このジャージを着て毎日楽しみたい」

ジロ・デ・イタリア第1ステージでマリアローザを獲得したエヴェネプール ©Massimo Paolone / LaPresse

●4賞ジャージ
マリアローザ(個人総合成績)レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)
マリアチクラミーノ(ポイント賞)レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)
マリアアッズーラ(山岳賞)テイオ・ゲイガンハート(英国、イネオス・グレナディアーズ)
□マリアビアンカ(新人賞) レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)

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世界王者エベネプールが最古のレース、リエージュ~バストーニュ~リエージュで独走

世界チャンピオンのレムコ・エベネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が4月23日にベルギーで開催されたリエージュ~バストーニュ~リエージュで独走優勝。2連覇を達成した。

リエージュ~バストーニュ~リエージュを制したエベネプールを中央に左が2位サンティアゴ・ブイトラゴ、右が3位トム・ピドコック ©A.S.O. Maxime Delobel

第109回大会は172選手がスタートし、258.1kmのコースで開催された。1892年に第1回大会が行われ、現在まで継続して行われるレースとしては世界で最も伝統がある。

サンロッシュの丘。2023リエージュ~バストーニュ~リエージュ ©A.S.O. Maxime Delobel

エベネプールは2022年に、ラ・ドワイエンヌとも呼ばれる同大会に初出場して勝利した。この日は勝負どころとして知られるコート・ドラ・ルドゥートで最初に攻撃をしかけ、優勝を争うライバルであるトム・ピドコック(英国、イネオスグレナディアーズ)を追い落として、残り30kmを単独で逃げた。

リエージュ~バストーニュ~リエージュを走る世界チャンピオンのエベネプール ©A.S.O. Maxime Delobel

世界チャンピオンのアルカンシエルを着用してこの大会に優勝したのはフェルディ・キュブラー(1952年)、エディ・メルクス(1972年)、モレノ・アルゼンチン(1987年)に続く快挙。エベネプール自身にとってもアルカンシエルを着ての最初の勝利となった。

アルカンシエルを着用するエベネプール ©A.S.O. Billy Ceusters
世界チャンピオンのエベネプールがベルギーに凱旋 ©A.S.O. Maxime Delobel

ピドコックは2位、バーレーンビクトリアスのサンティアゴ・ブイトラゴは3位で、コロンビア勢として初の表彰台を獲得した。

2023リエージュ~バストーニュ~リエージュ ©A.S.O. Maxime Delobel

UAEエミレーツのタデイ・ポガチャル(スロベニア)は84.5 kmでクラッシュし、手首を骨折してリタイア。

エベネプールがゴールまでの30kmを独走 ©A.S.O. Maxime Delobel

同日に行われた女子のリエージュ~バストーニュ~リエージュファムはSDワークスのデミ・フォレリンク(オランダ)が優勝した。

リエージュ~バストーニュ~リエージュファムで先頭を走るのは世界チャンピオンのアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター) ©A.S.O. Billy Ceusters

エベネプールがUAEツアーで総合優勝…7日間のステージレースでも強さを見せる

中東を舞台とした唯一のUCIワールドツアー大会、UAEツアーは最終日となる2月26日に第7ステージが行われ、世界チャンピオンのレムコ・エベネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が首位を守って初の総合優勝を遂げた。

エベネプール(左)とアダム・イェーツがゴールまでのラストバトル。UAEツアー第7ステージ ©LaPresse

最終ステージはUAEエミレーツのアダム・イェーツが独走勝利したが、エベネプールが10秒遅れの2位でゴールし、逆転を許さなかった。

UAEツアー第7ステージ ©LaPresse

「ジロ・デ・イタリアまでに改善の余地がある」エベネプール

「ジェベル・ハフィートの下から上まですべて全力疾走のオールアウトだった」とエベネプール。

「今年はあまりクライミングトレーニングをしていなかったので、自分のパフォーマンスに満足している。このレースに勝つとは思わなかった。いい結果が出たが、1分差で勝てるとは思っていなかった。今週はずっと調子がよかったし、今日はレッドジャージを守るために戦いたかった。ジロ・デ・イタリアまでに改善の余地があるが、この勝利には満足している」

UAEツアー第7ステージ ©LaPresse
第5回UAEツアー第7ステージ ©Luca Bettini/SprintCyclingAgency©2023
アダム・イェーツがUAEツアー第7ステージの最後の坂でエベネプールを突き放した ©LaPresse
UAEツアー第7ステージで独走勝利したアダム・イェーツ ©LaPresse
総合優勝のエベネプールを中央に左が2位プラップ、右が3位アダム・イェーツ ©Luca Bettini/SprintCyclingAgency©2023

ポイント賞はベルギーチャンピオンのティム・メルリール(スーダル・クイックステップ)で、区間2勝を挙げた。

区間2勝のティム・メルリールがUAEツアーでポイント賞を獲得 ©Luca Bettini/SprintCyclingAgency©2023

ルビオ誕生日V、エベネプールが区間2位で首位に…UAEツアー第3S

中東を舞台とした唯一のUCIワールドツアー大会、UAEツアーは2月22日に第3ステージが行われ、モビスターのエイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア)が独走優勝。総合成績では世界チャンピオンのレムコ・エベネプール(ベルギー)が首位に立った。

エベネプールが14秒遅れの区間2位になり、総合トップに ©Luca Bettini/SprintCyclingAgency©2023

自分の可能性を証明するために勝利がほしかった…ルビオ

この日はジェベルジャイスにゴールする山岳ステージ。この日が25回目の誕生日というルビオが単独で抜け出して初のステージ優勝をあげた。

UAEツアー第3ステージ ©LaPresse

「最後の上りで有力選手に追従することが目標だったため、勝利は想定以上だった。攻撃のチャンスもあったし、最後まで先を行くのに十分な力があった」とルビオ。

「後続集団が差を縮めていることは分かっていたが、安定したペースを保つようにした。残り1kmくらいまで実際にステージに勝てるとは思わなかった。今季はアルゼンチンで開幕して、UAEツアーでうまくやりたいと思っていた。自分の可能性を示したかったので、最高の結果になった。2023年がいい年になると確信している」

UAEツアー第3ステージ ©LaPresse

上りが毎年強くなりパンチャーを打ちまかせる自信はあった…エベネプール

エベネプールが14秒遅れのステージ2位に入り、総合成績で、前日首位に躍り出たイネオスグレナディアーズのルーク・プラップ(オーストラリア)を逆転して、エベネプールが初めて首位になった。

エイネルアウグスト・ルビオがUAEツアー第3ステージで独走 ©Luca Bettini/SprintCyclingAgency©2023

「今日達成したことはチームの士気にとっていいことで、今後のステージへのいい兆候だが、総合成績で7秒のリードはそれほど多くない。ゼロ秒のリードを持つよりはましだと思うけど」とエベネプール。

「ジェベルジャイスは急な上り坂であるため、最終日のジェベルハフィートとは異なる。私はあまり爆発的なクライマーではないが、毎年少しずつ強くなり、それが今日示された。トレーニングキャンプから、上り坂のスプリントで速いパンチャーを打ち負かすことができることはわかっていたけど、それに取り組むこと主な目標ではない」

山岳ゴールを目指すメイン集団 ©LaPresse

大会は7区間で26日まで。

エイネルアウグスト・ルビオが初優勝  ©LaPresse

世界チャンピオンのエベネプールがUAEツアーに参戦決定

世界チャンピオンのレムコ・エベネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が2月20日から26日まで開催されるUAEツアーに参戦することが決まった。同大会は中東で開催される唯一のUCIワールドツアーレース。

レムコ・エベネプール @woutbeel

UAEエミレーツに移籍した英国のアダム・イェーツも参戦。2016年には英国選手として初めてツール・ド・フランスで新人賞を獲得した。

アダム・イェーツ ©Photo Fizza

オーストラリアのカレブ・ユアンはUCIプロチームのロット・デスティニー(ベルギー)に所属。主催者推薦によりチームが出場できることになり、平坦ステージでの優勝を目指す。

カレブ・ユアン(右) ©Face Peeters

ボーラ・ハンスグローエのサム・ベネット(アイルランド)はスプリンター。2020ツール・ド・フランスではポイント賞を獲得している。

サム・ベネット

●UAEツアーのホームページ

エベネプール、史上最年少の22歳でブエルタ・ア・エスパーニャ総合優勝

22歳のレムコ・エベネプール(クイックステップ・アルファビニル)が第77回ブエルタ・ア・エスパーニャ(8月19日〜9月11日開催)で初の総合優勝を遂げた。ベルギー勢が5月のジロ・デ・イタリア、7月のツール・ド・フランスを含めた三大ステージレースを制したのは44年ぶり。

2022ブエルタ・ア・エスパーニャ総合優勝のレムコ・エベネプール ©Unipublic Charly López

大会初の4連覇を狙ったユンボ・ビスマのプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)は落車負傷してリタイア。

左から山岳賞のカラパス、総合優勝と新人賞のエベネプール、ポイント賞のピーダスン ©Unipublic Charly López

ログリッチ擁するユンボ・ビスマ勢が連日のマイヨロホ着回し

オランダのユトレヒトで開幕した24日間のステージレース。序盤はログリッチにとってあまりにもできすぎた展開だった。大会初日、チーム全員で隊列を組んでゴールを目指すチームタイムトライアルで圧勝。先頭でゴールラインを通過した地元オランダの僚友ヘーシンクが赤いリーダージャージ「マイヨロホ」を獲得した。

ユンボ・ビスマがチームタイムトライアルを制し、セップ・クスがシャンパンをまき振るう ©Charly López

第2ステージはチームメートのオランダ勢テウニッセンが首位を入れ替わる。さらに第3ステージでイタリアのアッフィニへ。スペインに空路で移動して行われた第4ステージでエースのログリッチに。チームの中でマイヨロホを着回す状態となった。

第6ステージで一躍優勝争いに名乗り出たのがエベネプールだ。ログリッチはジュニア時代、スキージャンプ競技のスロベニア代表だったが、エベネプールはサッカー。U15ベルギー代表では主将を務めるほどだった。

2022ブエルタ・ア・エスパーニャ第13ステージ ©Unipublic Charly López

エベネプールはベルギーの国技とも言われる自転車に転向すると、2018年の世界選手権でジュニアの個人タイムトライアルとロードレース二冠。翌年に現チームでプロデビューを果たすと、いきなりメジャーレースで連勝。しかし2020年のイル・ロンバルディアでコースアウトして橋の下に落下。大ケガを負う。実戦復帰は2021年のジロ・デ・イタリアとなり、好位置につけながら終盤に落車してリタイアしている。

序盤の第6ステージがキーポイントとなった

今回のブエルタ・ア・エスパーニャでレースが動いたのは濃霧の第6ステージだった。伏兵らと抜け出したエベネプールが総合成績で首位になる。さらに第10ステージの個人タイムトライアルでトップタイムを叩き出して、総合2位ログリッチとの差を2分41秒に広げた。

第6ステージ、エベネプールとマスがバインを追う ©Unipublic Sprint Cycling Agency

後半戦になると徐々にログリッチがその差を詰めてきた。第16ステージでは1分26秒に。ログリッチは翌日も攻撃に出て、エベネプールを置き去りにしたが、区間勝利を狙ったゴール勝負で痛恨の落車。大きく傷ついて翌日は出走しなかった。

エベネプールがトップタイムで優勝し、総合2位とのタイム差をさらに広げた ©Unipublic

第18ステージの天王山でも勝利したエベネプールはそのまま2位に2分以上の差を堅持して最終日の首都マドリードまで逃げ切った。史上最年少の総合優勝者となったのだ。

ゴール手前75mで単独落車したログリッチがチームメートに背中を押されながらゴールを目指す ©Unipublic Charly López

ベルギー勢の三大大会総合優勝は1978年にヨハン・デミュインクがジロ・デ・イタリアで勝って以来だ。ベルギーはかつて自転車競技史上最強と言われるエディ・メルクスが君臨するなど強豪国と言われたが、近年は南米や英国、北欧などの新勢力に主要タイトルを奪われていた。身長171cmと小柄ながら、オールラウンドに強さを発揮するエベネプールはメルクスの再来を期待される。

2022ブエルタ・ア・エスパーニャ第19ステージ ©Unipublic Charly López

22歳にしてクラシックとグランツール連勝、そしてオフには結婚

今季序盤にはメルクスが得意としていた1日開催の伝統レース、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュとクラシカサンセバスティアンを撃破。そして今回は24日の長丁場レースでも勝利した。

ログリッチがリタイアして、総合優勝はエベネプールとマスとの争いとなった ©Unipublic Sprint Cycling Agency

「ボクの人生で最も美しい日になった。チームにとって、ボクの国にとって、そして自分自身にとっての歴史となった。この24日間でやったことを本当に誇りに思う。冬には結婚する。願うことができる最高の年だと思う」(エベネプール)

エベネプールが2022ブエルタ・ア・エスパーニャ総合優勝を確実にした ©Unipublic Charly López