ダイネーゼがジロ・デ・イタリアに続く区間優勝【ブエルタ・ア・エスパーニャ】

第78回ブエルタ・ア・エスパーニャは2023年9月15日、バニェザ〜イスカル間の177.5kmで第19ステージが行われ、DSMのアルベルト・ダイネーゼ(イタリア)がゴール勝負を制した。2022年と2023年のジロ・デ・イタリアに続く、グランツール3勝目を挙げた。

ダイネーゼが2023ブエルタ・ア・エスパーニャ第19ステージで優勝 ©Luis Angel Gomez/SprintCyclingAgency©2023

総合1位のセップ・クス(米国)はチームメートらとゴールし、リーダージャージのマイヨロホを維持。総合優勝に前進した。

2023ブエルタ・ア・エスパーニャ第19ステージ ©Luis Angel Gomez/SprintCyclingAgency©2023
ルイ・オリベイラ。不吉な数字とされる13 は片側を逆にすると災難を免れるという言い伝えがある ©Luis Angel Gomez/SprintCyclingAgency©2023
2023ブエルタ・ア・エスパーニャ第19ステージ ©Rafa Gomez/SprintCyclingAgency©2023
総合優勝に向けてクスがチームメートらと言葉をかわしながら走る ©Luis Angel Gomez/SprintCyclingAgency©2023
ポイント賞のカーデン・グローブスはゴール直前の落車でスプリント争いに加われなかった ©Rafa Gomez/SprintCyclingAgency©2023

●4賞ジャージ
マイヨロホ(個人総合成績)セップ・クス(米国、ユンボ・ビスマ)
マイヨベルデ(ポイント賞)カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)
マイヨルナレス(山岳賞)レムコ・エベネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)
□マイヨブランコ(新人賞)フアン・アユソ(スペイン、UAEエミレーツ)

横風を受けた集団では後続選手が風下に位置する ©Rafa Gomez/SprintCyclingAgency©2023

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ダイネーゼが2022年に続いて区間勝利…トーマス首位で天王山へ

第106回ジロ・デ・イタリアは5月24日、ペルジーネバルスガーナ〜カオルレ間の195kmで第17ステージが行われ、チームDSMのアルベルト・ダイネーゼ(イタリア)がゴール勝負を制して、1年ぶり2回目のステージ勝利を飾った。

ダイネーゼ(左)がマイケル・マシューズ(中央)とミランを制した ©Fabio Ferrari/LaPresse

この日は平坦ステージで、首位ゲラント・トーマス(英国、イネオス・グレナディアーズ)は他の有力選手と同じグループでゴール。18秒遅れの2位ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)。29秒遅れの3位プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)との差は変わらず。

2023ジロ・デ・イタリア第17ステージ ©Fabio Ferrari/LaPresse

ペルジーネ・ヴァルスガーナ〜カオルレ間の平坦路

ルートは標高530mのペルジーネ・ヴァルスガーナをスタートし、アドリア海に面したカオルレまで、全体的に下り基調で、山岳ポイントはない。70km過ぎに通過するバッサーノ・デル・グラッパは蒸留酒のグラッパの名産地として名高い。カオルレは観光地ヴェネツィアにも近い美しい漁港だ。

ヴェネツィアとトレヴィーゾ周辺の平原をまっすぐに突き進むコースが使用され、曲がり角はほとんどなく、高速レースの末にスプリンターたちのゴール勝負となることが予想された。

そして翌日の第18ステージ、翌々日の第19ステージが過酷な山岳コースで行われ、さらに第20ステージの個人タイムトライアルがあることから、マリア・ローザを争う総合成績の上位選手とそのチームにとってはいかに体力を温存しながらゴールするかがこの日の課題となった。

総合1位のマリア・ローザを着用するのはゲラント・トーマス(英国、イネオス・グレナディアーズ)。18秒遅れの2位にヤング・ライダー賞1位のジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)。29秒遅れの3位にプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)がつけている。

山岳賞はEFエデュケーション・イージーポストのベン・ヒーリー(アイルランド)が前日に初めてトップに立ったが、この日はお役御免だ。

第17ステージの天気はまずまずで、わずかにスコールはあったが日差しも降り注ぐ中でのレースとなった。ペルジーネ・ヴァルスガーナをスタートしたのは128選手。コロナ罹患や悪天候で体調を崩した選手が相次ぎ、集団はいくぶん小さく見える。

2023ジロ・デ・イタリア第17ステージ ©Fabio Ferrari/LaPresse

最終日のローマを除けばスプリンターにとってはラストチャンスとなる平坦ステージだ。序盤から複数の選手が先行するが、スプリンターを擁するチームがメイン集団のペースメークをして、最終局面までにきっちりと吸収した。

この大会でこれまでステージ優勝できたスプリンターは、バーレーン・ヴィクトリアスのジョナサン・ミラン(イタリア)、チームジェイコ・アルウラーのマイケル・マシューズ(オーストラリア)、UAEチームエミレーツのパスカル・アッカーマン(ドイツ)の3人のみ。それ以外のスプリンターがゴールを見据えてラスト勝負に挑むなか、チームDSMのマリウス・マイヤーホーファー(ドイツ)が残り2kmからアルベルト・ダイネーゼ(イタリア)を牽引。ダイネーゼが好位置からスパートし、ミランとマシューズを抑えて優勝した。

「昨日まで、今年のジロ・デ・イタリアでステージ優勝できるとは思えなかった。第5ステージで勝負に出たが、降格してしまった。休みの日に体調を崩したが、昨夜はよく眠れて、今日は初めて気分がよかった」というダイネーゼ。

平坦区間の第5ステージでは好位置でスプリント勝負したが、ゴール手前で斜行したことで後ろについたマーク・カヴェンディッシュの落車要因を発生させて、その集団の最後位に降格している。そのうっぷんを晴らす日がやってきた。

マリアローザのゲラント・トーマスとそれを援護するアシスト陣 ©Fabio Ferrari/LaPresse

ダイネーゼにとってはちょうど1年ぶりの勝利だ。ジロ・デ・イタリアでは通算2勝目となるが、過去3年半でダイネーゼが勝ったのは、2022ジロ・デ・イタリア第11ステージとこの日の2回のみ。年間数十のレースで優勝するスプリンターはたくさんいるが、その大半はメジャーレースではない。ダイネーゼは勝ちこそ少ないが、ジロ・デ・イタリアで勝っているのが注目点だ。

レッジョ・エミリアで行われた2022ジロ・デ・イタリア第11ステージでは、ダイネーゼは名だたるスプリンターのガビリア、コンソンニ、デマール、ユアンを破って初優勝している。

ダイネーゼはイタリア選手としては、これまでとは異なるキャリア選択をした。イタリアチームに安住せず、さらなる活躍を求めて外国チームに所属する先駆者の一人だった。2018年にオランダのSEGレーシングアカデミーに加入し、ヨーロッパU23ロードタイトルを獲得した後、プロ転向。

2020年に現チームの前身であるチーム・サンウェブで、なみいる有力選手らに加わることを選んだ。このチームにはそれまでイタリア選手が加入したことはなく、スタッフとしてもバスの運転手くらいだったという。ダイネーゼのキャリアは他の若手イタリア選手よりも困難な環境に囲まれ、ネオプロフェッショナルとしての通常の浮き沈みに加えて、外国チームに順応する必要もあったという。

身体的にはそれほど大きくなく、カヴェンディッシュに似ていると言われている。チームは、「カヴェンディッシュほど多くは勝てないだろうが、勝つための適切なステージを選ぶ方法を間違いなく知っている」と、この日のスプリントを託した。ダイネーゼは見事にその期待に応えたと言っていい。

「こんなに僅差で勝つことはこれまで経験したことがなかった。以前は何度も僅差で負けている。ジュニアのときには手を上げたことで負けたこともある。勝ったと言われるまで緊張したままだった。この方法で勝つのがいいね」とダイネーゼ。

第17ステージはゴールスプリント勝負となってダイネーゼが優勝した ©Gian Mattia D’Alberto/LaPresse

総合成績では前日に首位を奪還したトーマスが無難な走りでマリア・ローザを守った。翌日は自身の誕生日で、マリア・ローザを着用しての走りとなる。1948年と1949年5月23日のジョルダーノ・コットゥール、1986年6月2日のロベルト・ヴィセンティーニ、1994年6月3日のエフゲニー・ベルツィン、2006年5月7日のパオロ・サヴォルデッリ、2019年5月29日のリチャル・カラパスに続いて、大会史上6回目の記録だ。

「このジロ・デ・イタリアにしては雨も10分間でおさまったし、最も簡単な日の1つだった。フィニッシュはちょっと混沌としていて、かなり危険だったが、チームメートがそれをうまくさばいてくれたのでありがたかった」とトーマス。

「翌日からの3日間のために、できるだけ脚を使わないことを心がけていた。プリモシュ・ログリッチとジョアン・アルメイダはどちらも非常に危険な存在だ。ジョアンとのタイム差はかなり接近している。どちらも超強力なタイムトライアル選手なので、正直両方が怖い。とりわけ金曜日の第19ステージがクイーンステージだ。これまでの経験から、自分は勝てるという自信と信念がある。その場に飲み込まれないで冷静に走る手段も心得ているつもりだ」(トーマス)。

バーレーン・ヴィクトリアスの新城幸也は3分21秒遅れの122位でゴール。総合成績は3時間54分05秒遅れの127位。チームに貢献することと完走が目標だけに、着実に最終日に向けて走っているという印象だ。

チームメートのミラン(イタリア)は、この日4回目の2位。U23選手がこれだけ表彰台に上ったのは2004年のダミアノ・クネゴ(ステージ4勝と2位1回)以来の快挙だという。第2ステージで手中にしたポイント賞ジャージを一度も手放すことなくキープしている。

ミランがポイント賞ジャージを堅持 ©LaPresse

●4賞ジャージ
マリアローザ(個人総合成績)ゲラント・トーマス(英国、イネオス・グレナディアーズ)
マリアチクラミーノ(ポイント賞)ジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
マリアアッズーラ(山岳賞)ベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)
□マリアビアンカ(新人賞)ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)

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ダイネーゼが歓喜のプロ初勝利【ジロ・デ・イタリア第11S】

第105回ジロ・デ・イタリアは5月18日、サンタルカンジェロディロマーニャ〜レッジョエミリア間の203kmで第11ステージが行われ、イタリアの若手スプリンター、アルベルト・ダイネーゼ(DSM)がゴール勝負を制して初優勝した。

第11ステージを制したダイネーゼがロマン・バルデに抱きつく ©Fabio Ferrari / LaPresse

総合成績ではトレック・セガフレードのフアン・ロペス(スペイン)がマリアローザを守った。

2022ジロ・デ・イタリア第11ステージはパルミジャーノレッジャーノの産地、レッジョエミリアを訪問した ©LaPresse

総合3位のバルデがアシストしてくれてうれしかった

「今朝は自分が勝つとはまったく思わなかった。睡眠がうまく取れず、目が覚めた時の気分よくなかった。それでもレース中にチームのスプリンターになれたことを光栄に思う」とダイネーゼ。

「すべてのスプリントは異なる。アルノー・デマールは紙の上では最高のポジションにいるように見えた。100m進むと、自分が一番速いことに気付いた。ロマン・バルデがボクに自信をもたせてくれた。総合成績で3位に立つ素晴らしいライダーがリードアウトをくれたことをとてもうれしく思う。今、チームはジロ・デ・イタリアで総合優勝をねらっているので、これからはバルデのために働く」

2022ジロ・デ・イタリア第11ステージ ©Fabio Ferrari / LaPresse
2022ジロ・デ・イタリア第11ステージ ©Fabio Ferrari / LaPresse
2022ジロ・デ・イタリア第11ステージでダイネーゼが優勝 ©LaPresse

●4賞ジャージ
マリアローザ(個人総合成績)フアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード)
マリアチクラミーノ(ポイント賞)アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)
マリアアッズーラ(山岳賞)ディエゴ・ローザ(イタリア、エオーロ・コメタ)
□マリアビアンカ(新人賞) フアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード)

2022ジロ・デ・イタリア第11ステージはダイネーゼが優勝 ©Massimo Paolone/LaPresse

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