想像以上に厳しい…ティボー・ピノが世界選手権ロードの激坂をコメント


ツアー・オブ・アルプスは最終日となる4月20日にオーストリア・チロル地方のインスブルックで2018世界選手権ロードコースの一部を使った第5ステージが行われ、総合優勝を果たしたグルパマFDJのティボー・ピノ(フランス)が「本当にタフなコースだ」と感想を語った。

ツアー・オブ・アルプス第5ステージは世界選手権コースを走った。2人目はリーダージャージを着るティボー・ピノ © Luca Bettini/BettiniPhoto

山岳レースとして知られるツアー・オブ・アルプスの最終ステージは2018年9月に開催される世界選手権ロードの舞台だった。この日は距離23.9kmのショートラップを3周した。世界選手権ロードでは全カテゴリーがクーフシュタインをスタートして90.6kmを走ってインスブルックのショートラップに突入する。ジュニア男子は2周、U23は4周、エリート女子は3周してゴールとなる。エリート男子はショートラップを6周したのちに、このショートラップを含む距離31.0kmのロングラップを1周する。このロングラップに勾配値28%のグラマルトボーデンが待ち構えている。

世界選手権ロードの周回コース部分。ジュニア男子はショートラップ2周、U23は4周、女子は3周、エリート男子はショートラップを6周し、最後にロングラップを1周する

世界選手権ロードコースはすでに発表されていて、ビンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ)を含むイタリアナショナルチームが試走しているが、この日が公式のテストレースとしては初めてとなった。ツアー・オブ・アルプスで使われたのはショートコースで、この日は3周。9月にはここを7回上ることになる。

「世界選手権のコースは想像以上に厳しかった。最初の峠を上り切るとすぐに高速ダウンヒルが待ち構える。そしてすぐに次の峠に突入するという。過酷な上りのハイスピードの下りが何度も連続する。本当にタフだ」とピノ。

この日のゴール後に、イタリアのファビオ・アルー(UAEエミレーツ)など有力選手は、ツアー・オブ・アルプスで使用されなかったロングラップの試走に出かけている。「地獄」と呼ばれるグラマルトボーデンの対策を練るためだ。

世界選手権エリート男子ロードの周回コース部分

世界選手権ロードの周回コース高低表。エリート男子はショートラップを6周し、最後にロングラップを1周する

全カテゴリーで使用するショートラップと、エリート男子のみ使用するロングラップの高低表

男子エリート・U23・ジュニア、女子エリートの全カテゴリーはクーフシュタインをスタートして90.6kmを走り、インスブルックの周回コースへ

インスブルックの周回コース。下がショートラップ、上の部分を含めたものがロングラップとなる

エリート男子が最後に走るロングラップに待ち構える勾配値28%の激坂グラマルトボーデン

世界選手権エリート男子個人タイムトライアルのコース

世界選手権エリート男子個人タイムトライアルの高低表

世界選手権男子チームタイムトライアルのコース

世界選手権男子チームタイムトライアルの高低表

●関連ニュース

「地獄のレースになる」…ニーバリが世界選手権コースを試走

●最新ニュースへ

ルイスレオン・サンチェスがツアー・オブ・アルプス第4ステージ優勝

アルプス山脈を舞台とする5日間のステージレース、ツアー・オブ・アルプスは4月19日、イタリアからオーストリアのリエンツに向かう距離134.5kmの第4ステージが行われ、アスタナのルイスレオン・サンチェスが優勝した。アスタナチームは第1ステージのペリョ・ビルバオ(スペイン)、第2ステージのミゲールアンヘル・ロペス(コロンビア)に続く3勝目を挙げた。

ツアー・オブ・アルプス第4ステージを制したルイスレオン・サンチェス © Roberto Bettini/BettiniPhoto

この日は温かな1日となり、序盤は集団のままゴールを目指した。最初の山岳でアタックが始まり、9選手が第1集団を形成。後続集団では総合成績の上位をねらい選手らが飛び出しを図るが、アスタナ勢がマークに入ってこれらを封じ込めることに成功。最後の峠の頂上は有力選手らが同じグループで越えると、下りに入ってサンチェスらがステージ優勝をねらって抜け出しにかかる。残り2kmで独走を決めたサンチェスがそのまま逃げ切って優勝した。

「強力なチームメートのアシストを受けて、きょうはとてもいい走りができた。5月4日に開幕するジロ・デ・イタリアに向けてコンディションを高めることができた」とサンチェス。

総合成績の1位はグルパマFDJのティボー・ピノ(フランス)。第5ステージはオーストリア・チロル地方の2018世界選手権ロードコースの一部を走る。

●関連ニュース

ミゲールアンヘル・ロペスがツアー・オブ・アルプス第2ステージ優勝

●最新ニュースへ

ミゲールアンヘル・ロペスがツアー・オブ・アルプス第2ステージ優勝

アルプス山脈を舞台とする5日間のステージレース、ツアー・オブ・アルプスは4月17日、距離145.5kmの第2ステージが行われ、アスタナのミゲールアンヘル・ロペス(コロンビア)が小集団のゴール勝負を制して優勝。アスタナチームは前日のペリョ・ビルバオ(スペイン)に続いて連勝を飾った。総合成績ではアンドローニのイバン・ソーサ(ベネズエラ)がビルバオに代わって首位に立った。

ツアー・オブ・アルプス第2ステージを制したミゲールアンヘル・ロペス © Luca Bettini/BettiniPhoto

この日最後の山岳、アルペ・ディ・パンペアーゴの頂上まで5km地点でアスタナ勢は先頭集団に5人を残していた。ゴールまで2.5kmになるとそのうちのひとり、ヤン・ハートが何度もアタックし、総合優勝を争う有力選手を消耗させていく。ハートは残り2kmで捕らえられたが、有力選手の動きはなく、最後のゴール勝負へ。体力を温存していたロペスがスプリント勝利を飾った。

「アルペ・ディ・パンペアーゴという伝統の山岳で勝利できて、過去の偉大なチャンピオンに近づけたことを光栄に思う」とロペス。
「チームメートの援護があって、とても過酷な山岳だったが安全に、そして体力を削ることなくクリアすることができた。ハートの動きによっていい状況となって、最後の数mまでパワーを温存することができた」

●関連ニュース

ペリョ・ビルバオがツアー・オブ・アルプス第1S優勝…フルームは5位

●最新ニュースへ

ペリョ・ビルバオがツアー・オブ・アルプス第1S優勝…フルームは5位

山岳ばかりが連続する5日間のステージレース、ツアー・オブ・アルプスが4月16日にイタリア北部で開幕。2つの難所が待ち構えた距離134.6kmの第1ステージはアスタナのペリョ・ビルバオ(スペイン)が最後の上り坂で先頭集団に加わり、残り3km地点からのダウンヒルで独走を成功させて優勝。総合成績でも首位に立った。

ペリョ・ビルバオがツアー・オブ・アルプス第1ステージを制した © Roberto Bettini/BettiniPhoto

スタート直後から9選手が抜け出して第1集団を形成したが、後続のメイン集団は周到にペースをコントロールして射程距離内で追走。終盤になると15人の先頭集団が形成されたが、アスタナチームはビルバオを含めて5選手が加わる。最後の上り坂で複数のアタックがあったが、それに食らいついたビルバオが峠を越えてからの下り坂でアタック。チームメートが抑え役となったことでゴールまで逃げ切った。

「ちょうど1年前、アスタナチームのミケーレ・スカルポーニが第1ステージで優勝してリーダージャージを獲得している」
ビルバオはゴール後に、2017年4月22日の練習中に交通事故死した元チームメートのことを振り返っている。
「彼のことはボクたちチーム全員の胸の中にあって、この日の栄冠をすべて捧げたい。ボクにとってもチームにとってもきょうの勝利は特別なんだ」

ジロ・デ・イタリアの調整レースとして参加しているスカイのクリストファー・フルーム(英国)もまずまずの走りを見せ、10秒遅れの区間5位でゴールしている。

●関連ニュース

NIPPOの日本人クライマー中根英登と伊藤雅和がツアー・オブ・アルプス参戦

●最新ニュースへ

NIPPOの日本人クライマー中根英登と伊藤雅和がツアー・オブ・アルプス参戦

イタリア北部からオーストリアにかけての山岳エリアで開催される5日間のステージレース、ツアー・オブ・アルプスに中根英登と伊藤雅和、2人の日本人クライマーが参戦する。4月16日(月)から5日間にわたって繰り広げられる超級山岳レースに、2018年もNIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニが参戦する。同レースは長年「ジロ・デル・トレンティーノ」として、1962年よりイタリアで開催されていたが、2017年からレース名を変更。さらに開催日数や開催エリアがオーストリアまで拡大された。

ツアー・オブ・アルプスに参加するNIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニのメンバー

2018年はイタリア北部トレンティーノ=アルトアディジェ州のアルコでスタートを迎え、初日から山岳が組み込まれる。最難関ステージとなるのは第2ステージで、標高1750mのアルペ・ディ・パンペアゴの山頂フィニッシュが設定される。最終日は2018年の世界選手権ロードレースが開催されるオーストリアのインスブルックにフィニッシュ。すべてのステージに山岳ポイントが設定されていて、5月に開幕するジロ・デ・イタリアの前哨レースとして、9つのUCIプロチームが参戦する非常にレベルの高い大会だ。

NIPPO・ヴィーニファンティーニはクライマーを中心とした布陣で挑む。軸となるのは2004年、2006年、2007年に総合優勝をあげているダミアノ・クネゴ。15日のアムステルゴールドレースを走り終えて、翌日スタートというハードスケジュールだが、相性のいい大好きなレース。現役最後となるが、高いモチベーションをもって参戦する。

活躍が期待されるイバン・サンタロミータ、ニコラ・バジョーリ、フィリッポ・ザッカンティのイタリア人選手たちは、クネゴとともに事前にシチリアのエトナ火山近郊で高地トレーニングで積み、コンディションを仕上げて参戦する。特に登坂スペシャリストのサンタロミータは攻撃の核として戦う。

日本人選手は中根と伊藤のクライマーコンビが揃って出場。中根はシーズン序盤から好調さをみせているが、体調不良や不運のトラブルにより結果につなげられず、非常に悔しい思いを重ねていて、ここでの活躍を誓う。伊藤にとっては待ち望んだ今季初戦。2017年は5月のツアー・オブ・ジャパンで大腿骨骨折の重傷を負ったが、長いオフシーズンを利用し、完全復活。初戦からレベルの高い大会となるが、チームの期待に応えるべく全力を尽くす。

伊藤雅和

伊藤雅和のコメント
今年初レース! みんなはレースを重ねてるのでコンディションの差は歴然だと思うけど、しっかり練習をしてきたので、最後まで仕事をこなしながら走り抜けたい。ここからシーズン始まるので一戦一戦大切に走って強くなっていきたい。

中根英登

中根英登のコメント
ツール・ド・台湾から少し期間が空いたので、コンディションを上げるためのトレーニングと休養に集中して取り組めた。調子のいい状態でレベルの高いレースに挑戦できることを楽しみに思う。チームの歯車として機能できるように頑張りたい。

アレッサンドロ・ドナーティ監督

アレッサンドロ・ドナーティ監督のコメント
登坂能力を重視してのメンバー選考となった。区間優勝、総合優勝の経験があるクネゴ、そしてサンタロミータがチームのリーダーとなり、他の選手たちは彼らを支え、チームとして結果を出していきたい。若手のジョアン・ボウには果敢にアタックを仕掛けて、逃げに乗るようなシーンも期待している。


Tour of the Alps
開催期間/2018年4月16日(月)〜20日(金)
カテゴリー/UCIヨーロッパツアー2.HC
開催国/イタリア、オーストリア

4月16日 第1ステージ Arco › Folgaria (134.6k)
4月17日 第2ステージ Lavarone › Fiemme/Alpe di Pampeago (145.5k)
4月18日 第3ステージ Ora/Auer › Merano/Meran (138.3k)
4月19日 第4ステージ Chiusa/Klausen › Lienz (134.3k)
4月20日 第5ステージ Rattenberg › Innsbruck (161.6k)

ツアー・オブ・アルプスの公式サイト
ツアー・オブ・アルプスのフェイスブック
ツアー・オブ・アルプスのツイッター
ツアー・オブ・アルプスのハッシュタグ #TotA

●関連ニュース

カノラをエースにアムステルゴールドレース参戦…NIPPO・ヴィーニファンティーニ

●最新ニュースへ