FUKAYA RACINGがUCI MTBチームとなり2022年を始動

自転車商社のフカヤがメインスポンサーとなるFUKAYA RACINGが2022年のチーム体制を発表した。欧州UCIシクロクロスチームに在籍する唯一の日本選手、鈴木来人がXCOライダーとして新規加入した。

鈴木来人

FUKAYA RACINGのチームコンセプトである「挑戦」を掲げ、2022年シーズンからアジア唯一のUCI MTBチームとなり、海外でのレース活動に力を入れていく。

鈴木来人
出身地:長野県上伊那郡
2000年生まれ(20歳)
「今季よりFUKAYA RACINGに加入する鈴木来人です。MTB競技という新しい挑戦をしていくにあたり、最高のチームと多くのスポンサー・サプライヤーに恵まれたことに感謝しています。今季はU23全日本チャンピオンとワールドカップでのフルラップ完走を目標に全力で戦っていきます」
※ロードレース&シクロクロスは別チームで活動

竹内遼

2022年は新たに監督兼メカニックの小林輝紀監督(長野県飯山市在住)、2021年シーズンから日本人で唯一欧州に拠点置きフランス籍のシクロクロスUCIチームに所属している鈴木来人(長野県上伊那郡在住)の2名を迎え、新たな体制で活動していく。

◆FUKAYA RACING チーム体制 
・小林 輝紀/コバヤシ テルキ (監督兼メカニック)
・竹内 遼/タケウチ リョウ  (エースライダー)
・鈴木 来人/スズキ ライト  (ライダー)
・松本 佑太/マツモト ユウタ (ライダー兼マネージャー)

監督兼メカニックを務める小林輝紀
ライダー兼マネージャーの松本佑太
フカヤレーシング

川口うらら、MTBで世界を目指す…科学的トレ導入も

MTBのアジア選手権ジュニア女子で2017年から2連覇した川口うらら。MTBとロードの2競技で世界選手権の日本代表に起用されている。現在19歳の注目選手は東京五輪のテスト大会にも日本勢3選手のひとりとして出場した。目指すのは世界のトップテン。あるいはその先にある2024パリ五輪だ。

フカヤレーシングの川口うらら

ロードとMTBで世界選手権代表メンバーに

兵庫県たつの市に菖蒲谷という森林公園がある。大自然に囲まれた林道があって、MTBで走ると最高に楽しい。近くに住む川口が小学4年生のときから友だちと一緒に走っていたフィールドだ。

「環境に恵まれていましたね。だれかと走るのが楽しいんです。ああだこうだ言いながら」

もともとスキーやキャンプが大好きなアウトドア派。トレイルランも苦にしない。中学生でバスケットボール部に入ったので自転車は一時中断。しかし高校では放課後にバスケ練習、週末になると部活動とは別に自転車を楽しむ生活に戻った。

ロードバイクも練習の一環として乗り始める。2年前、高校3年生になる年に日本自転車競技連盟がジュニア女子ロードの合宿に呼んでくれた。MTBでの実績があって素質を見込まれたからだ。

「女子の場合はMTBとロードの両方をやりやすいんです。海外でも同じで、MTB世界選手権にいる選手はロード世界選手権にもいますから」

MTBはロード競技と同様にハイレベルな心肺機能が必要だが、それに加えてテクニックもいる。小学生時代からオフロードに親しんできた川口はそれがアドバンテージだ。それでも、「日本では下りも得意なほうだと思うんですが、世界レベルで見るとまだまだ」と自分の課題を掲げる。

2018世界選手権ジュニア女子ロードを走る川口うらら(左から2番目)  ©2018 JCF

現在は日本体育大1年生。ロード競技では同大の所属として走り、MTBでは今季からフカヤレーシングに所属して男子2選手とともに世界を目指す。横浜市にあるキャンパス周辺には山がないので、大学のアスリート支援システムを活用。大学ジムでパーソナルトレーナーの指導を受けるなどでこれまでに体験したことがなかった科学的練習を積む。

「タイで開催されるアジア選手権対策として、大学実験室の温度を上げて暑さに順応する練習をしたり、研究室で出力数値解析できる自転車をこいだりしています。これまでは感覚だけが頼りなので練習もあいまいでしたが、今は数字を見ながらの練習。測定で算出された数字を見れば強くなったことが分かります」

MTB選手活動の基盤となるフカヤレーシングで、選手兼チームマネジメント担当の松本佑太は、「世界と戦える選手だと川口選手に声をかけました」とチーム加入のいきさつを証言している。

「目標を聞いたときに、『世界チャンピオンになる』という力強い言葉が返ってきた。素質もあるのでこれはいけるなという予感があった。常に上を向いている姿勢も評価できた」と松本。

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オーバートレーニングで一時は低迷

順風満帆の川口に大きな壁が立ちはだかったことがある。2019年1月から慢性疲労となり、半年ほど睡眠障害などで体調を壊した。「気持ちの問題だ」とも言われたが、練習したら治るという状態でもなかった。じつはハードトレーニングによる疲労の蓄積が原因となったものだ。真面目な性格が災いした。練習をやり過ぎてしまう。レースでダメだったら自分で反省ばかりして考えすぎた。練習を重ねる体力もあったからやり過ぎたのも原因だったという。

「かなり悩んで、いろんな人と相談をして。その期間も苦しかったけど、復帰してからももとの感覚に戻すまで時間がかかったのがツラかった。それでも精神的な面で一番成長できたと思います。自分としてはこういう1年もレベルアップのためには必要だったかな」

現在はU23カテゴリーで走るが、その実力は多くのエリート選手を超えている。東京五輪のMTBクロスカントリー女子の日本選手は開催国枠の1つだけ。複数あれば川口にもチャンスがあったはずだ。

「もともと東京五輪を狙うつもりはなくて、まずは世界選手権で10番以内になること。五輪はその中でチャンスがつかめたらと思っていました」

将来の可能性を高めるために積極的に走っていきたい。川口の国内開幕戦は4月5日、子どものころから遊んでいた菖蒲谷を舞台としたMTBシリーズ戦だ。

フカヤレーシングの松本佑太、川口うらら、竹内遼

●フカヤレーシングのホームページ

松本佑太、竹内遼、川口うらら所属のフカヤレーシング始動

MTBチーム、フカヤレーシングの2020シーズンは新戦力として川口うららが加わり、松本佑太、竹内遼とともに東京五輪イヤーを戦っていく。チームのキックオフパーティーを兼ねた新体制発表会が1月24日に愛知県名古屋市で、同25日に東京都で開催された。

フカヤレーシングの松本佑太、川口うらら、竹内遼

チームは2019年に松本と竹内が結成。若手選手が世界を舞台に戦っていく環境づくりを目指し、五輪メダルの獲得を最終目標と掲げる。メインスポンサーは名古屋を拠点とする自転車関連商品卸業のフカヤ(旧深谷産業)。1年目の2019シーズンは全日本マウンテンバイク選手権のU23クロスカントリーで竹内が3位、またクロスカントリー・エリミネーター種目で松本が3位になった。

フカヤレーシングの松本佑太

2020シーズンは竹内がエリートクラスとなり、日本のトップカテゴリーで戦っていく。そして若手男子選手2人に加えて、ジュニア時代はマウンテンバイクとロードレースで全日本チームに抜てきされた川口を獲得。日本体育大1年生で、カテゴリーはU23クラス。マウンテンバイクでは同チームのジャージを着用して活動していく。

フカヤレーシングの竹内遼

チームマネジメントも担当する松本は、「世界と戦える選手だなと川口選手に声をかけました」とチーム加入のいきさつを紹介。
「目標を聞いたときに、『世界チャンピオンになる』という力強い言葉が返ってきた。素質もあるのでこれはいけるなという予感があり、常に上を向いている姿勢も評価できた」

フカヤレーシングの川口うらら

アジアマウンテンバイク選手権ではジュニアクラスで2017年と2018年を連覇。一時はオーバートレーニングによって慢性疲労から調子を落としていたが、2019年に復調の兆しを見せ、2020東京五輪マウンテンバイク会場で行われたテスト大会にも出場した。

「精神的な面で一番成長できた。自分としてはこういう(不振の)1年もレベルアップのためには必要だったかな。もともと東京五輪ではなくて、世界選手権で10番台になることを目標としてやってきました。その中でもし東京五輪のチャンスがつかめたら」

今後は海外での参戦を増やし、将来をしっかりと見すえて着実にステップアップしていきたいという。

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●フカヤレーシングのホームページ