KINAN AACA CUP最終戦は山本元喜が快勝、シリーズ王座は孫崎大樹

東海地区のロードレースシリーズ「iRC Tire Presents KINAN AACA CUP」の2023年シーズン最終戦となる第10戦が12月9日、岐阜県海津市・国営木曽三川公園長良川サービスセンター特設コースで開催された。メインレースの1-1カテゴリーは5.1km×20周・102kmで競われ、KINAN Racing Teamの選手たちを中心にレースを展開。終盤に生まれた逃げ集団から山本元喜が勝利。

KINAN AACA CUP 2023年最終戦は山本元喜が快勝 ©KINAN Racing Team / Ryo KODAMA

シリーズは4つのカテゴリーとキッズカテゴリーのレースで構成され、ステップアップ方式で競技力を向上できるイベント。最上級カテゴリーである1-1クラスにはKINAN Racing Teamより宮崎泰史、津田悠義、山本元喜、トマ・ルバ、そして、年間ランキングトップの孫崎大樹の5名が参加した。この日は各カテゴリーの勝者を決めるだけでなく、拮抗する年間ランキングにも決着がつくため、実力者が集う激しいレースとなった。

スタートが切られると、KINAN Racing Teamは積極的に前で展開する。宮﨑、津田、山本は数秒飛び出す場面もあり、集団に揺さぶりをかける。高活性の集団はなかなか逃げを容認せず、集団一つのまま、レース中盤に差し掛かかった。

KINAN AACA CUP 2023年最終戦 ©KINAN Racing Team / Ryo KODAMA

10周目、イナーメアロマ周回賞を孫崎と津田が争うと、集団は縦に伸びる。するとその直後に山本元喜が抜け出しに成功。山本裕昭(BONDS静岡サイクル)と協力して逃げを打つ。

これを追いたい集団から、孫崎、松島龍之介(愛知産業大工業高)、柚木伸元(日本大)、石田智大(中京大)の4名がさらに飛び出すと13周目に合流を果たし、6名の先頭集団が形成された。

KINAN AACA CUP 2023年最終戦 ©KINAN Racing Team / Ryo KODAMA

メイン集団でも、トマや津田、有力選手たちが懸命にタイム差を縮めるが、キャッチには至らない。やがて30秒ほどの先行を許したまま、最終局面を迎えてしまう。先頭メンバーは十分なリードを持って最終局面へ。ファイナルラップへ差しかかった直後、山本元喜が渾身のアタック。山本、遅れて孫崎が反応。残り3km地点で山本が追いつくが、フィニッシュ目前で山本元喜が再び腰を上げて振り切る。力強い独走で走り抜くと、最後は両手を上げて勝利をつかんだ。

また、3位でフィニッシュした孫崎はシリーズポイントをさらに加点し、年間ランキングトップを確定。ホストチームとしての責務を果たした。

KINAN AACA CUPシリーズ王座には孫崎大樹が輝く ©KINAN Racing Team / Ryo KODAMA

毎回恒例のキッズスクールでは、レース中の集団走行をテーマにレッスンが行われた。KINAN Racing Teamの選手たちが講師役となり、こどもたちに集団走行の極意を伝える。徐々に難易度が高くなるも、選手たちのアドバイスを聞き入れながら対応し、その後のレースに活かせる技術を磨いた。

このほか、チームサプライヤーであるシリーズ協賛のiRC Tire、FUSIONが出展。タイヤの試乗ができるなど、選手たちが実際に扱う製品を手に取ってもらえる機会が設けられた。

毎レース熱戦となった2023年のKINAN AACA CUPは閉幕。2024年も全10戦でのレースを予定し、第1戦は2月18日を予定している。(Text: 小玉凌、Edit: 福光俊介)

山本元喜が150km近い逃げで全日本3位…5年ぶりの日本王座ならず

2023年シーズンの日本王者を決める全日本選手権ロードレースは大会最終日となる6月25日、全体最後のプログラムとして行われた男子エリートのロードレースが行われ、山本大喜(JCL TEAM UKYO)が優勝。KINAN Racing Teamからは7選手が出場し、序盤から先頭グループでレースを進めた山本元喜が優勝争いに加わり、最終的に3位。2018年以来5年ぶりとなる全日本制覇はならなかったものの、150km近く先頭を走り続け強さを印象付けた。

山本元喜が全日本選手権ロードの先頭集団を引っ張る ©KINAN Racing Team / Syunsuke FUKUMITSU

23日から競技が進められていた大会では、KINAN Racing Teamの津田悠義がアンダー23カテゴリーで個人タイムトライアル、ロードレースともに2位。チームに勢いをもたらし、エリートカテゴリーに臨む7選手へとバトンをつないだ。ロードレース競技における最上位クラスとなるこのレースは、静岡県伊豆市・日本サイクルスポーツセンター内の8kmコースを20周回する160kmで争われる。繰り返しやってくる急坂とテクニカルな下りが特徴で、平坦区間はほとんど存在しない。このところの暑さも加わって、消耗戦となることが早くから予想されていた。

そんなタフな戦いへ、KINAN Racing Teamからは山本のほか、孫崎大樹、花田聖誠、白川幸希、宮崎泰史、新城雄大、畑中勇介がエントリー。絶好調の山本を中心に戦術を組み立て、他の選手たちが要所でサポートすることを前夜のミーティングで確認した。

迎えた本番は、早くから大きな局面が訪れる。1周目こそ一団で進んだが、2周目で各チームのエースクラスが仕掛けると、KINAN勢では孫崎と花田が反応。前をうかがうメンバーがシャッフルする間に山本が数選手とまとまって先頭合流を果たし、そのまま3周目へ。この時点で山本を含む8選手がレースを先行することになった。

一気にスピードの上がった先頭グループに対し、メイン集団はときおりアタックを試みる選手が出たもののおおむね落ち着いたペースに。双方のタイム差は最大で5分近くまで広がり、先頭を走る選手たちが優勢となっていく。

中盤に入ってメイン集団では追走を試みるチームが出てくるものの、その差は縮まっても2分40秒まで。再び3分ほどまでタイムギャップが拡大し、構図が変わらないまま終盤戦へと入っていく。メイン集団には畑中、孫崎が残る。

全日本選手権ロードで形成された第1集団 ©KINAN Racing Team / Syunsuke FUKUMITSU

先頭グループは残り5周を切ったところで山本ら4人まで絞られる。そのうち、JCL TEAM UKYOが2選手を送り込んでおり、山本としては数的に不利な情勢。先頭交代のローテーションを繰り返しながら、勝負どころを探っていく。一方、メイン集団も人数が周回ごとに減少。18周回を終えようかというタイミングでタイム差は2分を割るが、組織的に追走できるチームがなく、流れを変化させるまでは至らない。この頃には、集団待機のKINANメンバーはすべて後方に下がっており、勝負を山本に託す形となっていった。

勝負が動いたのは残り2周。アタックの打ち合いから山本大喜(JCL TEAM UKYO)が飛び出し、それを山本元が追う。実の兄弟で、昨年までKINANメンバーとしてチームを引っ張ってきた2人の優勝争いへと移っていく。そして、この周回の後半で山本大選手が兄である山本元を引き離し、その差は一気に拡大。

そのまま最終周回に入ると、勢いは歴然。1周14分前後で続いていたラップタイムを13分台前半までただひとり引き上げると、チームメートの岡篤志が山本元に再合流。追撃は許されず、ライバルチームの後塵を拝する格好に。

独走を決めた山本大、さらにフィニッシュまで仕掛けた岡の後に、山本元が3位でのフィニッシュ。2018年以来の優勝とはならなかったものの、表彰台の一角は確保。150km近くレースをリードし続けた走りで、改めて日本のトップレベルにあることを証明した。

山本大喜(JCL TEAM UKYO)、2023全日本ロードチャンピオン ©JCF

KINAN Racing Teamは、この大会で出場した3競技すべてで選手を表彰台に送り込むことに成功。その最上段にはわずかに届かず、勝者だけが着用できる日本チャンピオンジャージは来季以降におあずけとなったが、メンバーが大幅に入れ替わった今シーズンを象徴するようにチーム力を最大限生かした成果としている。

ツアー・オブ・ジャパン、ツール・ド・熊野、そして今大会と、シーズンの中でも最も重要な時期を終え、ここからは後半戦に向けた移行期間に。コンディションの再構築や先々の目標レースを見越した取り組みなどを行って、チームのビルディングを進めていく。

山本元喜のコメント
「集団前方でレースをすることを心掛けていて、周りを冷静に見ることもできていた。逃げが決まったのは2周目で、集団が割れたのをきっかけに前にいる選手たちに合流した。状況的に逃げのメンバーが有利になる可能性があると感じていて、思っていたより早くに人数が絞られてしまったけど、後ろのペースも上がっていない中で良い流れでレースを進められた。それからはマークするべき選手を見極めながら、終盤勝負をイメージしていった。できることなら最終周回でアタックして4人のパックを崩したかったが、1周早く他選手に仕掛けられて、なおかつ弟である大喜にやられてしまった。  

優勝の山本大喜を中央に左が2位岡篤志、右が3位山本元喜 ©JCF

弟に負けたというよりは、“やっとここまで来たな”と感じている。本来持っている強さをようやく結果につなげたなと。判断が難しいレース展開だったが、自分自身としてはできるだけのことはやった3位だと思っている」

山本元喜とトマ・ルバがツール・ド・熊野第2ステージでワンツー

和歌山県南部の太地半島をめぐるツール・ド・熊野第2ステージで、レース半ばに集団から飛び出したKINAN Racing Teamの山本元喜とトマ・ルバが奇襲に成功。2人逃げを完遂させ、ワンツーフィニッシュを達成した。ステージ優勝は山本、2位がトマとなり、先着した山本はポイント賞に。総合優勝は岡篤志(JCL TEAM UKYO)。

山本元喜とマ・ルバがツール・ド・熊野第2ステージで起死回生の逃げ切りワンツー  © KINAN Racing Team / Syunsuke FUKUMITSU

6月1日のオープニングセレモニーから始まったロードレースイベント熊野INTERNATIONAL ROAD RACEフェスタは、4日に最終日を迎えた。ツール・ド・熊野の第2ステージは太地町を舞台に、10.5kmの周回コースをおおよそ10周回・104.3kmで競う。先ごろの大雨によって、古座川国際ロードレースの中止、ツール・ド・熊野第1ステージのコース短縮と続いたが、この日は無事に予定通りのレース実施がかなった。

KINAN Racing Teamは前日のステージで遅れを喫しており、第2ステージは雪辱の場となる。これまで数多くの好レースが繰り広げられた太地の丘陵コースを攻めていくことが絶対的な使命となった。

© KINAN Racing Team / Syunsuke FUKUMITSU

その通り、リアルスタートから攻め続けた。同様の思惑で走り出した選手・チームが多いこともあり、簡単にアタックは決まらないが、ジェットコースターとも称される変化の多いコースは自然と消耗戦の様相に。上りを1つこなすたびに脱落者が次々と発生し、メイン集団の人数はみるみるうちに減っていく。

そんな中、ドリューのバイクにトラブルが発生。集団からの後退を余儀なくされ、それを待った津田とともに前線復帰を目指す。津田のアシストもあり、時間こそかかったもののドリューはメイン集団へ戻ることに成功。KINANメンバーは再び人数を整えて次なる展開に備えた。

5周目の後半にはトマが単独で集団からアタックを仕掛けて、レース全体の活性化を図る。一度集団へと戻り、中間スプリントポイントの競り合いをやり過ごすと、6周目に山本がアタック。追随した選手を上り区間で引き離すと、数秒のリードを得る。

© KINAN Racing Team / Syunsuke FUKUMITSU

さらに、次の周回ではトマが再び集団から飛び出して、すぐに山本に合流。ここから2人逃げが始まった。この周回を終える頃にはタイム差を30秒ほどまで広げ、そのままリード拡大を図る。メイン集団ではリーダーチームのJCL TEAM UKYOがコントロールを本格化させ、散発する追走の動きを摘み取っていく。また、集団待機のドリュー・モレ、ライアン・カバナ、新城雄大も集団前方を固めて他チームに追撃ムード構築を許さない。

山本とトマは30~40秒のリードを保ったまま終盤へ。そのペースが衰えることはなく、いよいよ最終周回へ。個人総合争いに関係しない2人の逃げとあって、JCL TEAM UKYOも集団をまとめる方向に。逃げ切りが現実的になってきた両選手は最後まで脚を緩めることなく、ハイペースで突き進んだ。

リードを守った2人は、そろって最後の直線へ。勝利を確信すると、トマが山本に前へ出るよう促してそのままフィニッシュへ。正式リザルトは、山本がステージ優勝、トマが2位。結果的にメイン集団は26秒差でレースを終えることとなり、ライアンがスプリントに挑んでステージ5位とした。

悔しさだけが残った前日のレースを払拭する劇的逃げ切りに、コース脇を固めたファンや地元の人たちも大興奮。大会の実行委員長を務めたメインスポンサー・キナンの角口賀敏会長も山本と抱き合って勝利を喜んだ。

© KINAN Racing Team / Syunsuke FUKUMITSU

この日はトップスポンサーのラフィネグループより、リバース東京・川村信久社長が応援に駆け付けたほか、サプライヤー企業ではチャンピオンシステムジャパン、ウベックススポーツジャパン、イナーメスポーツアロマ、クロップスもブースを出展。ツール・ド・熊野オフィシャル観戦ツアーにも多数のファンが参加しており、チームを支えてくれる人たちの方の前で、最高の瞬間を披露することになった。

勝った山本は、同時にポイント賞も獲得。大会を彩る4賞の一角を押さえた。

大きな目標としてきたレースを終え、チームはこれから次のフェーズへ。6月下旬に控える全日本選手権に照準を定めて準備を進めていく。ここでつかんだ勢いをもって、日本チャンピオンジャージの奪還を目指していく。

山本元喜のコメント
「中間スプリント通過後に上りを利用して集団からアタックした。次の周回にはトマも合流してくれて逃げの態勢が整った。集団とは30~40秒差だったので、射程圏に捉えられていると思って気が気ではなかったが、トマがずっと引っ張ってくれて、ひたすら食らいついた。

勝ちを確信したのは残り2km。後ろを振り返ったら誰も見えなかったので、これは勝ったと思った。応援してくださる方々の前でワン・ツーフィニッシュは最高の結果。

レースの中止やコース短縮は、自分たちはもちろんだが、それ以上に長い間準備をしてくださっていた方々が一番悔しいはず。そうした人たちの思いを背負って走っていたつもりだし、結果で感謝の気持ちを示せたことが何よりもうれしい」

山本元喜が増田成幸を制して東日本ロード初日で優勝

新型コロナウイルスの感染拡大によって開幕が大幅に遅れていた国内のロードレース。7月23日からのJプロツアー・東日本ロードクラシック群馬大会でついに2020年の戦いの舞台がセッティングされた。3連戦の初日、KINAN Cycling Teamはレース期間が空いたブランクをものともせず強さを発揮。序盤から先頭グループでレースを進めた山本元喜が最後は3人の争いを制して優勝。2020年の国内レース最初の勝者となった。

山本元喜(左)が増田成幸を制して優勝 ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

コロナ禍で軒並み中止・延期となっていたロードレースイベントだが、自粛ムードの緩和とともにレース開催に向けた準備が各所で行われてきた。そしてこの日、ようやく熱き戦いが戻ってくることになった。国内初戦となった今大会は、群馬サイクルスポーツセンター内6kmの周回コースで実施される。3日間各日レース距離が異なり、初日は20周回・120kmで争われる。

KINAN Cycling Teamにとっても、2月のヘラルド・サン・ツアー(オーストラリア)以来の公式戦。山本元喜、椿大志、山本大喜、トマ・ルバ、中島康晴、新城雄大の主力6選手を招集し、万全の態勢でタイトル獲りに挑む。

国内レースの中でも最古参に数えられるこの大会。変化の多いコースレイアウトは、周回前半にテクニカルなダウンヒル、そして後半には勝負どころともなる心臓破りの坂や長い下りが控える。例年、サバイバルを生き抜いた選手たちによる優勝争いが見どころともなる。

そんな注目度の高いレースは、まず4周目に大きな動きが発生する。細かな出入りが続いていた中から、有力チームのエース格の選手が次々と前方をうかがうと、やがて15人ほどの先頭グループへと変化。ここにKINAN勢は山本元、トマ、新城の3人が加わり、そのままレースを先行する。力のあるメンバーがそろった先頭だが、3選手を送り込んだチームはKINANだけとあって、徐々に優位に展開していくことになる。

メイン集団では、先頭グループにメンバーを送り込めなかったチームを中心にペースメイクが本格化するが、ここでもKINAN勢がしっかりと対処。集団待機となった椿、山本大、中島がライバルたちの動きを都度チェックしながら、先頭とのタイム差縮小を許さない。各選手のアクションが奏功したこともあり、レース中盤を過ぎるまで約3分30秒差で推移していった。

後半に入っても先頭グループの優勢は変わらない。トマや新城の牽引で少しずつ人数が絞られていくが、勢いは変わらない。メイン集団もUCIコンチネンタルチーム勢が活性化を図るが、前方との差を一気に縮めるまでには至らない。結局、残り5周を切った段階でも3分以上の差は変わらず、先頭グループから勝者が出ることは濃厚な状勢になった。

優勝をかけた争いは、残り2周での増田成幸(宇都宮ブリッツェン)のアタックをきっかけに激化。最終周回を目前に山本元がブリッジを試み、織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)とともに増田に合流。勝負は最後の1周回にゆだねられる。残り距離が少なくなったところで山本元がアタックするが、これは決定打とまではいかず、3人によるスプリント決戦となった。

フィニッシュへ最後の直線は、まず織田が前へと出るが、これを見ながらタイミングを図った山本元が加速。トップに立つと、2人の追随を許さず優勝を決めた。

レース序盤の飛び出しのまま、勝利まで持ち込んだ山本元の走り。ともに先頭グループに入ったトマや新城の働きが効果的となり、勝負どころまで余力を持って戦うことに成功。価値ある国内初戦を制して、改めて個の能力とチーム力とを示してみせた。これにより、Jプロツアーの個人ランキングでも首位に立つこととなり、トップの証である特別ジャージ「プロリーダージャージ」で次戦を走ることも決まった。

久々のレースにも臆することなく走り切った選手たち。よいムードのまま次のレースへと向かう。大会2日目となる24日は、この日の半分となる60kmのショートレース。よりスピード感のある展開となることが予想される。スプリント勝負も視野に入れながら、2連勝を目指して臨む。

東日本ロードクラシック群馬大会 Day-1(120km)結果
1 山本元喜(KINAN Cycling Team) 2時間59分1秒
2 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) +0秒
3 織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) +1秒
4 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン) +39秒
5 小森亮平(マトリックスパワータグ) 
6 草場啓吾(愛三工業レーシングチーム) 
8 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 
16 山本大喜(KINAN Cycling Team) +2分30秒
41 椿大志(KINAN Cycling Team) +4分0秒
47 中島康晴(KINAN Cycling Team) +4分38秒
DNF 新城雄大(KINAN Cycling Team)

Jプロツアー個人ランキング
1 山本元喜(KINAN Cycling Team) 600pts ※プロリーダージャージ着用
8 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 210pts

山本元喜

山本元喜のコメント
「勝因はチームワーク、これに尽きる。トマの動きに合わせて前方へと上がったが、それが結果的によい流れにつながった。
久々のレースでコンディションは完ぺきではなかったが、ここまでトレーニングをしっかり継続できていたという自負はあった。先頭で走っている間もトマや(新城)雄大とは自分が勝負にいくと伝えていて、あとは仕掛けどころまで脚を残していればベストな結果になるという自信もあった。
最終周回でのアタックは、そのまま独走に持ち込めれば理想的だったが、2人(増田選手、織田選手)がついてきているのは分かっていたので、脚を使い切らないようにだけは注意していた。ただ何より、上りで発揮すべき力が足りなかった。これは反省点。
プロリーダージャージは初着用。日本チャンピオンジャージを一度着たことで特別賞ジャージの価値は理解している。日の丸をあしらったときは散々失敗を繰り返したので、今度は落ち着いて走ることを心掛けながら、今日のような勝てるレースを続けていきたい」

●キナンのホームページ

発熱で自宅隔離も開催日未定の全日本を見すえる…山本元喜

新型コロナウイルス感染拡大でレースシーズン中断が続いているが、KINAN Cycling Teamは選手・スタッフとも日々前向きに、シーズン再開の日を待ちながら過ごしている。そんなチームの様子を届けるため、いま世界的に叫ばれている「Stay Home」をキーワードに選手たちへインタビュー。今回は山本元喜。現在の生活、シーズン再開への思い、そして今後の目標を語った。

©Syunsuke FUKUMITSU

-ご家族も含めて元気に過ごせていますか?
実はちょっと微妙でして、自分が4月10日頃に風邪をひいてしまったのです。その時期にどうしても外出せねばならないこともあったので、「もしかしたら新型コロナウイルスに感染してしまったのか?」と不安がよぎりました。ただ、微熱だけで特に咳が出たりといった症状はなかったので、花粉症も併発してのことだったのかなと思っています。週が変わってからはトレーニングも再開できています。

-現在トレーニングはどのように行っていますか?
今年からコーチについてトレーニングを見てもらっていて、いまも可能なメニューには取り組んでいます。自分のブログでもその週行ったトレーニングメニューを公開しています。以前のように自分でトレーニングメニューを組み立てているやり方だと、この時期はそんなにバイクに乗っていなかったと思うのですが、今年に入ってコーチにしっかり見てもらっているので、レースがない中でもきっちりトレーニングができている感覚はあります。

-あらゆる面で自粛が求められている中、1日をどのように過ごしていますか?
オフシーズンに近い生活でしょうか。基本的に、トレーニングをして、休息をとって、次の日を迎えている…みたいな感じですね。外出ができないので、家にいてインターネットをしたり、何かほかのことをしたりという具合ですね。

-こうして聞く限り、モチベーションはしっかり保てている印象ですが
いや、正直モチベーションは下がっていますよ(笑)。いつもトレーニングは妻と行うので、時間をそろえてスタートして、コーチから与えられているメニューを行って…という感じです。まぁ、モチベーションは上がっていないけど、与えられているメニューはしっかりやる、といった流れです。

-自転車に限らず、日々何か楽しみを見つけていますか?
体調を崩してしまったので、念のため自宅では隔離状態にあります。それもあって1人でいることが多いので、インターネット…最近はYouTubeをよく観ていますね。何を観ているかですか…ゲームの実況とかですね。自転車とはまったく関係のないものしか観ていないです。個人的にもYouTubeをしっかりやってみたいと考えているので、その中で自分がどういった番組を観ていたらおもしろいと感じるのかを確認していて、いまは楽しみ半分、情報収集半分といった感じでやっています。

©Syunsuke FUKUMITSU

-「Stay Home」が叫ばれる中で、何か健康を維持する効果的な方法があれば教えてください
やっぱり運動することですね。外出ができない中なので、自転車であればローラーであったり、最近はe-ライドも広がっているのでトライしてみるとよいかもしれません。あとは、家庭内でできる運動に取り組んでほしいですね。

-食生活で気を付けていることは何かありますか?
普段とそれほど変わらないですね。レースがまだまだ先なので、現時点で食生活をどうこうしても個人的にはあまり変わらないかなという感覚です。オフに近い過ごし方をしているので、自由に好きなものを食べてはいますが、太りすぎないようにだけは注意したいと思っています。

-レースに目を向けて、ニュージーランドとオーストラリアで走ったシーズン序盤戦を振り返って、どんな走りができましたか?
(先々を見越して)レース勘を多少でも持っておくことができるのはアドバンテージかなと。これからもレースがない日々が続くと、実際のオフシーズンより期間が空いてしまうので、その勘がリセットされてしまう懸念はありますが、2月までレースを走れていたことでレース再開へのモチベーションの維持がしやすいかなと思いますね。例えば、昨年11月のツール・ド・おきなわが終わって以降、まったくレースを走っていない…となれば半年以上レースができていない状況に陥っていたことになるので、そう考えると多少でもレースを走れていたという感覚が持てているのは、まだよい方なのかなと感じています。

-UCI通達により7月に入ってからのレースシーズン再開に向けた動きが出てきました。これからはどこを目標に据えて取り組んでいきますか?
全日本選手権は狙いたいと思っているので、開催日が決まったらそこに向けてしっかり照準を合わせていきたいですね。あと、今年は三重県の一員としてかごしま国体(ロードレースは10月11日実施予定)を目指すことにもなっています。現状で確実に目指していくレースとしては、全日本と国体になってくるかなと考えています。

聞き手:KINAN Cycling Teamメディアオフィサー 福光俊介
インタビュー実施日:2020年4月17日

山本元喜がニュージーランド・サイクルクラシック第2Sでアタック

KINAN Cycling Teamが出場中のニュージーランド サイクルクラシック(UCIオセアニアツアー2.2)は1月16日に第2ステージを実施。細かいアップダウンやワインディングが続くルートを進んだ1日で、山本元喜が逃げにトライ。レースを先行した5人に加わり、あわや逃げ切りかと思わせる好走。フィニッシュでは中島康晴が10位に食い込んだほか、他の選手たちも問題なくステージを完了。日増しにチーム状態が上がっている。

ニュージーランド・サイクルクラシック第2ステージで積極的な走りを見せた山本元喜 ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

上りフィニッシュが設定された前日の第1ステージでは、トマ・ルバがトップと11秒差の19位。山本大喜も同タイムで26位と続き、上位陣が見える位置で終えた。地元ニュージーランド勢を中心に主導権争いが繰り広げられる中で、KINAN勢も逃げを狙ってのアタックや、集団内での位置取り争いなど、攻めの姿勢を見せている。

続く第2ステージは、前日同様に大会拠点都市のマスタートンを発着とする121km。スタートしてすぐに南に針路をとり、15km地点を過ぎたところから1周約30kmの周回コースへ。これを3周したのち、来た道を引き返す形でマスタートンへと戻る。周回コース1・3周目にそれぞれ中間スプリントポイントと山岳ポイントが設けられるほか、この地域特有の細かなアップダウンやワインディングがレース展開にどう作用するかも見ものに。全体のレイアウト的にはスプリンター有利の1日と予想されるが、小雨が降ったり止んだりの天候の中、プロトンの進行スピードや風向き次第で流れが大きく変わることも考えられた。

やはり前日同様にアタックとキャッチの繰り返しとなったレース序盤。効果的なアタックには山本元や新城らが絡んでいき、逃げのチャンスをうかがっていく。17km地点に設定されたこの日1回目の中間スプリントポイント通過した直後には、次々と集団からアタックがかかり、やがて15人の先頭グループが形成される。ここに新城と椿大志が合流し、逃げのムードが高まるかに思われた。

しかし、これもリーダーチームのブラックスポークプロサイクリングアカデミーが容認せず、10kmほど進んだところで吸収。激しい出入りが連続しながら、残り距離を減らしていった。

そんなレースの情勢が一変したのは、36.5km地点に置かれたこの日1つ目の山岳ポイント通過直後のこと。アタックのチェックに動いた山本元が前方に残る形となって、そのまま逃げの態勢へと移っていく。先行するのは5選手。メイン集団が落ち着いたこともあり、その差は徐々に広がっていった。

最大で3分近いリードを得た先頭5人は快調に飛ばす。3周回目に入って、山本元はこの2回目となる中間スプリントで3位、山岳ポイントでは2位でそれぞれ通過。各ポイント争いのスプリントにも積極的に参加していった。

一方で、メイン集団もこの間に先頭グループを射程圏内にとらえ、徐々にタイム差を縮めていく。終盤に入ると追撃ムードが高まっていき、逃げ切りを許さない構え。粘りを見せた山本元も結果的に集団へと戻ることとなり、一団となってフィニッシュへと向かうことになった。

レースは最後、集団スプリントによる勝負となり、KINAN勢では中島が上位進出に挑んで10位でフィニッシュ。他のメンバーも問題なく走り切り、順調にステージを終えている。

大会2日目までを終えて、山本大が総合でチーム最上位の22位。トマが27位で続き、それぞれトップとの総合タイム差は21秒となっている。また、この日中間スプリントで上位通過した山本元が1秒のボーナスタイムを獲得した関係で28秒差の34位に浮上。この先のステージでさらなるチャンスを求めていく。

17日に行われる第3ステージは、マスタートンからマーティンバラまでの127km。スタートからしばしワンウェイルートを進み、おおよそ中間地点から1周7kmの周回コースへ。これを9周回してフィニッシュを迎える。前半に唯一の山岳ポイントが控えるが、以降は平坦基調。第2ステージ同様に、スプリントや要所でのアタックからチャンスが生まれる1日となりそうだ。

ニュージーランド サイクルクラシック2020 第2ステージ(121km)結果
1 キャンベル・スチュワート(ニュージーランド、ニュージーランドナショナルチーム)2時間36分15秒
2 ニコラス・ケルゴゾウ(ニュージーランド、コープランドベーカリーズチーム) +0秒
3 イェンセン・プロウライト(オーストラリア、チーム ブリッジレーン) 
4 コルビン・ストロング(ニュージーランド、ニュージーランドナショナルチーム) 
5 リアム・ウォルシュ(オーストラリア、フトゥーロプロサイクリング) 
6 チェン・チェンリャン(台湾、メミル・CCNプロサイクリング) 
10 中島康晴(KINAN Cycling Team) 
34 山本大喜(KINAN Cycling Team) 
51 新城雄大(KINAN Cycling Team)
64 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 
70 山本元喜(KINAN Cycling Team) 
101 椿大志(KINAN Cycling Team) +1分13秒

個人総合
1 イェンセン・プロウライト(オーストラリア、チームブリッジレーン) 5時間25分46秒
2 アーロン・ゲート(ニュージーランド、ブラックスポークプロサイクリングアカデミー) +0秒
3 ディラン・ケネット(ニュージーランド、セントジョージコンチネンタル) +1秒
4 キャンベル・スチュワート(ニュージーランド、ニュージーランドナショナルチーム)+7秒
5 コルビン・ストロング(ニュージーランド、ニュージーランドナショナルチーム) +11秒
6 エイデン・トゥーヴェイ(オーストラリア、チーム ブリッジレーン) +13秒
22 山本大喜(KINAN Cycling Team) +21秒
27 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 
34 山本元喜(KINAN Cycling Team) +28秒
52 新城雄大(KINAN Cycling Team) +29秒
79 中島康晴(KINAN Cycling Team) +1分11秒
89 椿大志(KINAN Cycling Team) +1分42秒

ポイント賞
1 ディラン・ケネット(ニュージーランド、セントジョージコンチネンタル) 16pts
12 山本元喜(KINAN Cycling Team) 1pts  

山岳賞
1 ボリス・クラーク(ニュージーランド、ユーロサイクリングトリップス・CMI) 10pts
4 山本元喜(KINAN Cycling Team) 4pts

チーム総合
1 ブラックスポークプロサイクリングアカデミー 16時間17分56秒
9 KINAN Cycling Team +33秒

山本元喜

山本元喜のコメント

「集団のペースが緩んだタイミングでスルスルと前に出たら、そのまま逃げグループができた感じだった。それまで何度か逃げを狙ってアタックはしていたが、(逃げが決まった)その局面だけ見れば正直狙っていたわけではなかった。それでも、逃げている間は集団とのタイム差が広がったこともあって、逃げ切りのチャンスに賭けてみんなしっかり踏んでいた。

もがく感覚を養いたいと思っていたので、山岳賞や中間スプリントにもトライをした。レースは全体的にペースが速く、シーズン真っ只中のニュージーランド勢やオーストラリア勢が中心になっているが、自分としても冬場にしっかりトレーニングを積めた分、感覚的にはよいイメージで走ることができている。

逃げで得られた収穫が大きいので、あとは最終日まで確実に走り切ることを意識しながら、その中で最善の形に組み立てていければと思う。チャンスがあれば総合も狙っていきたいが、ナーバスにはならずに今できることに集中して取り組んでいきたい」