組み立てが必要な通販自転車に注意…事故多発と国民生活センター

独立行政法人国民生活センターは、組み立てが必要な状態で届く通信販売の自転車を組み立てや整備が不完全の状態で使用することで発生する事故を防ぐため、消費者への注意喚起を行っている。

図1.工場からの自転車の出荷状態の例 

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため「密」を避ける移動手段として、また、人との接触を避ける外出自粛時の気軽なレクリエーションとして、自転車への関心が高まっている。自転車の1店舗当たりの平均年間新車販売台数は、2020 年では前年比5.8%増と、コロナ禍による自転車需要の高まりがみられる。

ところが、通信販売で購入できる自転車の中には組み立てが必要な状態のまま消費者に届けられ、消費者自身が別途組み立て、検査及び整備の手配をしなければならない商品がある(図1参照)。専門知識を持たない消費者自らが組み立てを行い、不完全な整備状態で使用することで、重大な事故につながるおそれがある。

2016年度以降の約6年間に、通信販売で購入した自転車に関連する危害・危険事例が206件あり、そのうち組み立てが必要な状態で届いた自転車を消費者が組み立て、使用していると推定される事例が少なくとも31件あった。 

【危害事例1】購入者による組み立てが不完全であった
ネット通販で新品の自転車を注文した。自転車は前輪がついていない状態で届いたので、息子が自分で前輪を取り付けたようだ。坂道を下る途中で段差に前輪が乗り上げた際に前輪が外れて、ハンドルを握ったまま前に倒れて左腕の手首を骨折し、全治1カ月となった。(2019年7月受付、40歳代、男性)

【危害事例2】購入者による組み立てが不完全であった
ネット通販で購入し、商品が届いて初めて未完成品だと分かった。9割は完成しているが、最終的には自分で取り付けを行い、整備をする必要があった。なかなか取り付けができず、1週間ほどかけて完成させた。息子が平地を走行中に、突然前輪が脱落し転倒した。すぐに病院を受診し、前腕骨折と診断された。販売業者に返品を申し出たが、私の取り付け方が悪いと判断され、返金はしないと言われた。(2019年1月受付、年齢不明、女性)

危害程度の内訳(図2)

【危険事例1】あらかじめ取り付けられている箇所で不具合が発生
ネット通販で買った自転車のブレーキワイヤがハンドルから外れた。一部の部品は到着後に自分で装着したが、ブレーキワイヤは届いた時には装着済みだった。乗り始めて数日経って、このブレーキワイヤが外れた。販売業者に連絡したところ、写真を送ってほしい、まずは自分で調整し、できなかったら近くの自転車店で見てもらってほしい。もし、お客様の調整不良による外れなら修理代はお客様の負担になると言われた。(2021年2月受付、50歳代、男性)

【危険事例2】購入店とは別の自転車店に持ち込んで整備を断られた
ネット通販で電動自転車をクレジット決済し、自転車を組み立てたがサドルが固定できない。近所の自転車店に見せたら触れないという。問題だ。(2019年12月受付、40歳代、男性)

5万円未満の安価な通販自転車は問題が多発

危害・危険事例206件のうち、危害に分類される事例90件について、危害程度の内訳を調べたところ、1カ月以上及び3週間~1カ月に分類されるものが合計35件(39%)あった(図2参照)。この35件の危害内容については、腕などの骨折が12件。

なお、未完成の自転車を消費者が組み立て、検査及び整備したと推定される事例31件のうち危害に分類される20件について、危害程度の内訳を調べたところ、1カ月以上及び3週間~1カ月に分類されるものが合計5件。この5件の危害内容については、腕などの骨折が3件。

また、契約購入金額の内訳を調べたところ、3万円以上5万円未満が61件(30%)と最も多く、次いで3万円未満の38件(18%)。また、価格帯別の車種では、3万円以上5万円未満では「 電動アシスト自転車 」が、3万円未満では「 スポーティ車 」が最も多くみられた。

消費者へのアドバイス
1.組み立てが必要な状態で届く通信販売の自転車の組み立てには、自転車についての正確な知識が必要です。不適切に組み立てられた自転車に乗ると事故の危険もあります。購入する際には、どのような組み立てが必要かを確認しましょう。また、購入後、組み立て方法について不明な点があれば販売事業者に確認しましょう。

2.通信販売で自転車を購入する際には、購入後の点検整備や修理サービスの内容についても確認しましょう。

3. 通信販売で購入した自転車であっても 防犯登録の義務はありますので必ず登録しましょう。 

●テスト結果やアンケート調査の詳細