「今年最大のスポーツイベントに」ツール・ド・フランス延期開催に期待

自転車レースのツール・ド・フランスが2カ月遅れの8月29日から9月20日までという日程で延期開催されたことが4月15日に発表され、出場チームの選手や監督らはSNSなどで一様に肯定的な反応を示した。暗くて長いトンネルの先にわずかな光が見えたからだ。

2018ツール・ド・フランス新人賞のピエール・ラトゥール(フランス、AG2Rラモンディアル) © ASO

ロード練習よりもステキじゃないけど、準備はしている

「ツール・ド・フランスは社会やスポーツのある生活の中で極めて重要な存在だ。チームはこれまで以上の集中力をもって、ロマン・バルデとピエール・ラトゥールのデュオでスタートに立ちたい」と、AG2Rラモンディアールのバンサン・ラブニュ監督。

「選手は自宅でトレーニングをしていて、チームのコーチや監督と絶えず連絡を取り合っているので、ゼロから始めるわけではない。ツール・ド・フランスが7月に行われなくても、レースが村を通過するとき、選手たちの走る姿を見る機会があることを願っている。ツール・ド・フランスの開催はみんなが確実に前進する勢いを与えてくれる」

サッカーの欧州選手権と東京オリンピックが延期された2020年、ツール・ド・フランスは確実にこの年開催される最大のスポーツイベントになったともいう。

現時点では、チーム所属選手のほとんどは自宅でローラー台に乗り、ソフトウェアプラットフォームを使用して、お互いを見つけて一緒にトレーニングを続けている。

「ロード練習よりもステキじゃないけど、ツール・ド・フランスの準備についてはなんの心配もない」と監督。

「延期されたイベントの中で、クリテリウム・デュ・ドーフィネがツール・ド・フランスの前にスプリングボードとして開催されることを願っている。大会カレンダーは、今年の最後の3カ月間に集約されるので、選手ごとにレーススケジュールを編成していく。おそらくハードなスケジュールになるが、適応できる。みんなが前を向く意志を持っているからね」

2019ツール・ド・フランス第8ステージ ©ASO Pauline BALLET

病院の現状と比べたら室内練習なんてなんのことはない

エースを託されるラトゥールもツール・ド・フランス延期開催の報に笑顔を見せた。

「ツール・ド・フランスが8月末に始まるなら、これはフランスが現状を打破し、世界の状況が改善されることを意味する。ボクたちは4週間もロード練習できていないが、それは現在病院で起こっていることに比べてあまり重要ではない。サイクリングシーズンが再び始まるのをうれしく思っている」

フランスでは感染者13万人超、死者は米国、スペイン、イタリアに次ぐ1万5000人超。マクロン大統領は13日夕方に声明を出し、新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるための外出制限を5月11日まで延長するとした。

大規模なイベントについては少なくとも7月中旬までは開催できないとして、これを受けたツール・ド・フランス主催者が2カ月遅れの延期開催を判断した。

これまでの経緯は🇫🇷ツール・ド・フランス2020特集サイトで。

🇫🇷ツール・ド・フランス公式サイト

2020ツール・ド・フランスが大会延期、8月29日開幕

ツール・ド・フランスの主催社ASOは4月15日13時(欧州中央時間)、2020ツール・ド・フランスの開催を延期すると正式に発表した。2020年8月29日(土)から9月20日(日)までに大会日程を変更した。

当初は6月27日から7月19日の開催日程だったが、新型コロナウイルス感染拡大により断念した。およそ2カ月遅い開幕となるが、開幕地ニースからゴールのパリまでのコースに変更はない。

●2020ツール・ド・フランスの大会日程
8月29日 第1ステージ ニース〜ニース 156km
8月30日 第2ステージ ニース〜ニース 187km★★
8月31日 第3ステージ ニース〜システロン 198km★
9月1日 第4ステージ システロン〜オルシエール・メルレット 157km★★
9月2日 第5ステージ ガップ〜プリバ 183km★
9月3日 第6ステージ ルテイユ〜モンエグアル 191km★★★
9月4日 第7ステージ ミヨー〜ラボール 168km
9月5日 第8ステージ カゼール・シュル・ガロンヌ〜ルダンビエル 140km★★★
9月6日 第9ステージ ポー〜ラランス 154km★★★
9月7日 休日
9月8日 第10ステージ オレロン島〜レ島 170km
9月9日 第11ステージ シャトライヨン・プラージュ〜ポワティエ 167km
9月10日 第12ステージ ショビニー〜サランコレズ 218km★
9月11日 第13ステージ シャテルギヨン〜ピュイマリーカンタル 191km★★
9月12日 第14ステージ クレルモンフェラン〜リヨン 197km★
9月13日 第15ステージ リヨン〜グランコロンビエール 175km★★★
9月14日 休日
9月15日 第16ステージ ラツールデュパン〜ビラールドランス 164km★★
9月16日 第17ステージ グルノーブル〜メリベル・ラロズ峠 168km★★★
9月17日 第18ステージ メリベル〜ラロシュ・シュル・フォロン 168km★★★
9月18日 第19ステージ ブールアンブレス〜シャンパニョール 160km★
9月19日 第20ステージ リュール〜ラプランシュ・デ・ベルフィーユ 36km(個人タイムトライアル)★★
9月20日 第21ステージ マントラジョリ〜パリ・シャンゼリゼ 122km
★は難易度

これまでの経緯は🇫🇷ツール・ド・フランス2020特集サイトで。

🇫🇷ツール・ド・フランス公式サイト

ツール・ド・フランスは8月29日〜9月20日開催案が浮上か

2020ツール・ド・フランスは当初予定されていた日程から2カ月遅く、8月29日に開幕したいという新たなスケジュールで調整に入ったことが欧州の複数メディアで報じられた。UCI・国際自転車競技連合とチームなどの代表者が4月15日に会合を開いて議論する予定だ。

2019ツール・ド・フランス第11ステージ ©ASO Pauline BALLET

4月13日夕方にフランスのエマニュエル・マクロン大統領が、「大勢の観客を集めるような主要なフェスティバルやイベントは、少なくとも7月中旬まで開催できない」と発表した。

この言葉を考慮して、ツール・ド・フランス主催者は新しい日程を見つけることを余儀なくされた。新型コロナウイルス感染の状況が刻一刻と変わる中で、ツール・ド・フランスは新しいプログラムの構築に努めている。

UCIとチームなどの代表者は、ツール・ド・フランスの新しい日付を正式にするために15日に会合する予定。当初のツール・ド・フランスは6月27日に南フランスのニースで開幕する予定だったが、8月29日に延期される可能性があるという。コースは原則として変更しない考えを主催者は示している。

主催者の最高権威、クリスティアン・プリュドムは無観客開催を拒否している。そのためには日程を変更するしか手段がないという。8月29日に開幕した場合、ツール・ド・フランスは9月20日にパリにフィニッシュすることになる。

🇫🇷ツール・ド・フランス2020特集サイト
🇫🇷ツール・ド・フランス公式サイト

ツール・ド・フランスは1カ月遅れのプランB開催が有力に

2020年のツール・ド・フランスが1カ月遅れの日程で開催される方向で調整に入ったことが複数のメディアで伝えられ始めた。新型コロナウイルス感染拡大を受けて、当初の予定であった6月27日から7月19日という日程を返上し、7月25日から8月16日までとなる可能性がある。

2019ツール・ド・フランス第14ステージ ©ASO Alex BROADWAY

フランスの日刊紙「ル・パリジャン」は、主催者ASOが各ステージをホストする自治体の首長に7月25日開幕のスケジュールで打診を始めたと伝えている。同紙はASOのメディアグループに属しているだけに、その信憑性は極めて高い。パリにゴールするのは8月16日だと報じている。

本来なら1カ月遅れの開催となると、スポーツのビッグイベントである2020東京五輪と日程重複するが、すでに東京五輪が1年後の開催となることが決まっていて、国際的にも無難な解決策となる。ニースで開幕し、その後のコースも変更はないとされる。

フランスでの新型コロナウイルス死者数は1万人を超えていて、3月のパリ〜ニース最終日前日以来、レースは開催されていないという状況が続く。ツール・ド・フランスの前哨戦といわれるクリテリウム・デュ・ドーフィネも延期。同じく前哨戦と位置づけられる隣国スイスのツール・ド・スイスは室内トレーナーを使ったVRレースで開催すると決定した。

2019ツール・ド・フランス第21ステージ ©ASO Alex BROADWAY

5月15日までに結論を出す方向に

フランスの威信にかけてツール・ド・フランス開催は譲れないものがあったのだ。議論の中では日程の短縮、無観客レース、さらにはジロ・デ・イタリアとブエルタ・ア・エスパーニャとの合併開催という案もあったようだ。

しかしレースディレクターのクリスティアン・プリュドムは、「観光と経済的利益は替えがたいものがあるとして無観客レースでの実施を真っ向から否定した。

コース上の地方自治体も1カ月遅れの開催案を支持し、「それまでにフランス全土が健全な状態に戻れば問題はない」とした。観客なしで開催するよりも掛け値なしにいいとする意見が占めた。

現在は参加チームへの打診が行われていると推測されている。また、ASOが運営するブエルタ・ア・エスパーニャとの日程調整も課題となる。ただし1カ月遅れで本当に開催するのか、それとも別の決断を迫られるのか。レース主催者ASOからの最終決定は、5月15日までに行われるようだ。

●ル・パリジャンのホームページ
🇫🇷ツール・ド・フランス関連ニュース一覧
🇫🇷ツール・ド・フランス2020の特集サイト

2020ツール・ド・フランスは韓国開催…仏週刊誌が4月1日に伝える

フランスの政治系週刊誌「Le Point=ル・ポワン」の電子版が4月1日、2020ツール・ド・フランスの開催地を韓国にするため、関係当局が調整に入ったと伝えた。記事は細部まで詳細に記述されていたが、最後の1行に「ル・ポワンはみなさまにとってよい4月1日でありますように」と締めくくられていた。いわゆるエイプリルフールとして発信された記事。

記事はまず同じAmaury Sport Organization(ASO)が主催するパリダカールが近年は南米大陸で開催されるようになり、さらにはサウジアラビアを舞台とする道を選んだという事実から始まった。ASOはツール・ド・フランスも周到に海外進出準備を進めていたとして、今回のコロナウイルス感染拡大阻止を目的とする無観客開催を回避するために韓国にコースを移す計画にいたったとしている。

「ツール・ド・フランスには観客、歓声、道端でグッズを一般に配布し、イベントの資金の一部を提供できる広告キャラバンが必要です」と主催者本部の1人は語ったと記述。

7時間の時差を考慮して、各ステージはフランステレビジョンで中継されるとした。スタートとゴールは韓国の首都ソウルで、日程は2週間に短縮。ツール・ド・フランス主催者は先週、韓国のムンジェイン大統領と連絡を取り、コース脇で警備をする警察官の派遣などの同意を得たと書かれている。

韓国ではピレネーやアルプスに相当する山岳がないが、中規模の山岳は多く、さらにこの時期の梅雨という気象条件によって優勝を目指すエガン・ベルナル、クリストファー・フルーム、ティボー・ピノらの走りに影響するのではと分析している。

最後の1行を読んでもこれがジョークとわかりにくいが、外出禁止令が長引くフランス国民にとって笑顔を取り戻す一助として作られたニュースだと想像できる。

●ル・ポワンのエイプリルフール記事

ツール・ド・フランスは無観客を想定して日程通りの開催か

2020ツール・ド・フランスは世界各地での新型コロナウイルス感染拡大を受けて、スタートやゴールに観客を入れない運営方法を視野に入れながら、予定通りの6月27日から7月19日までの日程を死守して開催する策が検討されている。

2019ツール・ド・フランス第10ステージ ©ASO

新型コロナウイルスの猛威が欧州各国を襲い、国民が自宅待機を命じられている現状。ツール・ド・フランスとともに二大大会と言われるジロ・デ・イタリアは5月9日から31日までの開催を断念し、主催者は大会延期という苦渋の決断を余儀なくされた。

国際自転車競技連合(UCI)の幹部が「ジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスが中止になるようなことになれば、自転車競技の沽券にかかわる非常事態だ」と発言しているが、6月末に開幕するツール・ド・フランスはどうなるかが焦点。

ツール・ド・フランスは自転車競技最高峰の大会であり、その象徴と位置づけられる伝統レース。フランス政府としても自国文化の象徴であるツール・ド・フランスだけはそのステータスを守っていきたいという考えがある。

沿道に観客がいないコースを走るパリ〜ニース第5ステージ ©A.S.O. Fabien Boukla

真夏の祭典からテレビ中継による純粋レースへ

フランス政府スポーツ省のロクサナ・マラシネアヌ大臣は3月26日、SNSによるツイートで、「ツール・ド・フランスはスポーツの記念碑です。開催までにはまだ時間があるので、決めるのは時期尚早です。まずこの難局を乗り越えるために全力を注ぎましょう」と書き込むとともに、主催者ASOとの調整に乗り出した。

マラシネアヌ大臣自身が競泳背泳ぎの元世界チャンピオンであり、五輪メダリストだが、サッカーの欧州選手権と東京五輪が延期を選択した一方で、ツール・ド・フランスは現時点で延期を検討せず、これまで同様の夏に開催するという政府の考えをサポートしていく。

フランスの有力紙などで報じられている報道を総合すると、ツール・ド・フランス出場選手や関係者すべての安全確保を最優先としつつ、感染拡大を誘発しないために無観客、広告キャラバン隊中止などの措置を講じて、予定された日程で開催する方向で努力していくという。沿道で目撃できないことになる観衆にはテレビ観戦をすすめている。

ASOは同様の主催レース、パリ〜ニースでもスタート・ゴール地点に観客を集めないレースを実施(最終日のみ打ち切り)。新型コロナウイルスの感染状況をにらみながらも、それに向けた準備を続けているようだ。

●ツール・ド・フランスのホームページ