全日本選手権BMXレーシングで島田遼が初優勝、女子は丹野夏波がタイトル奪回

日本自転車競技連盟が主催する第39回全日本自転車競技選手権BMXレーシングが10月30日に大阪府堺市・大泉緑地で開催され、エリート男子は島田遼(GAN Trigger)が初優勝、女子は丹野夏波(早稲田大)がタイトルを奪回した。

島田遼、吉村樹希敢、山口大地が走るエリート男子 ©日本自転車競技連盟

2021年は雨天の影響によりマッドコンディション開催となった新潟大会とは真逆。秋晴れの中、39回目となったBMXレーシング種目の全日本選手権が開催された。会場となったのは大阪府堺市・大泉緑地サイクルどろんこ広場。2年ぶりの全日本開催となり、チャンピオンシッ プ(エリートなど)とチャレンジレベルをあわせ、過去最多の290選手を超える参加者が集結した。

島田遼(左)がエリート男子初優勝 ©日本自転車競技連盟

日本タイトルをかけて争われたチャンピオンシップレベル。最高峰カテゴリーとなる男子エリートは、島田がスタートから先頭を守り抜き、自身初となるチャンピオンに輝いた。

女子は前回覇者の酒井亜樹(Deux Roues Elite Team)を、最終コーナーで丹野がかわし、2年ぶり3度目の日本タイトルを獲得した。

先行する酒井亜樹とそれを追う丹野夏波 ©日本自転車競技連盟
丹野夏波(左)が酒井亜樹を制した ©日本自転車競技連盟

今大会から新設されたUnder23カテゴリーは、本大会会場をホームコースとしてる増田優一(大阪体育大)が、2位を 大きくリードする形で優勝女子は最終ストレートで籔田寿衣(大阪体育大)を野村凪沙(Ace Rece Australia Factory Team)がかわし、初代U23カテゴリーチャンピオンとなった。

U23男子は増田優一が主導権を握った ©日本自転車競技連盟
増田優一が先頭に立つ ©日本自転車競技連盟

ジュニアカテゴリーは、男子は最終レースでトップ争いが転倒する波乱の展開となったが、木内彪凱(モトクロスインターナショナル)が合計ポイントでトップとなり優勝。女子はエリートとUnder23カテゴリーと混走となったが、西村寧々花(GAN Trigger)が大会2連覇した。

ジュニア男子は木内彪凱、小丹晄希、北川晃久が激しく争った ©日本自転車競技連盟

その他チャレンジカテゴリーでは男女合計24カテゴリーが行われ、新たな日本チャンピオンが生まれた。

女子エリート優勝の丹野夏波(早稲田大)、2位畠山紗英、3位酒井亜樹 ©日本自転車競技連盟
女子U23優勝の野村凪沙(Ace Rece Australia Factory Team)、2位籔田寿衣 ©日本自転車競技連盟
女子ジュニア優勝の西村寧々花(GAN Trigger)、2位浅見渚 ©日本自転車競技連盟
男子エリート優勝の島田遼(GAN Trigger)、2位吉村樹希敢、3位山口大地 ©日本自転車競技連盟
男子U23優勝の増田優一(大阪体育大)、2位橋本颯馬、3位長嶋遼 ©日本自転車競技連盟
男子ジュニア優勝の木内彪凱(モトクロスインターナショナル)、2位小丹晄希、3位北川 晃久 ©日本自転車競技連盟

木内彪凱がシリーズ初優勝…JBMXF大東建託シリーズ秩父大会

一般社団法人全日本BMX連盟(略称JBMXF)が主催し、日本自転車競技連盟(JCF)の公認 大会である2022JBMXF大東建託シリーズ。第4戦が10月9日に埼玉県秩父市の秩父滝沢サイクルパークBMXコースで開催された。コースはワールドカップやオリンピックでチャンピオンシップカテゴリーが使用する8mスタートヒルを備えているのが特徴。この8mヒルで初めて開催されたJBMXF大東建託シリーズを制したのは、若手ライダーの成⻑株である木内彪凱だった。

JBMXF 大東建託シリーズ初優勝を達成した木内彪凱(左)と2位の山口大地

ジュニアとU23、エリートの選手で争われるチャンピオンシップカテゴリー。男子は全日本王者の松下巽をはじめとするベテランに、前戦の新潟大会で復活優勝を果たした山口大地ら20歳代の選手、さらにチャンピオンシップ初年度となる木内など、多彩な年齢層の14名が出走した。

このカテゴリーではJBMXF大東建託シリーズで初めてとなる8mのスタートヒルが使用された。この8mヒルは、男女のチャンピオンシップカテゴリーで使用される国際規格に合致したものであり、日本国内に現存するコースで備えているのは、この秩父滝沢サイクルパークのみとなる。

ベテランの豊富な経験が勝るのか? 若手選手の勢いが勝るのか? 誰が勝ってもおかしくない注目の決勝レース。8人横一線のスタートで優位に立ったのはイン側のゲートからスタートした木内。第一コーナーでトップに立つと、山口が2番手で追う展開でレースが進む。木内はコーナーでも山口の追撃を許さずトップでフィニッシュし、JBMXF大東建託シリーズ初優勝を達成した。

2位には山口、3位争いを制したのは20歳の若手ライダー橋本颯馬だった。

中井飛馬がBMXレーシングワールドカップ第6戦で5位に

コロンビアのボゴタで開催されているBMX レーシング種目ワールドカップシリーズ第6戦は、男子Under23で中井飛馬が5位になった。

ワールドカップ第6戦(コロンビア)男子Under23の中井飛馬が5位 ©日本自転車競技連盟

前日に開催された第5戦に続き、晴天のベストコンディションの中でシリーズ第6戦が開催された。日本チームは前日の修正点を活かした展開が多く見られたが、中井の5位が最高位となり表彰台獲得には一歩届かず。

今シーズン最終戦にあたる第7−8戦が、次週に同会場で開催されるため、引き続き表彰台獲得に向けて調整を行っていきたいという。

澤田茉奈がBMX世界選手権12歳女子クラスでダブルタイトル

BMXレーシング世界選手権のワールドチャレンジカテゴリーがフランスのナントで7月26日から29日まで開催され、初日に開催されたクルーザークラス女子12歳アンダーで、澤田茉奈(さわだまな)が後続に10車身以上の差をつけ、日本人女子初となるクルーザークラス優勝を飾った。

女子12歳アンダーの澤田茉奈 ©日本自転車競技連盟

総勢2830選手、8歳から50歳超で世界チャンピオンを争う

世界各国から総勢2830選手が集まったUCI BMXレーシングワールドチャレンジは、新型コロナウイルスの影響から中止が続いていて、2019年のベルギー大会以来の開催となった。ワールドチャレンジは、タイヤサイズが20インチと24インチの2種類のクラス設定があり、下は8歳から上は50歳以上まで全43カテゴリーが設けられる。世界中から集まる老若男女が、チャンピオンシップレベルと同様のコースで世界1を争う、自転車競技でも選手年齢層の幅が一番広い国際大会となっている。

ワールドチャレンジカテゴリーに参加した日本チーム ©日本自転車競技連盟

日本からは総勢18選手が参戦し、男子は12歳アンダーで石川智士(いしかわさとし)が7位入賞、15−16歳では浦井健芯(うらいけんしん)が5位に入り、合計3名のファイナリストが生まれた。

15−16歳で浦井健芯(左から4人目)が5位に ©日本自転車競技連盟
11歳クラスで2位になった高崎成琉 ©日本自転車競技連盟
12歳アンダーで石川智士が7位 ©日本自転車競技連盟

2日目以降の20インチクラスでは、女子12歳で澤田が2018年以来の2度目の優勝、クルーザー クラスとのダブルチャンピオンを獲得した。男子は11歳の高崎成琉(たかさきなる)が決勝へ進出し、優勝まであと数センチ届かなかったものの、2018年に獲得した自身の7位を大きく上回る世界2位を獲得した。 男子の表彰台獲得は、2012年の増田優一以来10年ぶりだった。

澤田茉奈が後続に10車身以上の差をつけ日本人女子初となるクルーザークラス優勝 ©日本自転車競技連盟

大会でのワールドチャレンジ日本チームの活躍は、その後に開催されたれチャンピオンシップレベルの複数名決勝進出につながる大きな勢いをつけ、次世代の可能性も表す好成績で大会を終えた。

木内彪凱がBMXレーシング世界選手権29位、西村寧々花17位

BMXレーシング世界選手権がフランスのナントで7月30日から 31日まで開催され、ジュニア1年目となる木内彪凱(飛龍高)が男子で29位、西村寧々花(GAN TRIGGER)が女子ジュニアで17位になった。

木内彪凱はジュニア男子29位 ©日本自転車競技連盟

ジュニア男子はエリート男子に次ぐ大混戦

エリート男子に続く参加人数56選手(計27カ国)が集まったジュニア男子カテゴリー(17−18歳)。日本からはジュニア1年目となる木内が派遣され、シーズン前半に行ったヨーロッパシリーズでの単独武者修行の成果の発揮に期待がかかった。

予選では好スタートを決めたが、隣の選手と接触してクラッシュ。一時は重症と思われたが、幸いにも軽症だったため、敗者復活戦Last Chance Qualifyに出場し、通過圏内の2位で1/8決勝へ進出。1/8決勝でも好スタートを決めて3位でレースを展開するが、最終コーナーでのライン取りミスにより順位を落とし、5位で準々決勝進出を逃した。

木内彪凱のコメント
15-16歳のワールドチャレンジがコロナウイルスの影響により2年間中止が続き、3年越しでの世界選手権挑戦でした。事前練習から調子は整っていただけに1/8決勝でミスをして、チャンスをつかみきれなかった自分にガッカリしていますが、現状の自分の位置も確認できたことは、次のトレーニング活かせる収穫でした。

また、初めてのナショナルチームとの大会参戦で慣れない部分もありましたが、それ以上に学ぶことも多く、ここからエリートへ向けての新たなスタートと再認識することもできました。 来年もヨーロッパにベースを置いて、最後のジュニアで勝負できる位置に持っていきたいです。

<大会結果 男子ジュニア>
優勝:BIJSTERBOSCH Julian(オランダ)
2位:BRINK Jaymio(オランダ)
3位:MAGDELIJNS Wannes(ベルギー)
29位:木内彪凱(飛龍高)

ジュニア女子で西村が準々決勝に進出

女子17カ国から総勢27名が集まったジュニア女子カテゴリーには、日本からは西村が出場した。予選は通過圏内の4位でコース前半を終えるが、第2コーナーで接触してクラッシュしたため、敗者復活戦に回った。

西村寧々花はジュニア女子17位 ©日本自転車競技連盟

上位2名が通過となる敗者復活戦では、3位で追いかけると展開となったが、最終コーナーで一つ順位を上げ、0.087秒と僅差で逃げ切り、翌日の準々決勝へ進んだ。

5名で争われた準々決勝では、最初のジャンプでのミスが響き、上位4名には届かず、総合17位でジュニア最終年を終えた。

西村寧々花のコメント
2021年の世界選手権では予選を通過できなかったため、いくつかの課題に取り組んできましたが、ジャンプという最大の課題で差を埋めきれず、今回も納得できる結果は得られませんでした。

帰国後はアジア選手権などが続きますが、まずはジャンプフォーム修正を1番の目標において、その後に次のU23カテゴリーでの4年間に向けて大会での結果を考えてきたいと思っています。日本からのたくさんの応援、ありがとうございました。

左から丹野夏波、籔田寿衣、西村寧々花 ©日本自転車競技連盟

<大会結果 女子ジュニア>
優勝:BRINDJONC Lea(フランス)
2位:STURISKA Veronika Monika(ラトビア)
3位:MAY Bella(オーストラリア)
17位:西村寧々花(GAN Trigger)

中井飛馬がBMXレーシング世界選手権U23で3位…丹野夏波は女子4位

BMXレーシング世界選手権がフランスのナントで7月30日から 31日まで開催され、世界選手権大会初開催となったU23カテゴリーで、男子は中井飛馬(日本体育大)が、2017年世界選手権ジュニアカテゴリー以来の決勝進出を果たし、3位になった。

中井飛馬が2022BMXレーシング世界選手権U23で3位。中央は優勝したレオ・ガロワン(フランス)、左は2位フアンカミロ・ラミレス(コロンビア) ©日本自転車競技連盟

女子U23カテゴリーでは丹野夏波(早稲田大)、籔田寿衣(大阪体育大)が決勝進出を果たし、それぞれ4位と7位に食い込んだ。

丹野夏波(左から2人目)はU23女子で4位と健闘 ©日本自転車競技連盟

フランスでのBMX世界選手権開催は2005年パリ大会以来。それにさかのぼる1999年にも同市ナント世界選手権開催実績を持っている。日本チームはチャンピオンの称号であるレインボージャージを賭けて戦うチャンピオンシップレベル(ジュニア、U23、エリート)に、ジュニア男女各1選手、U23男子3選手、女子2選手の計7選手を派遣した。エリートの派遣は、男子該当者なし、女子は怪我のため不参加だった。

中井が日本勢としてチャンピオンシップカテゴリー初の表彰台

この大会から新設されたU23カテゴリーには24カ国、55選手が参戦し、初代チャンピオンを狙っての混戦が繰り広げられた。日本からは2021年のワールドカップシリーズチャンピオンである中井をはじめ、増田優一(大阪体育大)、島田遼(GAN TRIGGER)の 3人が代表とし参戦。

中井飛馬が先頭に立ってゴールを目指す ©日本自転車競技連盟 ©日本自転車競技連盟

初日の予選・1/8 決勝では、中井が1/8決勝を1位で通過し翌日の準々決勝へ進出した。 島田は1/8決勝で通過圏内の3位を走行中に、前走者との接触で失速。増田は敗者復活戦にあたる Last Chance Qualifyであと1つ届かず、それぞれ翌日の準々決勝へは勝ち進むことができなかった。

中井は翌日の準々決勝、準決勝を勝ち上がり、決勝へ駒を進めた。決勝ではインサイドの3レーンを選択。得意のスタートのタイミングミスにより後方から追い上げる展開となったが、世界選手権決勝であることから先頭グループでは荒れたレース内容が続き、度重なる接触などをうまくかわして、3位までの追い上げを見せてレースを終えた。

今大会会場はコンパクトで短いコースレイアウトのためスピードコースであり、一つのミスが大きく響く結果となった。それでも日本チームとしてはチャンピオンシップレベルでの初メダル・表彰台獲得となり、中井自身もジュニア4位を上回る成績を修めた。

先頭を行く島田遼。男子U23で37位 ©日本自転車競技連盟

中井飛馬のコメント
最低ラインのメダルを獲得しましたが、優勝だけを狙ってトレーニングを積んできて、決勝でも勝てる条件が揃っていただけに、レース直後から悔しい気持ちでいっぱいです。

決勝のスタートではタイミングを早まり、ゲートに前輪をヒットさせてしまいました。他の選手の展開からも、通常のスタートを決めることができていればと悔やみきれませんが、来年 からのエリートカテゴリーに向けて、今大会での経験を大切なステップとしたいです。

日本初のレインボージャージを持ち帰ることはできませんでしたが、日々の多くの方々のサポート、そして会場での日本チームの応援により、全力で今大会に挑めたことに感謝しています。たくさんの応援、ありがとうございました。

増田優一は男子U23で50位 ©日本自転車競技連盟

<大会結果 男子U23>
優勝:GAROYAN Leo(フランス)
2位:RAMIREZ VALENCIA Juan Camilo(コロンビア)
3位:中井飛馬(日本体育大)
37位:島田遼(GAN TRIGGER)
50位:増田優一(大阪体育大)

U23女子で丹野が表彰台まであと一歩の4位

女子U23の参加者は13カ国、18選手と少なめだったが、参加者の半数以上が今シーズンのワールドカップシリーズで決勝へ進出していて、各国の強豪選手が集結した。

日本の丹野と籔田は各組において予選を2位で勝ち上がり、準決勝も接触などで危ない場面もあったが、それぞれ4位で決勝へ進出した。両選手ともチャレンジレベルでの決勝進出が最後で、丹野は2016年ぶり、籔田は2015年ぶりに決勝へ。再び世界選手権大会決勝の舞台へ戻ってきた。

籔田寿衣は女子U23で7位 ©日本自転車競技連盟

決勝で丹野は5レーン、籔田は6レーンからスタート。丹野が好スタートを決めるも、最初のジャンプで少し失敗し、4番目で第1コーナーを通過。前を行く選手を追走するが終始差を縮めることはできず4位でフィニッシュ。籔田は第1バームで接触し、大幅に失速したため最終7位となった。

表彰台まであと1歩だったが、複数名の日本人選手決勝進出はチームとしても大きな成果となった。

丹野夏波のコメント
目標としていたトップ3にあとひとつだったので、悔しい気持ちもありますが、決勝でも今持っているベストのパフォーマンスを発揮することができたので、今大会の結果には満足しています。

東京オリンピックの代表を逃してから、気持ちの切り替えに時間がかかってしまいましたが、こうしてまた大きな舞台でBMXレーシングをすることで、次なる目標へのモチベーションを見つけることができました。今シーズンもまだ続くので、短い休憩をはさんで残りのワールドカップシリーズに向けてトレーニングに励みたいと思っています。 応援ありがとうございました。

左から丹野夏波、籔田寿衣、西村寧々花 ©日本自転車競技連盟

籔田寿衣のコメント
大会に向けてヨーロッパで2カ月半の事前調整をしてきましたが、大会約3週間前に病院へ救急搬送される大きなクラッシュをしてしまい、直前までスタートに立つことが目標となっていました。レースができるか不安な日々が続いていましたが、怪我の回復は早く、チームのサポートもあり、レース当日には全力で走れるまでになりました。

当初の目標でもあった決勝へ進出することができ、安堵の気持ちでいっぱいです。決勝では思った展開にはならず7位で終わりましたが、残り2年あるU23カテゴリーで表彰台、そし 優勝と着実にステップアップできることが今後の目標です。今大会でもたくさんのサポートをいただき、ありがとうございました。

<大会結果 女子U23>
優勝:SØRENSEN Malene(デンマーク)
2位:AEBERHARD Nadine(スイス)
3位:SIMPSON Molly(カナダ)
4位:丹野夏波(早稲田大)
7位:籔田寿衣(大阪体育大)