パリ五輪で日本自転車界の悲願金獲得なるか…本番舞台でトラック世界選手権

2024パリ五輪で日本自転車界悲願の金メダル獲得なるか? トラック世界選手権が10月12日から16日まで、五輪会場となるパリ郊外のサンカンタン・アン・イブリーヌ自転車競技場で開催された。女子ケイリンで佐藤水菜(23=楽天Kドリームス)が、男子スクラッチで窪木一茂(33=ブリヂストンサイクリング)がそれぞれ2位に入った。

女子ケイリンで2年連続2位になった佐藤(左) ©日本自転車競技連盟

最も期待されるケイリン…女子の佐藤が2年連続で2位に

自転車競技は1896年にギリシャのアテネで開催された第1回五輪からの正式種目。日本の自転車選手が初出場したのは1952年のヘルシンキ五輪だが、それからメダル獲得を目指す戦いが始まった。世界選手権では1977年からプロスプリントで中野浩一が10連覇を達成。しかし日本勢として世界チャンピオンの座は獲得できても、五輪金メダルはいまだに手中にしていない。

女子ケイリン決勝、ドイツのフリードリッヒと残り1周で激しく争った佐藤(左から3人目)がゴール ©日本自転車競技連盟

2020東京五輪以前のメダル獲得数は4個で、すべて短距離男子。日本自転車競技連盟は地元開催の利がある東京で金メダルを取るために海外コーチを招へい。梶原悠未(現Team Yumi)が女子で初めての銀メダルを獲得することになるが、悲願の金メダルには至らなかった。

今回の世界選手権は2年後に迫ったパリ五輪のトラック競技場が舞台。世界新記録が続出した超高速バンクだ。日本勢はその本番走路で佐藤が2年連続の女子ケイリン2位。1回戦は封じ込められて3着だったが、敗者復活戦からしたたかに勝ち上がり、決勝では世界チャンピオンと車輪1つの差で2位に食い込んだ。

ケイリン種目で日本勢が3位以内に入ったのは男女合わせて5年連続だ。

男子チームパシュートは予選通過ラインの8位に0.9秒届かず予選敗退 ©日本自転車競技連盟

来シーズンからはパリ五輪の出場枠を争う戦いが本格化する。日本勢は3人編成で走るチームスプリントで一気に3枠を獲得するのが狙い。代表となった3選手はそのままケイリンとスプリントにエントリーできる。

「2位ではなく頂点へ。表彰台で国歌を流したい」。佐藤は金メダル獲得に意欲を見せた。

小原佑太が男子1kmタイムトライアル予選で日本新記録となる59秒796 をマーク ©日本自転車競技連盟

女子の梶原が低迷するも男子の窪木がスクラッチで気を吐く

中距離種目の男子スクラッチでは窪木が初めて2位になった。佐藤と同様に、競輪選手という職業に就きながら、五輪や世界選手権で実施される種目を目標とした民間チームに所属。連盟の強化指定を受けて2足のわらじを履きこなす。

女子スクラッチ種目でも優勝候補だった梶原(左から2人目)は集団から抜け出すことができず11位 ©日本自転車競技連盟

2020東京五輪の女子オムニアムで銀メダルを獲得した梶原は2020年の世界チャンピオン。この大会で2年ぶりのタイトル獲得を目指したが、前日種目の落車負傷が影響して13位に終わった。

男子スクラッチで2位になった窪木(左) ©日本自転車競技連盟

まずはパリ五輪の出場枠を獲得することから

2024年7月26日から8月11日まで開催されるパリ五輪。自転車トラック種目の出場枠は、2024年4月14日までの主要大会での成績をもとに、選手権者やランキング上位の所属国に与えられる。日本は短距離種目3枠が獲得できるチームスプリント、中距離種目4枠が獲得できるチームパーシュートを集中強化する。日本がこうして手中にした出場枠は、エントリー締め切りとなる7月8日までに五輪代表選手を決めてうめられる。金メダルまでの道は長い。

サンカンタン・アン・イブリーヌのベロドロームナシオナル ©Paris 2024

五輪自転車における日本勢のメダル獲得

日本自転車選手が獲得した五輪メダルは銀2、銅3で、すべてトラック種目。1984年ロサンゼルス大会の個人スプリントで坂本勉が銅、1996年アトランタ大会の1kmタイムトライアルで十文字貴信が銅、2004年アテネ大会のチームスプリントで長塚智広・伏見俊昭・井上昌己の日本チームが銀、2008年北京大会のケイリンで永井清史が銅、2021年東京大会の女子オムニアムで梶原悠未が銀。

2022トラック世界選手権フランス大会の日本ナショナルチーム

トラック世界選手権がパリ郊外で開幕…日本勢にメダル期待

2022年の自転車トラック世界選手権が10月12日から16日までフランスのパリ郊外にあるサンカンタンアンイブリーヌで開催される。

2022トラック世界選手権フランス大会の日本ナショナルチーム

大会初日となる12日は、男子チームパシュート予選を皮切りに、男子チームスプリント、女子チームスプリントが行われ、パリオリンピックに向けた日本トラック日本代表の新たな戦いが始まる。

注目は東京オリンピック女子オムニアム銀メダリスト梶原悠未が女子スクラッチ10km決勝に参戦。日本勢のメダル第1号となるか期待される。

●日本代表選手
短距離男子
山﨑賢人(楽天Kドリームス/JPCU 長崎)
小原佑太(ドリームシーカーレーシングチーム/JPCU 青森)
寺崎浩平(楽天Kドリームス/JPCU 福井)
長迫吉拓(岡山 ドリームシーカーレーシングチーム)
太田海也(JPCU 岡山)

中距離男子
橋本英也(チームブリヂストンサイクリング/JPCU 岐阜)
窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング/JPCU 福島)
今村駿介(福岡 チームブリヂストンサイクリング)
兒島直樹(福岡 チームブリヂストンサイクリング/日本大)
松田祥位(岐阜 チームブリヂストンサイクリング)

短距離女子
佐藤水菜(チーム楽天Kドリームス/JPCU 神奈川)
太田りゆ(チームブリヂストンサイクリング/JPCU 埼玉)
梅川風子(チーム楽天Kドリームス/JPCU 東京)

中距離女子
梶原悠未(茨城 Team Yumi)
古山稀絵(東京 チーム楽天Kドリームス)
内野艶和(JPCA チーム楽天Kドリームス/JPCU 福岡)

●自転車トラック世界選手権のホームページ

梶原悠未が世界チャンピオン仕様のスペシャルバイク公開

2020年UCI世界選手権大会女子オムニアムで優勝した梶原悠未が、機材サポートを受けるブリヂストンサイクルから世界チャンピオンの証であるアルカンシエルデザインのスペシャルバイクを提供された。

梶原悠未がオムニアム出場時に使用するアルカンシエルデザインバイク

梶原悠未のコメント

「ブリヂストンフレームのクールなブラックにアルカンシエルカラーがりりしくデザインされていて、とてもカッコよかったです。苦しくて顔を下げた時、目に入るフロントフォークのアルカンシエルデザインが、自身を奮い立たせ、世界チャンピオンとしての自覚と責任を強く再認識させてくれます」

ブリヂストンサイクルのデザイン担当コメント

「フロントフォークにアルカンシエルを配したスペシャルデザインで、アルカンシエルジャージのデザインとの一体感を表現しました。また、走行中も体に隠れることなく、世界チャンピオンであることを常にアピールできるようにしています」

梶原は今後出場するオムニアムをこのアルカンシエルデザインバイクで戦う予定。機材の開発は競輪の補助を受けて実施された。

●梶原悠未インタビュー記事

梶原悠未優勝のトラック世界選手権がNHK BS1で再放送

トラック世界選手権の模様がNHK BSで3月29日(日)午前5時から放送される。3月19日(木)に放送されたものの再放送。国内トラック競技界で女子初の世界チャンピオンとなる梶原悠未の女子オムニアムの激闘が伝えられる。

梶原悠未が世界選手権オムニアムで初優勝 ©JCF

落車で負傷しながら最後までトップを死守

女子オムニアムで日本選手史上初となる世界選手権金メダルを獲得した梶原悠未。序盤は盤石のレース運びだったが、中盤でまさかの落車。しかし最後までトップを譲らず、世界チャンピオンの栄冠を手にした。

強豪がひしめくレースで梶原はどのような走りを見せたのか。東京オリンピックに向けてオムニアムをどう見ればいいのか? この番組を見れば東京オリンピックでの梶原の走りが理解できること間違いないという。

脇本雄太 ©JCF

競輪選手の東京五輪代表争いも注目

男子ケイリンは脇本雄太が自身初となる世界選手権でも銀メダルを獲得。日本発祥のオリンピック種目「ケイリン」。日本は2018年に河端朋之が銀メダル、2019年に新田祐大が銀メダル、それに今回の脇本と3年連続で銀メダルを獲得した。

しかし悲願の金色メダルにはまたも手が届かず。日本人選手が越えなければならない壁とは?

さらにプロ競輪選手4人が争うオリンピック出場に向けた日本代表選手枠争いも大詰めを迎えた。誰がオリンピックに出場するのか? 激しいレースはどんな展開になったのか。ドイツ・ベルリンで行われた頂上決戦の模様をお伝えする。

●NHKの詳細ホームページ

梶原悠未優勝のトラック世界選手権がNHK BS1で3月19日放送

トラック世界選手権の模様がNHK BSで3月19日(木)午後5時から放送される。国内トラック競技界で女子初の世界チャンピオンとなる梶原悠未の女子オムニアムの激闘が伝えられる。

梶原悠未が世界選手権オムニアムで初優勝 ©JCF

【本放送】
2020年3月19日(木)午後5:00〜 午後5:50 PART1
2020年3月19日(木)午後6:00~ 午後6:45 PART2
※途中10分間のBSニュースあり

【再放送】
2020年3月23日(月)午前9:00〜 午前9:50 PART1
2020年3月23日(月)午前10:00~ 午前10:45  PART2
※途中10分間のBSニュースあり

放送時間は予定で、別ニュースなどがあった場合には放送時間が変わる可能性ある。

落車で負傷しながら最後までトップを死守

女子オムニアムで日本選手史上初となる世界選手権金メダルを獲得した梶原悠未。序盤は盤石のレース運びだったが、中盤でまさかの落車。しかし最後までトップを譲らず、世界チャンピオンの栄冠を手にした。

強豪がひしめくレースで梶原はどのような走りを見せたのか。東京オリンピックに向けてオムニアムをどう見ればいいのか? この番組を見れば東京オリンピックでの梶原の走りが理解できること間違いないという。

脇本雄太 ©JCF

競輪選手の東京五輪代表争いも注目

男子ケイリンは脇本雄太が自身初となる世界選手権でも銀メダルを獲得。日本発祥のオリンピック種目「ケイリン」。日本は2018年に河端朋之が銀メダル、2019年に新田祐大が銀メダル、それに今回の脇本と3年連続で銀メダルを獲得した。

しかし悲願の金色メダルにはまたも手が届かず。日本人選手が越えなければならない壁とは?

さらにプロ競輪選手4人が争うオリンピック出場に向けた日本代表選手枠争いも大詰めを迎えた。誰がオリンピックに出場するのか? 激しいレースはどんな展開になったのか。ドイツ・ベルリンで行われた頂上決戦の模様をお伝えする。

●NHKの詳細ホームページ

東京五輪では金メダルを…日本初の世界女王梶原悠未

梶原悠未(かじはらゆうみ=筑波大)が2月28日にドイツのベルリンで開催された2020UCI世界選手権において、女子オムニアムで金メダルを獲得した。自転車トラック競技では日本女子初。同種目では男女を合わせて日本初のメダル獲得。1987年の本田晴美、俵信之以来33年ぶりの世界タイトルとなる。

日本ナショナルチームのコーチやスタッフが快挙を祝福 ©JCF

梶原悠未のコメント
「すごくうれしいです! 東京オリンピックでも金メダルを獲れるようにもっともっとトレーニングしていきます!」

日本から同種目女子への出場は梶原のみ。梶原は翌29日に行われる東京五輪新種目、マディソンにも出場する予定。

先頭から3番目が梶原悠未 ©JCF
梶原悠未 ©JCF

オムニアムとは

4つの種目の合計ポイントにより順位が決定され、1日のうちに4種目を実施する
実施順は下記の番号通り
1) スクラッチレース
2) テンポレース
3) エリミネーション
4) ポイントレース

リオオリンピックまでは2日間開催だったが、ルール改正により4種目1日開催となった
2012年ロンドン五輪大会からオリンピック正式種目
陸上の十種競技とも形容され、ゲーム性が高く大逆転チャンスもありトラックの人気種目である

梶原悠未が世界選手権オムニアムで初優勝 ©JCF
2月29日に誕生日を迎える母に世界一のプレゼント ©JCF
エリート女子オムニアム世界チャンピオンの梶原悠未を中央に、左が2位レティジア・パテルノステル(イタリア)、右が3位ダリア・ピクリク(ポーランド) ©JCF

梶原悠未(かじはらゆうみ)      
JCF登録:茨城県 
所属:筑波大
生年月日:1997年4月10日  155cm/53kg
出身校:筑波大附属坂戸高(埼玉県)→筑波大

過去の主な成績
2019トラック世界選手権エリート女子オムニアム4位
2019トラックワールドカップ第2戦エリート女子オムニアム4位
2019トラックワールドカップ第3戦エリート女子オムニアム優勝
2019トラックワールドカップ第4戦エリート女子オムニアム優勝
2020アジア選手権エリート女子オムニアム優勝
2019トラック全日本選手権エリート女子オムニアム優勝

金メダルをかじる梶原悠未 ©JCF
梶原悠未がアルカンシエルにサイン ©JCF

●日本自転車競技連盟のTwitter(速報配信中)