心拍計搭載のGPSウォッチとアプリでGarminコーチにランニング指導を受けてみた

ラントレーニングの理想は、専門知識を有するコーチに直接指導してもらったりメニューを組んでもらうことだが、光学式心拍計を搭載したGPSウォッチでもかなりのところまでできるようになった。初級者から中級者までのトレーニング指針となることは確実で、使いようによってレベルアップに貢献してくれる。

VO2 Maxをもとにマラソンの予測タイムが算出される。これがアテにならないけどモチベーションにはなります

今回は、Garminデバイスで計測した各種データを無償提供アプリで自動分析し、スマホの中の仮想コーチがトレーニングメニューを提示してくれ、それをこなしていくうちにランの記録が向上していくという、夢のようなシステムを実際に使ってみた。

ところで、最近話題のトレーニング理論は「乳酸閾値=にゅうさんいきち」というものらしい。大学の研究室のような空間で被験者がハムスターよろしくローラーに乗り、掃除機みたいな管を口につけたり、血液を採取されたりして測定する。そうなるともう一般の人たちの出番ではない。Garminデバイスのスゴいところは、研究機器と比べたらそれほど高額ではない市販商品を購入しただけで、簡易的ながらこの数値を算出することができる点だ。

Garminが無償提供するGarmin Connectアプリに「コーチ」が出現
まずは個々の実力レベルを入力する。トレーニングレベルの指標となるので正直に答えよう!
5kmランの目標タイムを最後に入力して初期設定完了
コーチは1週間のうち練習に充てられる回数などで選択したほうがいい。ビデオは英語のみ
すべてを入力するとトレーニングメニューが作成される。スマホのほかデバイス上でも確認できる

ただし、だれでももっと簡単な思考でトレーニングしたい。そうなると乳酸閾値がなんなのかはあんまり関係なくて、光学式心拍計つきデバイスを手首に巻いて、スマホと同期しただけでコーチの指示が受けられるというほうが気楽。つまりトップアスリートと同じことをやろうとしているのではなくて、「東京マラソンに当選しちゃったのでなんとか完走したいな」という庶民ランナー向けのトレーニングメニューを求めているのだ。

厳密に言うと、ガーミンデバイスで乳酸閾値を算出する場合は、腕時計タイプの光学式心拍計ではできず、胸ベルトタイプの別売心拍計を購入しないと計測できないみたいだ。ボクが愛用しているGarmin Fenix 5は手首タイプの心拍計測機器で、悔しいことに計測不能。ただしVO2 Maxなら計測できる。

VO2 Maxの数値は身体に取り込まれた酸素が筋肉へ運ばれ、効率的な有酸素エネルギー生成に使用される最大量
VO2 Maxの推移で有酸素運動のパフォーマンスレベルをチェックする
アプリ基本のInsightsでも全体のどの領域に自分がいるのかが把握可能

そこで着目したのが、VO2 Maxの数値を解析してアプリでトレーニングメニュー作成やコーチングをしてくれるものはないのか? あります! それがGarminの「Garminコーチ5Kプラン」なのです。

乳酸閾値と同様にVO2 Maxはアスリートとしてどのレベルにあるのかを数値化するとともに、トレーニング効果を把握することができる。おそらくは、世界中のGarminユーザーが汗をかきながらアクティビティを実行し、それを無償提供されるアプリやホームページに入力・管理する。そのメガデータを解析することで、「このVO2 Max数値の人はこのレベルだから、次の練習はこれだね」とトレーニングメニュー提供する。プログラム上は意外と簡単なことかもしれない。もちろんトップレベルのアスリートをフォローするのは難しく、初級者から中級者までが活用できる範囲となるが、利用価値はかなりありそうだ。

トレーニングメニューを終えて保存するときに「きょうのメニューはキツかったですか?」と聞かれる
日本語化されていない部分もある

Garminがボクだけのパーソナルコーチに

Garminが無償提供するGarmin Connectアプリはだれでも自由にダウンロードできるが、この中に最近になっていきなりGarminコーチが登場した。すでに数年使用しているアプリで、これまでGarminコーチなんて存在はなかったので、最新バージョンに更新したときに追加機能として使えるようになったのだと思う。米国企業であるGarminだからベースは英語だが、要所は順次日本語訳されている。

「Garminコーチ5Kプラン」という名称からも分かるとおり、ラン5kmのレベルアップを目的としたプログラムだが、「5kmってランの基本なんですよ」と紹介されているとおり、東京マラソンで自己ベスト更新を目指すランナーにとってもスピード練習の一環となる。というか、最大の導入意義は「記録をねらうというモチベーションの維持」だろう。

陸上部でもなく、ランニングクリニック参加者でもないボクにとって、ランのパーソナルトレーナーがいつでも身近にいてくれるという安心感が第一。アプリでは3人の頼れるコーチが選択できる。

オリンピック選手でベストセラー作家のJeff Galloway、生理学者兼オンラインランニングコーチGreg McMillan、理学療法士兼ランニングのエキスパートAmy Parkerson-Mitchell。それぞれの利用者が1週間のうちトレーニングに充てられる回数などで適任コーチを選ぶようだが、ボクは迷わず女性コーチのアミーさんを選択。

ボク自身も2019年3月3日に開催される東京マラソンで自己ベストの更新を目指している。アプリ導入はその一環だ。週に2〜4回ほどのワークアウト(ランニング練習)のデータをGarmin Fenix 5で取得し、走り終わったあとにアプリと同期し、トレーニングプランのパフォーマンスを自動分析してもらう。

与えられたワークアウトを完了すると「よくできました」と小学校の先生のようにホメてくれる
ワークアウトが終了して走り足りないときは「再開ボタン」を押すと引き続きデータ取得が行われる
ときおりコーチからアドバイスが送られてくる
個人的な都合でその日にワークアウトできなかったときは、日にちをスライドすればいい

トレーニングメニューは1週間単位で、各自の仕事のサイクルに合わせてメニューを入れ替えたりできるのがいい。メニューを完遂するとモチベーションが上がるが、いろいろな状況変化などあるので1週間のなかでメニューをこなすようにするのが長続きするコツのようだ。プランを立てると継続しやすくなるんです。コーチからトレーニングに関するビデオやランニングのヒントを受け取ることもできるが、まだ日本語訳になっていないものが多いので、雰囲気としてつかんでおけばいい。

それよりも、自分のランが進歩しているんだという要素をモニタリングすることで、自分の現在のパフォーマンスレベルを把握し、さらなる改善のためになにをすべきか理解することが可能になるのがいい。Garminデバイスは、こうしたトレーニング中のさまざまなデータを収集し、ランのメトリックや生理学的測定を提供してくれる。計測された情報でなにができるか、現在のデバイスで表示されるステータスの意味をもっと知りたいという人にピッタリ。

まだ日本語訳されていない部分もある