西伊豆から南伊豆へ…絶景を見ながらの90kmサイクリング

伊豆半島一周200km超。海と山がこれほど近いところもなく、温泉や特産物も思う存分楽しめる。今回は観光客ひしめく東伊豆を避けて、西伊豆から南伊豆にかけての90kmを実走。首都圏からちょっとだけ遠くなるが、交通量が激減してとても走りやすい。アテネ五輪代表で、現役時代からこのエリアで走り込みをしてきた田代恭崇さん(43)におすすめコースを作ってもらった。

伊豆半島全体に敷設中の青い矢羽根マーク。40mごとにペイントされるとか

「サイクルスポーツの聖地」を目指す静岡県でサイクルツーリズム事業の監修を務める田代さん。選手引退後にサイクリングツアーなどを運営する「リンケージサイクリング」を創業し、静岡県東部エリアでグループライドを企画するなど、このあたりには精通している。そんな田代さんのオススメが西伊豆だ。熱海や伊東、あるいは三島や沼津から車で2時間ほどかかる。しかしここまで来ると交通量が少なくなり、紺碧の駿河湾の向こうに富士山が見えたり、伊豆半島ジオパークの大自然が満喫できる。

静岡県はこのエリアを定番サイクリングコースとして環境整備中だ。路面に自転車が走る場所であることを示す「青い矢羽型表示」を40mごとに敷設。自転車のイラストをあしらった白いピクトグラムもペイントする。コース設定したのは3ルート。全長200kmに及ぶ伊豆半島1周、天城越えとなる40kmの半島縦断、室内自転車競技場「伊豆ベロドローム」を中心とした20kmの半島横断だ。

松崎町で田代恭崇さんオススメの食事どころへ

田代さんのオススメである今回の90kmコースの発着は西伊豆町にある堂ヶ島。美しい景観と温泉が楽しめ、宿泊施設にもこと欠かない。4kmほど南下すると松崎町になり、風情あふれる旧家や土蔵をながめながらのんびりとサイクリングを楽しめる。ここから先はクルマの往来がほとんどなくなり、サイクリングには絶好。トンネルは随所に出現するが、どれも短いもので、路面が見えないほど真っ暗になることはない。

フランスのノルマンディーと似ている!
ここからはアップダウンが連続する。風と波で浸食された断崖を上り、小さな漁村まで一気に下る。それぞれのピークは標高250mに満たないが、90kmを走ると獲得標高は1560mにもなるという。それでも単独の山岳アタックのように往路は上りだけ、復路は下りだけという単調なものではなく、ツラい上りを頑張れば必ず下りになるので体力を回復することが可能。長時間同じポジションを取らなくてもいいので、ストレスを感じることも少ない。

南伊豆町に入ったところで大休止。すこし内陸に入れば川沿いに桜並木が出現。休耕地を使った季節の花畑も名物だ。コースはさらに下田市に向かい、ここから内陸部のバサラ峠を上って松崎町を目指す。全行程は93km。「けっこう走りごたえありましたね」と田代さんが言うとおり、上級者向けのコースとなる。初級者コースなら松崎町の集落を拠点に20kmほどの散策をするのがいいだろう。

コース途中の難関、バサラ(婆娑羅)峠

伊豆八十八カ所遍路も
弘法大師ゆかりの伊豆半島は現在、伊豆八十八カ所霊場めぐりを観光の柱にしようと整備を進めている。13市町村にまたがり、総行程は444kmになる。歩くのは大変で、電車やバスを使った遍路が無難。さらには自転車を使った札所巡りも推奨されている。欧州の巡礼もサイクリングで聖地を目指す人たちが多く、短期間でゴールできるのが長所となる。

「サイクリストは納経帳を携行しにくいので無料のスマホアプリを作りました。チェックインとナビ機能があります」と、プロジェクトを推進する「伊豆88遍路」の遠藤貴光会長。今回のサイクリングで立ち寄った八十番札所・帰一寺の田中道源住職は、「自転車ラックを境内に設置するなどで多くの人に足を運んでもらいたい」とサイクリスト大歓迎。

八十番札所・帰一寺の田中道源住職は、「自転車ラックを境内に設置するなどで多くの人に足を運んでもらいたい」と

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