座禅で現代ストレスから抜け出す…いま救われる日本の修行法

座禅は心にどこか不安があったり、自律神経失調症やうつ病で悩んでいたりする人にとっておすすめの修行だ。早起きさえすれば鎌倉の由緒正しいお寺さんに行って、無料で参加することもできる。心の弱いボクも座禅をすることで落ち着いた気持ちを取り戻し、迷いから抜け出すことができ、日常生活が送れていることを実感する。

北鎌倉・建長寺

数字を数えながら吸ってはいての繰り返し

北鎌倉の浄智寺などで月に一度は座禅をしています。ボクのような心の弱い人におすすめしたいです。例えば、1時間にわたって身動きできず、その状況から逃げ出すこともできず。そんな囚われの身になることを回避したい気持ちがあるときでも、まずはチャレンジしてみることをおすすめします。

座禅は臨済宗か曹洞宗の僧侶の修行の一環として形成された所作ですが、一般の人が参加する場合はそれほど厳格なものではありません。例えば「結跏趺坐」なんて呼ばれる正式のあぐらでなくても、片方の足を反対側の太ももの上に乗せる「半跏趺坐」でマナーを逸することはありません。用意された座布団などを使って、30分ほど座っていても足がしびれない状態を確保して臨めばいいのです。

北鎌倉・浄智寺

禅宗の宗派によって手の置き方など所作の違いはあるのですが、初心者だと言えばていねいにその作法を教えてくれるはずなので安心です。作務衣が正式な身なりですが、身体を締めつけないゆったりめの衣服を着用し(常識的に短パンやノースリーブなどはマナー違反)、できるだけストレスのかからない状態を確保して、拍子木とおりんがなるのを待つのがいいと思います。

それではいよいよ座禅です。20分ほどの静寂な時間を過ごし、ほんのわずかな休憩時間をはさんでさらに20分ほど座禅をするのが初級者クラスのスタイルです。長時間、無理な姿勢を強要して、血行不良などによって後遺症が起きてしまった例があるので、お寺さんとしても健康阻害に陥らない配慮が行われているようです。ちなみに身体を鍛えたアスリートほど筋肉群が発達しているので、無理な姿勢による障害発生の可能性が高いとのこと。

で、座禅ですが、心を無にして集中すればいいのですが、最初はどうしても邪念にとらわれてしまいます。「修行僧侶はどうやって、この時間を耐えているんですか?」と率直に聞いてみたところ、「1から10まで、ひたすら数字を数えながら、吸ってはいての呼吸を心がけることだけに集中しています」とのこと。それは意外と簡単なことなのです。

北鎌倉・建長寺

頭頂部を糸で吊られたようにカラダがすっと伸びている状態を確認します。その態勢でひたすら数字だけを数えながらゆっくりと呼吸を繰り返す。最初は緊張感で呼吸が浅く激しくなったり、その場から逃れられない不安な気持ちを感じたりますが、そのうちにフラフラしなくなっている自分に気づきます。そうなると気持ちが落ち着いてきて、いつまでも座っていられそうな安定感を獲得します。

呼吸だけを意識して足を組んでいると、スーっと力が抜けていくのです。「あれ、これってしかして集中しているのかな?」と、あるとき気持ちが安らかになっている自分に気づきます。心が落ち着いていたんです。これがいわゆる無我の境地の入口なんでしょうかね。

ビシッとたたかれると気持ちがひきしまる

警策(きょうさく)でたたかれるのは自己申告です。住職さんが自分の前を回ってきたときを見計らって、手を合わせて頭を下げるなどの合図を送れば、それが「たたいてください!」の申告となります。で、ビシッ!とたたかれるんですが、心身ともに引き締まります。

痛いんですけどね。夏場はシャツ1枚の薄着が多いと思いますが、多少は厚着のほうが痛みは緩和されます。ただ、あざが残るほどではないので、精神が引きしまったという思いがあって痛みとしては残りません。最後は座禅の終わりを告げる拍子木とおりんが鳴って、両手を合わせて一礼します。

こうやって1時間なりが終わると、ときにはお茶やおまんじゅうをいただきながらお話しをしたりして、すがすがしい気持ちで1日を送ることになります。

北鎌倉・浄智寺

浄智寺は円覚寺派で、浄智寺の朝比奈住職は円覚寺でも座禅会を務めていたこともあり、2つのお寺さんは同じ作法です。

ボクがどうして座禅に参加してみようと思ったわけは、交感神経バランスが不調の時があって、気持ちを安らかにするにはこんな修行がうってつけかなと思ったことでした。現在人は交感神経だけが張り詰めた状態が多く、なかなかリラックスして副交感神経を高くするような状態にはならないのだと思います。

座禅をして体感したことは、教えてもらった呼吸法にのみ集中することで、いつしか雑念が払われ、気持ちが落ち着くのが分かりました。荘厳な禅堂の雰囲気も気持ちを落ち着かせるのに役立つのだと感じます。

北鎌倉・円覚寺

円覚寺の座禅会は毎日無料開催

北鎌倉駅の裏改札からすぐの円覚寺では、毎日早朝に「暁天座禅会」が開催され、だれでも無料で参加できます。ただし団体は不可。また特別の行事があるときや、台風や大雪の時は中止になるようです。

かつては、夏場は朝5時半に開始していたので、都心部から横須賀線の始発電車に乗っても間に合いませんでしたが、いまは通年で6時開始となるのでギリギリですがセーフ。それでも東京方面から向かう場合は先頭車両に乗り込み、トイレも車内で済ませて駆け足で円覚寺の通用門から境内に入る必要があります。

初めて参加する人は10分前に座禅会場となる仏殿の脇に集まっている必要があって、ここで世話役の人がある程度の作法を教えてくれます。この時間は山門が閉まっているので、通用門を勝手に押し開けて境内に入る必要があるのも、初めての人にとってはドキドキでしょうね。

北鎌倉・浄智寺

そして本番の座禅へ。仏殿はコの字型に、壁の前に縁台があって、そこに座布団を持ち込んであぐらをかきます。履き物をそろえて、縁台の奥にきちんと押し込んでおくことだけ注意されます。

円覚寺のやり方は20分の座禅を2回行い、そして最後はお経を参加者全員で唱えて1時間のおつとめを終えます。お経は初めて参加する人にはあらかじめ手渡されるので、2回目以降は忘れずに持参することが必要。 神妙な1時間を過ごすと、その日1日がとてもおだやかな気持ちで過ごせることでしょう。ぜひ一度経験してみてください。

北鎌倉・亀ヶ谷の切通