最新ウエアを着こなすために、この夏はシェイプアップに励みます

アパレルは時代の流行というものがあるようだが、着用する側の好みも年齢を重ねていくうちに変わっていく。たとえば40年前の中学生時代、青春ドラマの主役は「ベルボトム」をはくのが常で、若かりしころはそんなスタイルに憧れたものだ。今回はそんな話ではなくて、サイクリングウエアの件。

自転車用ジャージはカードライバーからの被視認性を向上させるために派手なジャージがよしとされ、ボクたちサイクリストもそんな色彩を好んで着用していた。当初は生地の切り返しデザインだけだったが、その後プリントものが登場し、最近ではフルカラー対応でグラデーションや蛍光色まで再現できるようになった。

ツール・ド・フランスは五輪に先駆けて商業スポンサーを採用したスポーツイベントだったそうで、自転車選手は走る広告塔と言われた。だからプロチームのジャージには企業ロゴがちりばめられているのだ。さすがのボクもアップリケを配した時代は写真でしか見たことがないが、ロゴネームがジャージに入っているほうが潤沢な資金で運営されていそうで、それを着用した選手はどこか強そうだった。

そんな風潮が激変したのは数年前。英国のチームスカイが単一スポンサーとなり、有力選手を集めてチームを強化したこと。メインスポンサーのロゴしかないとてもシンプルなジャージが登場し、しかもツール・ド・フランスを制覇するなど大活躍したので、そんなシンプルジャージが強さを感じさせるようになる。時代の変革である。

ベルボトムに憧れていた中学生もシニア世代になり、派手派手なジャージに着心地の悪さを感じる年頃に。最近はシンプルウエアに魅力を感じるように心境変化した。被視認性については適所に再帰反射素材を配置することでことたりるくらいに技術が進化した。こうなったらシブいデザインでキメればいいじゃんと思う。

まだ肌寒い東北でのサイクリングで着用したのが英国Vélobici(ヴェロビチ)製の最新モデルだった。防風性能があるのでウインドブレーカーを着なくても気温15度のなかを大喜びで走り回った。外からの冷気はシャットアウトしつつ、発汗によるムレを素早く排出するという複雑な機能を合わせ持つ。最近のトレンドはシンプルな色使い、体にジャストフィットしたサイズ。お腹が出ていると確実にバレるので最新ジャージーを着るためにダイエットする必要はあるのだが、それはそれで走るモチベーションになる。

気仙沼大島の最高峰、亀山ヒルクライム

Vélobici Van Chilli L/S
着心地のいい素材と立体的デザイン、確かな縫製でフィッティングのよさはこれまでにないレベル。ボディにジャストフィットしたSサイズを選択したので、直立時には肩回り・肩ひもの短さに窮屈さを感じるが、乗車姿勢を取るとしっくりとなじむ。全体的にストレスを感じない。

今回は気温15度の実走だったが、防風性能が極めて高く、ウインドブレーカーの必要性を感じなかったのは驚き。吸汗速乾性もあるのでインナーウエアとレイヤリングすることで、しっかりとした生地にもかかわらず汗を素早く放出してくれそうだ。今回は天候状況で汗をかきませんでした)。

背中のポケットは奥行きが深いものと浅いもの、防水機能を備えたものとそうでないものがあるので、スマホなどをジップロックに封入することなく防水ポケットに携行できる。ポケットに深さの違いがあるのはいいアイデアだ。家やクルマのキーなど絶対落としたくないものと、落としてもなんとかなるものがあるので。

ジャストフィットサイズとなると走行中にポケットのものを取り出しにくくはなるが、シルエットとしてもスッキリしているのがメリット。あまり多くを詰め込まないほうがスマートな外観を損なわないかなと感じた。休憩時間の多いサイクリングをメインにするなら多少ゆったりめのサイズを選ぶのもいいかなと思う。

UVカット機能もあるのでサマーロングスリーブとしてどれだけの快適性を発揮するのか? 夏になったそのあたりをチェックしたい。ソデ口の親指を通すループも特徴的で、手首計測の光学式心拍計を使っていると、デバイス表示が見えなくなってしまうが、bluetoothでハンドルに搭載したサイクルコンピュータにデータ転送すれば解決。

松島の波止場にて

Vélobici Van Chilli Bib Shorts
ビブショーツのスソ丈は、最近長めがトレンドのようだが、このくらいのほうが足長効果が発揮できるので大好きである。しっかりとフィットするので筋肉をほどよくホールド。当初右太ももに張りを覚えたので「筋肉が固まっているのかな」と感じたが、その原因は刺繍によるわずかなふくらみ。それに気づけばすぐに違和感がなくなり、慣れてしまうレベルだ。

スソ裏のズリ上がり防止シリコン仕様は、肌の弱い人には難敵だが、ミミズ腫れになることがなくて安心。しっかりと肌に乗って動かないのでペダリングのたびに皮膚をこするということがないのが要因かなと思う。

パッドは最高レベルの機能。ジャストサイズを着用することで肩ひもによってパッド位置が確実に固定されるので、激しい動きでもズレることはないのでとても機能性が高い。

左がVan Chilli L/S、右がContinental Light Short Sleeve Jersey

Vélobici Continental Light Short Sleeve Jersey
半ソデジャージは気象状況から試着のみ。こういった超軽量ジャージの多くは耐久性に劣ると言われているが、しっかりとした作りと生地で心配なさそう。上腕を包み込むようなフィット感があって、空気抵抗の低減に効果を発揮しそうだ。

Vélobici Continental Light Bibshorts
スソ裏は幅広のシリコングリップでストレスを低減。パッドは吸汗速乾性が高く、真夏でも快適なロングライドができるはず。防風性能が高いのでレッグウォーマーと組み合わせれば冬でも愛用できそうだ。

●Vélobici(ヴェロビチ)の日本版ホームページ

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