「瀬戸内しまなみ海道」は日本で最も人気のあるサイクリングコースだ。広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶルートで、6つの島に架かる大きな橋を渡っていき、約80kmの長距離走行が楽しめる。国土交通省がナショナルサイクルルートとして指定し、休憩所や宿泊施設を拡充。自転車旅の経験がない人でも安心して走れる環境が整っている。
アジア随一のサイクリングルートは自転車観光促進のため2024年3月末まで無料
最高に気持ちいい! こんな自転車パラダイスは他にない! 記者がしまなみ海道を訪れたのはもう5回になるが、いつもそう感じる。穏やかな瀬戸内海を眼下に望みながら、自転車歩行者道が設置された橋を渡っていく。その下を大型船が航行できるように橋の高度は高いが、みかん畑を縫うように上っていくアプローチさえペダルが軽い。最短ルートを通れば比較的平坦な道で四国まで行くことができるのも特徴。それがもの足りない走り屋ならそれぞれの島で大きく迂回したり、フィナーレとなる来島海峡大橋が一望できる大島の亀老山に上ったりすればいい。
そんな魅力がいっぱいのしまなみ海道は2022年9月のシルバーウイークも自転車に乗る人でいっぱいだ。本州側の玄南口となる尾道から最初の向島までは渡船を使う。乗船料100円と自転車持ち込み料10円で自転車通学の地元生徒らとともにわずか10分ほどの船旅。そのあとは因島、生口島、大三島、伯方島、大島を訪ねて今治へ。コロナ以前はアジア各国からの観光客も自転車に乗っている姿がよく見られた。つまりここは日本を代表するサイクリングコースなのである。
はっさく大福や瀬戸田のジェラートなどサイクリング途中に味わえるスイーツあり、自転車を祀った神社あり。当初は日本中の自転車愛好家が聖地巡礼を楽しんでいた。6つの橋の総額で500円の通行料が課せられたが、自転車観光促進のため2024年3月末まで無料化。これにより一般の観光客もサイクリングしやすくなった。
冬でも温暖なエリアで、気持ちよくサイクリングできる。ただし日が短い季節なので首都圏から訪問するときは2泊3日の日程が必要。
向島に新たなサイクリングカフェ&スペースがオープン
向島の「tsubutaSANK!」が2022年9月23日にオープン。しまなみ海道の最初の橋「因島大橋」へのアプローチは、サイクルステーションばかりでなく休憩スピットが少なかったが、サイクリストにうれしい店舗が誕生。地元の素材を使ったアイスクリームをメーンに提供するカフェで、「サイクルオアシス」として工具類の貸し出しもある。シェアオフィスなどのサイクリング関連事業を展開していく。
自転車を持っていかなくても現地でレンタルできる
しまなみ海道には合計10カ所に「レンタサイクルターミナル」があって自転車を借りることができ、しかも各所で乗り捨てが可能。今治市内では指定の旅館・ホテルで宿泊者に限って返却できる。レンタル料金は1日2000円。電動アシスト自転車は乗り捨て不可となるが2500円。
ただし一般車での長距離走行は苦痛が伴うので、ロードバイクをレンタルすることをおすすめしたい。尾道と今治には世界最大級の自転車メーカー、ジャイアントの店舗があり、最新モデルを借りることができる。車種に制限があるが2店のどちらでも貸し出し・返却することも可能。一般的なロードバイクで1日5000円前後、ツール・ド・フランス出場選手が使用するようなトップモデルで1万5000円前後。
さすがと思うのは地元のサポート態勢がいたれりつくせりなこと
コース途中には地元住民がおもてなしする「しまなみサイクルオアシス」が点在し、気軽に休憩できる。コンビニエンスストアは「コンビニサイクルオアシス」として24時間365日稼働。工具や空気入れの貸し出し、道案内などをしてくれる。自転車チューブが買える自動販売機も3カ所にある。自転車が故障してしまったときは、地元自転車店やタクシー会社などが修理手伝いや搬送など、状況に合わせて対応する「しまなみ島走レスキュー」もある。
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