日本国道最高地点となる標高2172m、群馬・長野県境にある渋峠(しぶとうげ)をサイクリング。10年前に東京中日スポーツで紹介したときは、濃霧に阻まれて一大パノラマがまったく楽しめず。その後は火山活動活発化のため二輪車乗り入れ禁止。2021年4月の冬季閉鎖の解除とともにようやく自転車で走れるようになり、10年越しのリベンジ!
10年前は霧で真っ白、その後は火山活動で通行不可
2011年8月31日に東京中日スポーツの連載自転車記事「自転車で行こう」の取材で日本国道最高峰を目指したことがある。ところが無念の霧でホワイトアウト。当時の紙面には霧の中でたたずむ写真しか掲載されていない。
いつかはリベンジしようと心に秘めていたが、2018年には本白根山が噴火。その後は噴火警戒レベルが頻繁に2以上になり、外気を遮断できない二輪車や自転車が規制された。2021年3月に噴火警戒レベルがようやく1で安定したため、サイクリングすることができるようになった。
群馬県側の草津から渋峠を目指す国道292号は「晴れていたら」国内屈指の絶景が楽しめる。標高が高いので空気が薄いのはしかたないが、真夏でも涼しいのがうれしい。標高が上がると木々の日影はなくなるが、じつのところ勾配はそれほどでもない。しっかりと深呼吸しながらマイペースで上れば初級者でも壮大な景色を楽しみながら頂上を目指すことができるのだ。
草津温泉から15kmほど、白根山の山頂付近にある湯釜や弓池までが上り坂。ここを通過すると尾根道となり、軽快なアップダウンを繰り返すので気分も軽くなる。峠に向かって左の斜面が日本海に、右の斜面が太平洋にいたる分水嶺となる。またこのあたりは冬場に5mを超える豪雪地となり、冬季閉鎖解除の前日に雪の回廊をめぐるサイクリング大会が火山活動沈静時には行われていた。日本国道最高地点は渋峠の手前500mのところにある。
乾いた空気はフランスのアルプスと似ている。真夏でも汗をかくことが少なく、ボトル1本の水分携行でいい。湯釜や弓池はかつて観光客でにぎわっていたが、火山活動により現在はレストハウスなどが閉鎖中。売店がないので補給食は必携。周囲の遊歩道も通行不可なので、道路脇から美しい景色を満喫しよう。
草津温泉に宿を取って、天気予報を確認して2日間のどちらかでアタックするのがオススメ。都心からのアプローチ上にある八ッ場ダム周辺には複数の道の駅があるので、ここを発着とした往復80kmのルートは上級者向け。草津温泉までの上りが厳しいが、路面はきれいで走りやすい。できれば交通量の少ない平日推奨。
草津白根山は依然として火山活動中
白い山肌を露出して荒涼たる雰囲気の白根山を一望できるのが志賀草津高原ルート。山麓にある草津温泉街から白根山の湯釜や弓池までは距離15km、標高差はおよそ850m。群馬・長野県境の渋峠まではさらに5.8km。絶景が楽しめる秋の行楽シーズンには渋滞も予想される。また現在も、活火山であることに留意する必要があり、火山性ガスが滞留する場所は停車禁止。11月中旬から4月下旬までは積雪のため冬季閉鎖。
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