電動アシスト自転車改め、e(イー)バイクは幼稚園の送迎や坂道のある地域の移動手段だけではなくなった。もっとスポーティに! 峠道をアクティブに! eバイクがあれば初級者も体力のある友だちと一緒に走れる。無理だと思っていた長距離ライドだって可能に。山間部の自治体ではレンタルeバイクを用意するところが増え、新時代のサイクリングライフをサポートしてくれる。
1993年にヤマハ発動機が世界初の電動アシスト自転車を発売したときは、まさにお買い物用だった。ところが高出力モーターや大容量バッテリーが開発され、近年は普通のロードバイクやMTBと外見がさほど変わらないほどスポーティになってきた。欧州では日本に先がけてスポーツアイテムとして定着。体力以上に走行距離を伸ばしたり、急坂や悪路をクリアするレジャーアイテムとして活用されている。
今回は、群馬県の山岳エリア上野村にミヤタサイクルの電動アシストクロスバイク「クルーズ」を持ち込んだ。乗ってくれたのは自転車初級者で、千葉県の大学4年生、花香聡美ちゃん。自転車の経験は少ないが、もともと部活動で陸上競技1500mなどをこなしていただけに、すぐにeバイクを乗りこなす。操作方法も簡単で、スイッチを入れて3段階の電動出力レベルを選択するだけ。聡美ちゃんはいきなり最強の「ハイモード」にしてグイグイと上野村の山を登る。
eバイクの特性としてペダルを回していないとモーターが駆動しない。また、頑張ってペダルを踏みつけすぎると電動出力が低く抑えられる。だからペダルを軽く回していくのが電動パワーの恩恵を最大限に受ける手法。普通のロードバイクに乗る同行男性陣が激坂でペースダウンしたのを尻目に、「わっ! スゴい。どんどん進んでいく」と聡美ちゃんが先行。呼吸もまったく乱れていない。これには参った。
eバイクは楽だし、体力以上に実走距離が伸ばせるので、これまで以上にフィールドが広がるアイテムだ。東京都檜原村など自転車によるガイドツアーに積極的な自治体は、体力のない参加者のために電動アシスト自転車をレンタルするようになった。今回の上野村もその計画があるという。
最後に聡美ちゃんに「峠に上りきった感動はeバイクを使っても同じだよね」と聞いてみた。
「自分の力だけで上ったときよりも、正直言って半減するかも」
はい。これは元陸上部の若い女性の意見です。ボクたち年長者は自分の体力で届かない目標まで連れてってくれる魔法の乗り物のはず……。
●ミヤタのクルーズ
今回使用したのはシマノ製電動ユニットを搭載したミヤタサイクルの電動アシストクロスバイク「クルーズ」。フル充電あたりエコモードで115km、ノーマル106km、ハイモード78kmのアシスト走行が可能。9段変速。油圧式ディスクブレーキなので下りの速度制御が容易。26万9000円(税別)。
●メリダのeビッグセブン
台湾のメリダが製造するeビッグセブンはMTBタイプのeバイク。起伏の激しい山間部のオフロードも電動アシストパワーで乗り越えることが可能になった。価格は35万9000円(税別)。
●伊豆の国市のメリダXベース
ミヤタサイクルが静岡県伊豆の国市で運営する「メリダXベース」ではレンタルeバイクが常備されていて、伊豆半島のeバイク向けコースをサイクリングできる。11月7日からはeビッグセブン600もレンタルに加わった。2時間3000円、4時間5000円、7時間7000円で借りることができる。ヘルメット、グローブ、フロントライト、テールライト、ボトルケージ、パンク修理キット、携帯ポンプは無料。
メリダXベース=静岡県伊豆の国市田京195-2 伊豆ビレッジ ☎0558-77-2727
●ライドハンターズin上野村
エリア探索サイクリング「ライドハンターズin上野村」が11月24日(土)、群馬県上野村で初開催される。ライドハンターズとは地図上で指定されたスポットを巡り、制限時間内に獲得した総合得点を競うゲーム感覚のサイクリング。仲間とチームを組んで出場し、参加料は1人3000円。申し込みは11月13日まで。詳細サイトは「ライドハンターズ上野村」で。
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