夏は北の大地でサイクリング。自転車愛好家だったら夏こそ涼しい北海道で思いっ切り走りたい。日本最北端の宗谷岬や知床半島まで足を伸ばさなくてもいい。新千歳空港や札幌市からアクセスがよく、2〜3日で自転車を楽しめるのが道央の後志(しりべし)エリア。小樽・積丹・キロロ・ニセコなどがあり、海と山と温泉とグルメを独り占めできる。
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最北端や知床に行かなくても札幌からすぐにアクセスできる場所がいい
旅先で自転車に乗って観光するサイクルツーリズムという言葉が広まっている。公共交通機関が利用しにくい観光地に自力で移動でき、しかも自分のペースや気分で立ち止まったりルート変更したりすることができる。北海道のようなエリアを旅するのに、自転車は好都合なのである。
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札幌の西側に位置する日本海沿岸を中心とした6市町村(積丹町・古平町・余市町・仁木町・赤井川村・小樽市)からなるエリアが北しりべし。観光スポットの宝庫で、サイクリストが求める海・山・食が交錯する。人生を豊かで健康にするウエルネスツーリズムに欠かせない温泉が小樽、赤井川村、余市に、さらに隣接して定山渓、ニセコなどに点在。地元観光団体はこういった地域が持つ魅力を打ち出し、外国人を含めた観光客の獲得に積極的だが、ここでもキーワードは健康ライフを応援し、脱カーボン社会に貢献する自転車活用だ。
今回は、北海道ボールパークFビレッジに米自転車メーカーのスペシャライズドがオープンさせた体験型施設、エクスペリエンスセンターで最高級のSワークス・ターマックSL7をレンタル。初級者ならeバイクを借りるのがいい。
まずは札幌の奥座敷と呼ばれる定山渓でまったりとし、そこからニセコを目指した。このあたりは日本で最も古いステージレース、ツール・ド・北海道がよく通るコースだ。勝負どころの中山峠はのんびりと上れば初級者でもクリアできる。終盤には羊蹄山が目の前に出現し、それを半周すればニセコだ。ニセコに宿泊した翌日は北上して日本海に面した余市、あるいは小樽まで足を伸ばすことができる。周囲にはぶどう畑も目撃でき、ワイナリーも点在する。
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しりべしの観光地は、それぞれ離れているためこれまでは一カ所に滞在するという過ごし方が一般的だった。しかし自転車を使って移動することで、北の大地で風を切る爽快感を楽しみながら、点在するエリアをエコに健康的に周遊することができる。
海と山、温泉、ガストロノミーが北海道サイクリングの醍醐味
一方で、冬になると路面凍結する地域なので、損傷した舗装面の補修跡には注意が必要。また峠には長めのトンネルが出現するので前後ライトを必携し、安全第一で。それ以外の場所は首都圏にはない開放感があふれ、ゴール後の温泉やおいしいものがこれまで以上に格別に感じられる。
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北海道は大きいのでなかなか達成感が得られないという特徴もあるが、そこで羊蹄山一周を推薦したい。距離は55kmほどで、高低差はほぼない。途中にトイレ休憩に使える道の駅が要所にあり、コースを示す標識も設置されている。左回りで一周すれば左から走行コースに進入する車両は少ないので安全だ。
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定山渓〜ニセコは距離70km、所要5時間。ニセコ〜余市は50km、3時間30分。余市〜小樽〜札幌は距離60km、4時間。レンタカーに車載して部分的に走るのもいい。スペシャライズド・エクスペリエンスセンターのレンタル車は、車輪の脱着に専門知識を要するディスクブレーキ仕様が多く、またeバイクは重量があるのでそのままの状態で積み込めるワンボックスタイプの車両がいい。
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