無駄な脂肪がほとんどない自転車選手は男子でもモデルなみの脚線美を持つが、スネ毛をきれいに剃っているからでもある。そもそもどうしてスネ毛を剃るのか? その理由を探るとともに、記者がエステサロンで最新機材による脱毛を実体験。すべては男性サイクリストのため、カラダを張った取材なのである。
スネ毛がないとマッサージしやすいというあたりまえのメイン理由
脚の毛を剃るのは身だしなみの一種? あるいは空気抵抗を低減するため? そんな疑問をかつて自転車ナショナルチームのチーフトレーナーに聞いてみたことがある。
「そうですね。自転車競技のそんな習慣はちょっと特殊ですが、フィジカル面においてもきちんとした理由があるんですよ」と説明してくれた。
毛を剃る理由の1つは、マッサージを受けた際に毛穴から雑菌が入って細菌感染症になるのを予防するためだ。スポーツマッサージは身体の末梢から心臓に向かってさするのが原則で、毛並みとは逆向きにさすることになるので、毛穴に雑菌が入りやすくなる。だから毛を剃って穴をなくしてしまえば感染症を予防できるとされている。
落車などによる擦過傷を治療する際は、毛がないほうが処置しやすいという理由もある。特に深い傷を負って縫合する必要があるときは、手術時に患部周辺の体毛を剃るのと同じ理由で、毛があると邪魔になる。
日本ではパウダーを使ったマッサージが昔から主流だったが、自転車競技の本場である欧州ではオリーブオイルを使用した。だから選手はマッサージがやりやすいように毛を剃ったようだ。
「毛深いとマッサージ用オイルが大量に必要となってくる(笑)。マッサージしづらいということはないが、皮膚に手のひらが密着したほうが刺激を与えやすい。受けている人も毛が引っ張られないので気持いいんじゃないかな」とトレーナー。
選手はメンタル面での効果を挙げる
「レース前の習慣として儀式のようになっていて、剃るという行為をすることでモチベーションを高めていく」という自転車のトップ選手の意見もある。
それでも大勢の意見はやはり、見た目にきれいだから。日本のスポーツ選手はあまり体毛を剃る習慣がなかったが、欧州では水泳選手のみならずさまざまな競技で全身あるいは一部の体毛をきれいに処理して登場する。
エステサロンで脱毛してみた
スネ毛はT字カミソリなどで処理するのが安価だが、炎症を起こしやすく手間もかかる。それを解決するのが光学機器を駆使して専門家が施術する脱毛。ジェルを塗った部位に光を照射し、毛根などの細胞を刺激するだけなので、ベッドに寝ていれば無痛で脱毛してもらえる。施術を受けたらその場でツルツルになるというわけではなく、風呂で洗ったりタオルで拭いたりしているうちに自然と抜ける。
サドルに当たる部分に生える毛も処置するといい。毛穴に油分が詰まって炎症を引き起こすプロ選手は意外と多く、手術にいたる場合も。処置することでそれを予防することができるという。
毛周期という毛の再生メカニズムがあるのでツルツルの脚にするには6回ほど通う必要があるようだ。コストは総額で10万円前後になるが、遠征先の大浴場の片隅で剃ったり、わずらわしいからと自転車に乗るのがおっくうにならないだけでも記者としては価値があると感じた。
ルサロンドゥプランタンには競技別プランがある
京王線桜上水駅すぐにあるエステサロンがルサロンドゥプランタン(Le Salon du Printemps)。自転車雑誌のモデルとしても活躍するRENさんが、メイクアップアーティストのMIKAさんとともに2021年3月末にオープンさせた。個室なので男性が訪問しても違和感ない内観。
自転車を乗りこなすRENさんが作ったサイクリストコースは両脚全体、サドルとコンタクトする部位を脱毛。2万7000円。初回説明などを含めておよそ70分。今回のレポートでやってもらったのは脚全体で1万8000円、45分。これ以外にランナーコース(脚+脇)2万3000円、トライアスロンコース(全身+顔)3万円、ゴルファーコース(脚全体+ヒゲ全体あるいはデザイン)3万4000円などあり。
●ルサロンドゥプランタンのホームページ
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