センスのいいシティサイクルはもちろん、本来なら郊外の一本道を高速走行するのが得意のロードバイクまで、渋谷から代官山、青山、原宿かいわいは最先端自転車が日本で一番似合う街だ。そんなエリアで不意に愛車が壊れたらどうする? じつは看板も出していないけど、日本随一のテクを持つメカニックがときおり滞在するメンテナンス拠点がある。
運がよければ日本代表メカがスポーツバイクを直してくれる
このウワサを聞きつけて、2021年10月24日に渋谷の街を訪れた。入手した情報では、明治通りに面した商業施設「cocoti SHIBUYA」にあるということ。道路の向こうにあった宮下公園は新たな商業ビルがオープンしただけに、劇的に進化中の渋谷にあっても注目すべき北東ゾーンの一角を占めるビルだ。
ところが「cocoti SHIBUYA」に到着しても、自転車メンテナンスの店名案内が全くない。正面のエスカレーターを利用してビル内に吸い込まれていく客層はティーン。こんなところに油のにじむ自転車整備スペースがあるのか?と不安になる。
とりあえず「cocoti SHIBUYA」にはサイクリングアパレルのウエイブワンが展開する「カペルミュール」があることは知っていたので、それを探すと、エスカレーターを上ってすぐの2階にあるということを突きとめた。店頭にはサイクルラックが置かれ、搬入口からのスロープを利用して愛車を駐輪するサイクリストが多いということにまずは目を見張った。渋谷も自転車にやさしい街に編墓しつつあるのだ。
ということでとりあえずカペルミュールに行ってみたら、その奥に「Limbocycling SHIBUYA cocoti」の手書き看板を発見。いわゆるメンテナンススペース・インショップなので、ビルのメイン看板には正式契約の「カペルミュール」しか出せず、SNSなどのクチコミ拡散でその存在を知るサイクリストが訪問するサービスなのかと。
そうは言っても、サイクルアパレルとしてのカペルミュールとの相乗効果はあって、週末のテクニック講座などはLimbocyclingとのコラボ効果が発揮されて、注目すべき催しも多々ある。
Limbocyclingとは、ロードとトラック日本代表チームメカニックを務めてきた高橋優平さんの自転車整備店。「自分のものを大切にしてほしいからメンテナンス屋を選んだ」という高橋さんは、すでに埼玉県戸田市にメンテナンスショップを構え、定期整備や特殊パーツ交換など、自転車のタイプを問わず一手に引き受けている。
スポーツバイクを丸洗いするラバージュはその中でも人気で、泥や油で汚れた愛車をツール・ド・フランスのメカニックのような作業でわずか30分でピカピカにしてくれる。ざんねんながらcocotiでは水回りの設備がないので、ラバージュはできないが。
そんなナショナルチームメカニックの高橋さんの手腕にほれ込んだウエイブワンが、渋谷の人気商業施設のフラッグシップショップのワンスペースをキープしたというのがウワサの発端のようだ。
「Limbocycling SHIBUYA cocoti」の営業時間は現在のところ、日・月・火12:00-19:00。1週間のその曜日に渋谷近辺でパンクした人や、東京への転勤で受け入れ先を探しているサイクリング愛好家など、ジャンル問わずメンテナンスしてくれる。変速調整からオーバーホールまで気軽に相談してみるといいかも。
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