峠の先取り情報が読めるという夢のような時代に
筆者のサイクリング歴はかれこれ50年となりますが、こんなのがあったらいいなあというものがありました。それは長くてツラい峠を上っているとき、コーナーの見えない坂は緩くなるのかキツくなるのか? そして頂上まであとどのくらいの距離なのか? そんなドラえもんがポケットから出してくれたような機械があったらうれしいなといつも考えながらペダルを踏んでいました。そして近年、それがいつに手に入るようになりました。サイクルコンピューターのiClimb機能です。

BiNaviのiClimb機能を使用するには、まずiGPSPORTアプリから標高データ付きのロードブックをサイクルコンピューターに送信する必要があります。具体的な例を挙げましょう。車両が通行できる国内最高峰の大弛峠(山梨県、標高2365m)を自転車でアタックしたいとき、いろいろな方法で標高データ付きのロードブックを作成することができます。
iGPSPORTアプリでルートを作成
アプリの地図で出発点を決め、コース途中のポイントをいくつか指定していき、ゴールまでつなぐ。結構簡単にできます。作成したらタイトルを決めて、デバイスに送信します。
iGPSPORアプリで公開されているコースを検索
だれかが「大弛峠」を実走し、公開しているデータをもらうことができます。スタートやゴールが異なる場合は拝借したコースをアプリ上でコピーし、編集機能で一部カットするなどして求めるコースが作成できます。
過去に走っていればそれを再利用 過去のライドで記録したデータをナビゲーションのガイドとして使用することも可能です。

近くのセグメントを自動検出してコースを走ろう
セグメントという機能も利用しないともったいないです。スタートとゴールを設定したコースに突入すると、タイム計測することにより自分自身の過去の記録と比較し、強くなったことを確認できるのです。セグメントはiGPSPORTアプリから取得したもの、あるいは自作したものをサイクルコンピューターに送信しておきます。BiNavi画面の「セグメント」という項目に転送したコースが表示されるので、それを選択。そうすると「セグメントのスタート地点までナビしましょうか?」なんて感じで案内されます。
●スラムダンク聖地サイクリング


BiNaviにはスマートライト接続機能もあって、サイクルコンピューターに対応するバイクライトなどに接続し、フロントライトとテールライトのモードやスマート機能を操作できるほか、バッテリー残量や使用可能時間を同一画面でリアルタイムに確認できます。これもあったらいいなと夢見ていた機能です。同社の発売するSR miniスマートレーダーテールライト(1万3750円)はレーダーで後方に接近する車両の速度を検知。テールライトが高速点滅して接近車両に警告を発し、双方向で注意喚起して安全性を高めるというもの。機会があったらチェックしてみたいです。
Binaviは操作が直感的で、初めて使うユーザーでも簡単に設定できます。走行中の反応速度も速く、GPSの精度も高いため、都市部から郊外まで安心して利用できます。走行ログの保存やルート再生機能も便利で、トレーニングや旅の記録を詳細に残すことができます。
今回はトレーニング機能までレビューしませんでしたが、バイクライドで実力を向上させたいアスリートにも頼もしいバーチャルコーチとなるはずです。複数の仲間とサイクリングするときに絶対楽しいアプリ連携のグループライド機能もあるようだが、現在この機能は中国以外の地域ではまだ実装されていないというが、ぜひ日本でも利用できるようになることを期待しています。 こういったことを総合的に評価すると、極めてコストパフォーマンスに優れたサイクルコンピューターであると思います。高精度GPSや豊富なデータ取得機能、長時間バッテリーなど、サイクリストにとってうれしいポイントが多く、ロードバイクやツーリングユーザーにおすすめできます。日々のライドをより快適に、そして安全に楽しむための頼れるアイテムです。

山口和幸(スポーツジャーナリスト)
小学生の頃から自転車が好きで、中学生からはサイクリングに夢中。自転車専門誌サイクルスポーツで編集部員を10年間務めて独立。ツール・ド・フランス取材歴は37年。Garminデバイスは数十モデルをレビュー。

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