北の大地・十勝でサイクリング。北海道の象徴的な景色を求めて道東の帯広・十勝エリアへ。心地よい空気。草原の匂い。フランスのように丘の向こうまで一直線に伸びる道。グラベルと呼ばれる未舗装路を含めて大自然の中を走る楽しさを再確認した。
グラベルに入らないと出会えない景色がここにはある
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国が認定したナショナルサイクルルートは全国に6カ所ある。しまなみ海道(広島・愛媛県)、琵琶湖(滋賀県)、富山湾(富山県)、太平洋岸(千葉・神奈川・静岡・愛知・三重・和歌山県)、霞ヶ浦(茨城県)、そして今回訪れた「トカプチ400」と呼ばれる北海道の帯広とその周辺だ。トカプチはアイヌ語の「十勝」、400は総距離が約400kmあること。地元サイクリストで、トカプチのルート作成や環境整備にも参画している小川宣幸さんがルート上のオススメ部分を案内してくれた。
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ナショナルサイクルルートとは
優れた観光資源を自転車の走行環境や休憩・宿泊機能、情報発信などと連携させ、新たな観光価値を創造し、地域の創生を図るため一定の水準を満たすルートを国土交通省が指定。日本を代表し、世界に誇りうるサイクリングルートとして国内外にピーアールして、サイクルツーリズムを強力に推進していくもの。
●しまなみ海道サイクリングロード(広島・愛媛県)
●ビワイチ(滋賀県)
●富山湾サイクリングコース(富山県)
●太平洋岸自転車道(千葉・神奈川・静岡・愛知・三重・和歌山県)
●つくば霞ヶ浦りんりんロード(茨城県)
●トカプチ400
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厳寒期の路面割れがあるので太めのタイヤが快適
「北海道って厳寒期の凍結によって舗装路面にクラックが入るんです。さまざまな道を走ってきた経験上、アスファルト舗装の路盤がしっかりとしている国道は痛みが少なく、道々、田舎道ほどクラックが多いような気がします」と小川さん。そんな事情に精通しているだけに、おすすめルートはスピードの出る下りが滑らかな道になるように選んでくれた。さすが地元の走り屋にはかなわない。
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「グラベルに入らないと出会えない景色がある」というのも小川さんの経験値。冬場の降雪や凍結に備えて本州よりも砂利を多めに敷き詰めた未舗装路が多く、前輪を取られそうなヒヤリ感はあるものの大自然の中を走っているという実感は格別。波状的に出現する丘陵地のピークに立って見渡す農業・酪農地帯の一大パノラマがまさに北海道らしい。
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舗装路のひび割れやグラベルが多い北海道サイクリングでは、太めのタイヤを履いたeロードバイクが威力を発揮する。といっても重いので現地に持ち込むのは大変だし、そもそも所有していないのでレンタルした。北海道ボールパークFビレッジに米自転車メーカーのスペシャライズドが運営する体験型自転車店舗、エクスペリエンスセンターがあって納得できる最新モデルがそろっているので、それを利用するのが手っ取り早い。
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随所にインスタ映えスポットがあって、それを拾い集めてみる
今回は糠平(ぬかびら)湖畔にある糠平温泉に宿を取り、日の出の時間を見計らって出発。北海道の国道の中で最も標高の高い三国峠(標高1139m)で日の出を目撃。然別(しかりべつ)湖から白樺峠に上り、ゆるやかなうねりが連続する下り基調の直線路をジェットコースターに乗るように走っていくのも壮観。興味深かったのは400mスケートリンクを備えた「明治北海道十勝オーバル」の駐輪場に、それなりのロードバイクがズラリ。スピードスケート選手のクロストレーニングで使う愛車だと知った。
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フランスによく似ている景観と気候。ウエアとシューズくらいしか持っていかない北海道サイクリングは大満足のロングサイクリングとなった。
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