都心部から自転車をクルマに積んでいけば1時間半。水郷と呼ばれる千葉県香取市の佐原(さわら)は江戸時代のような家並みが残り、風情あふれる町だ。基点となる道の駅にはバイクラックが置かれ、ここから利根川沿いのサイクリングロードで銚子市の犬吠埼を目指すことも、もっと走りたいなら茨城県の霞ヶ浦も訪れることができる。
都心部からアクセスがいい、知られざるサイクリングスポット
小江戸情緒たっぷりの佐原は観光地として魅力的ながら、公共交通機関でのアクセスが意外と面倒。そんなわけで観光客が殺到するところではない。そんなロケーションを訪問するのはやっぱり自転車が最強だ。今回は拠点となる「道の駅・川の駅 水の郷さわら」までクルマで移動。ここからロードバイクで走り出すのだが、両極端なサイクリングが選択できる。川沿いの小江戸をのんびり散策するか。あるいは大利根サイクリングロードを使って犬吠埼まで突っ走るか。
今回紹介する佐原。かつては霞ヶ浦の北部、茨城県土浦市の港とを結ぶ観光遊覧船もあり、一時は自転車を持って乗船できたのだが、現在は廃止。そのため土浦や利根川の対岸にある潮来からは自転車で走ってくる必要があるが、このエリアならではの風景を楽しむことができる。
霞ヶ浦につながる横利根川には、河川の水位違いを調整して船を往来させる閘門(こうもん)があり、自転車でその周囲を取り囲む公園を訪れれば2つの水門などを見ることができる。そして情緒たっぷりの佐原の家並みは格別。静かにたたずむ川のたもとに涼しげなヤナギがあったりして、夏でも心地よくサイクリングすることが可能。デートするなら絶対にこっちだ。
犬吠埼往復は100km
ロードバイクでストイックに走りたい人は佐原と犬吠埼を結ぶ、通称「大利根川サイクリングロード」がいい。要所にいくつかのサイクルステーションがあって、トイレはここで。ところが一般道ではないので、商店はおろか自販機もない。おまけに土手の上の自転車道は、勇壮に流れる利根川を一望できるかわりに日影が全くない。真夏にここを走るなら十分な水と補給食を携行する必要がある。
犬吠埼周辺ではわずかに起伏があるが、それ以外は完全にフラット。ひたすら修行のペダリングを余儀なくされる。一般的な土手沿いの道は自転車歩行者道だが、ここは自転車道と定義される。どうりで歩行者がいないはずだと思ったが、あまりにも単調すぎて、しかも脱出する脇道も少ないので、散歩には不向きなのである。冬になれば暑さはしのげるが、季節風が強くなるので、どちらにしても過酷。デートではなく、自分を鍛錬したい人向き。
首都圏サイクリストの多くは、どちらかというと山岳コースに向かいがち。たまには平たんで、きらめく水面が望めるところもいいのでは。海の幸も楽しめること請け合い。
サイクルステーションが要所に
北総と呼ばれる千葉県北部は総合公園や博物館などの施設の一部に「サイクルステーション」が設置され、工具や空気入れが常備されている。パンク修理セットや予備チューブなどを携行していればパンクなどのトラブルが生じたときに大きな助けとなる。レンタルサイクルは水郷佐原観光協会駅前案内所で一般車1日500円、電動アシスト自転車700円。「道の駅・川の駅 水の郷さわら」で500円。ホームページからおすすめのサイクリングコースマップもダウンロードできる。
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