アイウエアは単なるファッションアイテムにとどまらない。目をガードし、あらゆる気象条件下で視界を確保する。色やデザインだけで購入しがちだが、タイプ別の特性を把握して選び、それぞれの走りや顔のつくりにマッチした調整をすることが重要だ。山形県の老舗眼鏡店「金栄堂」の三代目、那須丈雄さんにサイクリングにおけるアイウエア選びのポイントを聞きに行った。
自転車用アイウエアは乗車姿勢を考慮するだけでなく個人差にも対応すべき
アイウエアは有害な紫外線をはじめ、砂ぼこり、虫や飛び石などから目を保護してくれる。風雨が強いときでもしっかり目を開けて走行することができ、安全性を確保する。度付きの場合はそれに視力矯正機能が加わる。だからアイウエアは見た目だけカッコよくてもダメなのだ。たくさんのモデルからそれを見つけるのは手探りの状態で、自分の顔や用途に合っているかは分からない。そこで今回は、スポーツグラスプロアドバイザーの那須さんを訪ねた。
光の明暗を感じる視力、微妙な色の違いを見分けるコントラスト感度や動体視力には個人差がある。そのため、人によって見やすいレンズ色も変わってくるという。日が傾いて暗くなると視力が下がって安全走行に支障をきたす人もいる。これはもうプロに手伝ってもらう必要のある領域だ。
サイクリング時の乗車姿勢は前傾するので視線は上目づかいになる。ときおりハンドルに取り付けた速度表示を見る必要があるので、レンズは大きめのほうが適している。さらには直射日光や木もれ日、トンネルなども出現するので高機能なレンズが求められる。
「選手としてのパフォーマンスを100%発揮できるアイウエアであるかどうか。今はレンズがとても進化してきて、選び方を間違えなければ最適なものが手に入る」
那須さんが自転車用アイウエアをフィッティングする際は、フレームのそり角、レンズの前傾角、目とレンズとの距離などを計測。こういったデータをもとにモデル選びをアドバイスしてくれる。スポーツアイウエアはワンサイズなので、次は実際のモデルを調整。どういった角度で前方を見ているかなどをチェックしながらフィッティングしていく。
曇りを軽減するのか、上空から落ちてくる雨やタイヤが巻き上げる泥はねが入りにくいようにするのかなどにより、フィッティングも若干変わっていく。鼻にかける部分のノーズピースをオリジナルパーツに交換したりして、個性ある顔に合わせていく作業は職人的な感覚が頼り。ヘルメットに合わせたフィッティングはテンプル(メガネのつる)をカットしたり、曲げたりすることもある。金栄堂ではアイウエア本体の価格のみで、無料でフィッティングしてもらえる。
使用後にお手入れすることで耐久性が飛躍的にアップ
着用時についた汗や汚れは走り終わった後に水道水で洗い流す。油がついているところがあれば中性洗剤を使って脱脂。お湯はダメージを与えるのでダメ。洗い終わったらそのまま放置せず、ティッシュペーパーで水分を取り、メガネ拭きで仕上げる。保管するときはハードケースを開いたままで通気性をよくしておく。
スポーツアイウエア選びを頼るなら山形県の金栄堂
山形県長井市の駅近くにある「メガネの金栄堂」の三代目が那須丈雄さん。スポーツアイウエアに特化した店作りに転換し、他の追随を許さぬほどのノウハウを持つ。自転車、ゴルフ、プロ野球選手のサポートを行い、そのフィードバックを得て日夜研究に没頭。顔型診断・計測アプリを開発し、全国からネットを介してフィッティングしてもらうこともできる。YouTubeでもアイウエアに関する諸情報を発信中。
●金栄堂のホームページ
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