境川源流にシェアサイクルで挑んでみたら想定外の大冒険に

江ノ島近くの相模湾にそそぐ境川は約50kmさかのぼると高尾山麓にいたる。川の両側には散歩やランニングにちょうどいい道が続く。今回はその中間地点にある東京都町田市から、川沿いをたどって源流を目指した。一部が未舗装路なので、太いタイヤで低重心のシェアサイクルで行くのが正解。ところがスタート時点から思わぬ展開となり、想定外の大冒険になる。

最後は交通量の多い一般道から外れ、のどかな林道を走る

境川沿いのサイクリングコースは定番で人気のルート

川沿いのサイクリングコースは交差点が少なく、起伏もないので走りやすい。都心部では多摩川や荒川が代表的存在で、市民の憩いの場として利用されている。境川も住宅地の間を流れる親しみやすい河川だ。町田市から神奈川県藤沢市にある河口までは全舗装路で、ロードバイクが風を切って走るシーンをよく目撃する。

町田駅からしばらくは舗装路

今回は町田市から上流を目指した。川を隔てて東側が町田市、西側が神奈川県相模原市となり、まさに「境川」となるゆえんだ。「境川ゆっくりロード」という名称の歩行者・自転車専用道路が中流域の12kmにわたって整備されている。ただし一部は砂利道で、ロードバイクは不適。そこで町田駅でシェアサイクルの「ハローサイクリング」を借りることにした。

ところが取材日は駅周辺にある7カ所のサイクルポートの自転車がすべて貸し出し中。あわててアプリで境川沿いにある駅のポートをチェックするも、バッテリー残量ゼロの自転車しか残っていない。しかたなく小田急線で1つ先の相模大野駅で空き自転車を見つけて予約。ここから上流を目指すことになった。

都県境を越えた相模大野駅でようやくレンタルサイクルを確保

シェアサイクルはイメージしたとおりにはいかない場合も

シェアサイクルは便利なようで、そんなピンチも頻繁にある。さらに確保した個体の整備状況もそれは運としか言いようがない。砂利道走行となるためタイヤ空気圧は低めでもいけるが、整備不良で異音を発生させながら走るのはできれば避けたい。今回確保した個体は残念ながらの整備状態だったが、せっかく確保したのだからこれで行くしかない。

境川源流マップ

境川沿いの道はのんびり歩く人などもいて、こういった一般自転車でゆっくり走るのは正解だ。上流に向かうわけだから気づかない程度の上り坂。でも電動アシスト車なのでペダルは軽い。逆に下り坂となる帰路は3段内装変速ギヤを一番重くしてもペダルが回りきってしまってスピードが出せない。この日はのんびりサイクリングでいいやと言い聞かせる。

境川上流の林間部になると、気温がグンと低下してきた。しばらくして源流の看板を発見し、サイクリング記事としての挑戦はそこまで。帰路はシェアサイクル最大の利点を活かし、出発地まで戻らずに空きのあるポートで返却する作戦を取る。今回は最寄りの橋本駅のポートに運よく空きがあったので返却できた。

源流近くにある小仏層は、町田市内で最も古い1億3500万年から7000万年ほど前の地層。サイクリング途中に出現

午前11時に出発し、午後3時前のゴールだったが、自転車を手放したことでアルコールが飲めるという状況を構築できたのだ。冒険ライドを完遂したという達成感とともにお酒が進み、電車を使って帰宅する。これがシェアサイクルの一番おいしいところだ。

町田市大地沢青少年センターで源流を示す看板を発見

東京都のハローサイクリング利用料は最初の30分が130円、延長15分ごと100円、12時間まで最大1800円。今回は3時間36分の利用で1430円だった。予約から支払いまでアプリ完結。施錠・解錠はアプリに表示されるパスワードを使う。貸し出し車両と返却ポートの予約は30分限定でできる。

借りたいところに自転車があるのか、返したいところに空きがあるのかは運試し。ある意味でドキドキの冒険旅行が楽しめた。

ほぼ源流。自転車で行けるのはこのあたりまでで、さらに徒歩で20分進むと源流に到達するようだ

町田市にはいろいろなサイクリングコースが存在

四季を通じて多彩な花を楽しむことができる町田薬師池公園四季彩の杜エリア。FC町田ゼルビアのホームスタジアムがあり大自然に包まれた野津田公園。菅原道真公を祀る町田三天神詣でなどのサイクリングルートも町田市にはある。

●町田市のおすすめサイクリングコース(PDF)
●町田市のシェアサイクルステーションマップ