ゲラント・トーマスらが和太鼓とプロ野球に挑戦…ツール・ド・フランスさいたま交流会

ツール・ド・フランスさいたまクリテリウムの開催前日となる11月3日(土)、会場となるさいたま新都心駅近くのメイン会場などで「ツール・ド・フランス2019コースプレゼンテーション」、「チームプレゼンテーション」、「さいたま市内交流会」が行われる。その全容が明らかになり、ゲラント・トーマスをはじめとする来日選手は恒例となったさいたま市内交流会で今回は和太鼓とプロ野球に挑戦する。

2013年はクリストファー・フルームらが相撲部に入門 © Yuzuru SUNADA

会場は4日のレースでスタート/フィニッシュ地点の横にあり、四方をコースに取り囲まれたオフィシャルサポーターズヴィレッジ。3日は一般開放されるので、「ツール・ド・フランス2019コースプレゼンテーション」、「チームプレゼンテーション」、「さいたま市内交流会」はだれでも無料で観覧できる。

ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム大会前日イベント
■日程:2018年11月3日(土)
■会場:メインステージ(オフィシャルサポーターズヴィレッジ内)
■アクセス:JRさいたま新都心駅徒歩約6分

〇ツール・ド・フランス2019コースプレゼンテーション
時間:13:15~13:50
会場:メインステージ(オフィシャルサポーターズヴィレッジ内)
内容:ツール・ド・フランス2019のコースの見どころやポイントなどを大会アンバサダー、アルベルト・コンタドール氏をゲストに迎えて紹介
参加者:アルベルト・コンタドール氏

2014年にパフィオーマンス書道を体験するペテル・サガン © Yuzuru SUNADA

〇チームプレゼンテーション
時間:14:00~14:50
会場:メインステージ(オフィシャルサポーターズヴィレッジ内)
内容:J:COM presents 2018ツール・ド・フランスさいたまクリテリウムに出場するチーム・選手の紹介
参加者:海外招へい選手(全選手)、国内参加選手、女子・男子ジュニア選手、パラサイクリング選手、アマチュア選手の一部

〇さいたま市内交流会
時間:15:30~16:30
会場:メインステージ(オフィシャルサポーターズヴィレッジ内)
内容:選手たちが和太鼓の鑑賞や、演奏体験で日本の伝統文化に触れる。また、選手たちがオリジナルユニホームを着用し、埼玉西武ライオンズOB平尾博嗣氏、女子プロ野球チーム埼玉アストライアとともに野球を体験。
参加者:海外招へい選手(全選手)、埼玉西武ライオンズOB 平尾博嗣氏、女子プロ野球チーム埼玉アストライア

2015年は弓道部に入門した © Yuzuru SUNADA

脇本雄太がUCIトラックワールドカップ第1戦のケイリンで優勝

脇本雄太(競輪選手)がフランスのパリ郊外にあるサンカンタンアンイブリーヌで10月20日に開催された2018-2019UCIトラックワールドカップ第1戦のケイリンで優勝した。大会は3日間で、日本のトラック競技界で最も期待を集める男子ケイリンは2日目に決勝が行われた。

脇本雄太がUCIトラックワールドカップ第1戦のケイリンでトップフィニッシュ ©2018 JCF

日本からは前シーズンの世界選手権で銀メダルを獲得した河端朋之(競輪選手)と、2017-2018ワールドカップ第4戦優勝の脇本が出場。ワールドカップでは今大会から2020東京オリンピックのオリンピックポイント対象大会となり、各国主力級がそろうハイレベルな戦いとなるなか、脇本が見事に優勝。

河端朋之は準決勝4位で決勝進出を逃して10位。日本はトップ10に2選手が入る唯一の国となり、オリンピック出場へ向け貴重なポイントを獲得した。ワールドカップ第2戦は10月26日からカナダで行われる。日本ナショナルチームには中距離チームも加わる。

UCIトラックワールドカップ第1戦のケイリンを走る脇本雄太 ©2018 JCF

脇本雄太のコメント
2017年12月のワールドカップで獲得した金メダルがまぐれじゃないと証明できてうれしかった。これでオリンピックのメダルに自分の中で1歩近づいと思っている。

脇本雄太がUCIトラックワールドカップ第1戦のケイリンで優勝 ©2018 JCF
UCIトラックワールドカップ第1戦のケイリンを制した(中央)。左が2位エドワード・ダウキンス、右が3位クリストフ・マクセル ©2018 JCF

上位進出ならずも世界の一線級相手に臆せずスプリント ジャパンカップクリテリウムのキナン

10月19日から各種イベントが行われているジャパンカップサイクルロードレースは、20日に宇都宮市中心部でクリテリウムを開催。翌日のUCI(国際自転車競技連合)公認の国際レース出場チーム・選手を対象に行われた38.25kmのクリテリウムで、キナンサイクリングは中島康晴の18位がチーム最上位だったものの、UCIワールドチームを中心に展開された主導権争いに挑み、スプリント態勢を形作った。上位入賞こそならなかったが、翌日に控える本戦へとつなげる果敢なトライとなった。

ジャパンカップクリテリウムをパレードするキナンチーム ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

前日は大観衆が詰めかけた中でのチームプレゼンテーションで、ファンの心を惹きつけるパフォーマンスを披露したキナンの選手たち。一様に笑顔を見せ、ムードのよさをアピールした。一転して、この日はハイスピードバトルに挑むとあって、各選手が集中した姿を見せた。

宇都宮市大通りを周回する、1周2.25kmのコースは、高低差こそほとんどないものの、たびたび訪れるヘアピンカーブでのポジショニングや、コーナークリア後の加速などが勝負するうえでのポイントとなる。スピードとバイクテクニックが要求され、優勝争いのスプリントは時速60km近くなることも。キナンは山本元喜、山本大喜、サルバドール・グアルディオラ、トマ・ルバ、中島康晴、新城雄大の6選手をセレクト。中島を軸にレースを展開することを確認した。

2周回のパレード走行後、15周回する総距離38.25kmの戦い。129選手が一斉にスタートすると、序盤はアタックと吸収の繰り返し。3周回目に2人が飛び出し、しばし先行するが、これは4周回目に設けられた1回目のスプリント賞通過を機にメイン集団へとバック。その後も7人程度の先頭グループが形成されかけるが、集団に対してリードを得るまでには至らない。8周回目に設定された、この日2回目のスプリント賞では、先に仕かけた選手を新城が猛追。しかし、わずかの差で届かず、スプリント賞獲得とはならなかった。

レースが後半に入ると、UCIワールドチーム勢を中心に主導権争いが本格化。トレック・セガフレードやミッチェルトン・スコットが前方を占める中、キナン勢は中島を中心に陣形を整え、好位置を確保。山本元や新城らが中島のポジションキープに従事し、残り周回が減るにつれてルバやグアルディオラも位置取り争いに加わる。その間、12周回目に設定された3回目のスプリント賞に山本大が挑む。1位通過はならなかったが、積極的な姿勢を見せた。

決定的なアタックはなく、勝負は戦前の予想通りスプリントにゆだねられることに。キナン勢はグアルディオラが集団最前列でリードアウト。フィニッシュ前600mでの最後の折り返しで絶好の位置をキープした中島が勝負に臨んだ。

満を持してスプリンターとの争いに挑んだ中島だったが、周囲の選手同士で起きた接触の影響で加速しきれず。番手を下げ、挽回できずにフィニッシュラインを迎えることとなった。結果は18位。レースを終えた中島は、イメージとはほど遠い結果と、上位進出を託されていた責任から悔しさをにじませた。

一方、リザルトに現れる形での好結果とはならなかったものの、各選手がチームオーダーに基づき走り終え、世界の一線級の選手・チームを相手に戦った点では大きな収穫となった。心身ともにポジティブな状態で、次なる戦いへ向かう。

翌21日は、いよいよ大会の華であるロードレースが行われる。宇都宮市森林公園へ舞台を移し、10.3kmのコースを14周回する144.2kmで争われる。注目は、標高差185mを一気に駆け上がる古賀志林道の登坂。特にレース終盤は、有力選手の攻撃が活発となる区間。登坂後のダウンヒルや平坦区間も見もので、上りで仕掛けた選手たちと、それを追う後続選手たちとの激しい攻防が見られることが予想される。

UCIが公認するカテゴリーでは、アジア圏で行われるワンデーレースとしては最上級のHCクラスに位置付けられている。グアルディオラはクリテリウムのメンバーから、中島とマルコス・ガルシアを入れ替え。6選手がチームとしてはこの大会初タイトル獲得と、UCIポイントの獲得を目指してスタートラインにつくこととなる。

<strong>ジャパンカップクリテリウム(38.25km)結果</strong>
1 ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、トレック・セガフレード) 42分38秒
2 キャメロン・スコット(オーストラリア、オーストラリアン・サイクリング・アカデミー) +0秒
3 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ宇都宮ブリッツェン)
4 ロバート・スタナード(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)
5 レイモンド・クレダー(オランダ、チームUKYO)
6 ローガン・オーウェン(アメリカ、EFエデュケーションファースト・ドラパック)
18 中島康晴(KINAN Cycling Team)
65 山本大喜(KINAN Cycling Team) +15秒
89 新城雄大(KINAN Cycling Team) +30秒
91 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +32秒
105 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) +43秒
111 山本元喜(KINAN Cycling Team) +47秒

中島康晴

中島康晴のコメント
今回は自分が勝負する役割を担うことになったので、メンバー間の連携を心がけて最終局面へと持ち込めるように走った。残り5周以降から(山本)元喜たちが中心になって動いてくれて、残り2周からはサルバが牽引、そして最後の半周は(新城)雄大が引き上げてくれて、自分としてはベストな状態でスプリント態勢に入ることができた。
トレック・セガフレードのトレインをマークしながら加速を始めたが、周りで接触があった関係で、それを避けるのに減速せざるを得ず、ねらい通りのスプリントとはいかなかった。チームがいい仕事をしてくれて、あとはそれに応えるだけだったので、みんなに申し訳ない。
明日はレース出走はないが、やるべきことは残されている。実際にレースを走るのは6人だけれど、応援してくださる方々が“7人目のライダー”だと思っている。その“7人目のライダー”たちを引っ張って、みんながチームとして戦えるよう盛りあげたい・

雨乞竜己・中西健児参戦のトラックパーティー マディソンで前日のリベンジ

トラックパーティー2018インオータム サイクルエンターテイメント・イズ(NIPPO presents TRACK PARTY 2018 in AUTUMN 〜CYCLE ENTERTAINMENT IZU〜)の2日目。キナンサイクリングから出場している雨乞竜己と中西健児は、前日DNFと悔しい結果となったマディソンで完走を果たした。もう1種目のエリミネーションでは雨乞竜己が16位、中西健児が11位となり、初のトラックパーティーの全日程を終えた。

トラックパーティー2018 インオータム サイクルエンターテイメント・イズ第2戦 ©︎KINAN Cycling Team / Kensaku SAKAI

トラックパーティーの2日目は10月14日(日)に伊豆ベロドロームで開催された。前日とはうって変わって暖かな日差しに包まれた伊豆ベロドローム。屋外のフードエリアでは初日に行われた「まぐろ解体ショー」でさばかれたまぐろのアラ汁が振る舞われ、同時に開催されていたサイクリングイベントの参加者などで午前中から多くの人たちでにぎわっていた。ベロドローム内も前日より多くの観客に加え、日本競輪学校の生徒たちも観戦に訪れ、さらなる熱気の中でプログラムが進行。また、この日の「バンクウォーク」では、アテンダント役に中野浩一が登場。“世界の中野”によるバンクウォークだけに、競輪オールドファンの姿が多数見られた。

オープニングランからこの日のプログラムをスタートした雨乞と中西。前日と比べて多めの笑顔で観客にあいさつ。リラックスした様子に今日のレースに向けた期待が高まった。

マディソンでは前日の反省から、メイン集団にラップされた後の対応を重視。格上選手たちの走りに合わせ、ラップされる回数を減らしていく作戦だ。レースは、前日の同種目で3連覇を果たしたオーストラリアン・サイクリング・アカデミーの連勝を阻止しようと、有力チームが積極的に動いていく展開。苦戦を強いられるキナンだったが、メイン集団にくらいつく場面が何度も見られた。また、選手交代もタイミングが合わずにスルーしてしまう場面こそあったが、前日よりも力強い放り投げを見せるなど、ペア2回目となるマディソンを完走で終了し、前日のリベンジを果たした。

注目された優勝争いは、オーストラリアン・サイクリング・アカデミーが前日同様に圧倒的なレース運びで4連覇を達成。国内勢はCS Slingerの新村穫が最終局面で先行し、1着フィニッシュで一矢を報いた。

マディソンにおける選手交代は、2人のタイミングを合わせるだけでなく、他チームの選手が入り乱れる中で放り投げが可能なスペースの読みや、放り投げの効果を最大化するようにバンク上側で投げて駆け下りでの加速の効果も得るなど、レース経験が物を言う種目でもある。前日に明白となった課題を一夜にして修正したキナンの2人。ペアとしての可能性を感じさせる2日間のコンビネーションだった。

続いてはエリミネーションに出走した2人。前日はレース序盤でエリミネートされてしまった雨乞は今回、粘りを発揮したいところだったが、早い段階で除外される結果となった。エリミネート周回で最後尾となった選手が除外される競技特性は、一見単純なルールのように感じられるが、集団後方での選手間での駆け引きなど、この種目の奥深さが見え隠れする。そんな中で中西は集団前方を確保し、前日よりも積極的な姿勢を見せる。前日にレイモンド・クレダー(チームUKYO)のチェックに苦しんだが、この日は逆の立場に。集団最後尾から前の選手の死角に入りつつ、フィニッシュラインでの一瞬のハンドル投げで生き残るなど、随所に技ありの走りを見せた。最終結果は雨乞が16位、中西が11位とし、2日間の競技を終えた。

優勝争いは、前日の勝者であるキーランド・オブライエンを含むオーストラリアン・サイクリング・アカデミーと、ブリヂストンサイクリングが2人ずつ残して終盤へ。大歓声の中で迎えた最終局面だったが、窪木一茂(ブリヂストンサイクリング)が力尽き、2日連続でオーストラリアン・サイクリング・アカデミー勢のワン・ツーフィニッシュとなった。

トラックパーティーでは両日ともに、全種目終了後に再度出場選手がトラックに登場し、観客にお別れのあいさつ。記念のグッズをファンにプレゼントしながら、バンクをゆっくりとめぐった。

ピストバイクでの初レースだった雨乞と、トラック競技の経験を持つ中西と、それぞれに異なる境遇ながら、世界の強豪と肩を並べて2日間戦い抜いた。すべてのプログラムを終えた両選手はホッとした表情でインフィールドへと戻ってきた。(Report:酒井健作、Edit:福光俊介)

雨乞竜己

雨乞竜己のコメント
2日目は前日のマディソンでの課題をクリアすることを目標に走った。まずは走りきること(笑)。ラップされた後にどう集団に戻るかなど、当面の目標はクリアできた。ピストに乗り始めて数日ということで、今回の目標設定は間違っていなかったと思う。ただ、エリミネーションは恐らく自分の得意な部類のレースだと思うのですが、不完全燃焼、あっけなく終わってしまった感じ。
とはいえ、2日間無事に終わることができてホッとしたというのが正直な感想。いきなりトップレベルを体験できたのはすごくいい経験で、刺激にもなった。この機会を与えてくださった大会関係者やチームに感謝している。ロード最優先だが、これを機にピストにも挑戦していきたい。

中西健児

中西健児のコメント
1日目の反省点を生かしてマディソンでは協力して完走することができた。ピストバイクに乗るのは久々だったが、2日間ともにレースを楽しむことができてよかった。