大分市で開催されていたサイクリングの祭典「OITAサイクルフェス!!!2018」は、最終日となる10月14日にメインレースの「おおいたアーバンクラシック」が行われた。150kmで争われた戦いでキナンサイクリングはトマ・ルバの7位が最上位。レース序盤から新城雄大を先頭グループへ送り込むも、タフな展開に主導権を確保できず、残り2周回で飛び出した選手たちの逃げ切りを許す結果となった。
おおいたアーバンクラシックでゴールするトマ・ルバ(中央)ら4位集団 ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU
前日に同市中心部で実施された「おおいたいこいの道クリテリウム」では中島康晴が4位。表彰台までは一歩届かなかったが、選手間での連携が機能し、想定通り中島を上位戦線へと送り込んだ。いずれの選手も調整が順調であったことを証明し、続くクラシックへの期待をふくらませる内容となった。
この日のクラシックは、これまで国内リーグ「Jプロツアー」内で開催されてきたが、2018年からUCI(国際自転車競技連合)公認の国際レースへさま変わり。同アジアツアー1.2クラスにカテゴライズされる。キナンは最新のUCIアジアツアーチームランキングで首位。さらに得点を重ねていくべく、このレースでのポイント獲得をねらう。出走は前日と同じく中島のほか、ルバ、山本元喜、山本大喜、新城雄大の5選手。
コースは、大分スポーツ公園周辺に設定された1周10kmのサーキット。中盤まではなだらかな上りが続き、その後いったん下って再び登坂するアップダウンに富んだレイアウト。特に周回最終盤での約1kmの上りは勝負を左右する可能性が高い。15周回・150kmのレースはサバイバルになるものと予想された。
午前9時のスタート以降、しばらくは各チームの思惑が交錯し、お見合い状態で進む。その均衡が破られたのは、3周回目終盤。上り区間を利用して新城を含む4人がアタックに成功。メイン集団からも追随する動きがあり、次の周回に入る頃には10人が先行を開始。新城らが先頭グループを形成し、先を急ぐ。新城を前方へと送り出したキナン勢は、残る4人がメイン集団に待機し、次なる展開へと備える。
新城らの先頭グループとメイン集団とのタイム差は、おおよそ1分30秒差で推移。一時1分を切る時間帯もあったが、大きな変化はなく残り距離を減らしていく。
攻略が難しいコースレイアウトと気温の上昇によって、徐々にメイン集団の人数が減少。力のある選手だけが主要グループでレースを進行させる。やがて後半戦へと入っていくと、先頭グループに変化が見られるようになる。
11周回目に入って、先頭グループからアタックを試みる選手が次々と現れる。決定打は生まれず、アタックとキャッチを繰り返すが、次の周回でホセ・ビセンテ(スペイン、マトリックスパワータグ)が単独で飛び出すと、それまでともに逃げてきた選手たちは追走態勢へ。積極的に追いたい選手と消耗度が高い選手とでスピードに違いがあり、思うようにビセンテとのタイム差を縮めることができない。その後ろでは、メイン集団もペースアップ。キナン勢も前方に位置し、ルバが集団先頭へ出て牽引する様子も見られるようになった。
しばし独走したビセンテだったが、13周回目で新城らが吸収。再び先頭グループとなったかに思われたが、勢いづいたメイン集団があっという間に迫ってくる。残り2周回になると同時に先頭を走っていた選手たちを捕まえ、レースはふりだしに戻った。
キナン勢は新城のほか、山本元、ルバ、中島がメイン集団で走るが、生き残りをかけた終盤の争いに苦しみ、新城と山本元が徐々に集団から遅れていく。さらには、集団から3選手が飛び出し、優勝候補選手たちのほとんどがこれを見送る。だが、集団内はライバル同士がにらみ合う状況が生まれ、先頭に出た3人とのタイム差が少しずつ拡大していった。
先頭とメイン集団とのタイム差は約25秒で最終周回の鐘を聞くが、タイム差は広がる一方。残り5kmでその差は約35秒へと広がり、3人の逃げ切りは濃厚に。ルバと中島が含まれるメイン集団では、約20人による4位争いとなった。
4位をかけた集団の上りスプリントは、ルバが4番手でフィニッシュラインを通過。チーム最上位となる7位を確保。数秒遅れて中島が続いた。なお、3人による優勝争いは、日本ナショナルチームが1位と2位を独占。石上優大が今大会を制した。
これで、大分での2連戦が終了。次戦はいよいよ、この秋最大のビッグレース「ジャパンカップ サイクルロードレース」。悔しい結果となった今回の雪辱を期して、日本国内最高峰の国際レースへと挑むこととなる。ジャパンカップは20日にクリテリウム(38.25km)、21日にUCIアジアツアー1.HCクラスにカテゴライズされるロードレース(144.2km)が行われる。
おおいたアーバンクラシック(150km)結果
1 石上優大(日本ナショナルチーム) 3時間48分49秒
2 松田祥位(日本ナショナルチーム) +0秒
3 雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン) +11秒
4 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +30秒
5 ベンジャミ・プラデス(スペイン、チームUKYO)
6 横山航太(シマノレーシングチーム)
7 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team)
21 中島康晴(KINAN Cycling Team) +37秒
25 新城雄大(KINAN Cycling Team) +51秒
40 山本大喜(KINAN Cycling Team) +6分46秒
43 山本元喜(KINAN Cycling Team) +10分20秒
トマ・ルバのコメント
敗因を冷静に探ってみないといけないね…。重要な局面での選択にミスがあったのだと思う。(新城)雄大が逃げから遅れていると聞かされ、その直後に逃げグループを捕まえることができたのだけれど、結果的に優勝を争うこととなった3人の動きを容認してしまったことが状況を悪くしてしまった。私がトップ10(7位)に入ったことがせめてもの結果だ。
現状は、9月のインドネシア遠征からのリカバリーを進めている段階。調子は上がってきているし、次の目標であるジャパンカップがとても楽しみになってきている。
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